ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
ハナダシティに到着したヒビキは、まずポケモンセンターで旅の疲れを癒した。ジム戦用にパーティーを再編し、準備万端でハナダジムの門を叩く。しかし、そこで待っていたのは予想外の言葉だった。
「え~!? 休み!?」
「ごめんなさいね……この一週間、挑戦者が多すぎてジム戦用のポケモンたちが疲れちゃってるの。明日には預けていた子たちが帰ってくるから、待っててね」
ジムリーダーであるハナダ三姉妹に申し訳なさそうに断られ、ヒビキは肩を落としてジムを後にした。
「さてと……今日一日、どうしたもんかな」
予定が空いてしまい、どうしようかか考えながら取り敢えず手持ち達を出して街をぶらつこうとしたその時だった。
「ちょいとお前さん」
呼び止められて振り返ると、そこには不思議な老人が立っていた。両肩にイーブイとピカチュウを乗せ、傍らには二種類のライチュウとニンフィア。腕の中にはピチューまで抱えている。
「何か……?」
「いやなに、お前さん、マサラタウンの者かな? ヒビキという少年を探しておってな」
「ヒビキは俺ですけど……」
不審そうに眉をひそめるヒビキに、老人はパッと顔を輝かせた。
「おお! これは行幸じゃ。そう警戒せんでくれ。実はカナタから頼まれごとをされておってな。送られた写真を不注意で消してしまって困っておったんじゃよ」
「カナタ兄から……?」
最強のレンジャーであり、幼い頃からヒビキを可愛がってくれている「5人の兄貴分」の中で最強の男。その名を聞いて、ヒビキは警戒を解いた。
「わしは『相棒爺さん』と呼ばれておる。ピカチュウやイーブイに特別な技を教えておるんじゃ。カナタの奴、『俺の可愛い弟分がそっちに行くから、とっておきを仕込んでやってくれ』とうるさくてのぉ」
自己紹介もそこそこに、老人はコッペとケーキをじっと観察した。
「ほぅ、双子のピカチュウとは珍しい。兄は物理、弟は特殊よりの資質を持っておるな。これは教えがいがあるわい!」
相棒爺さんは不敵に笑うと、自身のポケモンたちを前に出した。
「あやつらは若いが実力者揃いじゃ、中でもカナタの先を読む戦術眼は群を抜いておる。そのカナタが認めたお前さんなら、この技を使いこなせよう──よく見ておれ! 【ばちばちアクセル】! 【ざぶざぶサーフ】! 【ふわふわフォール】!」
電光石火を超える神速、電気の波を乗りこなす奔流、そして宙を舞う衝撃。
初めて見る「相棒専用技」の輝きに、コッペとケーキは目を輝かせた。
「まだ日は高い。ハナダジム戦を前にこの教授を受け取っていくかの?」
「……もちろん。よろしくお願いします!」
ヒビキの瞳に火が灯る。最強のレンジャー・カナタが用意してくれたこの機会。無駄にするわけにはいかなかった。