ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
「コッペとケーキに稽古をつけている間、お前さんは別のことをしてみるといい。確かこの近くに『金○橋』とかいう、腕利きのトレーナーが集まる場所があるそうじゃ」
「いや! 爺さん、絶対そんな名前じゃないだろ!」
ヒビキは思わずツッコミを入れたが、爺さんの言葉に従い指定された場所へ向かった。そこには、長い橋の上に数人のトレーナーが屯っている光景があった。
「えっと、ここって……?」
「ここはゴールデンボールブリッジ! 橋の上にいる5人のトレーナーを抜き去るのがルールなのさ」
近くにいた親切なトレーナーが教えてくれたが、ヒビキの心中は複雑だった。
「へぇ~。(……マジでそんな名前なのかよ!)」
「あ、ちなみにさっき来た爺さんが言ってたような略称は言わないでね。この辺じゃ禁句だから言った奴はボコボコにされるから」
「……肝に銘じておくよ」
真顔で注意を受けたヒビキは、気持ちを切り替えて橋に挑んだ。
「止めだ、ヒメグマ! 【切り裂く】!」
「クゥマァッ!」
進化したばかりのパワーと、ジストから教わった「一撃粉砕」の意識。ヒメグマの鋭い爪が、5人目のマンキーを叩き伏せた。
無事に5人抜きを達成したヒビキに、一人の怪しげな男が近づいてくる。
「いやぁ君、強いね! どうだい、俺たちと一緒に働かないか?」
「はぁ……?」
胡散臭そうに見つめていると、男は突然、胸の紋章を露わにした。
「実は俺、ロケット団のものなんだ。……断るなら、痛い目を見てもらうぞ!」
「断るに決まってんだろ。バカか、てめぇ」
交渉決裂。繰り出されたポケモンを返り討ちにすると、男は「ちぃ! 覚えていろ!」と捨て台詞を吐いて逃げ出そうとした。
「逃がすかよ!」
ヒビキはそこら辺に転がっていた大きめの岩を両手で掴むと、全身のバネを使って思い切り投げつけた。岩は綺麗な放物線を描き、逃走する下っ端の背中を直撃、そのまま地面へと押し潰した。
「グエェッ!?」
潰れたのような声を出し、下っ端はそのまま気絶。ヒビキは冷静にジュンサーを呼び、犯罪者を引き渡した。
相棒爺さんの元へ戻ると、そこには一回り成長し、自信に満ちた表情のコッペとケーキがいた。
「ほっほっほ、相棒技の基礎は叩き込んだぞ。だがなヒビキ、【ばちばちアクセル】を鍛え上げれば、いつかは【ボルテッカー】や【神速】の領域にまで至れるはずじゃ。精進せよ」
「ありがとうございます! ほら、二人ともお礼を」
「「ピッピカチュウ!」」
「構わんよ。次に会った時にイーブイを連れていたら、また教えてやろう。……ただし、進化しているとそのタイプの技しか覚えられん可能性があるから注意が必要じゃがな」
そう言い残し、不思議な爺さんは去っていった。
翌日。
万全の状態で再開されたハナダジム。ヒビキは習得したばかりの【ざぶざぶサーフ】と【ばちばちアクセル】を惜しみなく披露した。
水の上を滑り、雷光となって駆け抜ける双子のピカチュウ。その変幻自在な攻めに、ハナダ三姉妹は驚愕し、為す術なく敗北した。
手の中に収まった、二つ目の勲章・ブルーバッジ。
ヒビキはそれを高く掲げ、次なる目的地へと視線を向けた。
どうしてもやりたかった。後悔は無い。