ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
ジュンと「応用」について話していると、眉間に深い皺を寄せたシアンが戻ってきた。
「確認したところ、やはりここから発生している妨害電波が原因だとわかった。今後は範囲を絞って、敷地外に影響が出ないよう使用してもらうことで話はついたよ」
シアンはそう説明すると、重いため息を吐いた。
「んじゃ、このままリーグに報告に行くの?」
「まあ、そうなるな。……ついでだ、クチバシティまで送っていこうか?」
「いいの?」
「ついでだ、ついで。ピジョットに乗ればすぐだからな」
「サンキュー、シアン兄!」
二人のあまりに親密なやり取りを横で見ていたジュンが、驚愕で顔を引き攣らせた。
「き、君!? なんで四天王に対してそんなに馴れ馴れしいの!?」
シアンとヒビキは一瞬キョトンとした顔を見せ、それから「ああ、そう見えるか」と納得したように頷いた。
「こいつは、ジストの親戚でな。ジストの所に遊びに行った時に知り合って、昔から色々と可愛がっていたんだよ」
シアンはジストから口止めされている「実弟」という設定を伏せ、表情一つ変えずにそう説明した。
「な、なんて羨ましいんだ! 四天王たちに可愛がられて育つなんて!」
ジュンが羨望の眼差しを向けるが、ヒビキは苦笑いして首を振る。
「……そうでもないぞ。シアン兄やグレイ兄の教え方は優しかったけど、カナタ兄やジスト兄貴の教えは厳しかったからな。特にカナタ兄なんて、『キャンプに行くぞ』って連れて行かれたのがシロガネ山だったんだぞ? 幼い子供を連れていく場所じゃねぇよ」
「はは……それに関しては、最初はカナタも難色を示していたんだが、ジストの奴が『あいつなら大丈夫だ』って許可したそうだからな。ちなみに、ソルは?」
「ソル兄は色んなポケモンと触れ合えたから、大変だったけど面白かったなぁ」
そんな規格外な「教育」の思い出話に花を咲かせていると、ジュンの背後から、先ほどグラウンドでランニングマシンを回していた少女たちが現れた。
「あら、ずいぶんと大きな口を叩くのね」
高飛車な声と共に現れたのは、ゼミの成績上位者らしき少女たち。彼女たちは、シアンの隣に立つヒビキを品定めするように見つめると、クスクスと笑った。
「四天王の知り合いだからって、実力まで四天王級だなんて勘違いしてないかしら? シミュレーターの理論値も知らないような『野良』のトレーナーが、私たちのエリート教育を否定するなんて、笑わせないでほしいわ」
「ふ~ん、ならバトルしてみるか?」
「構わないわよ。エリートの実力を見せてあげるわ!」
そうして2人は、バトルフィールドに向かっていった。