ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
シャワーを浴びて身支度を整えたリンとセナは、ようやく一息ついた様子でヒビキと合流した。
「……ってことがあったんや! いやぁ、ほんま大変やったで!」
リンが道中の苦労をまくしたてれば、セナも隣で苦笑いしながら頷く。
「ヤマブキジムに行こうとしたんですけど、あまり良い噂を聞かなくて。クチバから攻略しようってリンちゃんと話し合ったんですぅ」
「へぇ……確かにヤマブキジムのナツメは、超能力者だとかで独特な噂があるもんな。俺もルートは慎重に考えた方がいいか」
話が盛り上がる中、話題は自然と今の手持ちポケモンのことになった。三人はポケモンセンターのフリースペースへ移動し、互いの相棒を披露し合う。
「私から行きますねぇ」
セナが繰り出したのは、フシギソウ、ピジョン、ニドクイン、ロコン、ゴース。
「月の石が一つしか手に入らなくて。クチバジムは電気タイプ専門だと聞いたので、ニドリーナを優先して進化させたんです!」
「なら、次はウチな!」
リンのパーティーは、リザード、ヒトデマン、ウツドン、サンドパン、コイル、ワンリキー。
「ウチも進化の石が足りなくて、まだ足踏み状態やねん……。そや! ヒビキ、進化の石持ってへん?」
「あるけど……」
「くれ!」
「いや、タダってわけにはいかないだろ。何かと交換だ」
そう言うと、リンは自信満々に自作の道具を広げた。「全自動野菜切り機」など、独創的すぎる発明品が並ぶ。ヒビキは苦笑しながら物色し、ようやく一つを手に取った。
「……じゃあ、この電動リール付きの釣竿。これでいいか」
「エエで! まいどあり!」
取引成立。それを見ていたセナが、頬を膨らませてヒビキの袖を引っ張る。
「いいなぁ……私にも何か下さぁい!」
「お前にはヤマブキの情報をもらったからな。ほらよ」
セナにも石を渡すと、二人はパッと顔を輝かせた。
続いてヒビキが披露したのは、ニドキング、リングマ、プテラ、サイホーン、ブースター、フシギソウ。その重量感と威圧感に、二人は言葉を失った。
「わぁ! フシギソウ、お揃いですね!」
「ブースターなんてどこにおったんや!? ってかその2匹を遂に送って貰ったんか」
ヒビキがブースターとフシギソウを譲り受けた経緯を話すと、二人は深く同情した。
「大変やったんやなぁ、あんたたち」
「ヒビキ君は優しいから、安心して大丈夫ですよぉ」
二人はポケモンたちの気持ちを汲み取るように、優しく声をかけていた。
その時、フリースペースを通りかかった見知らぬトレーナーが、ヒビキのプテラを見て目を剥いた。
「なぁ! そのプテラ、俺のポケモンと交換しないか!?」
その瞬間、プテラの喉の奥から地響きのような唸り声が漏れた。殺気すら感じる本気の威嚇に、トレーナーは「ヒッ!?」と腰を抜かす。
「……落ち着けプテラ。──悪いな。やめといた方がいいぞ、こいつはかなりの暴れん坊だ。気に入らない奴には容赦なく攻撃を仕掛けてくる。俺も危うく【破壊光線】をくらいかけたしな」
ヒビキが淡々と告げると、男は「ならやめとく! じゃあな!」と脱兎のごとく逃げ出していった。その様子を見ていた他のトレーナーたちも、あまりの「格の違い」に声をかけるのを諦めたようだった。
「やっぱりヒビキのポケモンは、一筋縄じゃいかへんな……」
「でも、だからこそ頼もしいですぅ」
三人は互いの旅路を称え合い、クチバの夜は更けていく。