ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド   作:ガチャガチャクツワムシ

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サント・アンヌ号

 リンとセナがジムバッジを獲得し、それぞれ旅の準備を進める中、一足先に出発の準備を整えたヒビキはクチバの街を出ようとしていた。そこへ、妙に派手で胡散臭い二人組が近寄ってきた。

 「ねぇ~そこの君! あのサント・アンヌ号のチケット、欲しくな~い?」

「はぁ……」

「胡散臭いと思ってるでしょ~? 実は、旅行会社の設立記念の特別なキャンペーンなのよ!」

 捲し立てるように説明され、強引にチケットを握らされた。二人組はそのまま別のトレーナーへと声をかけに行き、ヒビキはその背中を見送った。

 「……っていうか、いつの時代のコスプレだよ」

 誰もいない場所で思わずツッコミを入れた。どう見てもカタギではないが、チケット自体は本物のようだ。

 せっかくだからと船に向かうと、豪華客船のタラップには本来の乗船客のほかに、自分と同じようにチケットを貰ったであろうトレーナーたちが溢れていた。

「……さて、まずは料理を楽しむかな」

 豪華なビュッフェを想像して足早に会場へ向かおうとすると、聞き慣れた声に呼び止められた。

 「あっ! ヒビキく~ん!」

 朝に別れたばかりのセナだった。

「ヒビキ君もチケット貰ったんですかぁ?」

「セナがいるってことは、リンも来てるのか?」

「そうなんです。そうだ! ヒビキ君、あっちで一緒に踊りましょ!」

「えっ、ダンス? そういうのって正装が必要なんじゃ……」

「大丈夫ですよ! レンタルできるみたいですから」

 そのまま強引に引っ張られ、不慣れなスーツに着替えさせられたヒビキは、ぎこちない動きでセナとダンスを踊る羽目になった。

 ダンスを終えてリンとも合流し、三人で念願のビュッフェを堪能していると、船内のバトルスペースが何やら騒がしくなっていた。

 人だかりの中心にいたのは、サトシだった。

「おっ、サトシもいたのか」

 近づいてみると、そこにはサトシだけでなく、以前に自転車を壊されて激怒していた少女のカスミと、ニビジムのジムリーダーだったタケシの姿もあった。

 「あれ? タケシさん? なんでサトシと一緒にいるんですか?」

「おおっ! ヒビキじゃないか! 久しぶりだな!」

「ヒビキ! 久しぶり!」

「久しぶりね!」

 タケシの話によれば、ジムリーダーを辞め、世界一のポケモンブリーダーになるためにサトシやカスミと一緒に旅をしているのだという。

「へぇ~、そうなんだ」

 再会を祝して会話が弾むが、ヒビキのトレーナーとしての血が騒ぎ出す。不敵な笑みを浮かべてボールを取り出した。

 「それじゃ、久しぶりに会ったんだ。バトルやろうぜ!」

「おう! 望むところだぜ!」

 二人はバトルフィールドへ。ヒビキは審判を名乗り出たスタッフに確認を取る。

「重量系のポケモンを出しても大丈夫ですか?」

「カビゴンみたいに極端に重い個体じゃなければ大丈夫ですよ。ただ、船内ですから技の余波には気をつけてください」

 「わかった。なら──初陣だ! フシギソウ、行ってこい!」

「ソウッ!」

「バタフリー、君に決めた!」

「フリーッ!」

 元々のトレーナーに大切に育てられてきたフシギソウと、サトシの絆で育ったバタフリー。

 潮風香る豪華客船の甲板で、幼馴染みとの対決が幕を開けた。

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