ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
「ヒビキ! 昨日のバトルの続き、今すぐやろうぜ!」
救助された翌日。アオプルコの豪華ホテルで、お詫びの品として提供されたフルーツを突っつきながらテレビを見ていたヒビキだったが、ドアを激しく叩く音と共にサトシが乱入してきた。
「お前……あんなことがあった翌日なのに、本当元気だな……」
呆れ果てたヒビキだったが、サトシの真っ直ぐな瞳に根負けし、ホテルのバトルフィールドへと向かった。
しかし、結果はヒビキの圧勝であった。
「……うそだろ!? 一匹も倒せないなんて!」
膝をつくサトシの前で、ヒビキのサイホーンは鼻息一つ乱さずに悠然と立っていた。まさに蹂躙。ゼニガメやフシギダネといったタイプ相性で勝るはずのポケモンたちを繰り出しても、サイホーンの岩のような皮膚にはかすり傷一つ付けられなかったのだ。
「船の上では、フシギソウやブースター相手に互角の勝負をしてたのに……」
観戦していたカスミが呆然と呟くと、審判を務めていたタケシがサイホーンの筋肉の付き方を凝視し、あることに気づいた。
「もしやヒビキ、そのサイホーン……お月見山の『主候補』だった個体か!?」
「当たり。その上、ウチの兄貴のドサイドンに直々に鍛えられてるからな。基礎体力がそこらの野生とは桁違いなんだよ。進化すればもっと多彩な技も使いこなせるようになるはずだ」
ヒビキはサイホーンの角を軽く叩いて労った。
「フシギソウやブースターは、ようやく俺のメニューで鍛え始めたばかりだからな。他の手持ちに比べればまだ発展途上なんだよ」
「だから、差があったのね」
軽く2匹の事情を話してから、ヒビキは悔しがるサトシに歩み寄った。
「てかサトシ……お前、もう少し技のバリエーションを増やした方がいいぞ」
「えっ?」
「バタフリーはまだ搦め手を使ってたけど、他はタイプ一致かノーマル技の攻撃技ばかりだ。補助技や変化技を使いこなさないと、格上の防御は崩せないぞ。ジスト兄貴からも言われただろ? 『得意だけを伸ばすな、苦手にも対応できるように育てろ』って」
「……わかってるよ。わかってるけどさ……」
サトシは帽子を深く被り直し、自らの手持ちたちを見つめた。
マサラタウンを出た同期でジストから教えを受けた身でありながら、四天王やトップブリーダーの兄貴分達により深い英才教育を身近で受けてきたヒビキとの「差」を改めて突きつけられた形だ。
「ま、焦るな。お前にはお前の良さがある。……けど、次やる時はもっと手応えのあるバトルを期待してるぜ?」
ヒビキの不敵な激励に、サトシは「次は絶対負けないからな!」と拳を握りしめた。アオプルコの海風が、二人の少年トレーナーの熱を冷ますように吹き抜けていった。
設定としてサトシ達もジストから色々教わっているので原作の初期のサトシよりタイプ相性とかはわかっています