ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド   作:ガチャガチャクツワムシ

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浜辺での再開

 アオプルコでの滞在費用はすべて、騒動を起こした会社持ち。

「勿体ないからギリギリまで居座るぞ」というヒビキの提案で、サトシ達5人も合流し、6人はビーチへ繰り出した。

 「最初に出会った時は、もっとこう……硬派なイメージだったんだけどな」

 ビーチで手当たり次第にお姉さんをナンパしてはカスミに耳を引っ張られるタケシを見て、ヒビキが遠い目で呟く。

「私も……」「ウチもや……」

 リンとセナも同意見だったが、サトシだけは「そのうち慣れるぞ」と、もはや悟りを開いたようなフォローを入れていた。

 そんな中、見覚えのある長身の筋肉質の男が近づいてきた。

「おぉ、元気そうだな、ヒビキ」

「あれ? 兄貴!? なんでここに……仕事は?」

 そこにいたのは、派手なアロハシャツを着こなした四天王・ジストだった。

「リーグから有給取れって言われたんだよ。ちょうど町内会の旅行があるからって、親父とお袋に参加させられたんだ」

「ジストさん、久しぶりやな!」「お久しぶりです~!」

 リンとセナも再会を喜ぶが、ジストの表情は少し真面目なものに変わった。

「しかし、大変な災難に巻き込まれたな。マサラの皆も心配してたぞ」

「連絡はしたけど、母さんには電話口で泣かれちゃったよ」

「当たり前だ。後でちゃんと顔を見せてこいよ」

 そんな兄弟の会話を遮るように、ビーチがにわかに騒がしくなった。

「おい! 有名モデルのルリナさんがいるらしいぞ!」

「マジかよ、拝みに行かなきゃ!」

 その名を聞いた途端、カスミが目を輝かせてヒビキたちの肩を揺さぶる。

「ちょっと聞いた!? あのルリナさんよ! 私たちも見に行きましょ!」

 だが、その喧騒を割るように、涼やかで気品のある声が響いた。

 「あら……ジストじゃない。久しぶりね」

 振り返れば、そこには完璧なスタイルで水着を着こなした褐色肌の美女──ルリナが立っていた。

 「久しぶりだな、ルリナ。仕事か?」

 サングラスをずらして挨拶するジストを見て、サトシたちが絶叫する。

「えっ!? 四天王のジストさん!?」「ジスト兄ちゃんじゃん!」

 その声を聞いてパニックになりかけた周囲を落ち着かせるため、一行は海の家を貸し切りにして移動した。

「もしかして、その子はヒビキ君? 大きくなったわね」

「お久しぶりです、ルリナさ……」

「ん?」

 ルリナの射抜くような視線に、ヒビキは瞬時に言葉を修正した。

「……ルリナ姉ちゃん」

「お前……俺の親戚(実際は弟)に何言わせてんだよ」

 ジストが呆れるが、ルリナは「あら、いいじゃない」と満足げだ。

 「ヒビキ! 羨ましいぞ! 代わってくれ!」

「どうしてお姉ちゃん呼びなんですかぁ(ニコッ)?」

 血の涙を流すタケシと、笑顔で圧をかけるセナ。ヒビキは冷や汗を流しながら説明した。

「昔、兄貴ガラルのジムリーダーにしてた時に遊びに行った時に、そう呼んだらお菓子くれたんだよ。それ以来の癖だ……」

 そんな和やかな空気を、一人の老人が破った。

「おお! ジストちん、久しぶりじゃない。腕、鈍ってないかい?」

「!! ……お久しぶりです! 師範!」

 ジストが弾かれたように立ち上がり、最敬礼で頭を下げる。その変貌ぶりに一同は呆気にとられた。

「誰? あのファンキーなおじいさん?」

「バカッ、サトシ! あの人は元ガラルリーグのチャンピオン、マスタードさんだ! 兄貴の師匠なんだぞ!」

 「えええええええっ!? ジスト兄ちゃんの師匠ぉぉぉぉ!?」

 かつてジストが旅をしていた時に門下生として汗を流した「マスター道場」の主。ジョウト四天王を育て上げた伝説の人物の登場に、サトシの絶叫がアオプルコの空に響き渡った。

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