ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
ド派手な騒動が幕を閉じたミスコンの優勝者は、なんとサトシの母・ハナコであった。
「あら、私で良かったのかしら?」
「ルリナ君達は『プロ』だと思われて除外されたのかもしれんのぉ……」
そうなっとくしているオーキド博士の近くで、ルリナがジストの元へ歩み寄る。
「それじゃジスト、また会いましょうね。次はバトルよ」
「ああ、その時は『四天王』として相手をしてやる」
「ふふ、楽しみにしてるわ……イツカ、コクハクシテネ」
風に乗った微かな囁きを、ジストは聞こえなかったふりをしてやり過ごした。ルリナは満足げな笑みを残し、夕闇のホテルへと戻っていく。
「さて、俺も戻るか。……ヒビキ、サトシ、シゲル。そしてリン、セナ」
ジストは残った少年少女たちを真っ直ぐに見据えた。
「今見せたメガシンカは、ただの強化じゃない。トレーナーとポケモンの『絆』を食らう進化だ。向き合い方を間違えれば暴走し、ポケモンを苦しめる。いつかその力を手にする日まで、自分の相棒たちを信じ、信じられる存在になれ」
「それでは師範、おかみさん、失礼します」
四天王としての重みある言葉を残し、ジストもまた雑踏の中へ消えた。
「ワシちゃんたちも帰ろうかねぇ。あ、ヒビキちん。ダグマは道場で修行を頑張ってるよ。セキエイリーグが終わる頃に迎えに来てね。その時はワシちゃんが直々に色々教えちゃうぞ!」
「はい! よろしくお願いします、師匠!」
伝説の老チャンピオン一行を見送り、シゲルとも別れヒビキたちは翌朝の出発に備えた。
翌日、アオプルコの港。
「ヒビキ、お前はどうするんだ? 一緒に船で行かないか?」
サトシの誘いに、ヒビキは手にもったボールを指で叩いた。
「いや、俺はプテラで行くよ。こいつ、ずっと空を自由に飛びたいって騒いでるからな」
ボールから解き放たれた親分プテラが、咆哮と共に砂浜を揺らす。ヒビキはその屈強な背に跨がり、手綱を握った。
「またどこかでな! ──行くぞ、プテラ!」
「ギュオオオッ!!」
巨大な翼が一振りされるだけで、踏ん張らないといけない程の風圧が巻き起こる。
「今度は絶対勝つからなー!」
「また会いましょうね、ヒビキ君ー!」
サトシやセナたちの声が遠ざかる中、ヒビキは高度を上げた。
「さてプテラ。悪いけど、海に良さそうな水タイプのポケモンがいないか探しながら飛んでくれ!」
「ギュオオッ!」
古代の王者が、青い海原を見下ろしながら悠然と羽ばたく。
一方、船の甲板。サトシはふと思い出したように、ポケットからある物を取り出した。
「あ、そういえばこれをジスト兄ちゃんに聞けばよかったんだ」
それは、七色に輝く不思議な羽根だった。
「何やそれ、綺麗やなぁ」「宝石みたいですねぇ」
リンとセナが顔を寄せる。
「旅立ちの日にオニドリルやオニスズメの大群に追われていたときに手に入れたんだ。ヒビキは、俺がオニドリルをゲットした後に合流したから知らないと思う」
「あぁ、あの時ね」
「俺も見たことないな?」
「タケシが知らないとなると誰もわからないかぁ」
疑問を持ちながらも船は次の目的地に進んでいった。