ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
セキチクジムの死闘を終えたヒビキに、キョウはバッジと共に重い言葉を投げかけた。
「ヒビキ殿。拙者と同じように、ジストから『本気で相手をしてくれ』と頼まれているジムリーダーが、あと三人おる。グレンジムのカツラ、自身の弟子でもあるダークジムのクロバネ、そして──マナシロジムのクスノキ殿だ」
キョウは一度言葉を切ると、遠い目をして続けた。
「クスノキ殿は、かつてキクコ殿やオーキド博士と覇を競った、元チャンピオン。今はマナシロに隠居しておられるが、その実力は衰えを知らぬ。ジストですら、未だに勝ち越せぬ怪物よ」
「……兄貴でも勝てない相手」
ヒビキがその名を反芻する。カントー・ジョウトの頂点を知るジストが、わざわざ弟にぶつけようとしている壁。その高さに、ヒビキの背筋が震えた。
キョウの激励を背に三人がジムを後にすると、そこで待っていたのは懐かしい顔だった。
「よう、ヒビキ。ずいぶんマシな顔になったな」
「シアン兄……!」
現れたのは、カントー四天王の一角であり、ワタルの後任を務めるノーマル使い──シアン。
「これを見ろ。……お前ら、こいつらを育てる気はないか?」
シアンが差し出したのは、二体のポリゴン。一体は、奇妙な色を放つ色違いだ。
「ポリゴン……!? シアンさんは育てないんですか?」
セナの問いに、シアンは肩をすくめた。
「俺は既にポリゴン2もZも持っているからな。俺の戦術には『スピード』が必要だが、同じ種をこれ以上増やすのは手の回らん。……どうだ?」
結局、セナは辞退し、ヒビキとリンが一体ずつ引き取ることになった。
「通常個体は防御寄り、色違いは攻撃寄りの性格だ」
「俺は攻撃が高い方がいい。色違いを貰うよ」
「ならウチは通常個体の方を。大切にするわ!」
リンはシアンから『アップグレード』と『あやしいパッチ』を譲り受け、ヒビキは自前のアイテムを準備する。
ひと段落ついたところで、シアンが真剣な面持ちでヒビキに問いかけた。
「ところで、次はどこへ行く? キョウから聞いただろ」
「ああ。カツラさん、クロバネさん、そしてクスノキさん」
「……クスノキのオッサンか。ヒビキ、気をつけろよ。あの人は俺と同じノーマル使いだが、次元が違う。ジストの『破壊力』も、カナタの『戦術眼』も、あの人の前では赤子同然だったこともある」
シアンの言葉には、確かな敬意と、隠しきれない警戒が混じっていた。
「挑戦するなら、絶対に一番最後だ。いいな?」
「……わかった。まずは近いダークシティに向かうよ」
一行はダークシティへの旅路を急いだ。
その途中、セナは迷いなくコンパンを捕獲し、実戦を通じてモルフォンへと進化させた。スランプを抜け、自分なりの歩調を見つけつつある。
そして、ポケモンセンター。
ヒビキとリンは、預かったポリゴンを通信装置へとセットした。
「よろしくな、ポリゴンZ」
電子の奔流を越え、現れたのは空間を歪ませるほどの異様な演算能力を秘めた色違いのポリゴンZ。
そしてリンの手元には、堅実な守りを感じさせるポリゴン2。
ヒビキは新たな電子の相棒と共に、漆黒の街・ダークシティを見据えた。
「まずはクロバネさんだ。……俺たちの力、見せてやる」
サブタイトルが迷走してきたのでもしかしたら換えるかもしれません。