ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド   作:ガチャガチャクツワムシ

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自業自得の腹痛地獄

 ダークシティへの道中、サファリゾーンの近郊に差し掛かった一行。

 戦力増強に意気込むリンとセナを余所に、ヒビキの顔は土気色に染まり、その手は必死に腹部を押さえていた。

 「ウゴゴゴ……」

「大丈夫ですか、ヒビキ君? 顔色が最悪ですよ……」

「……無理。……リタイヤ」

 震える声で絞り出した言葉。リンが呆れたように「ポケモンセンター戻るか?」と提案するが、ヒビキは首を横に振った。

「落ち着いたらそうする……。明日、行こう。……やっぱ、賞金に目が眩んで無茶するんじゃなかった」

 結局、その日は自由行動となり、リンはジャンク屋巡りへ、セナは本屋へと向かった。

 一人残されたヒビキは、限界を告げる腹部の警告に従い、吸い込まれるように目の前の施設へと転がり込んだ。

 「すみませ~ん……トイレ貸してください……」

 施設の職員と思わしき、険しい目つきの老人が銃に手をかけようとしたが、ヒビキの死に体の表情を見て「……奥だ」と短く指を指した。

 「ありがとうございます……。ニドキング、頼む!」

 ニドキングを呼び出し、防犯のために荷物を預けると、ヒビキは脱兎の如く奥へと消えた。

 残されたニドキングは、主人の不甲斐なさを謝罪するように、老人に向かって深々と頭を下げた。

 数時間後。

 用事を済ませたリンとセナが合流し、偶然再会したサトシたちと共に、ヒビキが籠城している「サファリゾーン管理所」へと入ってきた。

 「あーっ! ニドキング! ヒビキ、ここにおったんか」

「管理人さん、このニドキングのトレーナーはまだ中に?」

 セナの問いに、老人は不機嫌そうに鼻を鳴らした。

「さっきからずっとトイレに籠っているが……。一体何があったんだ、あいつは」

 苦笑いした二人が差し出したのは、一枚のポスターだった。

 そこにはデカデカと【第〇回 激辛料理大食い大会!】の文字が躍っている。

 「前の町で開催してたんですよ。優勝賞金が旅費数ヶ月分になるからって、ヒビキ君が参加しちゃって」

「それ、テレビでもやってる有名な奴じゃない! 救急搬送される人が出るくらい辛いやつでしょ!?」

 カスミの驚愕に、リンが肩をすくめて応える。

「そうなんよ。他の参加者が泡吹いて倒れる中、ヒビキの奴、無心で完食して優勝しおったわ。ウチらも引くぐらいやったけど、案の定これやな」

 「ヒビキって、変なところで負けず嫌いだからな……」

 サトシが感心したように(あるいは呆れたように)呟く中、ようやくスッキリした顔のヒビキが奥から現れた。

「すみません、長々と……。あれ、みんな何でここに?」

 翌日。

 腹痛から完全復活したヒビキは、管理人のカイザーに改めて礼を言い、サファリゾーンへと足を踏み入れた。

 かつてハクリューたちの事件で心を閉ざしていたカイザーも、ニドキングの律儀さとヒビキの「あの激辛を耐えた根性」に免じてか、ハクリューと共に穏やかに見送ってくれた。

 広大な原野での収穫は、三人の戦力を底上げするには十分なものだった。

 ヒビキは、群れのボス個体でありながら一匹で行動していた孤高のケンタロス、鋭い鋏を持つカイロス、そしてパラセクトを捕獲。

「ケンタロス以外はサブメンバーに回すが、どいつも良い筋をしてる」

 リンはストライクとタマタマ、カモネギを、セナはガルーラとラッキーを仲間に加えた。

 「……よし、これで戦力は整った」

 新しい仲間たちをボールに収め、ヒビキはダークシティの方向を見据える。




ヒビキが捕まえたケンタロスは、サトシが捕まえたケンタロス達の群れのボスの設定です。
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