ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド   作:ガチャガチャクツワムシ

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ダークジム決着

「頼むぞ、ニドキング! もう一踏ん張りだ!」

 ヒビキの声に応え、先ほどの戦闘である程度疲労が回復したニドキングが、再びフィールドへと力強く踏み出した。ずしりと響く足音が、最終決戦の幕開けを告げる。

 「ふふ、最後までお互い全力で楽しみましょう! ニャイキング、【辻斬り】!」

「ニドキング、【炎のパンチ】だ!!」

 ニャイキングが闇のエネルギーを宿した鋭い爪を何度も振るえば、ニドキングは激しい爆炎を纏った拳でそれを迎え撃つ。フィールドの中央で、火花と闇の衝撃波が飛び散る猛烈なラッシュが繰り広げられた。

 互いに一歩も引かぬ打撃戦。しかし、じわじわと戦況が傾き始める。ブースターが残した【すくすくボンバー】の宿り木がニャイキングの体力を吸い取り続け、さらに【わるわるゾーン】の【リフレクター】がニドキングへのダメージを半減させていたのだ。

 「チッ……相棒技の追加効果が厄介ね! 【ジャイロボール】で引き剥がしなさい!」

 ニャイキングが猛烈な高速回転を始め、その遠心力でニドキングの体勢を崩すと、そのまま距離を取って間合いを仕切り直した。

 どちらのポケモンも肩で荒い息を吐いている。しかし、ニドキングの瞳にはまだ不敵な余裕が残っていた。

 クロバネはニドキングの様子を見て、ふっと妖しく微笑む。

「ふふ……頃合いね。ニャイキング、【メタルバースト】!!」

「ニャアアアッ!!」

 ニャイキングの鋼の身体がギラリと銀色に輝く。先ほどのラッシュでニドキングから受けた炎のダメージを、倍以上の凄まじい威力に変えて撃ち出す、一発逆転の大技だ。

 しかし、ヒビキは完全にそのタイミングを読んでいた。

「待ってたよ! ニドキング、【守る】!!」

「ニドッ!」

 激突の直前、ニドキングの前に強固な緑色の障壁が展開される。ニャイキングが放った最大威力の【メタルバースト】は、その光の壁に完全に阻まれ、虚しく霧散した。

 「なっ……!? 大技の後隙を……!」

 驚愕するクロバネの目の前で、ヒビキが勝利への王手をかける。

 「これで終わりだ! 一瞬の隙を突け、【角ドリル】!!」

「ニドォォッ!!」

 障壁が消えると同時に、ニドキングの額の角が凄まじい速度で回転を始める。防御の手が薄くなったニャイキングの胸元へ、必殺のドリルが容赦なく突き刺さった。

 ドガァァン! と激しい衝撃音が響き、ニャイキングはその場に崩れ落ち、完全に目を回した。

 「ニャイキング、戦闘不能! 勝者、マサラタウンのヒビキ!」

 「お見事ね、ヒビキ君。……ふふ、種明かしをするとね、本来のダークジムは『通常の悪タイプ』と『悪のリージョンフォーム』で試験を行うの。だけど、ジスト先生から“弟を本気で揉んでやってくれ”と直々に頼まれていたから、今回は私のプライベートのガチ手持ちを使ったのよ。まさか、それでも負けちゃうなんてね」

 クロバネはニャイキングに労いの言葉を掛けながらボールへ戻すと、ヒビキの元へと歩み寄り、艶やかに微笑んだ。

 「えっ……そうだったんですか!?」

 ヒビキが驚きに目を丸くする中、後ろから駆け寄ってきたリンとセナも驚愕の声を上げる。

 「ええっ!? じゃあ、ヒビキはいつも以上の超絶無理ゲーな状態でバトルしてたってことやん!?」

「それは凄すぎますねぇ……」

 二人の反応に、クロバネは楽しそうにクスクスと笑った。

「そういうこと。……ついでと言ってはなんだけど、貴方たち二人もこのままバトルしていきなさい。もちろん、通常のジムバトル用のポケモンで相手をしてあげるから」

 そう言われて急遽始まったリンとセナのジムバトルは、ヒビキの時のような凄まじい親分個体やプライベート手持ちは出てこず、二人はこれまでの旅の成果をしっかりと発揮して、見事に勝利を収めてバッジを貰うことができた。

 「この『ブラックバッジ』はね、私が遠征でずっと不在にしていたから、今持っているトレーナーは凄く少ないのよ。リーグ本番でも、きっと珍しがられるわね」

「ワイらのメカニック魂に火がつくような格好ええバッジやん! ありがとな、クロバネのお姉さん!」

 リンが嬉しそうにバッジを掲げ、セナも愛おしそうにそれを見つめる。

 そんな二人を微笑ましく見送った後、クロバネはヒビキに向き直り、少し真剣な表情で声を潜めた。

 「ヒビキ君。……貴方はすでにセキチクジムのキョウさんから色々と聞いていると思うけれど、ここから先のジムリーダー……特にグレンタウンのカツラさんとマナシロタウンのクスノキさんも、普通の挑戦者には絶対に出さないような『特別なポケモン』を使って壁になってくるはずよ。十分に気をつけてね」

 「はい! 望むところです。教えていただき、ありがとうございました!」

 四天王の弟として、そして一人の強力なトレーナーとして、ジムリーダーたちからも一目置かれ始めたヒビキ。

 クロバネに深くお礼を言った3人は、ダークシティを後にし、次なる目的地──火山の島、グレンタウンを目指して、再び力強く歩みを進めるのだった。




オリジナルキャラ
クロバネ
ダークジムのジムリーダー
ジストの弟子だが、年上である。男性として生まれたが女性になりたい願望が強く、ジラーチに願いをして女性になった。タイプは悪タイプを専門としているがリージョンフォームのポケモンを好んで集めている。今回の遠征先は自分の生まれ故郷であった為に選ばれた。
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