ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド   作:ガチャガチャクツワムシ

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ポケモン検定

 定期便が出ている港町を目指して旅を続けるヒビキたちは、道中、大勢のトレーナーたちが詰めかけている大きな会場へとたどり着いた。

 「ここがポケモン検定の試験会場か」

「ここで合格できたら、ジムバッジを8個集めんでもセキエイリーグに参加できるんやっけ?」

「その通りですねぇ」

 ヒビキの呟きにリンが尋ね、セナがのんびりと答える。

 会場に入って受付の職員に確認してみると、案内係の女性がにこやかに説明してくれた。

「はい、セキエイリーグの開催時期まで半年を切りましたので、現在は週に一回のペースで試験が行われております。トレーナーの方でしたらどなたでも参加可能ですよ」

 バッジ集めとは違う形での実力試し。面白そうだと感じた3人は、さっそく試験を受けてみることにした。

 第1次試験の筆記テストは全30問。前半が〇✕形式で、後半が記述式という構成だった。

 モニターに映し出されるシルエットの正体を当てたり、鳴き声だけで正確な種類を見分けたりと、一筋縄ではいかない難問奇問のオンパレードだった。

 「……ハァ、マジで久しぶりに頭使ったから知恵熱が出そう。っていうか、あの丸まったシルエットのポケモンを答えよのところが全然わかんねぇよ」

 試験終了の合図とともに、ヒビキが机に突っ伏して頭を抱えた。リンもシャーペンを置いて大きくため息をつく。

「ウチは、ヒビキから前に教えてもろたところが多くて助かったわ。でも、ポケモンの声を聞いてその種類を答えよってやつ、あんなん全部おんなじに聞こえるわ!」

「結構、簡単でしたねぇ」

 涼しい顔で微笑むセナに、ヒビキとリンの2人は同時に椅子から転げ落ちそうになった。

「「マジかよ!? セナさん!?」」

 驚く2人を余所に、前方の大モニターに正解の解説が次々と表示され始める。それを見た周りの受験者たちからは、次々と悲哀に満ちた叫び声が上がった。

 「【高速スピン】状態で回転しているフォレトスなんてわかるかよぉぉ!!」

「ヤドランとヤドキングって、シルエットにしたらほぼ同じポケモンじゃねえか!!」

 そんな阿鼻叫喚の模範解答のなか、3人の結果は全員が高得点。そして驚くべきことに、セナのスコアシートには「満点」の文字が輝いていた。

 「「スゴッ!?」」

「ふふ、過去問集をよく買って読んでいたんですよぉ」

 朗らかに言うセナの、意外な努力家(そして天才)の一面に、ヒビキとリンは改めて脱帽するのだった。

 筆記試験に合格した3人は、続いて第2次試験である実技バトルへと進んだ。

 この試験は、あらかじめ用意されたレンタルポケモンが3匹入ったベルトを渡され、それを使って試験官に勝つというルールだ。ボールの中身は、挑戦者本人はもちろん、試験官すらも知らないため、その場での臨機応変な「応用力」と「戦術眼」が試される。

 「文字通り、トレーナー自身の地力が試されるってことか」

「上位のリーグを目指すなら当然のスキルよ。それでは、試験開始!」

 対峙する試験官が最初のボールを投げると、現れたのはハサミの鋭いカイロスだった。

 対するヒビキが選んだ最初のボールから飛び出したのは、筋骨隆々のカイリキー。

 「よし、当たりだな。カイリキー、【ビルドアップ】!」

「カイロス、先制の【山嵐】よ!」

「させるか、【岩雪崩】だ!!」

 カイロスが技を発動して距離を詰めるよりも早く、ヒビキの指示で上空から大量の岩石が降り注ぐ。その激しい衝撃に、カイロスは技を中断され、その場で激しく怯んでしまった。

 「チッ、怯んでしまったわね。もう一度【山嵐】!」

「こっちの方が速い! 【炎のパンチ】!!」

 【ビルドアップ】で攻撃力の上がったカイリキーの拳が、炎を纏って電光石火の速さで炸裂する。まともに喰らったカイロスは、そのまま一撃で戦闘不能となった。

 「やるわね、なら次よ!」

 試験官が2匹目に繰り出したのは、頑丈な岩の身体を持つゴローニャだった。

 「なら、相性はこっちが有利! 【インファイト】だ!!」

 勢いのままに繰り出された怒涛の連続打撃。ゴローニャの堅い防御を強引に打ち破り、カイリキーは2匹目もストレートで突破してみせた。

 しかし、試験官が最後に出した3匹目が、戦況を一変させる。

 「キェ──ヘッヘッ!!」

 不気味な笑い声を上げて現れたのは、シャドーポケモンのゲンガーだった。

 「ふふ、運がこちらに向いてきたわね! ゲンガー、【マジカルシャイン】!」

 格闘タイプのカイリキーにとって、ゴースト・毒タイプであるゲンガーは通常攻撃が効きにくく、さらにフェアリー技の【マジカルシャイン】は効果抜群だ。ゲンガーの圧倒的な素早さに追いつけず、カイリキーはここで戦闘不能となった。

 ヒビキが2匹目として選んだのは、マタドガスだった。

(最後の3匹目が何かわからない以上、ここで削りきるしかないな……!)

 「マタドガス、【火炎放射】!」

「このまま押し切るわよ! 【サイコキネシス】!!」

 マタドガスが放った激しい炎がゲンガーを包み込むのと同時に、ゲンガーの強力な超能力がマタドガスを直撃する。効果抜群のエスパー技を喰らい、マタドガスは力尽きて倒れてしまった。

 ──しかし、マタドガスが戦闘不能になった瞬間、その身体から漆黒の不気味な靄(もや)が噴き出した。

 「マタッ……!」

 その靄は生き物のようにゲンガーの身体へとまとわりつき、ゲンガーの体力を一瞬にして根こそぎ奪い去っていく。ゲンガーは苦しげな声を上げ、そのままマタドガスを追うようにバタリと倒れ込んだ。

 試験官は目を見開いて驚きの声を上げた。

「まさか……【道連れ】!? レンタルされたポケモンの技構成を、そこまで把握して先を読んでいたというの!?」

 「ええ。俺の最後の3匹目が何かわからなかったので、ここで確実に相打ちを狙いに行ったんですよ」

 ヒビキが苦笑いしながらベルトの最後のボールを確認すると、中にいたのは小さなコラッタだった。あのまま普通に戦っていれば、ゲンガーの圧倒的な火力の前に敗北していただろう。

 「勝つのが難しい状況での、最善の選択ね。ええ、これもまた立派な戦術よ! 合格です!」

 試験官から太鼓判を押され、ヒビキの実技試験も見事に合格となった。

 続いてバトルを行ったリンとセナも、それぞれのレンタルポケモンを見事に乗りこなし、試験官から「合格」の判定を勝ち取る。

 こうして、ジムバッジを集めるのとは異なるもう一つの道──ポケモンリーグ検定試験の合格証を手に入れた3人は、セキエイリーグへの確実な出場権を手に入れ、さらに自信を深めてグレンタウンへの旅を続けるのだった。

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