ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド   作:ガチャガチャクツワムシ

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グレンジム2

「ここやと、下手な水タイプのポケモンは逆に不利になりそうやな……」

「となると、やはり環境に左右されない岩タイプか地面タイプが良いのでしょうか?」

「【雨乞い】はどうやろ?」

「うーん、この熱気ですからねぇ。本来の効果はなさそうですねぇ」

 リンとセナが必死にカツラのマグマフィールドを考察するなか、ヒビキはすでに次の一手を決めていた。

 「考えてても熱いだけだ! 行ってこい、リングマ!」

「グマァァ!!」

 地響きを立てて現れたのは、凶暴な爪を持つリングマ! 

 「リングマ、【岩雪崩】!」

「グマァァァ!!」

 雄叫びとともに、リングマがフィールドの岩盤を叩き割る。マグマの熱気をも巻き込みながら、大量の巨岩がキュウコンの頭上へと降り注いだ。先ほどのニョロボンとの死闘で体力を削られていたキュウコンは、避ける間もなく岩の奔流に飲み込まれ、そのまま戦闘不能となった。

 「キュウコン戦闘不能! リングマの勝ち!」

 「ニョロボンとのバトルでかなり削られていたか。ふむ、ならば次じゃ! ゆくのだ、ウィンディ!」

「ウォォォン!」

 カツラが次に繰り出したのは、威風堂々とした体躯を誇る伝説ポケモン、ウィンディだった。

 「ウィンディか……接近戦が得意なはずだな。リングマ、【ビルドアップ】!」

「ウィンディ、【フレアドライブ】じゃ!」

「ウィンディッ!」

 ウィンディがマグマフィールドの熱を身に纏い、激しい炎の塊となって突進してくる。

 「自分の周りに【岩雪崩】だ!!」

 リングマは迫り来る炎の弾丸に対し、あえて自身の周囲に巨岩を降らせて盾を作った。さらに【ビルドアップ】で防御力を底上げし、岩壁を挟むことで【フレアドライブ】の直撃を強引に和らげる! 

 「ふむ、防御に回したか。ならば【神速】で駆け巡るのだ!」

 ウィンディは超高速の泥泥となり、リングマが作った岩壁をなんと足場にして跳躍! 狭いバトルフィールドを縦横無尽に飛び回り、リングマの視界を乱していく。

 「すごっ!? あんな狭くて危ない場所で、あんな動きをするなんて!」

 リンが目を見開いて驚愕する。

 「お褒めに預かり光栄だね。──これでおしまいじゃ! 【フレアドライブ】を纏わせて、【インファイト】!!」

「こっちの狙い通りだ! 【ビルドアップ】しながら、【地団駄】!!」

 炎の衣を揺らしたウィンディの猛烈な連続打撃。それに対し、先ほど【岩雪崩】を防御に回して「技を失敗(相殺)」させていたリングマは、その悔しさを爆発させるかのように地面を激しく踏みつける! 

 技が失敗した後に威力が跳ね上がる【地団駄】の衝撃波が、ウィンディを真下から突き上げた。

 ドゴォォォン!!! 

 凄まじい爆発とともに両者が大きく吹き飛ばされる。ウィンディは【インファイト】による耐久低下と、【フレアドライブ】の反動ダメージが重なり、そのまま崩れるように倒れ込んだ。

 「成る程! 【岩雪崩】を防御に回すついでに、次の【地団駄】の威力を跳ね上げるために利用したのだな」

 カツラは感心したようにウィンディをボールへと戻し、そのカラクリを見抜いていた。

 「だが、ワシの炎はまだまだ消えんぞ! ゆくのだ、ギャロップ!」

「ヒヒィィ──ン!」

 激しく燃え盛るたてがみを持つギャロップが、軽快な足音を立てて炎の中から現れた。

 「ギャロップか……【神速】が無いならまだマシだな。リングマ、【岩雪崩】!」

「ギャロップ、【スマートホーン】と【角ドリル】じゃ!」

 ギャロップの額の角が妖しく輝く。次の瞬間、ギャロップはリングマが降らせた【岩雪崩】の隙間を、まるで生き物のようにすり抜けて突進してきた。その動きは完全にリングマをロックオンし、追尾している。

 キィィィン!! 

 確実に急所を貫く【スマートホーン】の軌道に乗った【角ドリル】が、リングマの胴体を容赦なく貫いた。一撃必殺の衝撃に、リングマは声を上げる間もなく崩れ落ち、戦闘不能となった。

 「えっ……!?」

 あまりの戦闘不能の早さに、ヒビキの思考が一瞬停止した。

 「驚いたかい? これは絶対に対象を逃さない【スマートホーン】の効果を、一撃必殺の【角ドリル】に纏わせた必中コンボじゃ。本来はジム戦では使わん裏技なのだが、本気で相手をすると約束したからな、使わせて貰ったよ」

 「マジかよ……すまん、リングマ。よくやってくれた」

 相棒を労いながらボールへ戻すと、ヒビキは覚悟を決めた目で最後のボールを握りしめた。

「行ってこい、ニドキング!」

「ニドォォッ!」

 「ここで出すんか!?」

「でも、あの必中一撃必殺コンボに対抗するには、タフでパワーのあるニドキングじゃないと難しそうですねぇ」

 仲間たちが見守るなか、ヒビキは一か八かの大勝負に出た。

「ニドキング! 【砂嵐】だ!!」

 ニョロボンの時から激しく照りつけていた【日本晴れ】の強烈な光が、突如として巻き起こった猛烈な砂の嵐によって遮られ、フィールドから消え去った。

 「ほう、よく気がついたね」

 カツラがニヤリと不敵に笑う。

「このマグマフィールドの超高温下では、空気が乾燥しすぎて雲を発生させることができん。ゆえに【雨乞い】や【雪降らし】は不発に終わるが……乾燥しているからこそ、砂や岩を巻き上げる【砂嵐】は問題なく発動できる。環境の裏をかいたな!」

 「褒めてもらうのは、勝ってからにします!」

 「ならば受けてみよ! ギャロップ、もう一度【スマートホーン】からの【角ドリル】!」

「ヒヒィィ──ン!」

 「ニドキング! こっちも【角ドリル】と【地割れ】だ!!」

 ギャロップの必中【角ドリル】がニドキングへ肉薄する。ニドキングも自身の角を激しく回転させて相殺を試みるが、ギャロップの追尾軌道を狂わせることはできず、その一撃がニドキングの胸を深く抉った。

 しかし、ニドキングが倒れるのと完全に同時だった。

 最後の力を振り絞って地面を叩き割った【地割れ】の巨大な亀裂がギャロップを奈落の底へと引きずり込み、激しい爆煙とともに両者が同時に戦闘不能となった。

 「ギャロップ、ニドキング、共に戦闘不能!」

 フィールドを覆う砂嵐のなか、お互いに3匹を失ったヒビキとカツラ。残る手持ちは、お互いにあと1匹。グレンジムの命運を分ける最終決戦の火蓋が、いま切られようとしていた。

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