ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
「行け! ニドラン、【電撃波】!」
「ニドッ!」
ヒビキの鋭い号令と共に、ニドランが体内に溜めた電気を一気に放つ。必中の電撃が、地を駆けるドードーを逃さず捉えた。
「「ドドッ!?」」
効果は抜群。しかし、あの咆哮に耐えたドードーは伊達ではない。二つの首を激しく振り、戦意を失わぬまま『啄む』攻撃で突進してくる。だが、その直線的な動きはヒビキの読み通りだった。
「避けて、【二度蹴り】!」
「ニドッ!!」
カウンター気味に繰り出された重い蹴りがドードーの急所を叩く。その衝撃に耐えきれず、ドードーは目を回してその場に崩れ落ちた。
「今だ!」
チャンスを逃さず、ヒビキがモンスターボールを投じる。赤光に吸い込まれたボールが数回揺れた後、静かにカチリと鳴った。
「よっしゃー!! やったな、ニドラン!」
「ニドォォッ!」
「クマァァッ!」
相棒たちとハイタッチを交わした後、すぐにドードーを出して傷を癒やす。
「これからよろしくな、ドードー!」
「「ドドッ!」」
二つの頭を甘えるように擦り付けてくるドードーに苦笑しつつ、ヒビキは手応えを感じていた。
「よし! この調子で仲間を増やしていくぞ!」
意気揚々と散策を続けようとした矢先、急速に空が暗くなり、雨粒が落ちてきた。
「降りそうだな……しょうがない、ポケセンに戻るか」
足を止めたヒビキの耳に、聞き覚えのある悲鳴が飛び込んできた。
「うわあああっ!」
「……おい!! サトシ!! なにやってんだよ!?」
視線の先には、自転車の籠にピカチュウを乗せ、オニスズメの大群に追われるボロボロのサトシの姿。
「あ! ヒビキ! 助けてくれ!」
必死の形相でこちらへ向かってくるサトシに、ヒビキは素早く戦闘態勢を取る。
「しょうがねぇな! みんな、行くぞ!」
三匹の相棒たちが一斉に前に出る。
「ニドランは【電撃波】と【岩石封じ】! ヒメグマは【雷パンチ】と【冷凍パンチ】! ドードーは【啄む】だ!」
四天王の弟直伝、多対多の乱戦指示。
電撃が空を焼き、岩が逃げ道を塞ぎ、属性を纏った拳がオニスズメを叩き落とす。群れの大半を引き付け、サトシを逃がそうとしたその時、巨大な影が頭上を掠めた。
「あれはオニドリル……群れのボスか! 気を付けろサトシ!」
注意を促しながら、ヒビキは次々とオニスズメを蹴散らしていく。乱戦の中、群れの統率を担っていたサブリーダー格の個体を見定めると、一気に追い込んでボールに封じ込めた。
指揮系統を失った群れは、潮が引くように散り散りになっていく。
「これでなんとかなったか……サトシは!?」
駆け寄ろうとした瞬間、鼓膜を劈くような轟音と、視界を白く染めるほどの雷光が炸裂した。
あまりの衝撃に、ヒビキはその場に踞る。
「今のもしかして……あのピカチュウがやったのか!?」
呆然としながらも、サトシが逃げた方角へ急ぐ。雨はいつの間にか止み、空には美しい虹が掛かり始めていた。
「居た! おい! サトシ!!」
そこには、泥まみれになりながら、オニドリルを捕まえたであろうボールを握りしめて立ち尽くすサトシがいた。
「ヒビキ……あそこ、綺麗なポケモンが……」
「ポケモン? そんなの見えないけど……」
サトシが指差す空を見上げるが、そこにはただ虹があるだけだ。それよりもヒビキには、ボロボロになった幼馴染の状態の方が気にかかった。
「そんなことよりポケセンに向かうぞ! ボロボロじゃねぇか! ほら、肩貸せ!」
伝説のポケモン、ホウオウを目撃したというサトシの言葉を「戦いのショック」だと判断し、ヒビキは急いで親友を支えて歩き出した。
電撃ピカチュウの様にサトシにオニドリルをゲットさせました。