ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
クスノキは、ポリゴン2を戻しながら見定めるように頷くと
「ふむ、成る程……よく鍛えられておる。通常のジムバトルならば一連の流れでバッジを渡しておったが、ジストから頼まれておる。過去の自分と同じように慢心しているならば全力で叩き潰して鼻っ柱をへし折って欲しいとな! ゆけ、ガルーラ!」
「ガル!」
クスノキが繰り出したのは、圧倒的な体格を誇るガルーラだった。しかし、ヒビキ達はすぐにその個体の異質さに気づく。
「何か足りひんな……?」
「あっ! お腹に子供が居ません!」
セナの指摘に、クスノキは不敵に笑う。
「その通り。この個体は子供が巣立ちし、独り立ちしておる。それはつまり、それだけの長い歳月を生き、数多の修羅場を経験した個体ということ! ワシのチャンピオン時代の相棒の一体じゃ!」
「そんなの絶対強いじゃん……相性良くても勝てるビジョンが見えない……!」
ヒビキは冷や汗を流しながらも、最後の勝負手としてオコリザルに託す。
「仕方ない! 出来るだけ削る! オコリザル、【ドレインパンチ】!」
「プ……プギィィィァァァッ!」
オコリザルの拳が唸るが、ガルーラから放たれる歴戦の覇気に気圧され、一瞬動きが鈍る。
「遅い! 【恩返し】!」
「ガルーッラッ!」
ガルーラの放った一撃は、慈愛と強靭な意志を宿した強烈なカウンター。オコリザルは成す術なく吹き飛ばされ、一撃で戦闘不能となった。
「すまんなオコリザル……! スピードで撹乱しろ、スピアー!」
「スピィッ!」
スピアーを繰り出したヒビキは、間髪入れずに指示を飛ばす。
「【毒々】!」
ガルーラを猛毒状態にするとすかさず指示を飛ばす。
「さらに【影分身】で翻弄しろ!」
スピアーは高速で分身を作り出し、ガルーラを見失わせようとする。しかし、クスノキは余裕を崩さない。
「甘い! 【輪唱】!」
「ガル~!」
ガルーラが放った音波が戦場を支配し、分身たちを消し去る。しかし、それは囮だった。
「【ドリルライナー】からの【吸血】!」
スピアーが高速回転しながらガルーラの急所を抜き、体力を吸収する。しかし──。
「掴んで、【空元気】!」
状態異常の痛みを逆手に取ったガルーラの【空元気】がスピアーを真正面から捉える。強烈な一撃を受け、スピアーもまた沈んだ。
「行ってこい、ケーキ!」
ヒビキは次にケーキを送り出す。クスノキもまた、相棒のガルーラに声をかける。
「ガルーラ、まだ行けるな!」
ガルーラは問題ないと頷くと
「【雨乞い】! 天候を上書きして動きを制限するんだ!」
「ライラァ~イ!」
雨が降りしきるなか、ガルーラが接近する。ヒビキは勝負に出た。
「自分ごと【ピカピカサンダー】!!」
自らを巻き込む諸刃の剣、それも天候を味方につけた強烈な雷撃がガルーラを打ち据える。毒のダメージも重なり、ついにガルーラは膝をついた──が、同時にケーキも倒れ伏した。
「なんでや……!?」
「もしかして、あの雷鳴の中、あえて攻撃を強行したというのですかぁ!?」
セナが驚愕するなか、クスノキは満足げにガルーラをボールに戻す。
「よくやった、ガルーラ。ゆけ、ピジョット!」
「ピジョッーッ!」
「頼むぞ、フーディン!」
「ディン!」
ヒビキの最後のポケモンはフーディン。
「近づけさせるな! 【瞑想】からの【サイコキネシス】!」
能力を極限まで高めたフーディンが放つ念力。しかし、空を支配するピジョットは嵐のような素早さで回避し続ける。
「【暴風】!」
「ピジョッォォッ!」
嵐を呼ぶ羽ばたきがフーディンを捉え、空中でもみくちゃにする。着地したフーディンは、混乱のあまりふらついていた。
「やべッ!? フーディン、【10万ボルト】を纏って身を守れ!」
指示を出そうとするが、混乱したフーディンの動きは遅い。その隙を、元チャンピオンの相棒が見逃すはずはなかった。
「とどめだ! 【ギガインパクト】!」
「ピジョットォォォッ!!」
渾身の力を込めた一撃がフーディンを貫く。轟音とともに、ヒビキの最後の希望は地面に叩きつけられ、戦闘不能となった。
「挑戦者ヒビキ、敗北! 勝者、ジムリーダー・クスノキ!」
審判の宣告が響く。ヒビキは立ち尽くし、ただ自分の指先を見つめていた。元チャンピオンが突きつけた、あまりにも高い壁。それを乗り越える