ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド   作:ガチャガチャクツワムシ

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マナシロジム決着

 試合を観戦していたシオリやセナ、リンたちは、クスノキのメガガルーラが放つ異様な威圧感に息を呑んでいた。

 「以前に別のメガガルーラを見たことがあったけど……こういう姿のメガシンカは、初めて見たわ」

 シオリが驚きに目を見開くなか、祖母のコウメが静かに分析する。

「クスノキのメガガルーラも、子が巣立ちする前は普通のメガシンカじゃった。じゃが、かつて共に修羅場を潜り抜けた、あの戦い慣れた親子二頭の戦法が、やはり一番やりやすいのじゃろうな……」

 セナは胸の前で両手をきつく握り締め、祈るようにバトルフィールドを見つめていた。しかし、当事者であるヒビキの心に、恐怖や気後れなどは微塵もなかった。

 「すげぇな……こんなメガシンカもあるんだ。──だけど、これを乗り越えないと、ジストの兄貴たちには絶対に追いつけない! コノヨザル、さっきよりもフルスロットルで行くぞ!」

「コノオオオオッ!!」

 ヒビキが戦意を滾らせて叫ぶと、同調するようにコノヨザルのボルテージも最高潮へと跳ね上がる。その姿を見たクスノキが、豪快に笑った。

「ガルーラ! 幻影とはいえ、久しぶりの我が子との対面じゃ! 母親の本当の力を見せつけてみせよ!」

「ルーラァッ!」

 激突の合図とともに、試合が再開された。

 「コノヨザル! 【ドレインパンチ】!」

「ガルーラ、【燕返し】!」

「「ガルッ!」」

 再び凄まじい拳の風圧がぶつかり合う。しかし次の瞬間、半透明の子ガルーラが親ガルーラのアシストに回るように、親の肘を力一杯に蹴りつけた。その反動で推進力を増した【燕返し】が、コノヨザルのガードを強引にこじ開けて吹き飛ばす! 

 「子の力を利用して威力を上げたのかよ!? ──なら、お返しの【炎雷の拳】だ!」

 かつてニドキングと共に完成させた【冷雷の拳】の応用、炎の中に電撃を内包させて殴り付けようとする。

 「面白い技じゃ! 【雷パンチ】で受け止めよ!」

 クスノキはその独創的な技を評価しながらも、的確な【雷パンチ】の指示でダメージを最小限に抑え込んできた。

 その後も、フィールドが砕け散るほどの激しい殴り合いが続く。やがて両者ともに体力を著しく消耗し、肩で激しく息をしながら睨み合った。次の一撃が、間違いなく最後になる。

 「これで最後だ! 【インファイト】!」

 「こちらは、【燕返し】と【シャドークロー】じゃ!」

 親と子が同時に、別々の角度から必殺の技を放つ。しかし、ヒビキの目はその軌道を完全に見切っていた。

「コノヨザル! 親は右から、子供はそのすぐ斜め上から攻撃が来る! その方向に体を沈ませて潜り込め!」

 クスノキのガルーラが持つ攻撃の癖を読み切ったヒビキの指示通り、コノヨザルは完璧なタイミングで上体を滑り込ませた。すべての防御を捨て、勝利のためだけに拳を突き出す極限の【インファイト】! 

 ズガガガガガァァァン!!! 

 3体の全エネルギーが激突し、フィールド中央で凄まじい爆発が巻き起こる。濃煙が立ち込め、互いの姿が完全に隠れてしまった。

 静寂のなか、リンやセナが固唾を呑んで見守る。

 やがて──ゆっくりと煙が晴れていく。

 そこにいたのは、子供の幻影が霧のように消え去り、その場に膝をついて仰向けに倒れ伏すガルーラの姿だった。ゆっくりとメガシンカの光が解けていく。

 「……見事じゃ!」

 クスノキがそう言って、静かにヒビキを称えるように微笑んだ。

 その言葉を聞いた瞬間、ヒビキは全身の緊張が解け、自分が勝利したのだという事実がドッと脳内に押し寄せてきた。

 「やった……やったぞ! コノヨザル!」

 「コノオオオッ!!」

 リベンジを達成できたことがよほど嬉しかったのか、それともヒビキの期待に応えられた安心感からか、コノヨザルは大きな目から大粒の涙をボロボロと流しながら、もの凄い勢いでヒビキに抱きついてきた。

 「うおっと!? ……ハハ、重い重い! ありがとな、お前のおかげで勝てたよ」

 ヒビキは涙で濡れるコノヨザルの背中を、何度も何度も力強く叩いてその勝利を分かち合うのだった。

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