ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド   作:ガチャガチャクツワムシ

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両親との再会

 それから三日ほどの入院生活を経て、体力を完全に回復させたヒビキたちは、懐かしき故郷・マサラタウンへと無事に帰ってきた。町の入り口で、三人はそれぞれ大きく伸びをする。

 「そんじゃ、また後で博士の研究所でな」

「ハ~イ」

「ほな、また後でな~」

 リン、セナと別れ、ヒビキは住み慣れた我が家のドアを開けた。

 「ただいま~!」

「イエっ!」

「エッサン!」

 中に入ると、出迎えたのはかつて兄のジストが保護し、今ではすっかり家に馴染んでいるイエッサンたちだった。パタパタと小走りで現れた彼らの頭を撫でてやっていると、奥から母親のツバキが顔を出した。

 「お帰り、ヒビキ。……聞いたわよ? またあちこちで大無茶したんですって? もう、あまり母さんたちを心配させないでちょうだい」

 少し呆れつつも、愛おしそうにきつく抱きしめてくるツバキに、ヒビキは苦笑しながら腕の中で答えた。

「だって、あの時は無茶してでも戦わないと、周りのみんなが大怪我するところだったんだよ」

 リビングへと入ると、ソファに座っていた父親のフユキが顔を上げた。

「お帰り、ヒビキ。……それで、どうなんだ? ポケモンリーグには出られそうかい?」

 ヒビキは胸を張り、ポケットからバッジケースを取り出してみせた。

「うん、ジムバッジも全部集め終えたし、ポケモン検定試験もちゃんと合格したよ!」

 「そうか……! いやはや、ジストやアオバだけでなく、ヒビキまでリーグに出るなんて。我が子ながら、これほどバトルの才能がある子供たちが揃うとは、本当に驚きだよ」

 しみじみと呟くフユキに、ヒビキはふと気になっていたことを尋ねてみた。

 「そういえば、父さんと母さんは昔、旅をしなかったんだっけ?」

 「ああ。父さんの若い頃は、今みたいにトレーナーの制度がまだ整っていなくてね。野生のポケモンだけじゃなく、危険な無法者も多かったから、おいそれと旅に出られなかったんだ。まあ、僕は元々バトルが苦手だったというのもあるけれどね」

 フユキが苦笑交じりに振り返ると、ツバキもお茶を淹れながら言葉を添える。

 「私は単純に、外の世界を旅すること自体にあまり興味が持てなくて、そのまま残ったのよねえ」

「へえ……。じゃあ、なんで兄貴のようなトレーナーが生まれたんだろうな?」

 ヒビキの素朴な疑問に、両親は顔を見合わせて笑った。

「それがね、どっちの家系を遡っても、バトルの才能が抜きん出ていた人なんて一人も居なかったはずなんだよね」

「そのせいか、あの子(ジスト)も昔、公式のインタビューで自分の実力を『ただの突然変異です』なんて真顔で答えて、周りを困惑させていたわねえ」

 「あはは、兄貴らしいや。でも、アオバの姉ちゃんも実力を証明してたし、実は父さんと母さんも旅をしたら、すごい結果を残せたんじゃない?」

「ハハハ、そう上手くはいかないさ」

 フユキが楽ししそうに肩をすくめると、ツバキが少し悪戯っぽい笑みを浮かべて身を乗り出してきた。

「それよりもヒビキ、ジストはあっちで良い彼女さんでも見つけてないかしら? 母さん、そっちの方が気になっちゃって」

 「あー……兄貴から何も聞いてないけどね。──あ、でも、ガラルのルリナ姉さんや、タマムシのエリカさんからは、結構グイグイ好意を寄せられてるみたいだけど……」

 ヒビキが思い出したようにそう付け足すと、ツバキの目が一瞬でらんらんと輝き出した。

 「あら! ガラルの有名モデルのルリナちゃんに、タマムシジムのエリカちゃん!? アオバの同期の……。まあまあ、あの子ったらそんな素敵な女の子たちに想われておきながら、まだ興味が持てないなんて言っているの? もったいないわねえ!」

「ははは、ジストらしいといえばらしいが、親としてはちょっとやきもきするね」

 フユキも苦笑しながら楽しそうに頷く。

「本当にねえ。今度ジストが帰ってきたら、母さんがじっくり問い詰めてみなくっちゃ!」

 楽しそうにこれからの計画を練り始めたツバキの姿に、ヒビキは(兄貴、ごめん……)と心の中で手を合わせつつ、苦笑しながら立ち上がった。確かに、これ以上ここにいると自分まで巻き添えを食いかねない。

 「そういえばヒビキ、オーキド博士にはもう挨拶したのかい?」

「あ、まだだよ。先に父さんと母さんに顔を見せに来たから」

 「そう、ならそろそろ行って来なさい。オーキド博士も首を長くしてヒビキを待っているはずだからね」

「ふふ、多分だけど、最近ヒビキが捕まえたっていう『特別な子』を、一刻も早く一目見たいんじゃないかしら?」

 ツバキの言葉に、ヒビキは苦笑しながら立ち上がった。確かに、あのファイヤーをゲットしたという報告は、研究者である博士にとって最大の関心事に違いない。

 「じゃ、じゃあ俺、ちょっと研究所に行ってくるよ!」

 「ええ、行ってらっしゃい。オーキド博士によろしくね」

「しっかり報告してくるんだぞ」

 イエッサンたちに見送られながら、ヒビキは再び荷物を背負い、幼馴染のサトシやシゲルたちとも数々の思い出があるオーキド研究所へと向かって、元気よく駆け出した。




ツバキ(43)ヒビキ達三兄弟の母親。トレーナーではないためポケモンの知識も余りないが家族の安全を常に考えている優しい性格
フユキ(45)ヒビキ達三兄弟の父親。フユキの世代はまだ法の整備が出来てなく行方不明になる人が多かった為か旅をしなかった。仕事で必要であっためポケモンは所持しているが、バトルの腕前が良くないためか余り強くない為かジストのポケモンを譲って貰っている。
所持ポケモン:レアコイル、ピジョット、オドシシ
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