ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド   作:ガチャガチャクツワムシ

86 / 87
エンテイとの出会い2

「ダークポケモン……。デルビルとかヘルガーのことですか?」

 グレイの補足にリンが小首を傾げてそう尋ねると、グレイは静かに首を振って答えた。

「分類のことではなく、人為的な改造を施され、心の扉を閉ざされて感情を失わせたポケモンのことなんだ」

 「そんな残酷なことをしている組織があったんですかぁ!?」

 セナが悲痛な声をあげると、ジストが当時の状況を思い返すように言葉を継ぐ。

「ああ。当時はかなり特殊な方法でないと元に戻せなかった。ただ、当時その組織と敵対していたトレーナーがいてな。彼は人のポケモンを捕獲できる『スナッチマシン』という特殊な装置を所持していたんだ。そして彼のパートナーだった少女が、ダークポケモンを見極める特殊な目を持っていて、それで認識していたんだよ」

 「ふんむ……それはわしもオーレ地方のクレイン博士から聞いたことがあるのぉ。二度とダークポケモンが産み出されないようにと、後に『リライブホール』という画期的な装置を開発したそうじゃ」

 いつの間にか裏庭にやってきていたオーキド博士も、腕を組んで納得したように会話に加わった。

 「で、このエンテイは、その当時のシャドーの上級幹部が従えていたダークポケモンだったんだ。残りのスイクン、ライコウも同じようにダークポケモンにされて、それぞれ上級幹部どもの手持ちにされていたのさ」

 ジストが語る驚愕の事実に、サトシは「そうだったんだ……」と息を呑む。

 「まぁ、その幹部に闇討ちを仕掛けられてさ。重傷負った俺はぶちギレて、ソイツを半殺しにしちゃったんだよな」

 ジストが何でもないことのようにさらりと言うと、すかさずグレイがため息交じりに補足を入れた。

「あの時は、僕とシアンが本気になってジストを止めなかったら、本当に危険なところだったよ。相手の幹部は顔面が複雑骨折していた上に、手足の骨まで粉砕骨折していたからな……」

 「えぇ……」

 カスミが青ざめて一歩引き、タケシも苦笑いするしかない。

「かなりの重傷を負わされたからな」

「幹部だけじゃなく、その配下も含めて全員ボコボコにしたもんだから、後から来た現地の警察もドン引きしていたよ」

 グレイの冷静な暴露にジストは少し決まずそうに頭を掻いた。

「まぁ、そんなわけがあって俺は強制入院することになったんだよ。エンテイはその時のバトル中に例のトレーナーにスナッチしてもらい、心が元に戻った後、自ら俺の元にいてくれることを選んでくれたんだ」

「ちなみに、ライコウはあの時シアンが仲間にしていたな」

 話を一通り聞き終えたアオバが、ジストをじっと見つめる。

「じゃあ、相手を病院送りにしちゃって、おまけに自分も強制入院したから今までずっと私たちに黙っていたの?」

 「いや……ダークポケモンなんて危険な存在の噂が広まったらロケット団とかに目を付けられる事になるしな。それに、ちょうどあの頃はヒビキが生まれるか生まれないかっていう時期で、アオバも来年には旅立ちを控えていた。お袋たちに余計な心配をかけたくなかったんだよ」

 不器用ながらも、家族を想ってこれまで沈黙を貫いていた理由をぶっきらぼうに告げるジスト。

 「……なんか、兄貴らしいなぁ」

 その場にいる全員が、呆れ半分、感心半分といった様子で一斉に苦笑してしまった。

 「これで話は終わりだ。……ところで、さっきから気になってたんだが、そもそも何でルリナやエリカがここにいるんだ?」

 ジストがようやく本来の疑問を口にすると、二人は先ほどまでの冷徹なオーラを綺麗に消し去り、いつもの華やかな笑顔に戻った。

 「カントーでちょっとした仕事があったのよ。そのついでに、ヒビキ君がリーグ参加を決めたって聞いたから、激励に来たの」

 ルリナがウインクを交えて言うと、エリカも上品に袖口に手を当てて微笑む。

「私もです。ついでにご両親へもご挨拶を、と思いまして」

 「……ホントに勘弁してくれ……」

 ジストが深々とため息をついて項垂れる横で、二人はヒビキに向き直った。

「まぁ、セキエイリーグの当日にはちゃんと休みを取って応援に行くから。ヒビキ君、頑張りなさいね」

「素晴らしいバトルを期待して、応援させて頂きますね」

「うん! ありがとう、ルリナ姉、エリカ姉!」

 ヒビキは元気に拳を握りしめた。

 そんな賑やかな騒動があった翌日。ジストは「じゃあな、リーグで待ってるぞ」と言い残して一足先に拠点であるジョウト地方へと戻っていった。そしてもう1日、ヒビキたちに様々なアドバイスを授けてくれたグレイも、「自分の限界を決めるなよ」と言い残し、ホウエン地方へと帰路に就いたのだった。




実際のゲームでもリアルファイトしているからそうしました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。