ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
4回戦のフィールドは、緑豊かな草のフィールド。ヒビキの対戦相手は、ハルミという女性トレーナーだった。
ラフレシアを失ったハルミは、続いてモジャンボを送り出す。ヒビキは先ほどからのドードリオを続投させた。
「ドードリオ! 真ん中は【おいかぜ】、左は【ドリルライナー】、右は【ドリル嘴】だ!」
「「「ドドォッ!」」」
ヒビキの号令と共に、ドードリオの3つの首がそれぞれ異なる技を同時に発動する。加速した風の勢いそのままに繰り出された2つの鋭い攻撃は、モジャンボを吹き飛ばした。
『なんと!? ドードリオ、三つの技を同時に使用しました!』
『また高等テクニックですね。頭を複数持つポケモンは鍛え上げれば、あのように複数の意識を並列化させて複数の技を放てるようになるんですよ』
実況のベカンが興奮し、ジストが手際よく解説を入れる。
「モジャンボ、怯まないで! 【岩雪崩】!」
「ジャンボッ!」
空から無数の岩が降り注ぐが、ドードリオはひるまない。
「ドードリオ! 左右はそのまま、真ん中は【地獄づき】だ!」
「「「ドドォッ!」」」
ドードリオは岩を砕きながら突進し、モジャンボへ強烈な一撃を叩き込み、戦闘不能へと追い込んだ。
「ハルミ選手、残り1体……追い詰められました!」
「お願い! ラプラス!」
「クォォン!」
最後の切り札、ラプラスが登場する。
「ラプラス、【雪景色】!」
辺りは一瞬にして雪に覆われる。防御が上がったラプラスに対し、ヒビキは追撃を命じる。
「3つの頭とも【地獄づき】だ!」
しかし、雪による防御上昇とタイプ相性が仇となり、決定打にはならない。すかさずラプラスの【吹雪】がドードリオを捉え、無情にも戦闘不能を告げる。
「お疲れ。なら頼むぞ、ニョロボン!」
ヒビキが送り出したのはニョロボン。
「ニョロボン、【雨乞い】!」
すぐさま天候を雨に変え、ラプラスの【サイコキネシス】を受けるが、【ド忘れ】で特防を大幅に強化して耐え抜く。
「【ドレインパンチ】だ!」
攻撃と同時に体力を回復し、消耗を抑える。
「ならこれで決めるわ! 【絶対零度】!」
ラプラスが放った一撃必殺の冷気がニョロボンを襲う。
「【守る】!」
間一髪、ニョロボンは障壁を展開して冷気を防ぎ切る。隙を見逃さず、そのまま【ドレインパンチ】を叩き込み、ラプラスを沈めた。
「ラプラス、戦闘不能! ニョロボンの勝ち! よって勝者、マサラタウンのヒビキ!」
『決まったァー! 【絶対零度】を完璧なタイミングで防ぎ、勝利をもぎ取りました! ヒビキ選手、予選を突破し決勝リーグ進出です!』
歓声の中、ヒビキは決勝への切符を掴んだ。
その後、残りの試合を観戦していると昨日すれ違った少年が、あのシゲルを相手に圧倒的な試合運びを見せていた。
『マサトシ選手、圧倒的だ! この試合も1匹のポケモンのみで勝利した! ところで、あのポケモンは……?』
『あのポケモンは、ガラル地方の固有種、ガラルヒヒダルマですね。タイプは「こおり」となります』
ジストの解説が響く中、マサトシはシゲルに対し短く一礼し、静かにフィールドを後にした。
決勝へと駒を進めたヒビキの目に、マサトシの圧倒的な強さと、その背後に潜む得体の知れない影が、これまで以上に重く映った。