ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド   作:ガチャガチャクツワムシ

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準決勝開始

 自費で用意した特等のVIP席から決勝リーグを冷徹に観戦していたシラサギは、手元の端末のデータと目の前のフィールドを見比べながら、満足そうに頷いた。

 「ナツミ君は、無事に決勝へと進んだか……。これなら我がロケット団の新規事業に何の問題もないな……」

 胸の内でビジネスの成功を確信すると、シラサギは背後に控える部下と思わしき男3人──リョウ、ケン、ハリ──―と、変装を解いたムコニャの3人組へと静かに視線を向けた。

 「さて……お前達は、ここまでの試合を見てどう思う?」

 そう問い掛けられると、一瞬の沈黙の後にリョウが口火を切った。

「そうですね……。マサラタウン出身のトレーナーたちは、やはりジョウト四天王ジストの影響を色濃く受けているからか、どいつもそれなりの強さを持っている印象がありますね」

 さらにもう一人のケンが続く。

「今回のベスト4に入ったトレーナーは、ぶっちゃけ他のトレーナー達より頭一つ、いや二つは飛び抜けて強いと思いましたね」

 「リョウやケンの言う通りなんですが、その4人の中でも、特にマサトシとヒビキの2人が顕著な気がしますね。実力がさらに群を抜いていると思いますね」

 最後にハリーがそう締め括ると、シラサギは視線をコジロウへと移した。

 「フム……コジロウ、お前は実際にマサトシ選手と戦ってみてどうだった?」

「は、はい……。指示通りギャラドスの【吠える】を使って手持ちを確認しようとしたのですが、奴は1回戦、2回戦と全く同じポケモンしか出てこず、流されるように負けてしまいました……」

 コジロウが悔しそうに肩を落とすと、シラサギは特に責めるでもなく淡々と分析を口にした。

「まぁ、【吠える】戦術を警戒し、対策していたのだろう。しかし、本来ガラルヒヒダルマというポケモンは、特性の五里霧中やだるまモードありきの戦い方が主流のポケモンだ。今リーグの特殊ルールの制限下で、特性に頼らずにあそこまで圧倒的な三体抜きをして見せるとはな。……ムサシ、お前はナツミ君と戦ってみてどうだった?」

 「アタシの時も、完全にこちらの動きを対策されていたみたいで、これでもかってくらい弱点を突く的確な指示ばかり飛んできましたよ!」

 「成る程……。ボスの予測と私の予測は同じだ。ナツミ君、マサトシ、ヒビキ。この3人のうちの誰かから必ず優勝者が出る。そして、その行く末はこの準決勝第2試合の戦術で左右されるであろう。──ニャース、相手の挙動をできるだけ詳細に映像として記録に残すのだ」

 「了解しましたニャ! 特製カメラでバッチリ録画するニャ!」

 ニャースが素早く機材をセッティングすると、シラサギは他の部下たちを見据えた。

 「残りの者は、この試合を見て、今後のロケット団の新人教育にどう活かすかを各々考えておくように」

「「「「「ハッ!」」」」」

 一同が綺麗に敬礼し、息を呑んでバトルフィールドへと目を向けた。

 『さぁ、準決勝第2試合が開始となります!! 赤コーナー、マサラタウンのヒビキ選手! 緑コーナー、ガラル地方アラベスクタウンのマサトシ選手! 両者、どちらも今日まで圧倒的な実力で並み居る対戦相手をねじ伏せて来ました! 決勝への切符、勝利の女神は一体どちらに微笑むのかー!?』

 大歓声の地鳴りが響く中、お互いにアナウンスされながら入場し、フィールドの中央を挟んで対峙する。

 マサトシは静かにヒビキを見つめ、大人の余裕すら感じさせる平穏な声で言った。

「よい試合をしよう、ヒビキ君」

 その眼光の奥にある底知れない実力を肌で感じながら、ヒビキは不敵な笑みを崩さずに返した。

「ああ、全力で挑ませて貰う!」

 「両者、ポケモンを出してください!」

 審判の鋭い声が響き渡る。

 「行ってこい! フーディン!」

「フーディ!」

「頼むよ。ゲンガー!」

「ゲンゲロゲ!」

 ヒビキの先発は、予選でも驚異の回避劇を見せた知略のフーディン。対するマサトシが繰り出したのは、不気味な笑みを浮かべる紫の影、ゲンガーだった。

 「それでは──試合開始!」

 審判の旗が力強く振り下ろされ、決勝進出をかけた運命の準決勝が、ついに幕を開けた。




リョウ、ケン、ハリーはポケスペのまんまの立ち位置でムコニャの先輩にあたります。
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