今宵、貴方を待ちながら   作:ここ三つ

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ケッコンカッコカリ

「久一くん、言葉は正しく理解しないと。結婚届の結婚と届の間に括弧付き、つまり、結婚届ではなくケッコンカッコカリ届だ」

 

 ヤレヤレと言わんばかりに司令官は肩をすくめて間違いを指摘するが、久一に取ってみれば些細すぎる間違いであった。

 

「どっちにしろ、結婚するのに変わりないじゃないですか」

 

「違うよ、結婚ではなくケッコンカッコカリだ、久一くん」

 

 細かすぎて何を指摘されているのか、久一はわからなくなるが、ともなく、司令官は呼称にこだわりを持っているらしいとのことは察した。

 

「どちらも変わらないのですが、なんでオレが見ず知らずの女の子とケッコン・・・・・・カッコカリしなきゃいけないのです? しかもこの子が目覚めてないって、本人の同意なしですよ」

 

「いや、ぶっちゃけ、この紙はただの形式だからそれほど重要じゃない、重要なのはこっちだ」

 

 こんなに慌てる久一ははじめてだなぁと感慨深く思いながら、司令官は久一の手から紙を取り上げ、もう一つ床頭台の上に置かれていた箱を久一に握らせる。

 

「・・・・・・これの中身は想像がつきますが、開けてみてもいいですか?」

 

 完全にさきほどまでとは違い、怪訝が多分に含まれた視線を司令官に投げながら、久一は確認を取った。司令官はもちろんと鷹揚に頷く。

 

 箱をあけると、そこにはリングが二つ収まっていた。サイズが違うが、銀色のリングで、わずかに傾斜がつけられている。

 

「・・・・・・指輪ですね」

 

「正確に言えばエンゲージリングだよ、久一くん」

 

 いけしゃあしゃあと言ってのける司令官を久一は横目でにらむしかなかった。

 

「なんで、結婚しなくてはいけないのですか?」

 

「もしかして恋人はいなくても、結婚相手に相当する人がいるのかい? いっておくがテレビ画面とPCの中から出てこれない人種はいないものと見なすよ」

 

「いないですし、そこまで夢見がちでもないです。なぜ、人一人が救われる可能性がある手段が、オレと彼女の結婚に結びつくのか因果関係が全然把握できないだけです」

 

 ふむ、と司令官は腕を組む。明かす明かさないの二択を考え、即座に明かすことにするが、一つ問題があったのだ。

 

「ま、君の納得ができないのは尤もだ、しかし、久一くんに開示できる情報レベルだけでいうなら、十全に説明することは不可能になる、それでも僕はしゃべってしまうが」

 

 にやつく司令官の笑みは変わらずだったが、久一は言外に、面倒になるぞ、と警告を受けていると気がつく。もしも久一の触れることのできない情報を司令官がしゃべってしまった場合、話した司令官も話を聞いた久一も二人とも始末書だが、司令官という高級階級と久一のような下っ端では、始末書の量が違う。一瞬で沸騰していた頭が冷え、逆に久一に山のような始末書を想像させ、寒気を催させた。

 

「やっぱり司令、オレはいいです。そうですね、指輪を――「この指輪は特殊な合金でできている」

 

 笑顔を浮かべてなるべく事態を前進させようと、指輪を手に取って久一であったが、司令官は指輪をあっさりと奪い去り、手の中でいじりながら説明してしまう。

 

 あとで総務部に詫びの品と上司の安藤に始末書の報告をしないと、久一は頭の中でこれからのことを考えながら、どうせだ、納得のいく説明をしてもらうと開き直り、司令官の言葉に耳を傾けた。

 

「そもそも、久一くんはケッコンカッコカリにどのような認識を持っているのかな?」

 

 久一は、なぜそんな定義を尋ねるのか不審に思いながら言葉を選んだ。

 

「戦前の結婚と同じようにカップルが夫婦関係で結ばれることでしょう? 戦前と違っていろいろと人権が制限されていますから、少しでも人の権利を残そうとして作られた制度だと聞いています」

 

「表向きは、ね」

 

 久一の答えに満足したのか、司令官は笑窪を強めて付け加えた。

 

「・・・・・・なんだが、まずいことに関わりそうなのですが、大丈夫なんですか?」

 

「まぁ、大丈夫だよ、こんなのんきな僕だって今を生きてるんだし」

 

 それは貴方がエリートだからでしょう、との注釈を久一は飲み込んだ。

 

「じゃあ、尋ねるけど、君の知り合いでケッコンカッコカリをしているのは誰かな?」

 

「総務部の清原さん、陸戦隊の京本さん、それと安藤主任です」

 

 久一の頭に数人の顔が浮かび、名前を挙げられた。

 

Exactly!(その通り!)では尋ねるけど、安藤君はケッコンカッコカリしたのはいつかね?」

 

「・・・・・・昨年ですね」

 

 久一の上司の安藤は昨年、ある女性とケッコンカッコカリを済ました。その際に式に招待されたし、部下代表としてスピーチも記憶に新しかった。

 

「あれは楽しかったね。実に楽しかった。けど、思わなかったかい? なぜこんなタイミングで? とね、あの二人の子供も大きいのに、なぜ? と」

 

「それは、まぁ・・・・・・」

 

 何も思わなかったか、と言われれば嘘になる。安藤とパートナーの女性は軍に入る前から幼なじみであり、そもそも安藤が軍に入ったのはその女性と再会するためだったとののろけ話は本人から酒が入れば聞かされているので知っている。それに、子供もいるし、さきほど話にあったとおり、長女は今年、小学校に入学する。それなのに、今更式を挙げた安藤に驚いたものだった。

 

「安藤君はね、結婚しなかったんじゃない、結婚できなかったんだよ」

 

「結婚できなかった?」

 

 オウム返しで久一は司令官の横顔を見た。

 

 

 

 

「それと、先ほどの三人は皆熟練の子との結婚ばかりだ。なぜ新人の子で結婚をしている子がいないと思う?」

 

 指摘され、久一は言葉に詰まる。確かに、男性職員で彼女たちと恋仲の知り合いの顔もあった。しかし、結婚と称してエンゲージリングをつけているものは先ほどの三組と希である。

 

「それとなによりも、なぜ軍が彼らに指輪を支給していると思う? 真実はね、逆なんだよ。これは強化武装に過ぎない」

 

司令官はそういって、久一にエンゲージリンクを手渡した。

 

「これは特殊な合金でできている。製造方法は極秘だが、熟練度が満たされ、恋人や親友のいる者たちにのみ、配布されている。なぜなら、この指輪には効力があるからだ」

 

「効力、ですか?」

 

「恩恵ともいってもいいかな? これはね、人と人との意思――思いをそのまま装備として強化してくれるんだよ」

 

 人の良さそうな印象を与える司令官の言動がいきなり新興宗教の勧誘のようなことを言い出し、それが逆にマッチしてしまっているため、笑えばいいのか、はたまた司令官の正気を疑えばいいのか久一には判断がつかなくなる。しかし、それを知ってか知らずか、司令官は続けた。

 

「こんな話を聞いたことはないかな? 人は、一度でも関係を持った者同士は潜在意識の中でつながっている。意中の相手同士が互いの夢をよく見たり、逆に嫌悪している相手を憎み続ければ体調を崩すなど、そんなつながりがある、とかね」

 

「お言葉ですが、それはただの偶然では? 互いに好意を抱いていれば夢に反映されますし、逆に体調が悪い日にあたってしまっただけでは?」

 

「まぁ、大概そうだね」

 

 久一の指摘をあっさりと司令官は認めた。これには指摘した久一が今度はなんと言っていいかわからなく、居心地が悪くなるだけであった。

 

「でも、これはそれを実現させた」

 

 司令官は少女を見つめて言い放つ。

 

「正直な話、これの製造方法はわかっていても、解析は一切不可能、なぜそうなのかもわからず、さきほどのも仮定なんだよ。真実は一切わからない。だけど、事実はわかっている」

 

 事実、と告げた言葉が久一には硬く、温かみの一切ない残酷な響きを持っていた。

 

「人には成長の限界がある。学問にしても身体能力にしても、人には行き詰まり最後がある。それを超える者もいるけど、それでもやがては別な壁にぶつかって終わる。けど、これはそれを超えさせてくれた。いや、『共有』というべきか。

 これはね、人の経験、感情、状態、その他諸々が『共有』できる道具なんだよ。

 そのつながりが深ければ深いほど、様々な事項が共有できる。尤も、互いに顔も知らない状態では、共有できる事は少ないが、最低限度の状態から健康な状態へと共有できる可能性がある」

 

 なるほど、と合点がいく。久一は整備課で補助業務を行うことがあるが、一部の整備は現代工学だけでなく、超自然現象(オカルト)にも精通していなければいけない。現代科学では解析不能、理解不能な事項がこの世に存在し、それを運用している現状を久一は知っている。

 

 司令官も説明しようとしていたが、説明しあぐねいていた。だからそういうものなのだと、納得するしかない。そして、納得してしまえば、なぜ指輪をつけねばらないかが簡単に導き出せた。

 

「オレがこれを装着して、この子――ヒトミさんが起きれるように引っ張ってくればいいということですか?」

 

「話をまとめれば、そうなるね」

 

 あっさりと司令官は認めて頷いた。

 

 久一の答えは正答していた。誰でも導き出せるが、普通の者はその答えに到達しても、思わず認めたくない内容だろう。

 

 彼女――ヒトミは意識が戻らず、四肢のほとんどを欠損している。必要最低限度の状態すらも保てていない。しかし、つながりが深いほどに共有できるおそろいのアイテムがあれば、その共有先の相手が健康体であれば、健康な状態を共有できる可能性もある。知識や経験は共有できずとも、意識を取り戻す可能性があるのだ。しかし、逆を言えばヒトミの意識障害を共有してしまい、久一も植物状態になる可能性があると言うことでもあった。

 

 久一はどうしてこの大役を任されたのか合点がいった。

 

 身寄りもなく、鎮守府での仕事は作業補助といえば聞こえはいいが、ようは体のいい雑用係、明日いなくなっても誰も困らない身の上であるから、ついに自分にお鉢が回ってきただけであった。最初、この部屋に入室した際、人体実験にでも使われるのではないかと久一は考えたが、それは当たっていた。もし仮に、久一がヒトミから共有してしまい、植物状態になれば中央に回す実験材料が二倍になるだけの話だ。久一ですらこの場で思いつけるのだから、司令官がその危険性を予測しないはずがないだろう。その可能性を口にしないのは司令官の優しさか、それとも単純で必要としているといえばホイホイついて行く部下をだまそうとしているのか。

 

 しかし、業腹な感情は巻き起こらない。逆に、自分がそれが一番適しているなら、そうなのだろう。それが自分の最大の価値なのだろうと思えたら、悪くないか、と独りごちた。

 

「その任務、謹んで拝命します。しかし、一つだけお願いがあります」

 

 お願い、と聞いた司令官は少し意外そうな顔をしたが、すぐに頭を切り替え、なんだい? と内容を尋ねた。少し神妙そうな顔の司令官があまりにも似合っていなくて、久一は噴き出しそうだったが、なんとか堪えて口を開く。

 

「もしも、ヒトミさんが目を覚ましたら、ケッコンカッコカリとはいえ、ケッコンカッコカリ届を提出するのは、辞退させてもらっても構わないでしょうか?」

 

 そのお願いの内容を、司令官は理解できないように首をかしげた。

 

「いくら起こすための措置とはいえ、いきなり目を覚まして初対面の男と所帯をもった、となれば彼女の世間体にも関わります。それに、将来、彼女に好きな人ができたら、困るのはヒトミさんですし」

 

「そのまま、君が彼女の亭主に収まっちゃえば?」

 

 冷ややかな目で久一は司令官を見つめたのが、久一の返答であった。ジョークとしても人としても最低だと気づいた司令官はばつの悪そうな顔で視線を外し、咳払いを一つ、その後、まぁ、いいよ、と許可を出した。

 

「君の真面目な性分は好ましいけど、こっちは預かっておくことにしよう」

 

 ケッコンカッコカリ届を司令官は折りたたんで制服のポケットにしまうと、代わりにもう一つ、小箱を取り出した。さきほど、エンゲージリングが収まっていた小箱と同様のモノであった。

 

「こっちは彼女用、君がつけてあげて。ああ、ヒトミちゃんは左手がないから、右手の薬指ね」

 

「・・・・・・先ほどから思いましたが、そこまで結婚、と定義にこだわる必要はないのでは? あくまでも強化装備なんですし」

 

 左手の薬指につける意味を久一は知っていた。戦前の文化だと上官の安藤に教えられたのはつい先日であったからだ。正直、そこまで戦前のしきたりに従う意味が久一には理解できなかった。しかし、司令官は首を振って否定する。

 

「いやいや、おろそかにしちゃだめだよ。案外、様式や儀式は馬鹿にできないものだ。人生の節目と言われたことは、特に女性にとって結婚は一大イベント、だから結婚と称したのだし、そちらの方がつながりが深いことが判明してる。久一くんの言ったとおり、身につければいいけど、そこは、まぁ、お約束というか、なんというか」

 

 最後はしりつぼみになりながら言葉を濁す司令官に久一は苦笑しながら、小箱の指輪を取り出してベットの右側に移動する。そのまま、布団から彼女の右手を持ち上げ、薬指に指輪を嵌めてしまう。あっと司令官が声をあげるが、久一は全く顧みることなく、これでいいですか? と首をかしげた。

 

「残念ながら、オレは司令ほどロマンチストではないです。大体、初対面の女性に指輪をつけても何も感慨なんてないです」

 

 司令官はどこか不満げに口をすぼめていた。しかし、それは久一がもらった指輪を左手の薬指に嵌めようとするまでだった。

 

 指先で指輪を嵌めようとした久一の手を司令官は手を伸ばし、制止しようとするが、ベットを挟んでいるために手が届かない。けれど、久一は手を止める。

 

「まだ、なにか?」

 

 疑問を投げかけるが、司令官は目を泳がせ、口ごもる。どういったらいいかわからない子供のような様子だったが、じっと久一をのぞき込んだ。

 

「・・・・・・久一くん、君に、ヒトミちゃんが起きたときを任せていいかい?」

 

 

 は? と思わず自分の口から発せられた間抜けな言葉を久一は自身の耳で聞いた。

 

「え、えっと、ヒトミさんが起きたあともオレが、でありますか?」

 

 司令官とは砕けた口調で話していたというのに、今更他人行儀な、軍隊でのような言葉使いになってしまう。

 

 ヒトミが起きたら任せる――意味は理解できる。つまり、ヒトミと覚醒後は久一が面倒を見る、ということである。そこで、久一は気づいた。この少女は身体が欠損しているために日常生活に不便を生じさせるだろうし、彼女の命名は司令官とその奥方、つまり、彼女のデータは戦前の欠落したなかにあって、ヒトミと呼ばれる少女がいつどこで生まれたか、どのような家族構成で、どのように育ったのかは不明、そもそも、本名すらも判明していないのだ。

 自分は自らが意識消失した場合ばかり想定していたが、もしも目覚めたら、彼女の生活を支えていく者が必要なのは明白だった。そして、そういった者を支えていくのは疑似家族となっている同業者の女性たちと決まっていたが、少女の同僚たちは激務とされる場合が多い。彼女たちは、通常業務すらも兼任する場合がほとんどだが、業務を外している唯一の業種である。久一の所属する基地も例外ではなかった。ならば、彼女の世話をする人間は、自ずと決まってくる。――意識を共有した久一が適任者だろう。

 

「え、あ、あー・・・・・・」

 

 間の抜けた声が聞こえる、自分の声であるが、それが気にならない。冷や汗があふれる。

 

 そうだ、彼女が目覚めたら行き場所がない。普通だったら慣れるまで同僚が面倒をみるが、彼女はスタートからして通常と異なっていた。ならば、それ相応の配慮が求められる、そんな当たり前の事実に気づかない己に半ば絶望と失望が入り交じった焦燥感が湧き上がるが、だからといって名案が混乱した頭で浮かぶはずもない。

 

 再び司令官が苦笑する。それがより一層久一を焦らせ、それがいけなかった。

 

「「あ」」

 

 久一の指が滑り、指輪が左手の薬指に収まった。人為的な力が加わらずに重力に従ったのみだったので、指輪は第一関節のあたりで止まっていたが、2人の視線はヒトミに注がれる。

 

 

 ヒトミは規則正しい寝息を立てていたが、変化はない。

 

「最後まで嵌めなきゃだめじゃない?」

 

 司令官の声で我に返った久一は、言われるがまま、第一関節で留まった指輪を根元の少し手前までしっかりと嵌める。

 

 再びヒトミに視線を注ぐが、変わらずに寝息を立てているだけだった。

 

「だめか」

 

 半ば予想していたのか、特に感情もなく司令官の口から漏れた言葉に、仕方ないかと諦め半分、司令官の期待を裏切った結果になったことと少女が実験に送られる事になってしまって慚愧を覚えるのが半分、それと少しばかりのこの少女と共に生活することになっていたかもしれない事実に未練が久一の中に生じた。

 

 指輪をはめて、半ば呆然とする久一に司令官は駆け寄り、肩をたたく。

 

「仕方ないさ。こんなことはあるけど・・・・・・どうしたの?」

 

 司令官は気がついた。久一は左手の薬指の指輪を一生懸命に注視していた。

 

「あの、司令、これ、指に張り付いているんですけど」

 

 司令官が久一の指をのぞき込むと、指輪と久一の指肉との境目を曖昧にしていた。

 

「・・・・・・痛みはあるかい?」

 

 司令官の問いかけに、久一は首を横に振る。試しに指輪をはずそうとしてみるが、完全に肉と接着してしまっているため、指輪を引っ張ると肉もつられた。

 

「これって、他の人でもこうなったんですか?」

 

 今度は司令官が首を横に振る番だった。

 

「いや、着脱可能だったよ・・・・・・・・とりあえず、ここは病院だから先生でも呼んでくるね」

 

 声の調子を変えず、いささかのんきに聞こえるが、司令官が予想外の事態にうろたえている様子で部屋から出て行く。右手と右足が同時に出ていたので、久一はうろたえているのがよくわかった。だから恨むに恨めないのがあの人の人徳なのだろう、と独りごちる。

 

 左手を上げて天井の照明に掲げてみると、肉と接着した指輪が金属特有の輝きを持って光った。

 

 そういえば、ヒトミの方は大丈夫なのか、自分がこうなってしまっているのだから、彼女も肉と接着してしまったのではないか? その疑問を久一は抱き、ベットに視線を落とす。そして、気がついた。

 

 一対の瞳が自分を見ていたことに。

 ベットの上の少女――ヒトミがそれまで閉ざされていた瞼を開け、顔を右側に傾けて久一を見上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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