問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~ラスト・アーク~   作:三島溪山

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とりあえず年内最後の投稿。サブタイトルって奇抜なものにした方がいいの?


第一章 導き
第一話


 万物には必ず現在のそれに至るまでの過程、すなわち多少の年月を経て結果が存在する。時間の経過と共に、当時の環境を表した過程(えのぐ)万物(キャンパス)に絵画《けっか》を描かれる。故に書物では知り得ない未知なる存在が出現し、人々は胸を躍らせる。

 宇宙上にある惑星の内の一つに、遺跡(ダンジョン)がどこかしこも発現している惑星がある。その惑星に住む人間は過去の遺物(ロマン)を求めて遺跡(ダンジョン)に押し寄せた。それらの人間を冒険者(ハンター)と呼び、遺跡(ダンジョン)を踏破した冒険者(ハンター)は称える様になった。

 

 そんな危険極まる遺跡(ダンジョン)の内の一つから一人の人間が出て来る。赤く長いマフラーを首筋に巻いた眼鏡の男だ。ボサボサの蒼い髪を外に晒し、黒い防護服を纏っている。茶色のブーツを石膏で出来た床の上で鳴らしている。

 

 「ここも違ったか……」

 

 中性的な顔付きである青年が呟く。どうやら目当ての遺跡(ダンジョン)ではなかったらしい。一振りの剣と共に戦利品を収めたであろう袋を腰にぶら下げている限り、ちゃっかりしている野郎である。

 

 「―――ん?」

 

 ふと見上げると白い物体がひらひらと落ちてきた。形状から見て手紙だろうが、状況からして奇妙である。今いる場所は一般人が立ち行かないような樹海であり、配達員が行く場所ではないのだ。

 

 「……」

 

 青年は疑問に思いながらその手紙を拾い上げ封を開ける。罠であろうと開かないという道はない。不思議があればそこに飛びつくのが冒険者(ハンター)である。

 

 『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能(ギフト)を試す事を望むのならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの“箱庭に来られたし”』

 

 手紙の内容に訝しがるかのように考え込む。だが、その時間も一瞬だった。何故ならば―――

 

 「……っな!?」

 

 ―――青年は既に箱庭の上空に投げ捨てられていたからだ。

 

 

 

 *

 

 

 

 突然空中に投げ出された。言葉にすれば簡単だが、実際に体験すると血の気が引いていく感じがする。周りを確認すると遠くにドーム状の何か、近くに人間が三人程いる。それを見てちょっとだけ落ち着く。取り敢えずこの場面を切り抜けようとするか。

 

 「―――っふう」

 

 腰にぶら下げた袋から布を取りだす。それを真下に広げて上に乗ると浮遊感が収まる。多少重力に引かれるがそれを無視してさっき確認した三人とおまけを空中で確保する。

 

 「大丈夫か?」

 「え、ええ……」

 「ありがとう」

 『ととと、飛んでる!?』

 「ヤハハ!魔法の絨毯かよ!マジですげえ!」

 

 四者四様と言った所か全員が違う反応をする。この三人も“箱庭”に連れてこられたのだろう。それに反応する前に絨毯をゆっくりと下降させる。

 

 「着いた」

 「ありがとう。早速なのだけれど」

 「何?」

 「貴方達の名前は?私は久遠飛鳥よ」

 

 おっと、自己紹介という奴か。相手も名乗ったのだし、俺も名乗らなければなるまい。

 

 「蘭謹臣(あららぎちかおみ)だ」

 「……春日部耀」

 「逆廻十六夜だ、お嬢様」

 

 短い紹介だが他に言う事もない。他の皆も最低限で済ませている。

 

 「で、この状況からして皆あの手紙を貰って来たんだろうが……何で案内役の一人や二人いねえんだよ。普通はチュートリアルが発生するもんだろうが」

 「見た所建物群が向こうに有ったが……」

 「待って。今までいた世界とは違うのだし、無闇に動けないわ」

 「……皆落ち着きすぎだと思う」

 

 春日部の言う通りかもしれないが何時までもこんな所で足止め喰らってる場合ではない。日が沈む前に寝床の確保はしておきたい。

 

 「あ~仕方ねえ!こうなりゃそこにいる奴に聞いてみようぜ」

 「あら、貴方も気付いてたのね」

 「当然だ。お前らもそうだろ?」

 「風上に立たれたら嫌でもわかる……」

 「気配が駄々漏れだ」

 「……ふ~ん、面白いなお前ら」

 

 どうするか決まった所で正体不明の何かがいる草むらに近づく。すると目の前にはウサ耳を付けた女性が現れた。挑発的な服装を自慢のスタイルで着こなしている。

 

 「み、皆さん落ち着いてください。湖の上に落とした事は謝りますからここは何卒穏便に黒ウサギの御話を聞いて下さると嬉しいのですヨ?」

 「断る」

 「却下」

 「お断りします」

 「NO!」

 「あっは☆取りつく島もない……って最後の方だけ強くないですか!?」

 

 表面上驚いているように見えるが思考を巡らせているな。だから密かに近づく春日部に気付いていない。春日部はそのままウサ耳を引っ張り上げた。それはもう無遠慮に。

 

 「えい」

 「ウギャー!」

 

 ……ん?痛がってるな。ということは、

 

 「へえ、その耳本物だったのか」

 「私も引っ張ってみるわね」

 「え、ちょ、ちょっとお待ちを―――!!」

 

 久遠と逆廻に引っ張りそうなところ、黒ウサギとやらは俺の方に視線を向けるがそっぽを向いておいた。大人しく彼らの怒りの矛先になってくれ。助けてくれない事を察知した黒ウサギが絶望の表情をした後、悲鳴が木霊した。

 

 

 

 *

 

 

 

 「―――気は済んだか?」

 「おう、せいせいしたぜ」

 「それでは御話願いましょうか」

 

 三人の虫も収まった所で黒ウサギの話を聞こうとする。愚痴垂れていた黒ウサギを一蹴してな。

 

 「それでは説明します。ようこそ、“箱庭の世界”へ!」

 

 それからは黒ウサギの説明が久遠や春日部の質問、逆廻の茶々が入ったが続けられた。まとめると、

 ①俺ら四人は恩恵(ギフト)と言う修羅神仏から与えられた凄い能力がある

 ②恩恵所持者が生活するにはコミュニティへの所属が必須らしい

 ③お互いの恩恵を競い合うギフトゲームというのがある

 ④ギフトゲームは何でもアリだが金品での物品の交換や法律は普通にある

この四つが重要となるだろう。修羅神仏とやらが人間の上位存在なら俺の探し物も見つかるかもしれないな。

 

 「―――では早速ですが私が属するコミュニティに案内します」

 「待てよ」

 「何でしょう?まだ質問がおありでしょうか?」

 「そうだ。と言っても一言で済む―――この世界は……面白いか?」

 

 逆廻の質問に俺を含む三人も無言になり、黒ウサギの返答を待つ。

 

 「―――YES!この世界は外界の常識では計りきれない様々なギフトゲームがあります。そのギフトゲームが皆様方を飽きらせないと黒ウサギは保証します♪」

 

 

 

 *

 

 

 

 黒ウサギが箱庭(空中から見たドームの事だろう)に案内している道中、逆廻が俺達に突然話を切り出してきた。

 

 「世界の果てに行ってくるが付いてくる奴はいるか?」

 「私はいいわ。春日部さんは?」

 「……私もいい」

 

 久遠と春日部は黒ウサギについて行くみたいだ。逆廻一人で大丈夫なのかね。

 

 「では、付いて行ってやるか。お目付け役は必要だろうしな」

 「ヤハハ、遅れんなよ」

 「そう思うのなら手加減してくれ」

 「やなこった!」

 

 逆廻が地面を駆ける。そのスピードは今まで見た―――よりも早いものだった。これは急がないとな。

 

 「……黒ウサギには適当に言っといてくれ」

 

 俺も逆廻の後を駆ける。音もなく、ただ静かに。

 




もう2014年も終わりですね。個人的には黒田が帰ってきたことが最近の印象に残った事です。来年からは就活が始まるので投稿できないかもしれません。それでも応援してくださるのならそれはとてもありがたいことです。それじゃあいい年越しを迎えてください!

誤字脱字報告もよろしくお願いします。
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