問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~ラスト・アーク~ 作:三島溪山
一週間後、決戦の時来たる。“ペルセウス”の舞台区画に来た俺達に一つの“
『ギフトネーム名“FAIRYTALE in PERSEUS”
・プレイヤー一覧 蘭 謹臣
逆廻 十六夜
久遠 飛鳥
春日部 耀
・“ノーネーム”ゲームマスター ジン=ラッセル
・“ペルセウス”ゲームマスター ルイオス=ペルセウス
・クリア条件 ホスト側のゲームマスターを打倒する。
・敗北条件 プレイヤー側のゲームマスターによる降伏。
プレイヤー側のゲームマスターの失格。
プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
・舞台詳細・ルール
*ホスト側のゲームマスターは本拠・白亜の宮殿の最奥から出てはならない。
*ホスト側の参加者は最奥に入ってはいけない。
*プレイヤー側はホスト側の(ゲームマスターを除く)人間に姿を見られてはならない。
*姿を見られたプレイヤー達は失格となり、ゲームマスターへの挑戦資格を失う。
*失格となったプレイヤーは挑戦資格を失うだけでゲームを続行する事は出来る。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームを開催します
“ペルセウス”印』
“契約書類”を読み上げると光が六人の視界を塗りつぶす。光が収まった後、目を開けると先程までと全く違う景色が広がっていた。
「白夜叉程じゃないけど凄いね」
「全くだ。俺らもいつかは主催者側になってみたいもんだぜ」
春日部と十六夜が話を交わす中、俺はルールの確認を再度していた。
「姿を見られずにゲームマスターの下まで行け、か」
「難しいなんてものじゃないわね。私達と相手側の兵士なんて数の差が歴然だし、隠れられるフィールドでもないわ。ゲームマスターが見つからなければいいなんて書いてあるけどジン君だけじゃ絶対勝てない。役割分担が必要かしら?」
飛鳥の言葉は的確に“ノーネーム”の現状を捉えていた。本来もっと人数をかけないと最奥に辿り着く事すらできないゲーム。それを五人で突破しようというものなら綿密な作戦が必要だろう。
「大まかに分けて三つだな。陽動、索敵、決戦―――相手をひきつける、見えない相手の感知、ジンの護衛兼ルイオスとの対決」
「春日部は索敵だ。嗅覚や聴覚、音波とか使えば不可視でも感知出来るだろ」
「うん、出来るよ」
「黒ウサギは審判役なのでゲームに参加する事は出来ません。なのでゲームマスターを倒す役を十六夜さんか謹臣さんに任せたいのですが……」
「となると自動的に私が陽動かしら?」
「ああ、飛鳥は病み上がりでルイオスと対峙するには厳しいだろう。白雪にもフォローさせるから無理はするなよ」
一週間前とはいえ、大事にしておきたいのが本心だ。すると不機嫌そうだった飛鳥の顔が少しだけ赤らみを帯びてきた。
「そういう事なら引っ込んどいて上げる。ただし!負けたら承知しないわよ!」
「ヤハハ。そう言われたらヤるしかねえな」
少しからかい気に笑う十六夜。そして神妙な顔つきで黒ウサギは話し出す。
「このゲームは最奥までたどり着いてやっとスタートラインです。ルイオスさんのギフトは強力無比で―――」
「元・魔王だろ?」
「―――す……へ?」
「献上されたゴーゴンの生首以外に石化のギフトを使うならアルゴルの悪魔しかいねえ。箱庭の“ペルセウス”が星座としての“ペルセウス”ならな」
「アルゴル?」
「ペルセウス座でゴーゴンの首に位置する恒星の事だ。ペルセウスという同じ名前で同じ首同士で同じ能力があってもおかしくはない。それにルイオスの奴がご丁寧に首にぶら下げてやがったしな」
呆気にとられる黒ウサギ。知的に話す十六夜に惚れたか?
「十六夜さんって意外に知能派ですか?」
「おいおい、俺は根っからの知能派だっつうの。謹臣、あれを出せ」
「はいはい」
十六夜の言う通りにギフトカードからハデスの兜を三つ取り出す。
「御チビと謹臣と俺が被る。いいか、突撃するぜ!」
そう言って白亜の宮殿の扉を蹴り開け、それがゲーム開始の合図となった。
*
白亜の宮殿は最上階を含めて五階建ての造りとなっている。その一階にある階段広場前では少女と蛇神が立ちはだかっていた。
「ええい!少女二人に何を手間取っている!」
「不可視の人間は残りの人間を探しに行け!」
圧倒的な人数差の中で何故少女達に時間がかかっているのか。それは彼女達が生み出した荒波と水の竜巻が原因である。
「水樹よ、まとめて薙ぎ払いなさい!」
「水よ、竜巻となりて粉砕せよ!」
荒れ狂う人工的に作った海という環境を前に人間は立ち向かう事は出来ない。空を飛ぶ人間も竜巻によって水底に落とされ脱落していく。
「このままでは二階まで水が侵攻していくぞ!」
飛鳥が新たに実行したギフトの形はギフトでギフトを支配するものだった。人間の支配を望まない為に考えられた彼女の新しい力。今はまだ水樹しか支配できないが今はそれで充分だった。
「(今はまだこれだけだけど、次はもっと凄い物を支配してみせる!)……白雪さん、行くわよ!」
「ああ!」
真紅のドレスと淡い青の着物は見事に戦場に君臨していた。
*
遠くで水の音が聞こえるのを感じながら息をひそめる。飛鳥達と二手に分かれて慎重に歩みを進めていた。不可視の状態だが体力の消耗を防ぎたいからだ。
「左の通路から人が来る。十六夜は足を引っ掛けて殴って」
「分かったぜ」
通路の門で息を潜めて不可視の相手を待つ。少し足音が響いて聞こえる。十六夜が少し足を前に出すと引っかかった感触がしたみたいだ。
「眠っとけ」
「がふっ!?」
不可視の人間は何が起こったか分からず失神した。これで春日部の分のハデスの兜が揃った。
「春日部」
「先行って。飛鳥の様子を見てくる」
春日部と別れた後、真っ直ぐに最上階へ急いだ。
*
最上階に着くとそこには天井がなく、開けた空間になっていた。見れば下の景色が小さく見える。
「十六夜さん、謹臣さん、ジン坊っちゃん……」
先に最上階で待っていた黒ウサギが安堵の表情を浮かべる。
「チッ、使えない奴らだ。後で粛清しとかないと」
「あれは……?」
「ルイオスだ。ヘルメスの靴で飛んでいるんだろう」
膝まで覆うロングブーツに光り輝く対の翼が眼に入る。俺が奪った奴は膝までカットして今履いている。
「ようこそ、白亜の宮殿・最上階へ。ここからはゲームマスターである僕が相手しよう」
「おう。さっさと来いや」
「謹臣さん……」
「言われなくても。いでよ―――“アルゴールの魔王”!!」
首にかかった装飾品を外して地面に掲げる。装飾品から放たれる褐色の光は俺達の視界を遮る。その後、甲高い女性の声が響き渡る。
「ra……Ra、GEEEEEEEEEEEEYAAAAAAAAaaaaaaa!!」
人間に理解できない叫びは悲しみを含む声に聞こえた。その叫びはそのまま空へと響く。
「ジン!」
「わぷっ!?」
「黒ウサギ!上だ!」
十六夜の声に釣られて上を見ると石と成った物体が上空から落ちる様が見える。ここだけではなく、白亜の宮殿全体に落ちている様だ。
「落ちてくる雲はどうだ?飛べない人間には不利だろうねえ」
「隕石みたいだ。ここは被害が少ないが下はどうか……」
「謹臣、俺がアルゴールを倒すぞ」
十六夜がそういった直後、激しい振動が最上階を襲う。俺はジンを庇いながら様子を見ると、どうやらアルゴールと十六夜の拳の接触が原因の様だ。白雪に星霊の事を少し訊いてみたが予想以上の強さだ。それと同等以上な十六夜も化け物だが。
「クソッ!神格を従えてるってのは嘘じゃなさそうだ!アルゴール!」
「RaraaaaGYAAAAaaaaaaa!!」
「いいぜいいぜおい!面白くなって来たじゃねえか!」
拳同士が生み出す衝撃波で最上階は段々と罅や亀裂が入っていく。ルイオスも鎌を出してカバーするが化け物同士の戦闘に介入しても大した障害にならない。生物は問題なさそうだが建物が先に壊れそうだ。
「RArarAaaaaaaGYAAAAAAAAAaaaaaaaaaaa!!」
「おらおらおらおら!!」
拳の応酬が続くが段々と十六夜が優勢になる。星霊に力比べで勝ってやがる。どんな筋力、ギフトになってるんだ。
「GYAAAAAAaaaaaaaaaaaaa!?」
「こんなもんか元・魔王様よ!!」
腹部に突き刺さる拳がアルゴールの悲鳴を生み出す。その時背後からルイオスが襲いかかる。
「調子に乗るな!」
「お前がな!」
ルイオスをアルゴールのいる方向に蹴り抜く。そのままアルゴールと共に壁にぶち当たる。いくらガードしたと言えど、第三宇宙速度の衝撃は喉から吐瀉物が生み出されるものだろう。あんなの直にくらいたくないな。
「き、貴様……一体どんなギフトをもってやがる!?」
「ギフトネーム・“
「よく分からんことを……!」
「十六夜さん!アルゴールに石化のギフトを使わせてはダメです!早くトドメを!」
「アルゴール!宮殿の悪魔化を許可する!」
「Raraaaa!!LaaaAAaaa!!」
不協和音に慌てて耳を塞ぎジンを抱えてヘルメスの靴で空を飛ぶ。上空から見るとアルゴールから黒いシミが地面を侵食するかのように広がっていく。
「ああ、そういやゴーゴンにはそんな逸話もあったな」
「もう生きては帰さん!アルゴールの力で怪物化にした宮殿に押し潰されろ!」
ギフトゲームは終盤戦に移り変わる。それにしても蛇擬きが黒ウサギに絡みつく絵はエロイ。よっ、エロウサギ!
もう自分も就活を始めなければならないので投稿スピードが今以上に落ちます。断言しておきます。