問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~ラスト・アーク~   作:三島溪山

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とりあえず原作に沿って行くスタイル。白雪姫の口調難しい……


第三話

 俺はまだ世界の果ての傍にいる。まだ十六夜達が帰って来てないからだ。仕方なく腰を下ろして二人を二人で待つ事にする。

 

 「謹臣さーん!」

 

 暫くすると黒ウサギが帰ってきた。十六夜も当然一緒。心なしか距離が短くなっている気がする。

 

 「世界の果てを見れて満足か?」

 「ヤハハ!久しぶりに感動ってもんを味わってぜ!」

 「そうか。しかし、どうも時間がかかったようだが淫行でもしていたのか?」

 「な、なななあああ!!?」

 

 青かった髪の毛がすぐにピンクになって逆立つ。何故か煙も出ている。

 

 「まだ黒ウサギ攻略には至ってねえ。だいぶ先になるだろうよ」

 「いや、案外手早くやっちまった方が急接近のチャンスに……」

 「いやいや、俺は時間をかけていきたいんだよ。向こうから惚れさせるのがいいんじゃねえか」

 「いやいやいや、早くしねえと行き遅れになるぞ、黒ウサギが」

 「何て事を仰るのですかこのお馬鹿様方は!?それに行き遅れは余計です!!」

 

 黒ウサギが俺と十六夜の頭をハリセンで叩く。酷いなあ……こっちは面白おかしく黒ウサギの事を真剣に思ってるのに」

 

 「心の声が駄々漏れですヨ!?」

 「……チッ(初心な振りしやがって……」

 「舌打ち!?しかもまた漏れてる!ワザとでございますか!?」

 「イエ、ワザトジャ、アーリマ(↑)センネ(↓)ー」

 「態々イントネーションを書いて(変えて)らっしゃる!?」

 

 何の事かな?

 

 「……所で、傍にいる女性は一体……?」

 「大蛇」

 「我には白雪姫という名があるのだ。その様な名称ではない」

 「おいおい、俺が黒ウサギとランデブーしてる間にナンパでもしてたのかよ」

 「表現が古過ぎますヨ!」

 「ツッコミはそこなのか……」

 

 デートしてたって所には何も言わないんだな。

 

 「でも、何故水神の眷属様が……」

 「小僧達の戯れで少々思う所があっての。こうしてこ奴に隷属する事にしたのだ」

 「隷属ですか!?」

 「……おい、隷属ってのは何だ黒ウサギ?」

 

 十六夜が黒ウサギに問う。黒ウサギはその言葉で落ち着きを取り戻し、冷静に説明する。

 

 「隷属とは個人の所有物になる事です。隷属される者は必ず支配者の言う事を聞かなくてはなりません。十六夜さんが会いたがってる魔王もギフトゲームをクリアする事で隷属させる事が出来るのですヨ」

 「へえ……そりゃ面白そうだ。だが、さっきの戯れ(・・)で力を示した俺には何もないのか?」

 「お前にはこれだとよ」

 

 十六夜に水樹の苗と水仙卵華の蕾を渡す。受け取った十六夜は不思議そうに眺めるが、水樹の苗を見た黒ウサギは嬉しさで跳ね出す。

 

 「水樹の苗!しかもこれだけの大きさがあればもう他所のコミュニティから水を買う必要なんてありません!皆大助かりです!」

 「……それでこの蕾は何だ?」

 「水仙卵華という。咲けば浄水効果がある花に育つものだ。環境の変化で蕾が開く故、小僧達のコミュニティの水源に浮かせれば自動的に咲くであろう」

 「箱庭にはこういうもんまであるのかよ」

 「俺もこういうのは見た事がなかった。箱庭特有の種なのだろうよ」

 

 ウキャー♪と跳び上がる黒ウサギとよそに、話し出す三人。俺はふと思い出した事を十六夜に聞く。

 

 「久遠と春日部はどうするんだ?」

 「黒ウサギに任せた。全てあいつが悪いからな。何があっても俺は擁護しない事にした」

 「ふーん……」

 

 まだ跳ねている黒ウサギを見てご愁傷様とだけ心の中で思う。あの二人も俺達に負けず劣らず問題児だろうからな。

その事を黒ウサギは箱庭の中で知った。いや、思い知らされた。ああ、黒ウサギの明日はどこに。

 

 

 

 *

 

 

 

 暫くして帰路に着いた俺達。黒ウサギの案内の元、箱庭内の噴水広場まで辿り着いた。そこで久遠と春日部と合流したが驚くべき事実が発覚し、今黒ウサギが二人を問い詰めている。

 

 「……聞いてるのですか二人とも!!?」

 「「いえ、全く聞いてません。反省はしない!」」

 「ウキャー!」

 「は、はは……」

 

 反省の色が全くない二人と苦笑している“ノーネーム”のリーダーだという少年、ジン=ラッセル。まあ防波堤がなければこうなるわな。

 

 「別にいいじゃねえか。俺らも楽しんでたんだからよ」

 「二人とは全く状況が違います!二人はリスクと引き換えにギフトを賭けていました。だけどこれは自己満足に過ぎないのですヨ!」

 

 俺はギフトゲームの際に発行される契約書類(ギアスロール)を見てみる。

 

 『参加者(プレイヤー)が勝利した場合、主催者(ホスト)は参加者の言及する全ての罪を認め、箱庭の法の下で正しい裁きを受けた後、コミュニティを解散する』

 

 以上の文が書いてあるが……確かに黒ウサギの言い分は分かる。要は―――もっとチップをふっかけられたのではないか?―――という事だ。

 

 「黒ウサギ、これから住む事になる場所の近くにこんな外道を放置する理由なんてないわ。早急に対処しなくていけないと思うの」

 「僕も彼女と同意見だって思っている。ガルドはここで倒さなきゃいけない」

 

 久遠の意見に加え、ジンの強い姿勢もあったのか黒ウサギは深く息を吐く。

 

 「はぁ~……まあやってしまった事は取り戻せません。これからの事を考えます。“フォレス・ガロ”如きなら十六夜さん達がいればどうとでもなりますヨ」

 「何言ってんだ黒ウサギ。俺は参加しないぞ」

 「当然よ。貴方は参加させないわ」

 「へ?」

 

 フン、と鼻を鳴らす二人。黒ウサギはそれを諌めるが二人が聞く訳ないだろう。春日部もやる気の様だしここはやらせた方が良いかもしれない。

 

 「黒ウサギ」

 「何デス!?」

 「ここは二人、いや三人に任せようぜ」

 「謹臣さんまでそんな事言うのですか!?」

 「何事にも初めてはある。こんな形にはなっちまったがギフトゲームを経験しとくにはいい場面だろ」

 「……」

 「俺も謹臣も擬きとはいえやっちまったからな。抜け駆けは無しの方が良いだろ」

 

 十六夜も俺の意見に同調する。黒ウサギも折れたのか嘆息する。

 

 「はぁ~……謹臣さんの意見もごもっともですね。ならこの件はジン坊っちゃんに任せます」

 

 その声には半ば諦めた感情が入り混じっていた。

 

 

 

 *

 

 

 

 黒ウサギが腰を上げる。これはそろそろ行こうという意思表示なのだろう。だが、久遠は白雪姫が気になっているようだ。

 

 「所で……貴方は誰かしら?」

 「さっき黒ウサギのコミュニティに世話になる事になった白雪姫という。どうぞ良しなに」

 「私は久遠飛鳥よ。よろしくね」

 「……春日部耀」

 「それと謹臣とは隷属関係にある。故に謹臣の命を第一に動く」

 「隷……?」

 「……属?」

 「その下りは黒ウサギに聞いてくれ」

 

 何でですかー!と聞こえてきそうだがどうでもいいので無視する。謝罪をするタイミングを作ったんだからイーブンだろう。

 

 「凄いですね。まさか箱庭の外の幻獣を隷属させるなんて……」

 「俺もびっくりだぜ。硬派だと思ってた謹臣がノリの良い奴だなんてよ」

 「コミュニティの未来を背負うからにはこれくらいはやらんとな。それと十六夜、俺はそれなりにイケるぞ」

 「「(ビシッ!)」」

 

 互いに親指を立てて向かい合わせる。ジンはただ苦笑するのみだった。

 

 「さて!ここまで大分時間を使ってしまいましたが“サウザンドアイズ”に移動しましょう」

 「僕もついて行くのかな黒ウサギ?」

 「いえ、ジン坊っちゃんは先に帰って水路とお風呂の掃除をお願いします。十六夜さん達がこんなに大きな水樹の苗を貰ってきましたからもう水源は心配ないのですヨ!」

 「え、ええ!分かった、すぐに掃除をしておくよ」

 

 ジンは駆け足でコミュニティがあるであろう方向に行く。

 

 「……水樹も気になるのだけれども、“サウザンドアイズ”とはコミュニティの名前かしら?」

 「YES。“サウザンドアイズ”とは特殊な“瞳”のギフトを持つ者達の群体コミュニティ。箱庭内のどこでも見られる超巨大商業コミュニティなのです。今からその支店に行くのですヨ」

 「……何でそんな所に?」

 「ギフトの鑑定を依頼するのです。明日がギフトゲームですから何かしら為になる事はしておいた方が良いでしょう」

 

 特に異存はないのか無言で頷く俺達。黒ウサギもそれを察して“サウザンドアイズ”へ先導する。

 暫くの間、見慣れぬ街並みを眺めては興味深そうになる三人。俺はただその三人を後ろから見ているだけ。白雪姫も黙ってただ歩くだけの様だ。

 

 「あれって桜の木……かしら?真夏でも桜が咲くのね」

 「……花弁の数が違う。それに今は秋の筈」

 「おいおい、初夏に入ったばかりだろ?」

 

 三人とも違う季節を言い合う。

 

 「……呼ばれた時間軸が違うのか?」

 「YES。他にも歴史や文化、生体系も違うと思いますヨ」

 「へぇ?パラレルワールドって奴か?」

 「詳しくは立体交差平行世界論と言うのですがこの場では語りきれないので後日にしましょう」

 

 曖昧にして流した黒ウサギは振り返って歩みを止める。目の前には一際目立った和風の建物があり、旗印も存在している。あれが“サウザンドアイズ”なのだろう。

 しかし、夕暮れ時なのか看板を下げようとしている。黒ウサギは急いで滑り込もうとするが割烹着姿の店員に止められてしまう。

 

 「御客様、うちは時間外営業はやっていません。ご来店はまたの機会にしていただきます」

 「だとよ。帰ろうぜ」

 「帰りましょう」

 「帰ろう」

 「帰るとしよう」

 「帰るか」

 「まだ閉店時間じゃ……何で帰ろうとするのですか!?」

 

 抗議しようとする黒ウサギは帰ろうとする俺達に噛みついてくる。

 

 「入れねえ店に屯ってもいい迷惑だろ」

 「常識……」

 「当たり前じゃない」

 「我が主神の店で迷惑は起こせぬ」

 「結論」

 「「「「「帰るしかない!」」」」」

 「う、ううぅ……」

 

 黒ウサギはこっちの正論に何も言い返せない。それに気付いているかどうか分からないが自分達は“ノーネーム”なのだ。それなのに超巨大コミュニティに抗議するなんて自殺行為は止めておかないと出禁所じゃ済まないだろう。

 すると店内から駆け音が聞こえてくる。こっちに近付いてくると思えば急に戸が開き、何かが黒ウサギに飛来する。それをただ見ているだけしか出来なかった。

 




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