問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~ラスト・アーク~   作:三島溪山

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第六話

 暫くすると白夜叉が戻ってくる。腰を下ろして俺を見てくる。

 

 「呼び止めた理由は分かるか?」

 「……いや」

 「ギフトカードを見せてくれ」

 

 ギフトカードを白夜叉に渡す。

 

 「で?呼び出した理由は何だ?」

 「ふむ……?あ、いや別に特別な理由がある訳ではない。ただ、お主、いや主のギフトカードを見ておきたくての」

 「おい……」

 

 てか主って呼んだのはあれか?

 

 「主の考えている通りだ。全力でなかったとはいえ私は負けた。今の本気を出して負けた故に主には私を隷属させる権利がある」

 「はあ……“ノーネーム”には来るのか?」

 「近い内にな。それと……隷属関係になったからには主は私に何をしてもよいのだぞ?」

 「店員さーん。変態がいますよー来てー」

 「何と!3Pをご所望か!?」

 「やっぱり来ないでー」

 

 廊下がバタバタしてるがしょうがない。

 

 「しかし……ううむ……口で説明できるギフトはあるかの?“隷属”以外さっぱり分からぬ」

 「冒険家の袋(ハンター・バッグ)はこれの事で数に限りはあるが何でも収納できる。ロマンシングストーンは魔法による力の消費が無くなる。翔光熱(フラッシュ・ライン)は光と熱を操るギフト。他は……」

 「他は?」

 「……俺がいた世界には勇者と聖母が精霊の力を借りて魔王を倒したとか言うお伽噺があってな?胡散臭いんだが俺はその二人のDNAを掛け合わせて造られた人間らしい」

 

 実際よく分かってない。研究所のポッドから生まれ、そこの資料に書いてあっただけだしな。遺跡(ダンジョン)はお伽噺の時代の遺産とかいう説もあったが今はまだ何か解明されていなかった。

 

 「遺伝したギフトだと?それでも(未)というのは……」

 「多分このギフトは精霊の力の器、または力を得る資質だと思う。精霊に力を授からないといけないとか」

 

 例の説に従って遺跡(ダンジョン)を巡ったが本当に何もなかった。それか……覚醒待ちということなのかもしれない。た○ドラが必要なのかもしれない。

 

 「ふむ。魔法はどうなんだ?随分と使い慣れた感じだったが……」

 「魔法か……取り敢えず自然魔法と精霊魔法に分かれている。魔法は火、水、風、土、闇、光、補助に分かれている。精霊魔法は勇者が使っていたとされる失われた魔法(ロスト・マジック)で自然魔法は精霊魔法を模して創られた魔法だ」

 「私に使っていたのは自然魔法か」

 「あれでも世界でベスト5に入る程の威力、精度なんだが簡単に防がれたな」

 

 実際前の世界であんな風にされる事はなかった。ちょっと自信を失いそう。

 

 「ふふ、あれ程なら六桁までは楽勝だろう」

 「はいはい。そういうのいいから」

 「謙遜するな。さて……大分時間を取らせてしまった」

 「じゃあ帰るねー」

 「友達の家感覚だ!?まあ主ならいつでも来てもよいぞ」

 

 ギフトの確認の為だけに残された感じだ。外も大分暗闇になって来たし、さっさと帰ろう。

 

 「こちらから出られます」

 「サンキュー。それじゃまたね」

 「……ええ」

 

 間を開けたのが気になったが受け止めずに付き添いを探そうと思う。そう辺りを見渡すと狐耳の少女を駆けつけてきた。

 

 「こ、こんばんは!貴方が蘭謹臣様ですか?」

 「ああ……もしかして黒ウサギの使いか?」

 「そうです!」

 

 おいおい……こんな時間帯に真・幼女(ロリ)(⇔偽・幼女(ロリババア))を迎えによこすたあロリコンの風上にも置けねえな!!……じゃなくてガルドのコミュニティに攫われたりしたらどうすんだよ。

 

 「全くよ。おかげで私もついて行かなきゃいけなくなったわ」

 「久遠……いたのか。さり気なく心を読むなよ」

 「飛鳥でいいわ。リリが走り出すものだから遅れちゃったのよ」

 「あ、あう……」

 

 しょぼんとするリリ。視線を飛鳥に向けると少しバツが悪そうにしていた。

 

 「じゃあ帰ろうか。リリ、案内よろしく」

 「は、はい!こっちです!」

 

 元気よく先導するリリについて行く。

 

 「……ねえ」

 「何だ?」

 「貴方はどんな世界で生きて来たの?」

 「……白夜叉のあれで気になったのか?」

 「……ええ」

 

 別に勿体ぶる話じゃないし話してもいいか。

 

 「俺は英雄のDNAを基に造られた人造人間の一人だ。小説とか出て来る人造人間って奴か」

 「!?」

 「世界に救うためにとか何とかで7体の俺達が造られた。座学に戦闘と色々と叩き込まれたよ。最後に全員で殺し合いだったが」

 

 そこで生き残ったのが俺。蠱毒と同じ方法で勇者という毒を作り出したなんて皮肉が効いてるね。

 

 「最終的に5体目の俺が生き残ったが、すぐに視界がぶれて床に倒れてなあ。その時に夢を見た様な……あ」

 

 あの夢……そうか、ならギフトがまだ(未)なのが分かる。

 

 「夢?」

 「あ、ああいや今は関係ない。その後、紆余曲折あって今に至るって訳だ。考古学者の真似事しながら冒険なんてイカレてるだろ?」

 

 はっはっはっと笑う。実際笑い話でしかない。悲劇のヒロインなんてガラじゃねえし。

 

 「……謹臣君は強いのね」

 「強い?」

 「私はただのお嬢様。何も不自由ない環境で育った何も知らない籠の中の……いや、大人に使われる人形ね。白夜叉との戦闘を見て井の中の蛙だという事も知ったわ」

 

 まあそれが普通だ。それがいい。皆失って初めて気付く。そして立ち上がってこそ意味のある事になる。

 

 「飛鳥、お前は誰の意思でここに来た?」

 「それは……」

 「自分の意思で箱庭に来た。ここでは出来なかった事が出来る。知らなかったら教えて貰えばいい。上を知っても挑み続ければいい。一人で出来なくても仲間を頼ればいい。その為の俺達(コミュニティ)だ。お前はもう一人じゃない」

 「謹臣君……そうね、その通りね。ありがとう」

 

 微笑む飛鳥。ちょっとクサかった気もするがこれでいいや。

 

 「謹臣様着きましたよ!」

 「ここか?」

 「ええ、そうよ。ここが今日から私達のコミュニティ。全てをここから始めましょう!」

 

 飛鳥の言葉には力強い意志が宿っていた。

 

 

 

 *

 

 

 

 風化しきった廃墟を抜けて水門前までやって来る。すると十六夜や黒ウサギ、春日部、白雪が立っていた。

 

 「お、帰って来たか」

 「どんな用事だったの?」

 「特筆するような事はなかった。今何してるんだ?」

 「水樹を貯水池に設置するのだ。これで平坦な景色も色が加わるというもの」

 「へえ……それは見てみるしかないわ」

 

 白雪が説明してくれた。飛鳥と同じく、皆も見る気満々らしい。貯水池には子供達がデッキブラシで磨く光景があった。

 

 「子供がたくさんだな……」

 「あれでも年長組という話だ。全体で言えば二十分の一だと」

 「……私子供苦手」

 「私も同年代以下とはふれあいなんてしたこと無いわ」

 「リリが目の前にいてよくもそんな事が言えるなあ……」

 「「え?」」

 

 二人がリリの方を見ると目に涙を浮かべていた。

 

 「う、うう……皆様私達が嫌いなのですか?」

 「そ、そそそそんな事無いわ!ワタシコドモダイスキ!」

 「……私、頑張る」

 『お嬢……』

 

 口は禍の門だね。リリに群がる二人を余所に黒ウサギが声高らかに叫んでいる。

 

 「皆さーん!これから水樹を台座に植えます!直ちに陸に上がってくださーい!十六夜さんは水門を開けてください!」

 「あいよ」

 

 池を掃除していた子供達は急いで陸に上がってくる。それを確認した黒ウサギは苗を台座に植える。すると水樹から溢れた水が瞬く間に水路を埋め尽くしていく。

 

 「小僧よ、あの花も出すと良い」

 「はいはい。人使いの荒い女性陣だぜ」

 

 十六夜は続いて水仙卵華を池に浮かべる。すると鮮やかな花が咲いて青に彩りを加える。

 

 「これは水仙卵華ですか!?いったいこれをどこで!?」

 「白雪のギフトゲーム擬きで頂いたのさ。結構楽だったぜ?」

 「本人を目の前にしてそう言うか……遠慮を知れ、遠慮を」

 「ヤハハ!断る!」

 

 その言葉に嘆息する白雪。まあお世辞を言う十六夜なんて悍ましい何かだな、うん。

 




飛鳥もヒロインっぽくなったね!

小ネタですがアーク・ザ・ラッドではキャラにも属性があります。主人公は光です。Ⅱ的にいえばアークが無属性、ククルが光属性なので(遺伝的に)闇以外の魔法を使える光属性になります。
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