問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~ラスト・アーク~   作:三島溪山

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第九話

 抱っこしていた少女はレティシアという吸血鬼らしい。元“ノーネーム”の一員で囚われの身だとか。お風呂で一悶着あった時に色々と聞いた。パンツにシミがあった事は一生ネタに出来るな。

 

 「髪が乾いてないぞ。拭いてやるからこっち来い」

 「子供扱いされても困る……んぅ」

 

 身を細めて気持ち良さそうにする姿は正に子供。くしゃくしゃにならない様に丁寧に櫛まで入れる。

 

 「ほいと」

 「……さて、行こう。黒ウサギに挨拶しておかないとな」

 

 リリに聞いた所、三階の談話室にいるらしい。元とはいえ、自分の庭の様に向かうレティシア。目的の部屋に近付くと話し声が聞こえるがそれを気にせずドアを開ける。

 

 「おや、嬉しい事を言ってくれるじゃないか」

 「レ、レティシア様!?」

 

 黒ウサギが様付け……どうやら既知の間柄なのは本当みたいだな。

 

 「な、何故こちらに?」

 「この少年に見つかってな。引きずり出されたのだよ」

 「ち、謹臣さん!?いらっしゃったのですか!?」

 

 ……黒ウサギ-1と。

 

 「何か嫌な予感がするのですよ……(ブルブル)」

 「黒ウサギ?」

 「ああ!いえいえ、どうぞどうぞ?」

 「こんな夜分に済まない。出来るだけ早く済ませたかったのでな」

 

 何か焦っているように見えるな。

 

 「元魔王の私も他人に隷属される身で時間もない。もうすぐ私は出荷される……その前に“ノーネーム”の力を見ておきたかった。ジンには合わせる顔がない。仲間を傷つける結果になってしまったからな」

 「すると、あのギフトゲームは……!」

 「ガルドに鬼種を与えたのは私だ。あれぐらいしないと勝負にならないと思ったが……判断出来るほどの結果は出なかったよ」

 

 苦笑混じりで答えるレティシア。どうしていいのか分からないように見えた。

 

 「アンタ、これから暇か?」

 「追手に見つかるまではな」

 「俺を試してみろよ。謹臣の奴はもう見たんだろ?」

 「……ああ。今の私では手も足も出なかったよ」

 「レティシア様がですか!?」

 

 ふーん……あまり記憶に残ってないという事は激おこだったのかね。それでお漏らししたと。

 

 「その事はもういいだろう。ゲームは二人、一対一で一撃ずつ撃ち合うのはどうだ?」

 「ああいいぜ。外に出ようか」

 

 窓から中庭に出る二人。ここ三階なんだが……まあ部屋でやられるよりマシか。

 

 「ちょ、ちょっと!」

 「行くぞ黒ウサギ」

 「はい!」

 

 俺達は空を飛べないので普通に階段を下りる。勝手口から中庭に出ると馬鹿でかい轟音が鳴り響いた。その素になった槍は十六夜を貫かんとするが、

 

 「十六夜さん!」

 「カッ―――しゃらくせえ!」

 

 嬉々として笑う十六夜はそれを殴り返す!

 

 「「―――は……!?」」

 

 素っ頓狂な声を上げるレティシアと黒ウサギ。それも仕方がない事だろう。誰が高速で飛翔する槍を殴り返す事が出来ると考えられるか。しかし、そういう思考の間にも槍の残骸は第三宇宙速度でレティシアの方向に向かっている!

 

 「(私もこれまでか―――……)」

 「危ない!」

 

 俺は間一髪でレティシアを空中で引き寄せる。黒ウサギの跳躍を真似してみたが案外上手くいくもんだな。

 

 「大丈夫か?」

 「す、すまない……予想外の力に驚いてしまった」

 「……」

 「黒ウサギ?」

 

 黒ウサギは地面に着地した俺達に向かい、レティシアの服をまさぐる。

 

 「黒ウサギ!?何を……!?」

 「ギフトネーム・“純血の吸血姫(ロード・オブ・ヴァンパイア)”……神格を奪われ、鬼種だけしか残ってないなんて……最盛期の十分の一しかないじゃないですか!」

 「くっ……!」

 「おいおい、隷属されたらギフトを奪われるのか?」

 「合意なしでは出来ない筈です。一体何をしたらこんな事に……!」

 「……」

 

 苦悶の声を上げるのみで先の言葉を告げようとしないレティシア。ここでパンツ・シミといえば何とかなるかもしれないが空気は読んだ方が良いだろう。

 

 「……取り敢えず、屋敷に戻ろうぜ。話もそこでした方が良いだろう」

 「そう、ですね……」

 

 十六夜の提案に言葉少なく同意する黒ウサギ。十六夜の先導で屋敷に戻ろうとするが突然遠方から光が差し込んでくる。

 

 「ゴーゴンの威光……!?不味い、見つかった!!」

 

 レティシアが腕の中で暴れる。あの光がヤバイ事は分かったが面倒なので強く抱きしめる。光には光で対抗するしかないだろ。

 

 「もがっ!?」

 「じっとしてろ……!」

 

 ゴルゴンの威光が何かは知らないが取り敢えず翔光熱(フラッシュ・ライン)で作ったレーザーで焼き尽くす。悲鳴が聞こえた気がするけど気にしない。

 

 「焼き尽くしたーーー!?」

 「それよりも何か地面に落ちたぞ」

 

 急いでその地点に向かうと複数の重装備した人間が黒焦げになって気絶していた。生きてたのか……しぶといのな。黒ウサギはポールが溶解した掲揚旗を見て驚愕した。

 

 「ゴーゴンの旗印……!これはまさか……」

 「私の追手、だった者だな……」

 「まだ生きてるぞ」

 「しぶとい奴らだぜ。だがこいつらが“ペルセウス”なら……」

 

 十六夜は靴や兜を取っ払って戦利品の様に掲げていた。

 

 「空を飛べるヘルメスの靴と透明になれるハデスの兜だ。レプリカだろうが貰っておこうぜ」

 「追剥ですか!?みっともない真似はよしてください!」

 「馬鹿だな。こういうのは全員分とっておくもんだろ」

 「追撃!?」

 

 靴を今すぐ履き替えて予備と兜をギフトカードに収納しておく。飛鳥と春日部の分もとっておく。

 

 「……しかし、これからどうするのだ?随分と派手にやったようだが」

 「戻って来なければリーダーが直接攻めてきそうだ。人質に使えるか?」

 「人質、っていうほど価値は無さそうだ」

 「役に立たない屑だぜ」

 「……」

 

 物騒な会話に黒ウサギは頭を抱える。レティシアも呆れているようだ。

 

 「取り敢えず白夜叉の所に行こうぜ。“ペルセウス”は“サウザンドアイズ”の傘下なんだろ?」

 「そうでございますね。詳しくは白夜叉様から聞きましょう」

 

 白雪姫と春日部も連れて昨日訪ねた“サウザンドアイズ”の支店へ向かった。勿論黒焦げの奴らを縛って引きずりながら、レティシアを抱きかかえながら。

 

 

 

 *

 

 

 

 星空煌めく夜を俺らは駆けていた。人気が一切ないが星を見るにはちょうどいい環境だ。

 

 「星空が綺麗……」

 「同感だ。俺の地元なら金がとれるぜ」

 

 今日は満月、星の光が霞んでないがまあいいだろう。ジンを除いた俺達“ノーネーム”はペルセウスを討たん為に出走している途中なのだ!(大嘘)

 

 「主よ」

 「何だ?」

 「……飛鳥の裸を見たのか?」

 「ブッ!?」

 

 全く関係ない話で吹いた。そういやこいつは貯水池を見ると言ってギフトゲームには来なかったな。

 

 「治療の為だ。仕方ない」

 「……否定しないのだな」

 

 成長期が楽しみな胸でしたよ?

 

 「……(ペタペタ)」

 

 白雪は豊満な胸を触って無言で走っている。無表情で不気味だ。

 そうこうしているうちに支店に辿り着いた俺達を出迎えたのは無愛想な店員さんだった。

 

 「お待ちしておりました。中でオーナー達がお待ちです」

 「……訪ねてくる事は予想内という事ですか。客商売しているコミュニティが礼を欠いているなんてお笑い草デス」

 

 黒ウサギは棘がグサグサ刺さる様な言葉を冷静な口調で告げた。黒ウサギは怒っているのだ。いくら自分達が“ノーネーム”だからといって他コミュニティの一方的な侵攻は許されないのだと彼女の怒気が物語っている。

 

 「……その事については下っ端である私が語る問題ではないでしょう。中でルイオス様から直接受けてください」

 

 苛立たせる店員の言葉に黒ウサギは怒りを発散しようとするが何とか堪える。店員の言う通り中の奴に言い聞かせればいいのだと自分に言い聞かせながら中へ入る。ただ、俺は店員の目の前で立ち止まった。

 

 「あのさ」

 「何でしょうか?」

 「俺達の話の途中でこいつらが捕縛されたことを白夜叉に伝えてくんない?」

 「はあ……?」

 「ただ、上層にある凄そうなコミュニティの敷地内で捕縛されたという情報があると言ってくれればいい。そうすりゃ話がスムーズに終わる」

 

 店員は訝しげながらも了承する。侵略者を縛ったロープを手渡して店の中に入る。

 

 「何をしていたのだ?」

 「作戦。どうせ白を切るのは目に見えてるからねー」

 

 レティシアの発言は全て打ち合わせしただの喚くだろうしな。襲わせた奴らを普通に見捨てる屑だとしてもこの作戦は上手くいくだろ。




艦これE-3まで甲クリアしました!やったね!ホンマきついですわー(笑)時雨、島風、潮の魚雷カットインなければ倒せんかったよー。次E-4頑張る!
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