エンタメデュエリストが幻想入り   作:てんのうみ

50 / 65
アリス・マーガトロイドよ。

最近散々だわ。特にバレンタインの時なんか一日中大慌てだったもの。
もし興味がある人は《大好きの伝えかた!》っていう短編を見てみるといいわ。……ちょっと恥ずかしいけど。
https://novel.syosetu.org/76518/

エンタメデュエリストが幻想入り、第二章《真実の眼》

始まるわ。



真実の眼

 人の声も、鳥の囀ずりも聞こえない静かな朝。部屋の中にに響くのは私────アリス・マーガトロイドの手を動かす音だけ。ふと窓の外を見てみると、東の方から太陽が顔を覗かせていた。

 ああ、また徹夜してしまった────一旦作業の手を止め、作り掛けの人形をテーブルの上にそっと置いて、席を立った。私にはもう睡眠は必要ないし、家事は上海がやってくれているから徹夜することは全然問題じゃない。けどまあ私の集中力も体力も無尽蔵じゃないから、当然限界がくれば倒れるし、当たり前のように疲れてしまう。

 

「まあ、今日はなんの予定もないし、朝御飯でも食べてゆっくりやった方がいいわね」

 

 何をつくろう……たまには凝ったものでも作ってみようかしら。時間なら一杯あるしね。材料は何が残っていたかを確認するためにキッチンへ向かう。思いのほかあるわね、ホットケーキでも作ろうかしら?

 コンコン────朝御飯の準備をしようとする私の後ろからドアを叩く音が聞こえる。誰だろう、こんな朝早くに。誰かと会う約束はしていないはずだけど……。

 

「上海、ちょっと出てくれない?新聞の勧誘だったら丁重にお断りしてね」

 

 ちょうど日捲りカレンダーを捲っていた上海にお願いすると、にっこり笑って文字通り飛んでいった。さて、私は早いとこ準備を────。

 

「な、なんだこの小さいの……髪長いけど、どことなくアリスに似てるな」

 

 嘘……まさか────聞き間違えるはずがない声が聞こえて思わず走り出す。玄関の方へ駆け寄ってみると、そこには驚きながらぎこちない手付きで上海をさわるキングがいた。

 

「よっ!人形つか────」

 

 キングがいい終える前に勢い良く扉を閉めて、鍵をかける。

 な、ななななんでキングが私の家に来てるのよ!?前に森の入り口まで送ってもらったことはあったけど、場所は教えてないんだけど!?

 外ではキングが私を呼んでいるけど、半ばパニックなってる私は答えらずに頭を抱える。どうしよう……どうしよう……まだ髪もセットしてないし、徹夜明けだから目の下にくまができてるかもだし……ああ、こんな姿見られたくないのに。

 

「おーい、どうかしたのか?」

「ちょっと待ってなさい!」

 

 それだけ言い残して玄関を離れた。とりあえずシャワー入らないと。それから髪セットして、くまが出来てたらファンデーションで隠さなきゃ。後は少し部屋の片付けとかも────本当にアイツが絡むと狂うわ。予定とか調子とか。

 

 

 

「ふう……これでいい……わね」

 

 なんだかんだ準備していたら、一時間近く掛かってしまった。結構待たせてしまったけど……も、元はと言えば連絡もなしに、こんな朝早くに家にくる方が悪いわ。

 ゆっくり扉を開けると、扉の前に上海を抱えて座っているキングがいた。

 

「……お待たせ」

「おう。結構かかったな」

「それで?こんな朝早くから来るんだから何か用事があるんでしょ」

 

 私がそう言うと、キングは「そうなんだよ」と立ち上がり、私の方へ寄ってきた。

 

「お前にさ、聞きたいことと、頼みたいことがあるんだよ」

 

 聞きたいことがあるならわかるけど、キングが私に頼みごとがあるのは珍しいわね。まあ、ちょっと嬉しい気もしなくはないけど。

 

「立ち話もなんだし、待たせてしまったから……その……あがる?」

「いいのか?助けるぜ、この季節寒いからな」

 

 やっぱり悪いことしてしまったかしら────そう思いつつ、キングを家にあげた。私がシャワーに入っている間に、人形たちが私の代わりに部屋を掃除してくれていたから、部屋の中はあらかた片付いている。

 

「へ~ここがお前の家か~。お!これお前が作った人形か?」

 

 家の中に入るやいなや関心の声を漏らすと、次の瞬間には戸棚に飾ってある人形の所へ駆け寄って、手に取っている。

 

「勝手に触って壊さないでね」

「そんなことしねえよ。それにしても意外だな、お前がこんな可愛い人形作ってるだなんて」

「そうかしら?」

「だって夜な夜なお前がデュエルで使ってるような人形を製造してそうだしな」

 

 別に傷ついたとか、そういうんじゃなくて……単純にコイツが私にどういうイメージを持ってるかがわかったわ。アイツの中じゃ私ってそんなに根暗なイメージなのね。まあ、確かに家に籠って作業をしていることの方が多いけど、最近は少し外出を増やしてるのに。

 

「私は今から朝御飯だけど、貴方はどうする?」

「なんか作ってくれるのか?」

「ついでよ、ついで」

 

 キングをリビングのテーブルに座らせて、台所へ向かう。いつもは人形たちに作らせているけれど、こういうときくらい私が作らないと。幸い元々作る予定だったのがホットケーキなので短時間で作ることができた。

 テーブルにできたホットケーキを置くと、キングは両手を合わせて「いただきます」と言った後に食べ始めた。

 

「案外礼儀正しいのね」

「まあな、小さい頃に紫に教えられたからな」

「へ~紫に……え?紫!?」

 

 思わぬ言葉にテーブルから身を乗り出す。驚く私に、キングは首をかしげながら頷いた。話によると数年前から紫の家に住んでいるらしい。まさかコイツが幻想郷の管理者の元で暮らしているなんてね。まあ、キングは人間以上の力を持っているから紫の監視下にいた方が安全かも。

 

「んなことはどうだっていいんだよ。それよりさ、プラネットモンスターって知ってるか?」

 

 プラネットモンスター────聞きなれない言葉に私は首を横に振る。するとキングは自分のデュエルディスクの中から一枚のカードを引き抜いて、私に見せてきた。キングが手に持っているのは《The blazing MARS(ザ・ブレイジング・マーズ)》。少し前の大会で私たちが戦ったときにフィニッシャーになったモンスター。たしか強力なバーン効果を持ってたわね。

 

「コイツ、惑星の名前入ってるだろ?《MARS(マーズ)》って。同じく惑星の名前が入ってるカードを探してるんだ」

「つまり霊夢の《ジ・アース》も?」

「アイツのは特別らしいんだけど、そうだな。紫から探すように言われてるんだ」

 

 俺と霊夢を含めて今3枚見つかってる────そう言うキングを他所に、私は頭を抱えていた。惑星のカード……何か引っ掛かるのはなぜかしら?私は何処かでプラネットモンスターを見たようなそうでないような……。

 

「まあ、そっちはいいさ。今日の頼みたいことって言うのは、地底に連れて行ってほしいんだ」

 

 地底────旧地獄とも呼ばれてたっけ。たしか強力な妖怪が色々いたり、なんだかんだで栄えたりしたはず。

 

「唐突ね。どうしてあんな所に?」

「どうやら地底のどっかに冥王星のカードを持ってるやつがいるって話なんだ。だったら確かめない訳にはいかないだろ」

 

 確かにそうだろうけど……正直いやね。だって地底にはたしか────。なんとか回避する方法は……。

 

「と言うかなんで私なのよ。いつもの三人と行けばいいじゃない」

「霊夢は探し物だとかでいないし、正邪はいつも通り音信不通。遊矢は遊矢で弟子の特訓に付き合ってるんだってさ」

 

 へえ……あの子弟子がいるんだ。ってそうじゃなくて、つまり誰でもよかったんじゃない。ほんのちょっとでも期待した私がバカだったわね。しょうがないわ、相手がコイツだし、当然と言えば当然なんだけど。

 

「まあ、真っ先に浮かんだのはお前なんだけどな」

「────え?」

 

 私が意外な言葉で呆気にとられている間に、キングは「ごちそうさま」とホットケーキを食べ終わり、玄関へと向かっていた。

 

「さあ、行こうぜ」

 

 まったくしょうがない。ま、ちょっと付き合ってあげるくらいはいいかもね。

 

「ちょっと待ちなさいよ」

 

 

 

 

「へ~ここが地底に繋がってる穴か……思っていた以上にデカイな」

 

 私の家を出て数分、私たちは地底に繋がる大穴の前まで来ていた。穴を目の前にしてキングはテンション高めだけど、私の心中は「来てしまった」感が込み上げてきている。地底に行けば()()()()に出会ってしまうかもしれない。それだけが気がかりなのだけど。

 

「よし!出発だ!」

 

 そう言って勢いよく穴に飛び込もうとして空中に飛び上がる。キングをここに連れてくると決まったときからこの状況はすぐに予想できたため、ポケットからグローブを取り出して手に着ける。そこから事前にキングに巻き付けておいた魔法の糸を思いっきり此方側へ引っ張った。

 魔法の糸で引っ張られたキングは、穴ではなく地面に落っこちた。多少痛そうにしてるけど、穴に落ちて死んじゃうよりはましだからいいでしょ。

 

「少しは考えなさいよ。どうやって着地するつもりだったの?」

「あー……そこまで考えてなかったな。サンキュ」

「素直でよろしい」

 

 糸を回収し、グローブを外してキングの所まで歩み寄って、手を差し出す。

 

「ん?」

「下までゆっくり降ろしてあげるから、手、貸しなさい」

「それじゃあよろしく頼むぜ」

 

 私が差しのべた手をキングが軽く握る。さすが男の子と言うべきか、やっぱり私より手が大きい。そして────どこか暖かい。

 

「どうかしたか?」

「な、なんでもないわ。行きましょう」

 

 久々に触れた人の暖かさに多少胸の鼓動が高なりつつも、私たちはゆっくりと地底へ降りていった。

 

 

 

 

 降り立った地底は太陽の光が届かず、薄暗い。私はあまりじめじめしたところは嫌いなのだけど、暗いくらいならまだ大丈夫ね。

 

「これからどうするの?地底だって結構広いのに、あてもなく探し回るの?」

「その点は心配いらないぜ。俺にはこいつがあるからな」

 

 そういって取り出したのはまた《The blazing MARS(ザ・ブレイジング・マーズ)》のカード。プラネットカード同士は共鳴しあうのかしら?

 カードの反応を頼りにキングは歩きだし、私はその半歩後ろをついて歩く。

 

「そういえばだけど、貴方背が伸びたわね」

 

 半歩後ろからみるキングの背丈は、初めて会ったときより少し伸びていた。まあ、それでも私よりは少し低いんだけどね。それをキングに伝えると、少しムッとされた。やっぱり男の子は女の子より背が低いことは気にするのだろうか? 

 

「だったらちょっとブーツ脱いでみろよ」

「うぅ……」

 

 痛いところをつれたわね。確かに私はヒールの高いブーツはいてる。その高さを差し引きすれば大体同じか、それ以下かも。

 

「男だったら女の子がオシャレでヒールの高い靴を履くことも考慮して、それなり大きくなりなさい」

「見てろよ、すぐに抜かしてやるからな」

 

 そんなことを話ながら歩みを進めていると、いつの間にか賑やかな繁華街に出ていた。まだ朝方なのに────いや、地底に朝や夜という概念があるかどうかわわからないが────とにかくたくさんの妖怪たちで予想以上に賑わっていた。

 そんな中をキングは黙って進んでいく。決して沈黙が気まずいわけではないけど、せっかくこうして一緒にいるのだもの、少し話したい気持ちはある。家で聞いた紫の話といい、私はキングについて知らないことばかりだ。

 

「数年前から紫の家に住んでるって言ってたけど、その前はどうしてたの?」

「ん?ああ。普通に外の世界で暮らしてたぜ」

「じゃあご両親とか今どうしてるの?」

「────いねえよ。物心ついたときには施設で暮らしてたからな」

 

 しまった────と思ったときにはもう遅かった。その言葉の意味は私でもわかる。人間のキングが紫の元で暮らしている時点で察するべきだったんだ。

 

「ごめんなさい……私……そんなつもりじゃ」

「気にすんなって────昔はずっと一人だったけどさ、今はこうして誰かと一緒にいる。それで十分なんだよ」

 

 そう言いながらキングは歩みを進める。その後ろ姿が少しだけ寂しそうに見えたのは、そんな話を聞いた後だからだろうか。

 

 

 しばらく歩いていると、少しずつ妖怪や家が少なくなり、広く見晴らしがいい所へ出た。キングがカードを翳しながら辺りを見ていると、ある一つの建物を指さした。

 

「たぶんあれだな」

「はぁ……やっぱり避けては通れないわね」

 

 キングが指さした建物……地霊殿。この地底の管理者が────人の心を読むサトリ妖怪が住んでいるところだ。できれば行きたくはなかったけど、こうなってしまったらしょうがない。

 

「人の心を読む妖怪が居んのか……おもしれえ!ソイツとデュエルしたくなってきたぜ!」

「そういうと思ったわ……」

 

 地霊殿の前まで来ると、キングはなんの躊躇いもなく扉を開いて中に入っていく。不法侵入────と思ったがキングを一人で行かせるわけにもいかない。訴えられたらキングに責任を取ってもらう。

 

「にしても広いなこの屋敷。いいとこのお嬢様でも住んでんのか?」

「そんな呑気なこと言ってると誰に見つかるわよ。さっさと行きましょう」

 

 階段を上り、廊下を少し行ったところでキングの足が止まる。どうやらここにプラネットカードの所有者がいるようだ。キングが扉のドアノブに手を掛け、思いっきり開け放つ。────うん、もう止めないわ。行けるところまで行っちゃいなさい。

 だがキングが開け放った扉の向こうには、想像とはかけ離れた光景が広がっていた。

 

「ああ……残り時間6時間で、やらなきゃいけない書類は2310枚……一枚辺り9秒くらいでやっていかないと……」

 

 私たちが来たことには気づかずに、右手で必死にペンを動かしながら左手で判子を押していく小さな少女。床には書き終わった書類が散乱していて、その子の目の下にはクッキリとクマができている。

 

「ん?貴方たちは……いつからそちらに?」

 

 やっと気配を感じ取ったのか、走らせていたペンを止めた。

 

「ついさっきだ。実はお前に用があってきたんだけど……忙しいなら日を改めるけど」

 

 キングが気を使った────そんなことで驚いていると、目の前の少女は握っていたペンとハンコを置いて立ち上がった。

 

「いいの?かなり切羽詰まってたみたいだけど……」

「ええ、いいんですよ。もう手遅れですし、締め切り日まで放っておいた私が悪いんです。素直に閻魔様に怒られるとしましょう。お客様は放っておく訳にはいきませんから」

 

 ニコッと笑いながらお茶を出す準備をしている。少し悪い気もしたが、相手の好意を無駄にする訳にもいかないので、キングと一緒にソファーに腰かける。

 しばらくして少女もお茶を持って席に座った。

 

「お待たせしました。ちなみにお二人は?」

「俺はキング。そんでこっちが」

「アリスよ。今日はキングの付き添い」

「キングさんにアリスさん……今日はどのようなご用件で?」

 

 少女にそう聞かれると、キングは家で私にしたようにプラネットモンスターのことについて話し始めた。話を聞く少女も、キングの説明を真剣に聞いている。

 

「────という訳なんだ。プラネットモンスター持ってないか?」

「惑星の名を持つモンスターですか……それなら心当たりありますよ。と言うか私のデッキに入ってます」

 

 その一言を聞いた瞬間、キングは笑った。その顔をは笑顔というよりも、この瞬間を心待にしていた少年の顔だった。

 

「だったら俺とデュエルしようぜ!プラネットモンスターもお前の実力も俺に見せてもらうぜ!」

 

 キングがそう言うと、少女は目を見開いたまま固まってしまった。確かに行きなりのことだし、話の流れが全然イコールになっていないから驚くのも無理はない。そこは見せてもらくらいにしときなさいよ……。

 

「ん?どうしたんだ?」

「────いえ、いいですよ。喜んでお受けします。この部屋では狭いので中庭に案内しますね」

 

 少女は席を立ち、私たちと一緒に部屋を出た。私たちを案内する彼女の姿は、なんだかさっきより嬉しそうな気がした。

 

   ◇◆

 

 案内されて中庭について、お互い少し距離を取る。それにしてもプラネットモンスターか……鈴仙の海王星のカードは凄い効果を持ってたし、デュエルする前からワクワクして来るぜ!

 

「どうしてこうなるのかしら……普通に見せてもらった方が早いじゃない」

「どうせ見るならデュエルした方が面白いだろ?まあ見てろって、勝つのは俺だ」

 

 そんなこと心配してないわ────ため息混じりにそう言われて、送り出された。

 さてと、デュエルディスクもデッキも準備完了。

 

「俺はいつでもいいぜ!」

「────一つ聞いてもいいですか?あの、どうして私とデュエルを?」

「目の前にデュエルしたことないやつがいる。それだけ十分だろ」

 

 俺がそう言うと、ソイツはデッキをカットしながら小さく笑った。俺、何かおかしいこといったかな?

 

「いえ、心を読むサトリ妖怪────そんな私とデュエルしようといてくれる人はいないもので」

「────デュエルにそんなもん関係ねえよ。始めようぜ!……そういえば名前聞いてなかったな」

「さとり……古明地さとりです。行きますよ!」

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

「私から行かせてもらいますね。それにしても何だか久しぶりです」

 

 実は俺も大会が終わってからはあんまりデュエルしてないから久しぶりなんだよな。さとりはどんなデッキを使ってくるのか、一ターン目から楽しみだぜ!

 

「儀式魔法《高等儀式術》を発動!」

 

 儀式魔法か……つまり儀式召喚が軸のデッキなのか!そういえば幻想郷に来てから儀式デッキとはデュエルしたことなかったな。どんなモンスターが出てくるのか……。

 

「手札のレベル10《イビリチュア・ジールギガス》の儀式召喚するために、デッキからレベルが等しくなるように通常モンスターを墓地に送ります。

 レベル1《プチモス》《もけもけ》《バニーラ》を三体ずつ、そして《ワイト》と一体墓地に送って儀式召喚!《イビリチュア・ジールギガス》!」

 

レベル10 水属性 水族 攻3200 守0(攻撃表示)

 

 デッキのモンスター10枚使って、攻撃力3200のモンスターを召喚してきたか。けど甘い。パワー勝負なら負けねえ。一瞬で倒してやるぜ!

 

「私のターンは終わりませんよ?魔法カード《トライワイトゾーン》!墓地のレベル2以下の通常モンスターを3体特殊召喚します!《もけもけ》を三体特殊召喚!」

 

レベル1 光属性 天使族 攻300 守100(守備表示) 

レベル1 光属性 天使族 攻300 守100(守備表示)

レベル1 光属性 天使族 攻300 守100(守備表示)

 

「レベル1のモンスターが三体……来るわよキング!」

「んなこと見ればわかるっての!ランク1のモンスターなんてすぐに退場させてやるぜ!」

 

 ったく────アリスとそんなやり取りをしていると、さとりは口元を隠しながら笑った。なんかおかしかったか?

 

「いえいえ、仲がよろしいようで。ですが出すランクは10ですよ。魔法カード《ギャラクシー・クィーンズ・ライト》発動!」

 

 ギャラクシー・クィーンズ・ライト────自分フィールドのレベル7以上のモンスターを選択して、他のモンスターのレベルを選択したモンスターに合わせるカード……今さとりのフィールドにはレベル10の《イビリチュア・ジールギガス》……他のモンスターは三体……。

 頭の中で状況を整理すると、ある答えが見えて来た。おいおいマジかよ────。

 

「お察しの通りです。レベル10となったモンスター2体ずつでオーバーレイ!《超弩級砲塔列車グスタフマックス》!!」

 

レベル10 地属性 機械族 攻3000 守3000(守備表示)

レベル10 地属性 機械族 攻3000 守3000(守備表示)

 

「一ターン目からランク10を二体だと────いいぜ!最高にワクワクするじゃねえか!」

「そう言っていただけると私も楽しめそうです。《グスタフマックス》の効果発動!エクシーズ素材を一つ使うことで、相手プレイヤーに2000ダメージを与えます!」

 

 グスタフマックスの砲塔から発射された弾は俺の目の前で爆発して、2000ポイントのライフを奪っていった。さとりはもう一体のグスタフマックスの効果も使い、最終的に俺のライフは4000になった。

 やってくれるぜ。先攻一ターン目からこんなに強烈な攻撃を仕掛けて来るなんて!

 

「カードを一枚伏せてターンエンドです」

「強いな────いいぜ最高だ!やっぱりデュエルはこうでなくっちゃ!俺のターンだ!」

 

 ドローカードを手札に加えて、もう一度手札を確認する。さとりのグスタフマックスには、それぞれエクシーズ素材が1つずつ残ってる。このターン中になんとかしないと、次のターンで負けちまう。

 

「俺に突破できないモンスターはいないぜ!相手フィールドにのみモンスターが存在するとき、手札から《バイス・ドラゴン》を特殊召喚!」

 

レベル5 地属性 ドラゴン族 攻2000 守2400(守備表示)

 

「さらに手札からチューナーモンスター《ダーク・リゾネーター》を召喚!」

 

レベル3 闇属性 チューナー 攻1300 守800(攻撃表示)

 

「俺の相棒を見せてやる!レベル5《バイス・ドラゴン》にレベル3の《ダーク・リゾネーター》をチューニング!すべてを焼き付くす黙示録の炎!《レッドデーモンズ・ドラゴン・スカーライト》!!」

 

レベル8 闇属性 ドラゴン族 攻3000 守2500(攻撃表示)

 

「中々格好いいドラゴンですね」

「だろ!でも格好いいのは見た目だけじゃないぜ!効果発動!コイツの攻撃力以下の特殊召喚されたモンスターを破壊する!」

 

 2体のグスタフマックスの攻撃力は3000。スカーライトの炎に焼かれて2体とも破壊された。

 

「さらにこの効果で破壊したモンスターの数×500ポイントのダメージを与える!」

「合計1000ポイントのダメージですか……」

 

 よし、これでフィールドはがら空きになったな!伏せカードは気になるけど、今は破壊できないんなら気にする必要はないぜ!

 

「バトルだ!《スカーライト》でさとりに直接攻撃だ!」

「くっ!ライフで受けます!」

 

 よし、これでライフは4000同士、五分と五分だ!

 俺は二枚のカードを伏せて、さとりにターンを渡した。

 

「私のターン、ドロー!……罠カード《補充要員》発動です。墓地の通常モンスター三枚……《もけもけ》を三枚加え、その一体を召喚します」

 

レベル1 光属性 天使族 攻300 守100(攻撃表示)

 

「そして手札から《馬の骨の対価》を発動。効果モンスター以外のモンスターを墓地に送って、2枚ドローします!……よし、魔法カード《儀式の準備》を発動します。デッキからレベル7以下の儀式モンスターを手札に加え、墓地の儀式魔法カードも1枚回収できます」

 

 墓地から手札に戻したのは間違いなくさっき使った《高等儀式術》。でもモンスターの方はなんだ?レベル7以下だから《イビリチュア・ジールギガス》では無さそうだけど……。

 

「すぐにお見せしますよ。《高等儀式術》発動です!デッキからレベル1の《ワイト》と墓地に送って、降臨せよ《サクリファイス》!」

 

レベル1 闇属性 悪魔族 攻0 守0(攻撃表示)

 

 なんだあのモンスター……見たは簡単に言うと一つ目の怪物。攻撃力が0なのに攻撃表示……それにサクリファイス────生け贄の名を持つモンスター……コイツは不気味な気配が漂うぜ。

 

「《サクリファイス》の効果発動。1ターンに1度、相手モンスター1体を装備カードとしてこのカードに装備できる!」

「相手モンスターを装備だって!?」

 

 さとりが効果の発動を宣言すると、サクリファイスから触覚のようなものが伸びて来てスカーライトを絡めとり、自分の体に吸収した。

 

「《サクリファイス》は装備したモンスターの元々の攻撃力分、攻撃力をあげます」

 

 相手モンスターを吸収し、その力を奪う。なんて強力なモンスターだ。しかも攻撃力3000になってやがる。残りライフ4000の俺には厳しい展開だな……。

 

「バトルです。《サクリファイス》でキングさんに直接攻撃です」

 

 序盤にこれ以上のダメージは冗談じゃなくヤバイって。なんとか防ぐ手を考えねえと……そういえば奪ったモンスターは装備魔法扱いとかいってたな……それなら!

 

「攻撃宣言時、罠カード《タイフーン》を発動!相手フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を破壊する!《スカーライト》は返してもらうぜ!」

「まあ、そうきますよね。メイン2で2枚目の《トライワイトゾーン》を使います。墓地から《ワイト》2体と《もけもけ》を特殊召喚します」

 

レベル1 闇属性 アンデット族 攻300 守200(守備力)

レベル1 闇属性 アンデット族 攻300 守200(守備力)

レベル1 光属性 天使族 攻300 守200(守備力)

 

「どんどん行っちゃいますよ。レベル1のモンスター2体ずつでオーバーレイ!現れろ《No.13ケインズ・デビル》!《No.31アベルズ・デビル》!」

 

ランク1 闇属性 悪魔族 攻500 守500(攻撃表示)

ランク1 闇属性 悪魔族 攻500 守500(攻撃表示)

 

「なんだかそっくりだな、その2体」

「一枚は私のなんですが、もう一枚は妹からもらったんですよ」

 

 へ~妹がいんのか。ま、にしてもあの2体。攻撃力たった500のモンスターを攻撃表示か……さっきのサクリファイスみたいなやつかもしれないし、コイツは何かあるに違いねえな。

 それでも俺は攻めるぜ。考えるのは柄じゃないんでな!

 

「俺のターン、ドロー!そんでもってメインフェイズ!俺は今引いた《死者蘇生》を発動!蘇れ《スカーライト》!」

 

レベル8 闇属性 ドラゴン族 攻3000 守2500(攻撃表示)

 

「お前の妹には悪いが、その2体には消えてもらうぜ!《スカーライト》効果発動だ!」

 

 スカーライトの炎が2体のモンスターを包み込む。これで効果ダメージと直接攻撃で────なに!?

 

「ど、どうして破壊されないんだ!?《スカーライト》の効果は確かに決まったはずだ!」

「ええ、決まりましたよ。ですがこの2体は、お互いが存在し、エクシーズ素材を持っている限り、効果・戦闘では破壊されません」

 

 なるほど、そういう効果があったのか。だけどあの2体はともに攻撃表示。破壊できなくても戦闘ダメージなら通るはずだ!

 

「バトル!《スカーライト》で《No.13》の方に攻撃だ!」

「かかりましたね。この子たちにはまだ効果があるんです。それはお互いが存在していれば、貴方の攻撃で私が受ける戦闘ダメージはキングさん……貴方が受けます」

 

 なんだと!?それじゃ二体の攻撃力の差、2500ポイントのダメージを受けちまうってことか!だが戦闘ダメージを回避する方法なら大会で輝夜と戦ったときに身に着けたぜ!

 

「罠カード《奇跡の軌跡(ミラクルルーカス)》発動だ!このカードは相手に1枚カードを引かせるかわりに、選択したモンスターの攻撃力を1000ポイント上げ、二回攻撃できるようにする!そして選択したモンスターの戦闘で発生するダメージは0になる!」

 

 一枚ドローされて、さとりの手札が3枚になっちまったけど、その内2枚は《もけもけ》とかいう通常モンスターだし、実質使えるのは一枚だけだ。

 

「俺はこれでターン終了だ!」

 

 次のさとりのターン。さとりはカードをドローしただけでターンを終えた。下手に動かないってことか。それならその間に攻略法を練らないとな!

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 ドローしたカードは……《シンクローン・リゾネーター》か!よし、こいつを使って突破してやる!

 

「自分フィールドにシンクロモンスターがいるとき、手札から《シンクローン・リゾネーター》は特殊召喚できる!」

 

レベル1 闇属性 チューナー 悪魔族 攻100 守100(守備表示)

 

 

「俺はレベル8の《スカーライト》にレベル1の《シンクローン・リゾネーター》をチューニング!新たな姿へと生まれ変われ!《えん魔竜レッド・デーモン・アビス》!」

 

 

レベル9 闇属性 ドラゴン族 攻3200 守2800(攻撃表示)

 

 墓地に送られた《シンクローン・リゾネーター》の効果で、墓地の《リゾネーター》を回収しないと……まあ《ダーク・リゾネーター》しかいねえけど。

 

「《アビス》の効果発動!《No.13》の効果を無効にする!これで無敵のコンボも崩れたぜ!バトル!効果が無効になってる《No.13》に攻撃だ!」

 

 アビスはこぶしをケインズ・デビルに向かって振り上げ、そのまま殴りつけた────が、その攻撃はなぜか隣にいるアベルズ・デビルのほうに向かっていった。

 

「《アベルズ・デビル》の効果発動です!」

「なんだと!?まだ特殊能力があるのか!?」

「この2体には、エクシーズ素材を一つ使うことで、攻撃を強制することができます。もう攻撃は止められませんよ!」

 

 くっ!……反射ダメージを食らっちまったか。残ったライフは1300……次の俺のターンに効果を使われたら終わりだぜ。

 

「俺はターンエンドだ」

 

 ターンを渡したが、さとりはさっきのターンと同じく、ドローしてターンを終えた。手札も5枚に戻ってるし、これは厳しい展開かもな。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 う~ん、悪くないドローだけど、これじゃさっきみたいに躱されちまうし、かといってアビスの効果も同じく躱されるからな……ん?いや、だからこそのアビスか!

 

「俺はもう一度《アビス》の効果を《No.13》に使うぜ!そしてバトル!《No.13》に攻撃!!」

「エクシーズ素材を使わせれば破壊耐性はなくなってしまいますが、ダメージ反射は生きていますよ?《アベルズ・デビル》の効果発動!」

 

 よし!効果を使ったな!俺はこの瞬間を待ってたんだ!

 

「手札から速攻魔法《エネミー・コントローラー》発動!《アビス》をリリースして、《No.13》のコントロールをこのターンの間もらうぜ!」

 

 あの2体はお互いが同じフィールドにいないと効果を発揮できない!これで無敵のコンボは崩れたぜ!

 

「《No.13》で《No.31》に攻撃!攻撃力は同じだから相殺だ!」

「コントロール奪取で突破してくるとは……うまいことやり返されましたね」

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 手札は2枚……多くはないけど、これでなんとかするしかねえ。後はリバースカードにかけるぜ。

 

「私のターン、ドロー!……《手札抹殺》を発動!効果の説明は不要ですね」

 

 手札の総交換か。《ダーク・リゾネーター》が墓地に行ったけど、今は使い道がないからいいか。

 けどさとりのほうは5枚の手札交換、もうデッキも薄くなってきてるし、意中のカード引かれる可能性は十分にあるな。

 

「来ました。ライフを800払って、魔法カード《魔の試着部屋》を発動。デッキトップを4枚めくって、その中にあるレベル3以下の通常モンスターを可能な限り特殊召喚します。……4枚中通常モンスターは《ウォーター・スピリット》2体。よってこの2体を特殊召喚」

 

レベル1 チューナー 水属性 水族 攻400 守1200(攻撃表示)

レベル1 チューナー 水属性 水族 攻400 守1200(攻撃表示)

 

「さらに魔法カード《ミス・リバイブ》を発動。キングさんの墓地から《スカーライト》をキングさんのフィールドに特殊召喚します」

 

レベル8 闇属性 ドラゴン族 攻3000 守2500(攻撃表示)

 

 俺のフィールドにスカーライトを戻してきた?いったい何を狙ってるんだ……も、もしかしてさっきの「来た」って言ったのは!?

 

「私は2体のモンスターをリリース!十番目の闇!虐げられし冥王星のプラネットモンスター!《The suppression PLUTO(ザ・サプレッション・プルート)》召喚です!!」

 

レベル8 闇属性 悪魔族 攻2600 守2000(攻撃表示)

 

「ついに来たな!コイツが冥王星のカードか!」

「はい、では早速効果を発動します。カード名を一つ宣言して、そのカードが相手の手札にあった場合、相手フィールドのカード1枚のコントロールを奪います!」

 

 カード名を宣言?さっきまでならわかるけど、《手札抹殺》で俺の手札が入れ替わったことは、さとりだってわかってるはずなのに……。

 

「それでは宣言しますね……《収縮》」

「え!?マジで当たった!?」

「私の能力お忘れですか?キングさんはわかりやすいですね」

 

 あ、なるほど。俺の心を読んだわけか!そうなると便利だな。

 

「便利ですか……キングさんは本当に変わっている人です。バトル!《The suppression PLUTO(ザ・サプレッション・プルート)》でキングさんに直接攻撃です!」

「おっと、ここでは終われねえな!墓地の《超電磁タートル》の効果発動!除外することで、バトルフェイズを終了させる!」

「《手札抹殺》で墓地に行ったのはわかっていました。ターンエンドです」

 

 ふぅ……アリスからもらったカードまだ入れといてよかったな。

 

「私のカード……」

「おう、おかげで助かったぜ」

 

 何とか防げたけど、残った手札は《収縮》と《The blazing MARS(ザ・ブレイジング・マーズ)》。この二枚じゃ、残りライフ3200のさとりは倒せねえ。

 このドローに賭けるぜ!!

 

「俺のターン、ドロー!!」

 

 ドローカードは────よし!こうなったらやってやるぜ!

 

「俺は魔法カード《収縮》を発動!《The suppression PLUTO(ザ・サプレッション・プルート)》の攻撃力を半分にする!」

 

 これで《The suppression PLUTO(ザ・サプレッション・プルート)》の攻撃力は1300。後はこのカードを使えば俺の勝ちだ!

 

「手札とフィールドのカードをすべて墓地に送って《大逆転クイズ》を発動!カードの種類を一つ宣言して、デッキトップをめくる。それが当たってたら俺とさとりのライフを入れ替える!!宣言するのはモンスターカードだ!」

「こ、ここにきて運勝負ですか!?しかも失敗したら負けですよ?」

 

 たしかにさとりの言うとおり、外せば負けだ。だけど────。

 

「大切なのはカードのスペックでも、ましてや運でもない。デュエルで最後に勝負を決めるは────」

 

 カードをめくって確認したのち、それをさとりに見せつける。

 

「ぜ、《絶対王バックジャック》……モンスターカード……」

「────デュエリストの魂だ!!《大逆転クイズ》の効果で俺のライフ1300と、さとりのライフ3200を交換する!

 そして墓地のモンスター3体を除外することで《The blazing MARS(ザ・ブレイジング・マーズ)》を特殊召喚!」

 

レベル8 炎属性 炎族 攻2600 守2000(攻撃表示)

 

「これが貴方のプラネットモンスターですか……勝負ありましたね」

「《The blazing MARS(ザ・ブレイジング・マーズ)》で《The suppression PLUTO(ザ・サプレッション・プルート)》に攻撃!」

 

 攻撃力の差は1300、さとりのライフも1300。ジャストキルが決まったぜ!

 

 

「いや~楽しかった!な、勝っただろ?」

「だから心配してないっていったでしょ」

 

 そうだったけか?まあ、いいか。

 

「負けました。これ、受け取ってください」

 

 そう言ってさとりが手渡してきたのは《The suppression PLUTO(ザ・サプレッション・プルート)》。

 

「これを集めているのですよね」

「────受け取れねえよ」

 

 渡されたカードをさとりに返すと、さとりもアリスも目を丸くした。

 

「デュエルってのは何かを賭けたりするもんじゃねえよ。それにカードはデュエリストの魂だからな」

「紫に頼まれてるんじゃなかったの?」

「あっ……じゃ、じゃあ何かあったときは力を貸してくれよ」

「それでしたら喜んで。また遊びに来てくださいね」

 

 その後さとりは「仕事がありますので」と言って、館の中に入っていった。

 

「それじゃ俺たちも帰るか」

「そうね」

 

 俺たちも地霊殿を出ることにした。これであと6枚。すぐに見つけ出してやるぜ!

 

「地上についたらデュエルしようぜ!俺とお前って一勝一敗だし」

「……まさか今日私を呼んだ理由って……」

「ん?そうだけど?」

「だろうと思ったわ」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。