エンタメデュエリストが幻想入り   作:てんのうみ

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鬼人正邪だ。

私に絡んでくる奴って大体面倒事かかえてたりするんだよな。
それに巻き込まれる私の身にもなれよ。大変なんだぞ。

この前だってフランドールの所へ行った時とか出会い頭に抱きつかれて、危うくあばら骨持ってかれるところだった。

エンタメデュエリストが幻想入り 第二章《思惑スクランブル》編
第8話『風の精霊』始まるぞ


風の精霊

「ちょっと正邪……いい加減起きてよ」

 

 最近疲れることも多かったので、日向ぼっこもかねて自室で昼寝をしていると、影狼に体を揺さぶられた。

 

「今日は大会じゃなかった?行かなくていいの?」

 

 影狼の言葉で、そんなことが書いてあった手紙が先日届いたのを思い出す。

 まあ私が行かなくても、アイツら三人で何とかすんだろ。

 体を揺さぶり続ける影狼を無視して布団の中に潜る。太陽の日差しに当たれないのは惜しいが、布団のあったかさにはかえられない。

 

「もう……そんなことしてると、せっかくできた友達いなくなっちゃうよ?」

「いいんだよ、ほっとけ。お前は私の母親か」

 

 私がそう言うと、影狼は揺さぶるのをやめた。これで昼寝に集中できる────そう思って布団から顔を出すと、次の瞬間布団を引っぺがされた。

 

「おい!寒いだろ!返せ!」

「はぁ……久しぶりに帰ってきたと思ったら……全然変わってないね」

 

 ため息交じりにそう呟いて、影狼は布団をたたみ始める。

 畜生、もうちょっと寝ていたかったのに……目が覚めちまった。

 私も仕方なく起き上がり、敷いていた布団をたたんで、残った眠気と一緒に部屋の片隅に追いやった。

 

「あ、そうだ。いつもの()()、届いてたから受け取っておいたよ。机の上に置いといたから」

 

 いつもの?────心当たりがないまま机の上を見る。

 すると小さな小包がポツンっと置かれていた。表面にも側面にも、あて名も書いていない。

 てことは────小包を手に取って、包装を剥がす。すると中には一通の手紙と、デッキが一つ入っていた。

 

『今回も同様、同封しているデッキを使ってデュエルをしてほしい。貴女の好きなようにカスタマイズしてもらって構わない。 ファントム』

 

 またか────と思いつつ読んだ手紙をゴミ箱に投げ入れて、デッキのほうを確認する。

 ほぉ……今回も面白そうなデッキじゃないか。どこの誰が送り付けてるのかは知らないが、使える物は何でも使うのが私だ。さて、どうカスタマイズしてやろうか。

 

「おい影狼、そっちにあるカード取ってきてくれ」

「え~僕これからお昼ご飯なんだけど……しょうがないな」

 

 ま、これ終わったら行ってやってもいいか。テストプレイにはなるだろう。

 

 

        ◇◆

 

 

「異世界交流戦、第二試合目は幻想郷代表……鬼人正邪の到着が遅れているため、今しばらくお待ちください」

 

 アナウンスが入り、会場がざわつく。

 鈴仙のデュエルが終わってから約10分ほど、第二試合の正邪の番が回ってきた。だけど正邪は会場には来てない。連絡を取ろうにもデュエルディスクの電源を切ってるみたいで電話はつながらないし、探そうにも正邪とは大会が終わってから会っていない。────正邪……どこに行ったんだよ……。

 

「ダメだ遊矢。会場内探してみたけどいなかったぜ」

「そうか……ありがとうキング。それにしてもこの状況どうするんだ?」

 

 霊夢も正邪もいない……かと言って誰かほかのメンバーがいるわけでもないのに……。

 鈴仙は蓮子さんに勝利報告に行っていていないし、俺たちだけで何か考えないと。

 

「一応俺の試合を見にアリスとさとりが来るんだけど、アイツらに頼めばいいんじゃないか?」

「────それはできないわ」

 

 やっとキングが解決策を出したと思ったら、選手控室の天井に隙間が開いて、そこから紫さんがゆっくり降りてきた。

 

「なんで駄目なんだよ!」

「あのね、今回のメンバーの人選は、この前の大会の結果が元になっているわ。だから誰でもいいというわけではないの。それにこの大会は異世界との交流戦。幻想郷だけの都合でどうこうできるものではないし、それじゃこっちのメンツが立たないわ。貴方もそれがわからないほど子供じゃないでしょ?」

「だったら試合できない方がメンツが立たねえんじゃねえの?」

「うっ……そこをついてくるなんて……さすが私の息子ね。変なところで鋭いわ!私に似て!」

 

 楽しそうに話す紫さんたちを見てると、最近キングから”二人は親子関係”と聞いたことを思い出す。話によると、外の世界の施設で暮らしていたキングを紫さんが引き取ったって聞いてるけど……こうしていると本当にそうなのか不思議に思えてくる。

 

「そ・れ・で・も!そう簡単に選手交代はできないわ」

 

 となるとますます正邪には来てもらわないといけなくなった。

 今何処でなにやってるんだろう────でもきっと来る。アイツはそういうやつだから。口は悪いし無愛想だし、何考えてるかわからない時があるけど……何かあるときは必ず来てくれる。

 

 控室の扉が開き、部屋の中に光が入って来た。俺が光に向かって振り向くと、扉に誰かが寄りかかっているのが見える。

 

「待たせたな、榊遊矢」

「お前はいつも遅いんだよ」

 

 

        ◇◆

 

 

「大変長らくお待たせいたしました。異世界交流戦、第二試合開始いたします」

 

 とりあえず来てやったけど、霊夢のやつ来てねえのかよ。まあ今のアイツには、こんな所で寄り道してる時間はないんだろうな。幸い一回戦は勝ってるみたいだし、ここで勝てばキングが遊矢が何とかすんだろ。

 

「それではドリームチーム────天羽 遊乃」

 

 目の前に隙間が開いて、中から黄緑色の髪の男が出てきた。

 なんだ、異世界云々聞いてから何が出てくると思ったら、ただの人間じゃねえか。

 

「君に一つ……聞きたいことがある」

「あ?なんだよ」

「ここも幻想郷なんだよな……それならフランドール・スカーレットっていう吸血鬼の女の子を知らないか?その子はどうしてる?」

 

 ん?なんでコイツがフランドールのことを?それにどうしてるって言われても……。

 

『わあ!天邪鬼のお姉ちゃん来てくれたんだ!』

『お、おう……わかった、わかったから抱きつくな。あ、あばら骨が……』

 

「……迷惑なほど元気だよ。館の連中と楽しくやってるだろうさ」

 

 私がそう告げると遊乃は安心しきった顔で幸せそうに笑った。本当になんなんだコイツ?よくわからんな。

 

「よかった……笑って暮らせてるのか……」

「用は済んだか?さっさと始めるぞ」

 

「「────デュエル!!」」

 

 さて、新しいデッキを試してやる。初手は────悪くないな。まずはこれだ!

 手札からカード二枚を引き抜いてデュエルディスクの上に出す。

 

「永続魔法カード《凡骨の意地》を発動!そして《レスキュー・ラビット》を召喚!」

 

レベル4 地属性 獣族 攻300 守100(攻撃表示)

 

「《レスキュー・ラビット》────エクシーズ使いか!」

「だったらなんだ!除外することで効果発動!デッキからレベル4以下の同名通常モンスターを2体特殊召喚できる!来い!《竜魔王ベクターP》!」

 

レベル4 闇属性 ドラゴン族 攻1850 守0(攻撃表示)

レベル4 闇属性 ドラゴン族 攻1850 守0(攻撃表示)

 

「闇属性レベル4モンスター2体でオーバーレイ!現れろ《No.66覇鍵甲虫マスター・キー・ビートル》!!」

 

ランク4 闇属性 昆虫族 攻2500 守800(攻撃表示)

 

「《マスター・キー・ビートル》の効果発動!エクシーズ素材を1つ使うことで、《凡骨の意地》は《キー・ビートル》がいる限り、効果では破壊されない!」

 

 ま、初めのターンはこんなもんだろ────このまま何もせずにターンを遊乃に渡した。

 異世界人のお手並み拝見と行こうか。

 

「僕のターン、ドロー!……モンスターをセット、カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 動いてこない……カードセットしただけでターンエンドってことは単なる手札事故か、はたまたそういうデッキか。警戒すべきはモンスターのリバース効果や、戦闘破壊をトリガーに発動する効果。カードを1枚しか伏せてこないあたりからパーミッションタイプのデッキはないとは思うが……。

 

「行くぞ私のターン、ドロー!」

 

 さあ、このドローフェイズだ。このデッキの最大の見せ場だな。

 ドローしたカードは……フッ、始めるか。

 

「私がドローしたカードは、通常モンスター《ランスフォリンクス》!通常モンスターをドローフェイズにドローしたことにより、永続魔法《凡骨の意地》の効果が発動!もう一枚追加でドローできる!」

 

 もう一度デッキからドローすると、ドローカードは《竜角の狩猟者》。こいつも通常モンスター……《凡骨の意地》は自身の効果で追加ドローしたカードも効果発動の対象。

 そして私は3枚……4枚とドローを重ねていく。

 

「6枚目ドロー!……ちっ、通常モンスターじゃないか」

「手札が9枚……でもすべて通常モンスターならそこまで……」

「てめえの世界じゃどうかは知らねえが、このデッキはわけが違うぜ!」

 

 確かに奴の言うとおり、従来のデッキだったら手札が増えただけで大した動きはできない。従来のデッキならな!この私がそんなデッキ作るわけないだろ。私は常に榊遊矢を倒せるようにデッキをカスタマイズしてるんだ。展開力で後れを取るわけにはいかないんだよ!

 

「私はスケール3の《竜角の狩猟者》とスケール7の《ランスフォリンクス》でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

 二枚のカードをデュエルディスクにセッティングすると、《竜角の狩猟者》と《ランスフォリンクス》が私を挟んで両脇に現れ、私の真上にはペンデュラムが揺れ始めている。

 

「それはさっきドローした通常モンスター……ペンデュラムモンスターだったのか────ま、まさかさっきまでドローしたモンスター全部!?」

「今更気づいたか!ペンデュラム召喚!出て来い!レベル5《フーコーの魔砲石》、同じくレベル5《マンドラゴン》、レベル4《竜剣士マスターP》、同じくレベル4《閃光の騎士》!!」

 

レベル5 闇属性 魔法使い族 攻2200 守1200(攻撃表示)

レベル5 地属性 植物族 攻2500 守1000(攻撃表示)

レベル4 光属性 ドラゴン族 攻1950 守0(攻撃表示)

レベル4 光属性 戦士族 攻1800 守600(攻撃表示)

 

「ここで《竜角の狩猟者》のペンデュラム効果!フィールドの通常モンスターは攻撃力が200アップする!」

「正邪のフィールドのモンスター5体の攻撃力が2100オーバー……」

「私は榊遊矢みたいに魅せるデュエルに興味はねえ、一瞬で決めてやる!バトルだ!《マンドラゴン》でセットモンスターに攻撃!」

 

 私の攻撃命令で《マンドラゴン》が攻撃を仕掛けると、セットモンスターと思われる小さな緑色の鳥が現れる。《マンドラゴン》はその小さな鳥をいとも簡単に蹴散らして、勢いそのままに遊乃にも攻撃を加えて、2300のダメージを与えた。

 

「くっ……どうしてダメージが……このダメージ量は貫通効果?でも通常モンスターには貫通効果どころか、効果すらないはず……」

「まだ気づかねえのか!私のもう片方のペンデュラムスケールにセッティングされている《ランスフォリンクス》には、通常モンスターに貫通効果を与えるペンデュラム効果を持っているんだよ」

「そういうことだったのか……でも戦闘で破壊された《ガスタ・イグル》の効果発動!デッキからチューナー以外でレベル4以下の《ガスタ》モンスターを特殊召喚できる!頼むぞ《ガスタの巫女ウィンダ》!」

 

レベル2 風属性 サイキック族 攻1000 守400(攻撃表示)

 

「そんなモンスターじゃ止められねえよ!《マスター・キー・ビートル》で攻撃だ!」

「ダメージは受けるけど……《ウィンダ》の効果発動!相手モンスターの効果で破壊されたとき、デッキから《ガスタ》と名のつくチューナーモンスターを特殊召喚できる!2体目の《ガスタ・イグル》を特殊召喚!」

 

レベル1 チューナー 風属性 鳥獣族 攻200 守400(守備表示)

 

「次だ!《竜剣士マスターP》で《ガスタ・イグル》に攻撃!コイツも通常モンスターだから貫通ダメージだ!」

「くっ……だがまた効果発動!2体目の《ウィンダ》を特殊召喚!」

 

レベル2 風属性 サイキック族 攻1000 守400(攻撃表示)

 

「今度は《閃光の騎士》で《ウィンダ》を攻撃!」

「はぁ……はぁ……残りライフ1350……そう簡単に負けられない!《ウィンダ》の効果で《ガスタ・スクイレル》を特殊召喚!」

 

レベル2 チューナー 風属性 雷族 攻0 守1800(守備表示)

 

「ちっ、ギリギリ耐えたか……《フーコーの魔法石》で《ガスタ・スクイレル》に攻撃だ!」

 

 すべての攻撃が終わり、遊乃のライフは残り750……わずかに削りきれなかったか。

 まあいい。次のターンで決めてやる。

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

「エンドフェイズに罠カード《ガスタの祈り》を発動!墓地から《ガスタ》モンスターを2枚デッキ戻すことで、墓地の《ガスタ》モンスター1体を特殊召喚できる!戻ってきてくれ《ガスタ・スクイレル》!」

 

レベル2 チューナー 風属性 雷族 攻0 守1800(守備表示)

 

「僕のターン、ドロー!」

 

 さあ、私のこのフィールドをどう攻略してくるか……見ものだな。スケールと《凡骨の意地》を同時に処理しなきゃいけないが、そのためには《キー・ビートル》を退かす必要がある。それができるかな?

 

「僕は《ガスタの静寂カーム》を召喚!」

 

レベル4 風属性 サイキック族 攻1700 守1100(攻撃表示)

 

「《カーム》の効果発動!1ターンに1度、墓地の《ガスタ》モンスターを2体デッキに戻して1枚ドローする!」

 

 ほぉ……手札を5枚に戻してきたか。さっきのリクルート戦術といい、爆発的な展開力はないにしろ、長期戦にたけたデッキだな。

 

「レベル4の《カーム》にレベル2の《スクイレル》をチューニング!頼んだよ相棒……剛毅の疾風よ。彼方の風を纏いて、同胞を勝利に導け!シンクロ召喚!《ダイガスタ・スフィアード》!!」

 

レベル6 風属性 サイキック族 攻2000 守1300(攻撃表示)

 

 勇んで出してきた割には攻撃力はたかが2000……何か裏があるのか?

 

「手札から《二重召喚》を発動!これで通常召喚権を一つ増やすことができる!《ガスタ・イグル》を召喚!」

 

レベル1 チューナー 風属性 鳥獣族 攻200 守400(攻撃表示)

 

「バトル!《ガスタ・イグル》で《マンドラゴン》に攻撃!」

 

 なんだと!?攻撃力は《マンドラゴン》より遥かに劣るはずなのに攻撃だと!?コンバットリックって言っても無理がある数値だぞ!?

 

「《ダイガスタ・スフィアード》が存在する限り、《ガスタ》モンスターとの戦闘で発生する戦闘ダメージは相手が受ける!」

 

 《イグル》が、その小さな体で《マンドラゴン》の体に体当たりして自爆する。そしてその衝撃を《スフィアード》が跳ね返し、ダメージは私の所へ────。

 

「うわぁぁぁ────」

「よし!これで2500のダメージが……ってあれ?相手のライフが削れてない!?」

「────あは……あははは!な~んちゃって!んなもん効くわけねえだろ!《竜角の狩猟者》のペンデュラム効果には、まだ続きがあるんだよ!通常モンスターの戦闘で私が受けるダメージは0になるっていう効果がな!」

 

 これでアイツのデッキのコンセプトは理解できた。低い攻撃力のリクルーターを自爆させて、《スフィアード》の効果でダメージを跳ね返す。まあ《竜角の狩猟者》がいる限り、それは成立しないけどな。

 

「そんな効果が……戦闘で破壊された《イグル》の効果で、デッキから《ガスタの神商ピリカ》を特殊召喚!」

 

レベル3 風属性 サイキック族 攻1000 守1500(攻撃表示)

 

「《ピリカ》が召喚・特殊召喚に成功した時、墓地から風属性チューナーを守備表示で特殊召喚できる!戻って来てくれ!《ガスタ・イグル》!」

 

レベル1 チューナー 風属性 鳥獣族 攻200 守400(守備表示)

 

「戦闘ダメージが0になるのは通常モンスターとの戦闘だけ!《ピリカ》と《スフィアード》で《マスター・キー・ビートル》に攻撃!」

 

 2体の自爆特攻で、2000のダメージを受ける。

 そこを突かれるのは仕方ない。そこまで想定してなかったからな。

 

「ん?その《スフィアード》ってやつは破壊されねえのか」

「《スフィアード》は戦闘では破壊されないんだ。僕は残りの手札全部────3枚のカードを伏せてターンエンド!」

 

 全ての手札を伏せて来たか。動きづらくはなったが、逆に言えば突破してしまえばもう後はない。ここがこのデュエルの山場ってところか。

 

「私のターン、ドロー!!」

 

 ────通常モンスターじゃないか……まあいい。《ダイガスタ・スフィアード》がいる限り、戦闘ダメージが反射されてダメージを与えることができない。通常モンスターなら攻撃しても《竜角の狩猟者》で戦闘ダメージを0にできるが、それじゃ拮抗状態が続くだけだ。

 考えがまとまった私はエクストラデッキから2枚のカードを取り出す。────この2枚で勝負をつけてやる!

 

「私はレベル4の《竜剣士マスターP》と《閃光の騎士》でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ《No.50ブラック・コーン号》!!」

 

ランク4 闇属性 植物族 攻2100 守1500(攻撃表示)

 

「《ブラック・コーン号》の効果発動!エクシーズ素材を1つ使って、このカードより攻撃力の低いモンスターを墓地に送って、相手に1000ダメージを与える!」

「その効果は通すわけにはいかない!速攻魔法《禁じられし聖杯》発動!《ブラック・コーン号》の効果を無効にして、攻撃力をターンの終わりまで400上げる!」

 

 効果無効系のカードがあったか……この状況で攻撃力が増えても嬉しくないしな。

 けどもう無効系のカードはないだろう。次の一手がかわせるかな!

 

「レベル5の《マンドラゴン》と《フーコーの魔法石》でオーバーレイ!焼き尽くせ!《No.61ヴォルカザウルス》!!」

 

ランク5 炎属性 恐竜族 攻2500 守1000(攻撃表示)

 

「このタイミングで……今しかない!《ガスタ・イグル》をリリースして、罠カード《ゴッドバードアタック》を発動!《ヴォルカザウルス》と伏せカードを破壊する!」

 

 くそ、さっきの《ブラック・コーン号》で、バーン効果持ちモンスターだってことを感ずかせちまったか。勘がいいやつだ。

 

「チェーンして伏せてあった速攻魔法《揺れる眼差し》を発動!ペンデュラムスケールにセッティングされているペンデュラムカードを全て破壊し、破壊したカードの枚数で効果を適用する!破壊したカードは2枚……よって相手に500ダメージを与え、デッキからペンデュラムカードを1枚手札に加える!」

 

 これで遊乃のライフは250……ほんのちょっと掠っただけでゲームオーバーだな。手札に加えるのは二枚目の《竜角の狩猟者》にしとくか。

 

「バトルしても意味はないな……カード1枚伏せる。そしてエクシーズ素材を1つ使うことで、今伏せたカードに対して《キー・ビートル》の効果を発動!効果破壊耐性を与える!ターンエンドだ!」

 

 決めきることはできなかったが、残ったのはリバースカード1枚と、《スフィアード》1体のみ。私のライフは6000あって、今伏せたカードは《ナンバーズ・ウォール》。この布陣に死角はない!

 

「僕のターン……ドロー……」

 

 遊乃はゆっくり────とても落ち着いた感じでカードを引き、引いたカードを見ると、少し笑ってデュエルディスクに出した。

 

「《ガスタの希望カムイ》────召喚」

 

レベル2 風属性 サイキック族 攻200 守1000(攻撃表示)

 

 現れたのは遊乃とよく似た容姿を持つモンスター。モンスターと似てるって、それ本当に人間かよ────と思ったりしたが、今はそんなことどうでもいい。

 攻撃力は200……《スフィアード》の効果を活かすにはいいモンスターだが、《スフィアード》自身の攻撃力は2000。私をライフは削りきれない。この勝負見えたな。

 

「これが最後のバトルだ!《カムイ》で《キー・ビートル》に攻撃!《スフィアード》の効果で戦闘ダメージ────攻撃力の差2300ダメージを受けてもう!」

 

 私の残りライフは3700。《スフィアード》が《キー・ビートル》に攻撃しても、私が受ける反射ダメージはたったの500だ。そうすれば次のターンで《ブラック・コーン号》の効果を使うことで勝つことができる。

 

「勝負あったな」

「そうだね。だけどそれは────僕の勝ちだ!《スフィアード》!最後の攻撃だ!攻撃対象は────《ブラック・コーン号》!!」

 

 《ブラック・コーン号》の方を攻撃してきただと?攻撃力の差はたったの100……一体何を狙って────最後のリバースカードか?だが、たとえそれが《スフィアード》の攻撃力を下げるカードでも、反射ダメージは最高で2100。私を倒すには至らない。

 

「この瞬間、最後の罠カード《魂の一撃》発動!自分のライフを半分払い、4000から自分のライフを差し引いた数値を攻撃モンスターに加える!」

 

 ここにきて攻撃力を上げるカード!?しまった────反射ダメージに気を取られすぎた。

 遊乃のライフは250……それを半分にして、4000から引くとその数値は────3850。

 

「けっ……まさか読み負けるとはな。いいぜ、今回は私の負けにしといてやる」

「いけぇぇぇ!《スフィアード》!!」

 

 

        ◇◆

 

 

 デュエルが終わると遊乃は私の所へ駆け寄ってきて「楽しいデュエルだった」と言って手を差し伸べてきた。とりあえず私は「次は勝つ」と言って、その手を弾く。

 

「あははは……またデュエルできたらね。……もう帰らなきゃ」

 

 遊乃の後ろにはすでに元の世界に変えるための隙間が開いている。私に別れを告げて、遊乃は隙間に向かって歩き出した。

 

「お前の事情は知らないが────フランドールに会って行かなくていいのか?」

「────僕は、僕の世界でやらなきゃいけないことが残ってる。それに……この世界のフランは君もいるし、大丈夫そうだから」

 

 それだけ言うと遊乃は隙間の中に消えていった。

 やれやれ、面倒事を押し付けられたわけじゃないが、そういう風に言われるとなんだか後味が悪い。

 

「はぁ……面倒だな」

 

 仕方ない、帰りに紅魔館でも寄るか。

 




はい、空。(てんのうみ)です。

今回は「救いの光は心の闇を照らすか?」の遊乃君をお借りしました。
話数はまだ少ないですが、これからが非常に楽しみな、私もおすすめな小説です。
ぜひご覧あれ! 
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