最近みんなと会えてないけど……どうしてるかな?
でもすべてが終わるまで会いたくない……気もする。
エンタメデュエリストが幻想入り 第二章《思惑スクランブル》編
第8話『緊急発進』 始まるわよ
「霊夢なら来ないぞ」
二戦目が終わって、三番手の霊夢の到着を待っていると、デュエルから戻ってきた正邪の言葉に俺たちは唖然とする。
霊夢は来ない────それはにわかに信じられなかった。霊夢は無断で約束を破ったり、何も告げずにどこかへ行くような奴じゃないことは、俺やキング……正邪だって知っているはずだ。それなのにどうして────。
納得いかないキングが正邪に言い寄るが、正邪はそれをクルリとかわして控室の椅子に座り「うるさい」とため息をつきながらテーブルに頬杖をつく。
正邪はよくまどこっろしい言い方はするけど……嘘はつかない。そして確証のないことを言ったりもしない。
「霊夢のこと……何か知ってるなら教えてほしい」
きっと正邪は何か知ってる────目の前に立ってその目をまっすぐ見ると、正邪も俺の目をまっすぐ見て小さく鼻で笑った。
「別に教えねえとは言ってないだろ」
「て言うかなんで正邪が知ってるんだよ!お前は音信不通だったし、霊夢だって連絡どころか神社にすらいなかったんだぞ」
「なんでもなにも聞いたんだよ────本人にな」
”本人から聞いた”ということは、直接かどうかはわからないけど、少なからず霊夢と話をしたということになる。正邪から霊夢に連絡を取ったとは考えにくい。となると霊夢から?でも音信不通で居場所もわからない正邪とどうやって?
頭の中にはたくさんの疑問が浮かんだが、一旦考えるのをやめて近くの椅子に座った。
これから聞く話の中に答えはあるはず────室内から音が消えると、正邪は足を組んで人差し指でカードを回しながら話始めた。
大会が終わってからの数か月、俺が永遠亭に入院している間に霊夢に何が起こったのか。今霊夢が何をしているのか。
◇◆
それは突然のことだった────話は大会が終わってから二か月ほどがたった頃に遡る。
「えっと……博麗の巫女が……来てるんだけど」
小刻みに震えながら玄関の方を指さす影狼の一言は、自室で昼寝をしている私の眠気を吹き飛ばすのには十分すぎる爆弾だった。
博麗の巫女────霊夢が来たっていうのか?いや、それはおかしい。私は誰にもここの場所を教えていないし、第一に大会が終わってからは連絡を絶っている。それなのにどうして────。
「また悪いことしたの?僕も付き添うからさ……自首しようよ。そしたらきっと巫女さんだって許してくれるよ」
何言ってんだコイツは────羽織っていた毛布を影狼に投げつけて玄関に向かう。
だいたい本人が来ちまってる時点で自首にはならねえだろ。それに私の場合、心当たりが多すぎで暴露話にしかならなそうだ。
玄関の扉を開くと、そこには影狼の言うとおり霊夢の姿があった。だが、その姿は最後に会った時の霊夢とは何か違う。しおらしい────というのは少し違うが、どこか沈んでいて……いつもの強気で自信に溢れるオーラはなかった。
「久しぶり……ね」
そう切り出した霊夢は私と目を合わせようとしない。始めは”どうしてここがわかった”とか色々問い詰めるつもりだったが、それを口には出さずに「そうだな」と返す。
────そして沈黙。お互いに何も話さずに時間が過ぎていく。
私は元々コイツに話しはないし、霊夢は霊夢で俯いたまま何も話そうとはしない。
「それで?なんか用があるから来たんじゃないのか?」
しびれを切らして私の方から話しかけると、霊夢もやっと顔を上げて私と目を合わせた。
「ちょっとお願いがあって来たのよ……アンタが持ってるすべての《No.》を貸してほしいの……ほんの少しでいいから」
No.をね────霊夢の意外な言葉に少し思考を巡らせる。
”どうして霊夢がNo.を?”という疑問はもっともとして、それを何に使うのか?”ほんの少しでいい”というならなおさらその用途が気になるところだ。
「別に貸せないことはない。お前はどこぞの白黒魔法使いみたいに、死ぬまで借りていく奴じゃないからな────何に使うつもりだ?」
私の質問に答えようとした霊夢は、一瞬言葉を詰まらせる。
「それは……言いたくないわ」
「……言えないじゃなくて、言いたくない……か」
同じようで微妙にことなる言葉は、霊夢の心境を感じ取るには十分だった。
霊夢は私から目を逸らさずにそう言った────つまり後ろめたいことはないってこと。後は霊夢個人の問題だ。私が口を出すことじゃないし、コイツが話したくないっていうなら踏み込んで聞く必要もないだろう。
一旦家に戻って、デュエルディスクの中にあるカードと、入らずに溢れたカード集めて、再び玄関に戻った。
「ほらよ。私が持ってるのはこんだけだ」
私の持っているすべてのNo.を霊夢に差し出すと、霊夢はほんの少し笑いながら「ありがとう」と呟いて、カードを受け取った。
カードを手にした霊夢が、何もせずにそのまま黙って手のひらにカードを乗せていると、一枚……また一枚と消えていく。────一瞬何が起こってるかわからなかったが、私が考える暇もなく霊夢の手にカードが戻ってきた。
”何か”を終えた霊夢は、一つため息をつきながら「ありがとう」と一言添えて、私にカードを返した。
「それじゃ……もう行くから」
「────聞けば何日も神社を空けてるそうじゃないか」
私に背を向けてこの場を去ろうとする霊夢に、少し前にどこかで聞いた話を口にすると、霊夢はその歩みを止めた。────どうやら噂は本当みたいだな。
「…………」
「大事な巫女としての役割をほっぽりだして、何やってんだよ」
「────どうして私が”博麗の巫女”なのか……私が何者なのか……それを探してるのよ」
◇◆
正邪の話はそこで終わった。”面倒事はごめんだ”という理由で、それ以上は聞かなかったらしい。
よくわからないことが多いけど────霊夢が今何をしていて、どうして来てないのかは大体分かった。俺は自分が何者か────とか考えたことはないけど、霊夢にはきっと大事な問題なんだ……俺たちが口を出すことじゃないな。
霊夢のことはわかったけど、現状の解決にはなってない。結局霊夢が出るはずの三番手の席は空いたままで、これじゃ試合が────。
「あの~ここが控室ですか~」
俺たちが不戦敗を覚悟すると、ノックの音と共に女の子の声が扉の向こうから聞こえる。始めは大会運営の人かと思ったが、アナウンスの人の声じゃないし、さらに言えばこの声に聞き覚えがあった。
「そ、そうですけど……」
そう声をかけると、声の主は扉を開け放って部屋の中に入ってきた。
「少々遅れました!そしてお久しぶりです!遊矢君!」
元気な声を上げて入ってきたのは、緑色の長い髪、霊夢とは対照的な白と青の巫女服────守矢神社の巫女件現人神────東風谷早苗だった。
「早苗!?いや、久しぶりだけど……どうしてここに?」
俺がそういうと早苗は「よくぞ聞いてくれました!」と言わんばかりに得意げな顔をして、袖の部分から何かを取り出して、俺に手渡した。
受け取ったのは手紙……だろうか?一枚の紙が綺麗に折りたたまれている。俺がそれを広げると、キングと正邪も俺の肩の所から手紙を覗き込んだ。
『みんなへ ごめん、今回の大会は行けそうにないわ。自分勝手言ってるのはわかってるの。本当にごめん。霊夢』
「霊夢……」
「今日の朝、突然霊夢さんが守矢神社を訪ねて来たんですよ。その手紙を遊矢君たちに渡して、代わりに大会に出るようにって」
そうだったんだ────霊夢は自分のこと”自分勝手”って言ってるけど、ちゃんと俺たちのこと考えてくれている……霊夢の中に俺たちがいることに、なんだか暖かい気持ちになる。俺たちは離れていても繋がってる────そう実感した。
「霊夢さんにはいつもお世話になってますし、遊矢君にはあの時救っていただきましたし、全部まとめて恩返しできるように頑張っちゃいます!」
救っただなんて……俺は本当に大したことはしていない。でも意気込んで笑っている早苗の顔は、初めて会ったときに落ち込んで泣いていた女の子とはまるで別人のように輝いていた。
「あ、でも紫さんがそう簡単に選手交代できないって……」
「────たしかにそうね」
突然声が聞こえたと思ったら、俺の後ろに隙間が開いて紫さんが現れる。俺は紫さんに霊夢の手紙と正邪から聞いた話を話すと、紫さんは早苗の前に立って扇子を広げ、口元にあてた。
「でもまあ……霊夢直々の申し出だし、前回の大会の結果もベスト4……許容範囲でしょう」
ん?早苗ってベスト4だったけ?────という疑問が頭をよぎったが、よくよく思い出してみると、俺が文と戦った準決勝……チーム名は『モリヤステル』。それに結果はストレート勝ち……あ、そういうことか。
俺が一人で納得していると、早苗と紫さんの間で話がついたようだ。
「わかりました、今回は特例で選手交代を認めます」
「はい!任されました!」
元気よく返事をすると、俺の横を通りながら「行ってきます!」と言って早苗はバトルフィールドに向かった。
◇◆
「それではこれより第三試合を開始いたします。幻想郷代表チームARCーVからは博麗霊夢選手に代わりまして東風谷早苗選手」
自分の名前が呼ばれてバトルフィールドの真ん中に立つ。
こう言った大観衆前でデュエルをするのは先日の大会以来ですね。まあ大事な準決勝は出番が回ってこなかったんですけど……今日はあの時の分まで頑張っちゃいましょう!なんてたって今日は霊夢さんの頼みですし、新しいデッキも作って来ちゃいましたもんね!
ポケットから新たに作ったデッキを取り出して、手元で軽く広げる。────博打デッキもそうでしたが、このデッキも私の夢とロマンを詰め込んだデッキ……あまり使い慣れてはいませんが、きっとなんとかなります!
お願いします────と心のなかで呟いて、左手のデュエルディスクにデッキを納める。するとデッキはオートシャッフルされ、デュエルディスクからモンスターゾーンが出現する。
「これで準備OKです!私の対戦相手の方は……」
バトルフィールド内を見渡してみても私以外は誰もいない。
遅刻かな────と私がそわそわしだすと、目の前に大きく紫さんの隙間が開き、中から水色を基調としたパーカーに着られた鼠色のコートを弄っている人が出てくる。
男とも女とも取れる中性的な顔立ちですが、乙女の勘で恐らく男の子でしょう。
「篠原彼方です。よろしく」
「東風谷早苗です!よろしくお願いしますね!」
互いに挨拶を終えて適度な距離を取るとデュエルディスク構えた。────それと同時にデュエル開始を促すアナウンスが会場に響く。
「「────デュエル!!」」
デュエルディスクが点滅して、私が後攻であることを伝える。
後攻ですか……相手の出方を見れますし、あまり序盤の守りが得意なデッキではないので、早い段階で攻められるのは好都合です!
「俺の先攻だ!モンスターをセット、さらにカードを1枚伏せてターンエンド!」
あらら……もう終わりですか────もうちょっと動いてくれたらうれしかったですけど、あまり手の内は見せてくれないみたいですね。
「それじゃ行きますよ!私のターン、ドロー!」
ドローしたカードは────よしよし、悪くないです!他の手札5枚と合わせれば、いい動きができそうです!
私は手札から1枚のモンスターを捨てて、手札の魔法カードを発動させる。
「魔法カード《ワン・フォー・ワン》を発動!デッキからレベル1のモンスターを特殊召喚しちゃいます!おいで《超量妖精アルファン》!!」
レベル1 光属性 天使族 攻0 守0(攻撃表示)
呼び出したのは何とも言えない白色のマスコットキャラクターのようなモンスター。可愛い見た目ですがこの《超量》デッキを動かす上では欠かせないモンスターです!
「リリースして即効果発動です!」
私の宣言で《アルファン》がフィールドから姿を消すと、デッキの中から赤・緑・青の3種類のモンスター飛び出し、私の手に収まる。
「さあ、三枚のうち1枚を選んでください!」
「それじゃ真ん中のカードを選ぶ」
「よし!《アルファン》の効果で、選ばれたカードは特殊召喚され、残りのカードは墓地に送られます!特殊召喚するのは────《超量士ブルーレイヤー》!!」
レベル3 水属性 サイキック族 攻1200 守2000(守備表示)
フィールドの現れたのは戦隊もの衣装を着た青い女戦士。今回のデッキ────《超量》デッキは戦隊ものをイメージとしたデッキ。
お店で展示されてるのを見て迷わず買ってしました……だ、だってカッコ良かったんですもん!外の世界にいたころ、日曜日の朝に早起きしてよく見てた戦隊もののカードが売ってたんですよ!?私はこう見えてもヒーローだ好きなんです!
「まさに子供の夢とロマンを詰め込んだデッキ!特使召喚された《ブルーレイヤー》と墓地に送られた《超量士グリーンレイヤー》《超量士レッドレイヤー》の効果発動!」
超量士たちには共通で召喚・特殊召喚された時の効果と、墓地に送られた場合に発動する効果を持ってる。どちらも1ターンに1度しか使うことはできませんけどね。
「まずは《ブルーレイヤー》の効果でデッキから《超量》カード1枚を手札に加えます!そして《グリーンレイヤー》の効果で、手札の《超量》カードを墓地に送って1枚ドロー!」
手札に残っていた《アルファン》を墓地に送って、新たに1枚のカードをドローする。おっ!いいカード────自然に笑ってしまった。これは本当にいい感じです!
「最後に《レッドレイヤー》の効果で、墓地の《レッドレイヤー》以外の《超量》モンスターを特殊召喚する!出動です《超量士グリーンレイヤー》!」
レベル4 風属性 魔法使い族 攻1600 守1400(守備表示)
次に現れたのは緑色の魔法使い。戦隊ものなのに魔法使いとは────まあ細かいことはいいでしょう!かっこよければ何でもアリです!
「《グリーンレイヤー》にも特殊召喚時効果がありますが、今はつかえませんね。ですが!まだ終わりません!ヒーローには秘密基地が必須!フィールド魔法《超量機艦マグナキャリア》発動です!」
カードを発動すると、私の頭上の空間が歪んで、そこから白い宇宙船のような飛行物体が現れる。フィールド魔法って言われると、ちょっと微妙ですが……移動式秘密基地はみんなの憧れですから、これもいいでしょう!
「そしてここからが本番!戦隊ものと言えばカッコイイロボット!!《超量機艦マグナキャリア》の効果発動!手札を1枚捨てることで、フィールドの超量士は専用の戦闘ロボットに乗り込むことができる!!」
手札を1枚捨てたのち、エクストラデッキから戦闘ロボたるエクシーズモンスターを取り出して、それを《ブルーレイヤー》の上に重ねる。すると《超量機艦マグナキャリア》から《ブルーレイヤー》と同じく青い戦闘ロボが飛び出してきた。
「発進!《超量機獣グランドパルス》!!」
ランク3 水属性 機械族 攻1800 守2800(守備表示)
地上に飛んできたのは、2体のイルカの姿をしたロボットが横に連結していて、さながら潜水艦のようなロボット。
セットモンスターの守備力は高そうですし、伏せカードもありますからここは守備表示にしておきましょう。効果を使ったら攻撃できませんしね。
「《グランドパルス》の効果発動!エクシーズ素材を1つ使って、相手の魔法・罠カードを1枚破壊します!」
「くっ!《鉄くずのかかし》が……」
「《超量機艦マグナキャリア》の効果にターン制限はありません!さらに手札を1枚捨てて、今度は《グリーンレイヤー》の戦闘ロボを呼び出します!」
効果を発動すると、今度は緑色で鳥型の飛行ロボットが《マグナキャリア》から地上へ降り立った。
「発進!《超量機獣エアロボロス》!」
ランク4 風属性 機械族 攻2200 守2400(攻撃表示)
「さあバトルです!《超量機獣エアロボロス》でセットモンスターを攻撃!」
《エアロボロス》が攻撃をしかけようとすると、セットモンスターがその姿を現した。現れたのは身長の低いゴーレムのようなモンスター。そしてそのモンスターは《エアロボロス》の攻撃を受け止めて見せた。
「守備表示の《ゴゴゴゴーレム》は1ターンに1度、戦闘では破壊されない!」
「モンスターが残ってしまいましたか……私はカードを1枚伏せて、ターンを終了します!」
ライフこそ削れませんでしたが、初めのターンでやるべきことはやりましたし……たぶん大丈夫なはずです。
「俺のターン、ドロー!」
彼方さんのターンになって、カードをドローすると、少し笑ったように見えた。
「行くぞ!手札を1枚墓地に送って、魔法カード《オノマト連携》を発動!デッキから《ゴゴゴ》《ガガガ》《ドドド》《ズババ》と名のつくモンスターを2体手札に加える!俺が加えるのは《ゴゴゴジャイアント》と《ガガガマンサー》!!」
ゴゴゴとかガガガとか……なんとも舌を噛みそうなモンスターたちですね。カテゴリーで統一しているというよりは、親戚同士みたいなものなのでしょうか?
「そして今手札に加えた《ガガガマンサー》を召喚!!」
レベル4 闇属性 魔法使い族 攻100 守100(攻撃表示)
「さらにフィールドに魔法使い族モンスターがいることで、手札から《ジゴバイト》を特殊召喚!!」
レベル4 水属性 爬虫類族 攻1500 守200(攻撃表示)
「レベル4のモンスターが3体────来ますか!?」
「それはどうかな?《ガガガマンサー》の効果発動!1ターンに1度、墓地から《ガガガ》モンスター1体を特殊召喚できる!」
あれ?墓地に《ガガガ》モンスターなんて居ましたっけ?あっ!さっきの《オノマト連携》のコスト!捨てるタイミングはあそこしかありません!
「俺は墓地から《ガガガマジシャン》を特殊召喚!!」
レベル4 闇属性 魔法使い族 攻1500 守1000(攻撃表示)
「俺はレベル4の《ゴゴゴゴーレム》と《ジゴバイト》でオーバーレイ!現れろ!ランク4!《ガガガガンマン》!!」
ランク4 地属性 戦士族 攻1500 守2400(攻撃表示)
「攻撃力1500のモンスターを攻撃表示ですか────これは……」
「《ガガガガンマン》の効果発動!攻撃表示の時、エクシーズ素材を1つ使って、このターンの間攻撃力を1000ポイントアップさせて、戦闘するモンスターの攻撃力を500ポイント下げる!」
やっぱり攻撃力変動の手段を持っていましたか。これだと《エアロボロス》が倒されてしまいますが……そう簡単にはやられるわけには行きません!!
「それでしたら《エアロボロス》の効果発動!エクシーズ素材を1つ使うことで、フィールド上のモンスター1体を裏側守備表示に変更します!」
これで《ガガガガンマン》の効果は防げましたが……彼方さんのフィールドにはレベル4のモンスターがまだ2体残っている……これは少々不味いですね。
「レベル4の《ガガガマジシャン》と《ガガガマンサー》でオーバーレイ!現れろ!ランク4!《ガガガザムライ》!!」
ランク4 地属性 戦士族 攻1900 守1600(攻撃表示)
「手札から装備魔法《最強の盾》を《ガガガザムライ》に装備!これで攻撃力が守備力分アップする!」
「攻撃力3500ですか!?」
「まだだ!さらに《ガガガザムライ》の効果発動!1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ使うことで、《ガガガザムライ》は2回の攻撃ができる!そしてエクシーズ素材として墓地に送られた《ガガガマンサー》の効果で、このターンの終わりまで攻撃力が500アップする!────行け!!」
彼方さんの攻撃命令で左に盾を、右手には刀を持った《ガガガザムライ》が、盾で《グランパルス》を────刀で《エアロボロス》を撃破して、私に1600のダメージを与えた。
ダメージは大したことないですが、モンスターが全滅したのは痛いですね……相手にはエクシーズモンスターが2体いるのに。
「俺はこれでターンエンドだ」
「それでは私のターン!!」
ドローしたカードを確認する────私は一つ息を呑んだ。
引いたカードは
カードを伏せるだけでターンを渡すしかありませんね……。
私は
「俺のターン、ドロー!……《ガガガガンマン》を反転召喚!」
ランク4 地属性 戦士族 攻1500 守2400(攻撃表示)
「俺は再び《ガガガザムライ》の効果発動!《ガガガザムライ》自身を2回攻撃できるようにする!」
残りライフ6400の私に、攻撃力3500の《ガガガザムライ》の二回攻撃に加えて、さらに《ガンマン》で駄目押し……普通に行けばワンショットで終わってしまいますが、私だって切り札を出してないのに終わるわけには行きません!!
「バトルだ!《ガガガガンマン》で早苗にダイレクトアタック!!」
《ガンマン》の放った銃弾が私に当たってライフを1500奪われる。ソリットビジョンとはいえ、銃で撃たれるのは複雑な心境ですね……。
「さらに《ガガガザムライ》でダイレクトアタック!」
「ここもライフで受けます!」
私の残りライフ1400。本当にギリギリですが、何とか耐えきって見せる!
「これで終わりだ!《ガガガザムライ》二度目の攻撃!」
「墓地の《ネクロ・ガードナー》の効果発動!墓地から除外することで、攻撃を無効にする!」
墓地に仕込んでおいてよかったです……このデッキでは手札から墓地に送れるチャンスはいくらでもありますから、こういうカードを入れておけば大丈夫だと信じてました!
「メイン2に入って、魔法カード《強欲で貪欲な壺》を発動!デッキの上から10枚を除外することで、カードを2枚ドローする!……カードを3枚伏せてターンエンド!」
伏せカード3枚ですか……これは何とも厳しい状況です……。でもこのターンで切り札を呼べれば何とかなるかもしれません!今の私にできることはデッキを信じてドローするだけ!
「私のターン────ドロー!!」
ドローしたカードは────────来た。
これで私の切り札が……召喚できる!!
「自分フィールドにモンスターが存在しないとき、手札から《超量士レッドレイヤー》は特殊召喚できる!!」
レベル5 炎属性 戦士族 攻2000 守800(攻撃表示)
現れた炎のように赤い戦士。赤……まさしくリーダーに、ヒーローにふさわしい色……なんだか霊夢さんを思い出すな……。
「特殊召喚に成功した《レッドレイヤー》の効果で、墓地から《超量》カード……《超量妖精アルファン》を手札に戻して、そのまま召喚!!」
レベル1 光属性 天使族 攻0 守0(攻撃表示)
「《アルファン》のもう一つの効果!他の《超量》モンスターとレベルを合わせることができる!これにより《レッドレイヤー》と同じ5に!私はこの2体でオーバーレイ!」
二体のモンスターが交わり始めると、《マグナキャリア》の扉が開いて、赤い獅子のロボットが起動した。
「エクシーズ召喚!《超量機獣マグナライガー》!!」
ランク5 炎属性 機械族 攻2600 守2000(攻撃表示)
「つかさず《マグナライガー》の効果発動!エクシーズ素材を1つ使うことで、相手モンスター1体を破壊する!《ガガガザムライ》爆☆殺!」
《ガガガザムライ》が爆発して巻き起こった土煙の中、私はわなわなと震えていた。
来た……ついに来た!!この時が!
震える手でフィールド魔法ゾーンにある《マグナキャリア》を墓地に送ると、フィールドの《マグナライガー》と墓地にある《グランパルス》と《エアロボロス》のカードが光りだした。
「……戦隊もの一番の醍醐味と言えば、ロボット同士による────合☆体!!」
「が……合体?」
「そう!合☆体!子供の夢と希望の塊!あなたも外の世界の人だというのなら、その素晴らしさがわからないとは言わせませんよ!!行きます!ドッキングシークエンス開始!」
墓地から《グランパルス》と《エアロボロス》をモンスターゾーンにある《マグナライガー》の上に重ねると、フィールドにも2体が現れる。《グランパルス》と《エアロボロス》は2体とも縦に半分に分解され、《マグナライガー》は手と足、そして頭が変形し、他の2体と合体し始める。
「正義の心は永久不滅!さらに大きく燃え盛る!変形合体!完成!《超量機神王グレードマグナス》!!」
ランク12 光属性 機械族 攻3600 守3200(攻撃表示)
「大きな翼!屈強なボディ!合体ならではの統一感のないカラー!もう最高です!!そして極めつけはカッコイイ武器!罠カード《超量機神剣―マグナスレイヤー》発動!このカードは発動後、装備カードとなる!」
《グレードマグナス》に赤・青・緑の光が宿った剣が装備される。
これです!これこそ私の夢見たヒーロー像!!
《マグナスレイヤー》を装備すると、装備モンスターのランクの数×100ポイント攻撃力が上がって、さらに貫通効果も得られる!まさに一撃必殺のフィニッシャー!!
「バトルです!発進!!《グレートマグナス》!!」
私の攻撃命令を受けて、《グレートマグナス》はその巨大な体を動かして、《ガガガガンマン》の頭上まで飛び上がり、《マグナスレイヤー》を振りかざした。
「くっ!!《ガガガガンマン》!!」
攻撃の爆風と共に、彼方さんに3300ものダメージを与える。
私は爆風で乱れてしまった髪を、前だけが見えるように分けながら、《マグナスレイヤー》のカードを墓地に送った。
すると、三色に光っていた剣から青の色が消え、再び《グレードマグナス》が起動し始めた。
「なん……だと……?」
「まだですよ!《マグナスレイヤー》はバトルフェイズ中に墓地に送ることで、このターン3回攻撃が可能になります!行け!ダイレクトアタック!!」
今度は彼方さんに直接攻撃がヒットして、ライフを1100まで削り取った。《マグナスレイヤー》の光はまた一つ消え、残るは赤のみ。これが最後の攻撃だ!
「受けよ!正義の神剣!アルティメット・ジャスティス・ハート!!」
「そうはさせない!永続罠《リミッド・リバース》!さらにトラップ発動《魂の一撃》!《リミッド・リバース》の効果で、墓地から《ガガガマンサー》を特殊召喚!そして《魂の一撃》の効果で、俺のライフを半分にして、4000との差分、《ガガガマンサー》の攻撃力をアップさせる!半分にした俺のライフは550!よって攻撃力の合計は────3550だ!!」
二回目のダイレクトアタックは《ガガガマンサー》の介入したことによって、わずかに攻撃軌道をずれ、直撃には至らずライフを500残してしまった。
「き、決まりませんでしたか……ターンエンドです」
「このターンで決めて見せる!俺のターン、ドロー!!
────よし!俺は《ゴゴゴジャイアント》を召喚!」
レベル4 地属性 岩石族 攻2000 守0(攻撃表示)
「このカードを召喚した時、墓地の《ゴゴゴゴーレム》を守備表示で特殊召喚できる!来い!《ゴゴゴゴーレム》!」
レベル4 地属性 岩石族 攻1800 守1500(守備表示)
「またレベル4のモンスターが2体────」
「俺はレベル4の《ゴゴゴゴーレム》と《ゴゴゴジャイアント》でオーバーレイ!エクシーズ召喚!」
2体が真上に渦に飲み込まれると、その渦の中から激しい光と爆風と共に白いモンスターが現れる。
このモンスターはたしか遊矢君の────。
「現れろ《No.39》!白き翼は決意の証!白銀の剣は勇気の像!希望が描くは光の軌跡!《希望皇ホープ》!!」
ランク4 光属性 戦士族 攻2500 守2000(攻撃表示)
「さらに俺は《ホープ》を素材にオーバーレイネットワークを再構築!」
その言葉を受けると《ホープ》は自身が光となって、さっき出てきた渦の中に再び入った。
すると《ホープ》はその姿を見る見るかえ、白かった体は灰色に変わった。
「希望の使者、混沌を光に変える者!《CNo.39希望皇ホープレイ》!!」
ランク4 光属性 戦士族 攻2500 守2000(攻撃表示)
「《ホープレイ》の効果発動!俺のライフが1000以下の時、エクシーズ素材を1つ使うことでターン終了まで攻撃力を500上げて、相手モンスターの攻撃力を1000下げる!」
「ですが《グレートマグナス》はエクシーズ素材が4種類以上あるとき、《超量》カード以外の効果を受けません!」
「構わないさ!残るエクシーズ素材を全て使って、攻撃力を4000まで上げる!」
《グレートマグナス》の攻撃力を超えられた……だけどそれじゃ私の勝ちですよ!
「《グレートマグナス》の更なる効果発動!エクシーズ素材が2種類以上あるとき、相手または自分のメインフェイズにフィールドのカード1枚を選んでデッキ戻すことができる!」
これで彼方さんのフィールドからモンスターはいなくなった。召喚権を使い果たした今、もう反撃の手はないはずです!
「────バトルだ!」
「え?バトルですか?ですがモンスターは……」
私が質問すると、彼方さんは少し笑いながら伏せていた最後のカードを発動させた。
「罠カード《エクシーズ・リボーン》発動!」
あのカードは、墓地のエクシーズモンスターを特殊召喚して、そのモンスターの素材になるカード。
でもこの状況じゃどのモンスターを出しても意味はない。何をするつもりなんでしょう?
「蘇れ!《No.39希望皇ホープ》!!」
ランク4 光属性 戦士族 攻2500 守2000(攻撃表示)
「ホープを出してきましたか……ですがそれではこのターンで決めることも、次のターンをしのぎ切ることもできませんよ!」
「いや……そうでもないさ!行け!《希望皇ホープ》で《グレートマグナス》に攻撃!」
そんな!?攻撃力のはるかに劣る《ホープ》で《グレートマグナス》に攻撃だなんて!?
「この瞬間!《ホープ》の効果発動!エクシーズ素材を1つ使って、攻撃を無効にする!」
《グレートマグナス》に向かって振りあげていた《ホープ》の剣は、自身の効果によって光になって消えた。
攻撃と攻撃無効の自作自演をして何の意味が────そう考えていた私の中に、一つ思い当たるカードが出てきた。それは大会の準決勝で文さんと遊矢君のデュエルのラストシーンで使われたカード……!
「速攻魔法《ダブル・アップ・チャンス》発動!このカードは攻撃が無効になったとき、攻撃力を2倍にしてもう一度攻撃できる!」
攻撃力が2倍になった《ホープ》の攻撃力は5000……《グレートマグナス》との攻撃力差は────私の残りライフと同じく1400!
「ホープ剣・ダブル・スラッシュ!!」
《ホープ》の剣が今度こそ《グレートマグナス》を切り裂き、その衝撃と共に、私のライフがちょうど0になる。
「負けちゃい……ました……」
◇◆
デュエルが終わり、彼方さんと握手を終えて隙間に変えるのを見届けると、私のデュエルディスクに着信が入いる。誰だろう────と思いながらも電話を取ってみると、予想外の声が聞こえてきた。
『デュエル────見てたわよ』
「れ、霊夢さん!?あ、ごめんなさい……負けちゃいました……」
『アンタは最後の最後で詰めが甘いのよ。でもまあ────』
そこで言葉が途切れて、私が「でもまあ?」っと首をかしげると、さっきまで少しキツかった声色が急にやさしくなって、一つため息をつかれた。
『よくやったわ、私の代わりにありがとね。お疲れ様』
いつもお礼なんて言わない霊夢さんが────驚きのあまり目に涙が滲む。「今どこにいますか?」と聞きたかったが、電話はすでに切られていた。────照れ隠しかな?
「霊夢さ~ん!!早く帰ってきてくださいね!!」
中継で見てたのか、会場に来てたのかわからなかったから、どこにいても聞こえるように思いっきり叫んだ。霊夢さんも見ているはずの澄んだ青空に向かって。
今回は「東方遊戯録」とのコラボでした~
いや~死にそう。私コラボが終わったら8時間寝るんだ~