いや~久しぶりに外の世界の奴とデュエルしたんだけど、あんなに強い奴がいるんだな!
融合とシンクロ使うデュエリストだったんだけど……名前なんだっけ?
たしか妙に外道、外道言ってたような……ま、そのうちまた会えるだろ!
エンタメデュエリストが幻想入り 第二章《思惑スクランブル》編
第10話『起死回生』始まるぜ!
時間もお昼時になって、ここ────喫茶店「月時計」にも昼食をとる人でにぎわっていた。かく言う私────アリス・マーガトロイドも、向かい側の席で「おいしい」と声を漏らしながら紅茶を飲んでいる友人────古明地さとりと一緒に昼食を取りに来ている。
「それにしてもよく来れたわね。仕事は大丈夫なの?」
「はい、午前中に終わらせて来ましたから」
秋の日差しは厳しかったですがね────と付け加えるさとりに、思わず笑ってしまった。
私とさとりが出会うきっかけにもなった、キングと地底に言ったあの日。初めて会ったときは、目の下にクマを作り、書類に埋もれていたというのに。
少し会わないうちに仕事はしっかりやるようなったようだけど、先ほどの発言を聞く限り、引きこもり気質の方は相変わらずのようだ。
今日、この時間帯に私たちが集まったのには目的がある。それは午後に行われる大会の四回戦────キングの試合を観戦するためだ。
昨日の夜、私が自室のベッドで横になっていると、突然キングから「明日大会だから見に来いよ」という連絡が入ったのだ。
何もこんな夜中に連絡をよこさなくても────そんなことを思いながらも、キングのデュエルは見たいので、眠い目を擦りながら返事をしたのをよく覚えている。なんでも夢中になってデッキを組んでいたら、そんな時間になったらしい。何とも彼らしい理由だ。
そして今日の朝になってから、一人で行くのも物悲しいと思ってさとりに連絡を取ってみると「是非見たいです」と言ってくれたので、一緒に見に行くことになったである。
「大会の方は二対一でキングたちの方が負けているのね……大丈夫かしら?」
「きっと大丈夫ですよ。だってキングさんって、いるだけで勝ってくれそうな雰囲気あるじゃないですか」
それは私も肌で感じている。大事な時……大会やチーム戦で絶対に負けられないときに、キングが負けてるところを見たことはこれまで一度もない。けど私が心配しているのは、彼の性格の方だ。基本的に心の赴くままに動くプレイスタイルなだけに決まった戦法は無いに等しく、調子がよかったりするとギャンブルカードに手を出し始めたりと、すぐに調子に乗り始める。
まあ、そんな自由奔放なところも彼の魅力だったりするのだけど────そんなことを考えていると、さとりが私を見て、「フフフッ」と声を漏らして笑っているのに気が付いて、顔が熱くなる。
しまった、心を読まれた────と思った時にはもう遅いのだが、慌てて視線を窓の外に外した。さとりと一緒にいる時点で、読まれることはわかりきっていることだし、私も読まれて不味いこともないけれど……その……そういうことを読まれてしまうのは、やっぱり恥ずかしい。
「すみません、微笑ましかったのでつい。私の能力はON・OFFができる物ではないので」
「あ、そうなの?」
「はい。厳密に言うと私の目ではなく、このサードアイが見たものが私に伝わって来てるんですよ」
さとりはそう言うと、自分の体がらホースのような管で繋がってるサードアイを両手で持ち上げて、「ねー」と首を横に傾げた。そういう仕組みになっていたとは────でもこのままじゃわりに合わないので、私の腰についているリボンでサードアイをぐるぐる巻きにしてあげようと考えたが、それも読まれてしまい「私のアイデンティティー取らないでください」とサードアイを背中の影に隠した。
「────あら、楽しそうね」
私がさとりのサードアイに無理やりリボンを巻きつけていると、私の隣────窓側の空いている席の上に隙間が開き、珍しい形の帽子を被った長くて綺麗な金髪の女性────八雲紫が開いた隙間に頬杖をつきながら顔を覗かせる。
紫は隙間から出てくると、私に「隣座るわね」と言って私の左隣の席に腰かけた。
「珍しいですね。貴女が人里に顔を出すなんて」
「今日は貴女たちとお話がしたくて来たのよ。────貴女たちがキングが話すところの、冥王星のカードを持つデュエリストと人形遣いさんでしょ?」
「ああ……多分そうだと思うわ」
幻想郷にさとりが持ってる冥王星のカードは一枚しかないだろうし、キングが”人形遣い”と呼ぶ人も、私しかいないだろう。
────というよりアイツ家でも私のこと”人形遣い”って呼んでるのね。私は何度も名前で呼んでって言っているのだけど……。
「それでお話とはなんでしょう?」
「簡単に言うとね、外での……貴女たちから見たキングを知りたいの」
「私たちから見た……キング?」
「そう……私は家の中でのキングしか知らないから。いつもキングがどんな感じか聞かせて頂戴」
そう話す紫の顔は子供のことを心配する────紛れもない母親の顔だった。
私たちが────と言っても、さとりはキングと知り合って間もないので主に私が、いつものキングの話を始めると、その表情はさらに変わる。
私がカードショップなどでのキングのデュエルのことや、私やさとりと出会った時のことを話すと楽しそうに笑い、連絡もなく朝早くから私の家に来たことや、地霊殿へ不法侵入したことを話すと、苦笑いしながら頭を抱えた。
「何とも頭が痛い話ね……一般常識はしっかり教えたはずなんだけど……」
「あの紫さん、私からも一つ聞いていいですか?」
「あら、何かしら?」
紫がさとりの質問に答えようとすると、さとりは自身のポケットの中から一枚のカードを取り出して、テーブルの上に置いた。
「この……冥王星のカード……《
「本当は回収したいのだけど……あの子がそう判断したのなら、私はあの子の意志を尊重してあげたい。貴女がそのカードを誰にも渡さないと言うなら、貴女にそのカードを任せたいと思ってます」
紫の顔から先程までの笑顔が真剣な目つきへと変わり、辺りに緊張が走る。
少しの沈黙の後に、さとりは「わかりました」と言って、テーブルの上の《
「それじゃ私は行くわ。そのカードも、あの子のことも、よろしくね」
「それなら私たちも行こうかしら。キングの試合もそろそろだし」
紫が隙間を開いて帰ろうとするのに乗じて、私とさとりも席を立とうとすると、紫はどこか不思議そうな顔をして、首をかしげた。
「あの子の試合?あの子は試合には出ないわよ?」
◆◇
「なんでだよ!俺にデュエルさせろ!!」
試合も第四回戦に進み、キングがバトルフィールドに出ようとしたその時、突然控室に入ってきたウエイトレス姿の女の人が「貴方は選手じゃない、だからバトルフィールドに入れることはできない」と言ってキングの前に立ちふさがった。
「どうしてですか光さん!キングはチームARC-Vのメンバーですよ!」
この人と顔見知りなのか、鈴仙はウエイトレスさんのことを”光さん”と呼んで抗議するが、その光さんは首を横に振った。
「確かに先日の大会では、その方はチームのメンバーだったのでしょう。ですが今回の代表5人の中に、その方ははいっていません」
「そんなはずないぜ!俺は紫から話を聞いたんだ!異世界の奴とデュエルするってな!どうしてもどかねえなら────」
キングの手にはデュエルディスク────不味い、こんな狭い場所でデュエルなんかしたら……じゃなくて、今はデュエルなんてしてる場合じゃない!
俺がキングを止めるために駆け寄ろうとするが、それより先にキングの頭上に開いた隙間から握り拳がキングの頭目がけて落ちてきた。
痛そうに頭を抱えるキングをよそに頭上の隙間は広がり、中から紫さんが降りてくる。
「痛ってえな!何すんだよ!」
「喫茶店にいた貴方の友達から聞いて、もしかしてって思ったから来てみたら……やっぱり忘れてるのね」
「忘れてねえよ!異世界の奴とデュエルするんだろ?」
「やっぱり話を最後まで聞いてなかったのね……デュエルするって言っても、幻想郷でじゃないわ。貴方が異世界側に行くのよ」
全てはキングの勘違いだった────ってわけか。
でもそうなると、俺たちのチームの最後の一人は一体誰なんだ?
すると、控室の扉の向こう側から人が走ってくる足音が近づいてくる。そして走ってきた誰かは、勢いよく扉を開けて入ってきた。
「ハァ……ハァ……すみません……遅れました……」
荒れた呼吸を整える間もなく謝罪の言葉を入れ、開けっ放しの扉から遅れて半霊が入ってくる。かなり長い距離を走って来たのか、その頬には汗が流れ、肩で息をする魂魄妖夢の姿がそこにはあった。
「それじゃ俺は行くぜ!妖夢、あとは頼んだぞ!」
「は、はい!」
キングは妖夢の肩を軽く叩くと、紫さんと一緒に隙間の中に消えていった。そして光さんも妖夢に「時間が押しているので、準備ができ次第バトルフィールドへ」と告げて、控室を後にした。
「それにしても驚いたよ。最後の一人が妖夢だったなんて」
椅子に座って、左手で額の汗を拭いながら、空いた右手でテーブルの上にカードを広げてデッキの確認をする妖夢に、俺が話しかけると、妖夢は「実は一番驚いているのは私だったりするんですけどね……」と笑って返す。
────なんだろう、この違和感。妖夢の笑顔が……とても苦しそうに見える。
「妖夢……大丈夫か?」
「────大丈夫ですよ。それでは」
テーブルの上のカードを集めて、妖夢は足早にバトルフィールドへ向かった。
本当に何にもないのか?────俺にはとてもそうは見えない。
「何かあるとは思うけど……」
扉の向こう側────バトルフィールドに立つ妖夢の後ろ姿を見ながら、"今は妖夢を信じよう"────そう思った。
◆◇
昨日朝、紫様から"代表に選ばれた"という通知を受け取ったときは、何かの間違いじゃないかと思った。
私より強い方なら沢山いる……それなのにどうして未熟者の私なんかが────。
「────やめよう。今はデュエルに集中しないと……」
今チームの試合の結果は一対二でこちらが負けている。ここで私が負けたら、遊矢さんにバトンが回らない……それだけは何としても阻止しなくいては。
デッキをデュエルディスクに収め、モードを『デュエルモード』に切り替えた。
「それではこれより第四戦を始めます。ドリームチームからはアカ────某デュエルスクール代表、古林涼斗」
バトルフィールドに開いた紫様の隙間から出てきたのは、一人の男の子。見た目的には遊矢さんよりも少し上くらいだろうか。
「古林涼斗だ。貴女は?」
「魂魄……妖夢です。よろしくお願いします」
お互いに握手をしたのち、適度な距離をとってデュエルディスクを構える。
相手は異世界のデュエルエリスト……今の私がどれだけ通用するかなんてわからないけど、それでもやるしかない!
「「────デュエル!!」」
「先攻は私です!」
相手が何を仕掛けてくるかわからない上に、このデュエルは負けることができない。ここは慎重になるべき……手堅く守備固めをしつつ、次のターンに備えるとしましょう。
「私は《H・C サウザンド・ブレード》を召喚!」
レベル4 地属性 戦士族 攻1300 守1100(攻撃表示)
「手札の《ヒロイック》カード────《H・C ダブル・ランス》を捨てることで、《サウザンド・ブレード》の効果発動!デッキから《ヒロイック》モンスターを特殊召喚し、守備表示になります!」
デッキから一枚のカードを引き抜いて、デュエルディスクのモンスターゾーンに横向きで置き、隣の《サウザンド・ブレード》も守備表示に変更するために横にする。
これで2体モンスターはどちらとも守備表示……さらに《サウザンド・ブレード》はダメージを受けると、墓地から特殊召喚できるモンスター……これで守備の方は大丈夫でしょう。となれば次のターンの準備をしなくては!
「今特殊召喚された《H・C クラスプ・ナイフ》の効果発動!《H・C》モンスターの効果で特殊召喚された時、デッキから《H・C》モンスターを1体を手札に加える!私は2枚目の《H・C ダブル・ランス》を手札に加えます」
これで次のターンのエクシーズ召喚は確保できましたし、このターンできることはもうありませんね。
私はそのまま何もすることなく、ターンを古林さんに渡した。
「俺のターン、ドロー!……よし!俺は手札の
古林さんがペンデュラムスケールをセッティングして、両脇にモンスターが現れる────瞬間私は驚愕した。
セッティングされているのは紛れも紛れもなく《イグナイト・イーグル》と《イグナイト・マグナム》。私のもう一つのデッキ────《イグナイト》のモンスターたちだ。
「確かに異世界なら、私しか持っていないはずの《イグナイト》を持っていて不思議ではないですが……まさか戦うことになるとは……」
「そして俺は《イグナイト》ペンデュラムモンスターの共通ペンデュラム効果を発動!もう片方のペンデュラムスケールに《イグナイト》カードがセッティングされている時、両方のスケールを破壊することで、デッキから【炎属性・戦士族】モンスター1体を手札に加えることができる!俺は選ぶのは《イグナイト・ライオット》!」
セッティングと破壊、サーチを繰り返してどんどん戦力を増やしていく、《イグナイト》デッキの基本的な動き。展開力では《H・C》で《イグナイト》を超えるのは難しい……。
「次はスケール7の《イグナイト・ライオット》とスケール2の《イグナイト・マスケット》でペンデュラムスケールをセッティング!
炎纏いし騎士達よ、天へと灯せ灼熱のアーク!ペンデュラム召喚!エクストラデッキからレベル3《イグナイト・イーグル》!同じくレベル3《イグナイト・マグナム》!」
レベル3 炎属性 戦士族 攻1600 守300(攻撃表示)
レベル3 炎属性 戦士族 攻0 守2000(攻撃表示)
現れたのは私もよく知る武装と炎を纏った戦士たち。2体ともにレベル3……これは────。
「俺はもう一度《イグナイト》共通ペンデュラム効果で《ライオット》と《マスケット》を破壊して、デッキから《ライオット》を加える。さらに《レスキュー・ラット》を通常召喚!!」
レベル4 地属性 獣族 攻300 守100 (攻撃表示)
現れたのは小さいネズミのようなモンスター。隣に並び立つ《イグナイト》モンスターたちとは打って変わって可愛らしいですが、きっと何か効果があるはずです!
「召喚に成功した《レスキュー・ラット》は自身をリリースすることで、エクストラデッキで表側表示の存在するレベル5以下のモンスターを選択し、デッキから同名モンスター2体を特殊召喚する!俺は《マスケット》を選択して、デッキから新たに2体の《マスケット》を特殊召喚!!」
レベル4 炎属性 戦士族 攻1400 守1900(攻撃表示)
レベル4 炎属性 戦士族 攻1400 守1900(攻撃表示)
「レベル3に続いてレベル4のモンスターまで2体!?」
「俺はレベル3の《イーグル》と《マグナム》、レベル4の《マスケット》2体でそれぞれオーバーレイ!現れろランク3《管魔人メロメロメロディ》!ランク4《ガガガザムライ》!」
ランク3 光属性 悪魔族 攻1400 守1600(攻撃表示)
ランク4 地属性 戦士族 攻1900 守1600(攻撃表示)
エクシーズモンスターが2体……ですがどういうことでしょう?さっきまでの布陣だったら、私にダメージが通せたはず……まさかプレイングミス?
「《メロメロメロディ》と《ガガガザムライ》の効果発動!それぞれエクシーズ素材を1つ使って、このターンの間、この2体は一度のバトルに2回攻撃ができる!」
そうか!この2体のエクシーズモンスターは複数回攻撃の効果も持ったモンスターたち、これなら合計で3体の壁モンスターを処理しつつ、私にダイレクトアタックをすることができる!
「行け!《メロメロメロディ》で《サウザンド・ブレード》と《クラスプ・ナイフ》に攻撃!」
古林さんの攻撃命令に《メロメロメロディ》はコクリと頷き、自分の体とほぼ同じ大きさの管楽器を吹き鳴らし、その音撃で私のモンスターを2体とも破壊した。
「さらに《ガガガザムライ》でダイレクトアタック!!」
いつも切る側の私がモンスターに刀で切られるとは────ですが、ダメージは最小限に食い止めます!
《ガガガザムライ》のダイレクトアタックによって1900の戦闘ダメージを受けるが、ダメージ受けたことがトリガーになって、墓地の《サウザンド・ブレード》が攻撃表示で特殊召喚される。
だが2度目の攻撃が残っている《ガガガザムライ》に切り伏せられ、さらに600ダメージを受けて残りライフは5500となった。
「私のターン、ドロー!」
こちらの場は壊滅状態。しかもフィールドの2体は連続攻撃可能なモンスター……このターンの内に倒しておかないと、厳しそうです。
それに相手は《イグナイト》デッキ────相手が相手だけに負けたくありません!
「相手フィールドにのみモンスターが存在することで、手札から《H・C 強襲のハルベルト》は特殊召喚できる!」
レベル4 地属性 戦士族 攻1800 守200(攻撃表示)
「さらに手札から《H・C ダブル・ランス》を通常召喚!このカードの召喚に成功した時、墓地の《ダブル・ランス》を守備表示で特殊召喚できる!」
レベル4 地属性 戦士族 攻1700 守900(攻撃表示)
レベル4 地属性 戦士族 攻1700 守900(守備表示)
「私はレベル4の戦士族モンスター《ダブル・ランス》2体でオーバーレイ!戦士たちの魂よ、闇を引き裂く光の剣となれ!エクシーズ召喚!現れろランク4《H-Cエクスカリバー》!!」
ランク4 光属性 戦士族 攻2000 守2000(攻撃表示)
「《エクスカリバー》の効果発動!エクシーズ素材を2つ使って、次の相手ターン終了まで元々の攻撃力を2倍にします!!バトルです!行け《エクスカリバー》!!」
《エクスカリバー》がその大剣を《ガガガザムライ》に向かって振りかざす。《ガガガザムライ》も自身の刀で応戦するも、攻撃力2倍────4000となった《エクスカリバー》に切り倒され、2100ダメージとライフを大きく削った。
「さらに《ハルベルト》で《メロメロメロディ》を攻撃!」
「くっ!……《メロメロメロディ》まで……」
「《ハルベルト》が戦闘でダメージを与えたことにより、その効果が発動!デッキから《ヒロイック》カード1枚を手札に加えることができる!」
何を加えるべきか────残った手札と、これまで使ったカードでは私の手持ちで最も強い《ロンゴミアント》を出すのは難しい。ここは────。
「3体目の《ダブル・ランス》を手札に加え、メイン2でカードを1枚伏せて、ターンエンドです!」
私と古林さんのライフは同じく5500。ここまでは互角ですが、相手はペンデュラム召喚を主軸としたデッキ。その展開力は有り無しでは雲泥の差、そして防御に回られたら貫通効果を持ったモンスターを搭載していない私のデッキではまず勝つことができなくなる。
────つまり長引けば長引くほど、私は不利になって行ってしまう!
「俺のターン、ドロー!────俺はフィールド魔法《イグニッションP》を発動して、スケール3の《竜魔王ベクターP》とスケール7の《イグナイト・ライオット》でペンデュラムスケールをセッティング!」
《イグナイト》カードじゃない!これでもうサーチ効果は使えない────が、問題はあのフィールド魔法だ。あのフィールド魔法にも、サーチ効果がある。まだ息切れはしない様ですね。
「フィールド魔法《イグニッションP》の効果で、フィールド上の《イグナイトカード》────《イグナイト・ライオット》を破壊して、デッキから新たな《イグナイト》カードを手札に加える!俺は《イグナイト・ドラグノフ》を加え、セッティング済みの《ベクターP》とでペンデュラムスケールをセッティング!」
《ドラグノフ》のスケールは7……これでレベル4から6までのモンスターが同時に召喚可能に……古林さんの手札は1枚しかありませんが、エクストラデッキにはペンデュラムモンスターが……!
「炎纏いし騎士達よ、天へと灯せ灼熱のアーク!ペンデュラム召喚!エクストラデッキからレベル4《レスキュー・ラット》!同じくレベル4《イグナイト・マスケット》!さらにレベル5《イグナイト・ライオット》2体!」
レベル4 地属性 獣族 攻300 守100(守備表示)
レベル4 炎属性 戦士族 攻1400 守1900(攻撃表示)
レベル5 炎属性 戦士族 攻1500 守2500(守備表示)
レベル5 炎属性 戦士族 攻1500 守2500(守備表示)
「一気にモンスターが4体も……さすがペンデュラム召喚ですね」
「行くぞ!俺はレベル5の《ライオット》2体とレベル4の《マスケット》と《レスキュー・ラット》でオーバーレイ!エクシーズ召喚!ランク5!《ZW-獣王獅子武装》!」
ランク5 光属性 獣族 攻3000 守1200(攻撃表示)
「そして現れろ《No.39》!!」
No.39!?そんなまさか────私の目の前に現れたのは、遊矢さんしか持っていないはずの数字を持った白き希望の戦士の姿だった。
「光の神官が持ちし記憶の一部よ……仮初めの姿ながら存在を示せ!!《希望皇ホープ》!」
ランク4 光属性 戦士族 攻2500 守2000(攻撃表示)
「まさかホープを使ってくるんなんて……ですが貴方のフィールドのモンスターでは、私の《エクスカリバー》を倒すことはできません!」
「────それはどうかな?《ZW-獣王獅子武装》は攻撃力3000ポイントアップさせる装備カードとして、《希望皇ホープ》に装備できる!」
攻撃力5500────《エクスカリバー》が抜かれた!?
赤い鎧を身に纏った《ホープ》が、攻撃力の上がっている《エクスカリバー》を真正面からその剣で切り裂いた。辺りには凄まじい衝撃が広がり、私のライフを1500削った。
「装備カードとなっている《ZW-獣王獅子武装》の更なる効果発動!バトルフェイズ中にこのカードを墓地に送ることで、《ホープ》はもう一度攻撃できる!《ハルベルト》に攻撃!ホープ剣・スラッシュ!!」
その身に纏った赤き鎧を脱ぎ捨て、今一度その白い体を表すと、光のような速さで《ハルベルト》も切り裂いて、私は700ダメージを受けた。
「くっ……しかし、私が戦闘ダメージを受けたことで、墓地から《サウザンド・ブレード》を特殊召喚します!」
レベル4 地属性 戦士族 攻1300 守1100(攻撃表示)
「残しはしない!手札から速攻魔法《RUM―クイック・カオス》を発動!このカードは《No.》を同じ数字の《CNo.》にランクアップさせることができる!仮初めの戦士よ、カオスの元に真の姿を見せろ!カオスエクシーズチェンジ、《CNo.39希望皇ホープレイ・ヴィクトリー》!!」
ランク5 光属性 戦士族 攻2800 守2500(攻撃表示)
《ホープ》が進化した────先ほどまでの《ホープ》とは違い、白と赤を基調とした姿に変わっていた。
「バトルフェイズ中に特殊召喚したモンスターは攻撃の権利がある!《ヴィクトリー》で《サウザンド・ブレード》に攻撃!
この瞬間、《ヴィクトリー》の効果が発動!エクシーズ素材を1つ使うことで、戦闘を行う相手モンスターの効果を無効にし、《ヴィクトリー》の攻撃力はそのモンスターの攻撃力アップする!
さらにダメージステップ終了まで、魔法・罠カードは発動できない!」
進化した《ホープ》の各脇から新たな腕が出現し、その一本一本に握られた剣で《サウザンド・ブレード》は粉砕され、《ホープ》の攻撃力と同じ数値────2800のダメージを受ける。
このターンだけで6500あったライフが、たった500に……。
「俺はこれでターンエンド」
「私のターン、ドロー!……私は3体目の《H・C ダブル・ランス》を召喚!」
レベル4 地属性 戦士族 攻1700 守900(攻撃表示)
「《ダブル・ランス》の効果で、墓地の《ダブル・ランス》を再び特殊召喚します!」
レベル4 地属性 戦士族 攻1700 守900(攻撃表示)
「不完全ですが、ここはやるしかないようですね……2体の《ダブル・ランス》でオーバーレイ!《No.86H‐Cロンゴミアント》!」
ランク4 闇属性 戦士族 攻1500 守1500(攻撃表示)
素材が2つ以上ある《ロンゴミアント》は戦闘で破壊されず、攻撃力が1500上昇する効果が適用される。
できることならもっと完全な状態で出したかったですが、今の持ち札じゃこれが精一杯ですね。
「さらに手札から装備魔法《最強の盾》を《ロンゴミアント》に装備!その攻撃力を守備力分アップさせます!」
文字通り最強の盾を装備した《ロンゴミアント》の攻撃力は4500まで上がった。
古林さんのライフを削り切るには至らないが、《ホープ》を倒すには十分すぎる攻撃力だ!
「バトル!《ロンゴミアント》で《ホープ》に攻撃!グロリアス・レイ!!」
パワーアップした《ロンゴミアント》によって投げ放たれた槍は、目にも止まらぬ速さで《ホープ》の胸を貫通し、古林さんに1700のダメージを与えて、残りライフを3800とした。
私にできることはすべて終えた。後は残ったカードたちにすべてを託す!
「私はカードを1枚伏せてターンエンド!」
古林さんのターンですが、あちら側のフィールドはモンスターは0……手札も0……切り札と思われる《ホープ》も今や墓地に眠っている。完全ではありませんが、《ロンゴミアント》は攻撃力4500の戦闘耐性を持つモンスター。
全ては古林さんのドロー次第。
「俺のターン、ドロー!────フィールド魔法《イグニッションP》の効果で、ペンデュラムスケールの《ドラグノフ》を破壊して、デッキから《イグナイト・ウージー》を手札に加える。
そして手札から魔法カード《貪欲な壺》発動!」
そんな……ここに来てドローカードを引いてくるなんて……。
古林さんは《ホープ》《ヴィクトリー》《ガガガザムライ》《メロディ》《獣王獅子武装》をデッキに戻して2枚のカードをドローした。
なんだろうこの感じ────この絶望的な状況でもひっくり返してしまうようなこの感じは────以前の大会で遊矢さんと戦った時にも感じたこの雰囲気。いやな予感がする。
「そしてスケール7の《ウージー》でペンデュラムスケールをセッティング!
炎纏いし騎士達よ!三度天へと灯せ灼熱のアーク!ペンデュラム召喚!エクストラデッキから《イグナイト・ドラグノフ》!そして手札から《王立魔法図書館》!」
レベル4 炎属性 戦士族 攻1700 守1300(攻撃表示)
レベル4 光属性 魔法使い族 攻0 守2000(守備表示)
「俺はこの2体でオーバーレイ!光の神官が持ちし記憶の一部よ……仮初めの姿ながら今一度存在を示せ!!《No.39希望皇ホープ》!」
ランク4 光属性 戦士族 攻2500 守2000(攻撃表示)
「また《ホープ》が……」
「そして《RUM―ヌメロン・フォース》発動!自分フィールドのエクシーズモンスターを1体選択し、選択したモンスターより一つランクが高い《CNo.》を特殊召喚する!僅かな友情の綻びが、裏切りの未来纏いし化身となる。カオスエクシーズチェンジ。進化せよ、《CNo.39 希望皇ホープレイV》」
ランク5 光属性 戦士族 攻2600 守2000(攻撃表示)
「《ヌメロン・フォース》の更なる効果発動!このカード効果で特殊召喚したモンスター以外の表側表示のカードの効果を全て無効にする。コード・ヌメロン!」
瞬間、《ロンゴミアント》から色が消え、攻撃力は元に戻り、戦闘で破壊されないくなる効果も消えてしまった。
「《ホープレイV》の効果発動。1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ使うことで、相手モンスター1体を破壊して、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える!」
この効果を通したら、私のライフはジャストで0になってしまう────私は瞬時に伏せていたカードを発動させる。すると《ロンゴミアント》のエクシーズ素材が1つ消えて、周りに金色のベールが現れる。
「罠カード《皇の波動》発動!このカードは自分フィールドのエクシーズ素材を1つ使うことで、発動したターンの終わりまで、自分フィールドのエクシーズモンスターは効果で破壊されない!」
「でもその効果じゃ戦闘破壊からは守れない!バトル!《ホープレイV》で《ロンゴミアント》を攻撃!」
黒と赤を基調とした《ホープ》は金色のベールを力ずくで、中の《ロンゴミアント》ごと切り裂さことうする。────だがそこに”あのモンスター”が割って入った。
「守り抜きます!手札から《H・C ソード・シールド》の効果発動!このカードを手札から捨てることで、自分フィールドの《H・C》モンスターは戦闘で破壊されず、私が受ける戦闘ダメージも0になる!」
「決められなかった……これでターンエンドだ」
「このエンドフェイズ、罠カード《トゥルース・リインフォース》発動!デッキからレベル2以下の戦士族モンスターを特殊召喚する!私は《H・C アンブッシュ・ソルジャー》を特殊召喚!」
レベル1 地属性 戦士族 攻0 守0(攻撃表示)
何とかしのぎ切ったものの、これで私は使えるカードを全て使切ってしまった。正直なところ私のデッキには、もう《ホープレイV》を倒せるカードはない。《アンブッシュ・ソルジャー》を使って《ライオン・ハート》を出しても、戦闘ダメージを与えられるだけで、次のターンには負けてしまう。
「でも────あきらめたくない!」
私はまだまだ未熟者だ……だけどそんな私でもできることはある。
────あきらめずに、前を向くことだ。
意を決してカードドローしようとしたその時、古林さんの頭上────それより遥か上の
あまりのことに反応が追いつかず、”何かに”直撃してしまった私だったが、不思議と何の衝撃もなく、辺りも何の変化もない。
それどころか観客や古林さんでさえ、今の出来事に気づいてはいなかった。
今のは一体……いや、そんなことは後だ。
「私のターン────ドロー!!」
このカードは────勢いよくデッキから引き抜いたカードを見て私は目を疑った。試合開始前にデッキを確認した時には絶対にこんなカードは入っていなかった。だがデュエルディスクはエラーを示さない。
先ほどの”何か”が関係しているのか、ことの真相はわかりませんが────新たな切り札が、私の所へやって来たようです。
「このスタンバイフェイズ!《アンブッシュ・ソルジャー》の効果発動!このカードをリリースすることで、墓地の《H・C》モンスター2体を特殊召喚できる!蘇れ《H・C ダブルランス》!《H・C 強襲のハルベルト》!」
レベル4 地属性 戦士族 攻1700 守700(攻撃表示)
レベル4 地属性 戦士族 攻1800 守200(攻撃表示)
「私は《ダブル・ランス》《ハルベルト》《ロンゴミアント》の3体をリリース!
その剣は銀河をも切り裂く!《
レベル8 水属性 水族 攻2000 守2000(攻撃表示)
現れたのは全身の水色と、両手に握られた2本の剣が特徴的な、これまで見たことのないようなモンスター。
そして《
「《
《ホープレイV》の元々の攻撃力と現在の攻撃力は同じく2600────つまり攻撃力は0になる。
「バトルです!《
《
これで古林さんのライフは残り1300────これで決める!
「《
◆◇
デュエルが終わってからは、とても大変だった。
帰ってきていたキングさんや遊矢さんにもみくちゃにされり。その後鈴仙とキングさんと一緒に紫様に別室呼ばれて、この不思議なカードについて聞かされたり。
「というわけだから、そのカードは大切に扱ってね」
「わかりました。……あの紫様……どうして紫様は、私を代表に選んだんですか?私より強い人ならたくさんいるはずなのに」
私がそういうと、紫様は口元に左手を当てて「フフフッ」と笑いながら、私の肩に右手を添えた。
「妖夢……貴女は自分が弱いことを知っている。自分が弱いことを知った者は二種類に分かれるわ。一つは自分が弱いことに甘んじる者、そしてもう一つは弱さと向き合い、精進し続ける者。貴女はその後者だった。それだけよ」
というわけで今回は、平凡なデュエリストさん作「イカサマ? 違うペンデュラムだ」とのコラボでした!
次回でコラボ最終回!
お楽しみに!!
ps
今回のサブタイトルは初アクションカードです(笑)