更新が遅れているのは、大学受験を控えているためです。
今後も更新が遅れますが、絶対失踪したりはしませんので、待っていてくださればと
廊下に足音と非常サイレン、様々な音が響く。
早くみんなの所へ行かないと。爆発音や、私以外の足音も近づいてきてる。もう少しなはずだ。音だけを頼りに十字路を曲がりひたすらに走る。必要以上に入り組み、無駄に広い月の施設に苛立ちを感じていた。
それにしても相手がデュエルモンスターズのモンスターだなんて……かなりキツイ話だ。蓮子さんとのもう特訓の末、ダークマター・ドラゴンを実体化させるまで力のコントロールができるようになったけど、まだ完全にはできないから体力の消費が著しい。複数相手は完全に不利だけど、こうなったら一人一人潰していくしかないか。───結局のところは体力が持つかどうかだけど。
「また体力勝負か……やっぱりもっと真面目に訓練受けておけばよかったな」
とにかく今はやるしかない。音もだんだん近づいてきてる。そろそろか。
「あ! もしかしてレイセン?」
軽いデジャブが感じながら廊下を進んでいると、向かい側から名前を呼ばれる。声に釣られて視線を上げると、そこにいたのは短めのブロンドの髪に、何故かブレザーではなく、丈の短いオレンジの色の地上の物だと思われる服を着た、うさみみを折るようにしてハンチング帽子を被った───リンゴの姿があった。
「ヤッホー! お久っ! 地上に行ってたんでしょ? ねえねえ詳しく話聞かせてよ」
興味深々と言わんばかりに寄ってくるリンゴ。
月には知り合い全然いないけど、この子とは顔見知りだ。前に一緒に仕事をしたことがあったのだ。のんびりとした性格と、このグイグイくる感じがとても印象的だった。
「ひ、久しぶりだね……どうしたのその恰好?」
「あ、これ? 私さ今度地上へ調査に行くことになってさ。それで地上のデザインの服着てるの。後、名前も地上で使うようにアレンジしたよ? まあ当て字なんだけどね。鈴に珊瑚の”ご”で『鈴瑚』」
「そうなんだ。私と一文字被ってるね……ってそうじゃない! 今そういう場合じゃないでしょ!」
私がそう言うと、鈴瑚は「そうだったね~」っと、何処からか取り出した串刺しのお団子を食べて笑っている。何処か緊張感がないというか……月が外部から攻撃されているなんて前代未聞も事態が現在進行形で進んでいるというのに、その余裕はどこからくんだろうか?
「私も仕事柄、地上の情報が入ってくるんだけどさ~ここよりずっと面白そうなの! レイセンが羨ましいよ~」
「わ、わかったから! 終わったら色々話すから! 今は襲撃地点に連れて行って!」
「そう来なくっちゃ! そうだ! 地上へ行ったら、レイセンの住んでるところの近く案内してよね!」
そう言うと、鈴瑚は急に走り出した。なんと言うか、掴みどころがないっていうか、そういうところは何も変わっていない。けど、月への認識は、あの頃の私の近いのかもしれない。
「これが終わったら、私も地上に住もうかな~そっちの方が楽しそうだし。───
最後の方は聞き取れなかったが、私は鈴瑚の後を追った。
「ほい、ここ」
鈴瑚の案内でやって来た襲撃地点。通路を閉ざす隔壁が敵の侵入を食い止めているが、その向こうからは攻撃を受けているのか、ドス……ドスっと鈍い音がしている。隔壁の周りには傷ついた玉兎や、それを手当てする玉兎たちが数人いた。
「ちょっと鈴瑚! どこ行ってたのさ、こんな時に!」
私たちの姿を見た一羽の玉兎が、鈴瑚に怒鳴りかけながら寄ってくる。浅葱色の髪を後ろで二本に結んでいて、またしてもブレザーではなく地上人のような服装をしている……この子も知っている。確か名前は───。
「セイ……ラン?」
「あれ? レイセン?」
「そうそう。さっき偶然会ってさ~実はね、セイランも今度地上へ行くんだ。ちなみに漢字で書くと───」
「そんな世間話してる状態じゃないでしょ? それでセイラン、状況は?」
「見ての通りだよ。何とか隔壁で凌いでるけど、多分長くは持たない。私たちも怪我人が続出していてもう戦えない。それなのにあっちの戦力は全然衰えないし」
セイランから話を聞いている間にも、隔壁の向こうからは鈍い音がしている。確かに時間の問題かもしれない。やっぱりここは、私が行くしかないみたいだ。
「一瞬だけ隔壁を開けて。私が何とかするから」
「え!? 無茶だよ!」
「大丈夫、私ならあのモンスターたちを倒せる。私が帰ってくるまで、絶対に開けないでね」
「で、でも……」
「いいじゃん、いいじゃん。レイセンがそうい言ってるんだし、何か策があるんでしょ。私たちじゃ何もできないんだからさ、ここは信じようよ」
難しい顔をしていたセイランも、鈴瑚の言葉を聞いて、首を縦に振ってくれた。セイランは隔壁の解除に向かい、鈴瑚は私の方を見てウインクしながら親指を立てる。
「グッドラック」
「……うん」
「それじゃ行くよ!」
セイランの合図で、私がギリギリ通れるくらい隔壁が開く。覚悟を決めて素早く中に入ると、勢いよく隔壁がしまった。
───もう引き返せない。やってやる。もう守ってもらってばかりの自分は嫌なんだ。大切な何かを守るための力……蓮子さんは、その力を私にくれた。
デュエルディスクを展開して、エクストラデッキからダークマター・ドラゴンをカードを取出し、モンスターゾーンに置く。ダークマタードラゴンはソリッドビジョンで姿を現し、私の力を通して実体化する。銀河の闇を写し取ったような無形の龍。これが私の……手に入れた力。
私に気づいたのか、廊下にいた数匹の妖精たちが、こちらを見てケタケタと笑っている。まるで遊び相手が見つかったとばかり喜んでいるようだ。
私は手を振り上げ、小さく、冷たく息を吐き、神をも殺す
◇◆
『なるほど、そういうことだったんたんですか』
「なんだかスゲーことになってるけどな」
部屋から抜け出して、月を探索する片手間に、さっき永琳から聞いた話を電話でさとりに伝えた。俺自身、まさか地元にそんな遺跡があって、それが俺たちが持ってるプラネットカードに関係してるなんて、思ってもみなかった。
『ですが先ほどの話、一部気になる点があります』
「気になる点?」
『はい、もしその言い伝えが本当ならば、まず真っ先に出てくるのは太陽のプラネットカードを持つデュエリストなのではないでしょうか?』
「あ……確かに”太陽のもとに集まる”みてえなこと言ってたな」
『ですが私たちの周りに、そのようなカードを持つ者はいません。これはどういうことなんでしょうか?』
「どうだろうな……もしかしたら身近にいる奴なんだけど、まだ覚醒してないって可能性もあるだろ?」
『そうかもしれませんが……まあ、それも含めて調査しましょう。このことは他の方には?』
「ああ、まだだぜ。鈴仙が妖夢辺りにするとして、霊夢からは俺が連絡しとくよ」
『わかりました。何時ごろ戻られるんですか?』
「ん? 遊矢の診察が終わり次第かな。それまで俺は
『……好奇心は猫を殺しますよ』
「そんな軟じゃねえよ」
それではお気をつけて──その一言を最後に、さとりは電話を切った。
それにしても本当に何も無いな此処。部屋を出てから数分歩いてるけど、何も見つからないし、誰ともすれ違わない。長い廊下が続いているだけ。どうなってんだよ。
「これ、部屋に残って鈴仙とデュエルした方が退屈しなかったか?」
けど、帰ろうにも帰り道なんて覚えてない。結構入り組んだ道を歩いてきたからな。まあ、歩いてればそのうち何とかなるだろ。
風の向くまま気の向くままに歩いてると、少し開けたT字路に出た。鉄格子の向こうでは、何かの工場みたいに機械が運ばれてる。そういえばあのデュエルディスクすごかったな。モンスターが実体化するなんて、幻想郷じゃもちろん、外の世界でもできないぜ。
「何作ってんだ?……ん?」
T字路の右側の通路に誰か座ってるのが見える。俺はその姿に見覚えがあった。あのくすんだ感じの銀髪、薄らと開いた紅い瞳。アイツは──。
「よっ! 何してんだ?」
俺が声をかけて駆け寄ると、ソイツはビクっと肩を震わせてこっちを向いた。その瞳には、涙が溜まってるように見えた。
「あ、貴方はさっきレイセンと一緒にいた……」
「おう、キング。キング・イズ・ナンバーワン。お前は?」
「……ユキ、です」
俺が名乗ると、ユキも服の袖で目元を拭いながら名前を教えてくれた。──なんだろ、別にさっき会ったからとかじゃなくて、コイツの、ユキの容姿に既読感がある。何処かで見たような……。
「何か御用ですか? というかどうしてここに居るんですか? 応接室にいてもらわなきゃ困りますよ」
俺のことを軽く睨みながら話すユキの手には、一枚のカードが握られている。デュエルモンスターズのカードだ。
「おっ! いいカード持ってんな……あっ!」
ひょいっと、ユキ持ってるカードを取り上げてみる。持っていたカードは『幽鬼ウサギ』というカードだった。中々にレアカードだが、踊ら居てるのはそこじゃない。この『幽鬼ウサギ』に、ユキが似すぎていることだ。多分、『幽鬼ウサギ』がもう少し成長すれば、ユキのような見た目になると思う。
「か、返してください! それは大切なカードなんです!!」
ユキは急に立ち上がって、俺からカードを取って行った。
「悪かったな。此処にはデュエルモンスターズないんだから、誰かから貰ったのか?」
「貰った──言うより置いて行った、が正しいですかね」
「置いて行った?」
「……レイセンがいなくなった日、私が訓練から帰ると、私の机に置いてあったんです」
「──なんだ、お前鈴仙と友達だったのか」
「どう……なんでしょう……」
「だって鈴仙がいなくなっても、そのカード大切に持ってたんだろ?」
俺がそう言うと、ユキはまた壁に寄り掛かりながら座り込んで、膝の間に顔を埋めた。
「───」
「どうかしたか?」
「私は……友達というものがどういうものかわかりません。私はレイセンの友達なのでしょうか?」
蚊の鳴くような声。ああ、そういうことか。
「さすがにお前らのことなんて知らねえよ。お前はどう思ってるんだよ」
「私がどう思っていても、レイセンが何も思っていなければ……」
「そんなことどうだっていいんだよ!」
「そんなことって──」
「大事なのは、お前がアイツのことをどう思ってるかだけなんだよ」
「私は……レイセンの友達でありたい……そう思います」
「なら、少なくともお前の中では鈴仙は友達だな」
「なんですかそれ……」
「鈴仙の気持ちなんて本人にしか分からないし、別に相手の了承がなければ友達と思っちゃいけないなんてことはないだろ?」
俺がそう言うと、ユキは「そういうものなのでしょうか……?」と首を傾げた。ここからは本人たちの問題だ。俺が口を出していいものじゃない。それにそういうものは、自分で何とかするから価値があるってものだ。
「どうしてもってんなら、鈴仙に直接聞いてみいろって。まあ、そんなことしなくてもいいと思うけどな。だって──」
俺が最後の一言を言おうとしたその時──ぐらっと、地面が揺れた。そしてさっきまで静かだった廊下にうるさいくらいサイレンが流れ始める。
「な、なんだ!?」
『緊急放送、緊急放送。月の施設に外部から侵入者です。民は誘導に従い避難、玉兎たちはエリアB地区に急行、対処して下さい』
放送の意味はよく解らないけど、さっきまでしょぼくれてたユキの顔に緊張が走ったところから、ヤバい事態だってことは見て取れた。
「そんな……こんな時に……」
「なあ、どうしたんだよ?」
「
T字路の左側を指差して、ユキは反対方向に走り出す。面白そうなことになって来たな……けど、幻想郷じゃないから、デュエルでは解決できないんだよな。ここは黙って非難するか。
「おーい! 最後に!」
「なんですか!」
「──友達は大事にしろよ!」
ユキから言葉が返ってくることはなかった。が、最後にほんの少し微笑んで頷いた。
「頑張れよ」
さて、俺も避難するとするか。鈴仙は大丈夫だろうし、遊矢は豊姫だったがいるから大丈夫だろ。
ユキが走り去っていくのを見守ってから、俺も反対側の通路に向かって走り出す。
「──君は?」
突然の声に足が止まる。声が聞こえたのは俺の後ろ。嘘だろ……ついさっきまで誰もいなかったはずだろ?
恐る恐る振り返ってみると、そこには一人の女の人が立っていた。ユキとは違って純粋な銀髪。背中からは右側だけの翼が生えてる。赤い瞳の無表情な人。
「お、俺か?」
「君は──妖怪?」
「どこからどうみても人間だろ」
俺がそう言うと、ソイツは右手を顎に当てて、「……そうか」と呟き、無表情ながらに笑った。
「今から言うことは嘘八百───汝、
言い終えると、ソイツはこっちに向かって歩いて、俺の目の前で立ち止まった。
「稀神サグメ、私の名だ。案内しよう」
サグメは俺の返事も聞かずに歩き出す。一応付いては行くけど……行先は避難所だよな?
行先を言わないことに若干の不安を抱きながらも、俺はサグメの後を追って行った。
◇◆
重くなった足を引きずるように歩みを進める。はぁ……さすがに一人で数十匹いる妖精の相手をするのは身に余る。既に体力は底を尽きていた。
でも、ここで立ち止まるわけにはいかない。この先に……さっきまでの妖精たちとは別格の力を感じる。他に何も感じれないってことは、待ち構えてるいるのが最後……。
歩みを続けると、ついに施設と月面の境目にたどり着いた。そしてそこには、私が感じていた最後の相手が待ち構えていた。瓦礫に座り、退屈そうに足を組んで。
金髪の長い髪に、ピエロのような帽子を被り、目がチカチカするような服を着ている。彼女も妖精だろうか? 私が近づいて行くと、向こうも私に気づいたようで、他の妖精どうようケタケタと笑い始めた。
「待ってたよ」
「……約束した覚えはないんだけど」
「だって他の兎さん、みんな軟なんだもん。全然面白くない。だからここまで来れる人を待ってたの。そうすれば楽しめそうな人が来てくれるでしょ?」
瓦礫からぴよいっと飛び降りると、私の方を指差す。まるで「遊びましょ」と言っているみたいだ。
「……ん? 腕に付けてるのって。もしかしてデュエルディスク?」
妖精は私のデュエルディスクに気が付いたらしく、興味津々に見てくる。
「月にはデュエルモンスターズないって聞いてたんだけど……いっか、ただ蹴散らすのも飽きちゃったし、兎さんとデュエルするものいいかな」
そう言うと、妖精もデュエルを展開して構える。こちらの土俵で戦ってくれるなら好都合。正直もうダークマター・ドラゴンを維持できるほど体力は残ってない。運が味方をしだした。
「いいよ、デュエルしよう」
「やったー! アタイは地獄の妖精、クラウン・ピース。貴女は?」
「……地上の月兎、鈴仙・優曇華院・イナバよ」
風の吹かないはずの月で、私の髪がふわりっと舞う。
「「──デュエル!!」」
「私の先攻、《真紅眼の翼竜》を召喚!」
レベル4 ATK1800
「さらに手札から《黒鋼竜》のモンスター効果! 自分フィールドのレッドアイズモンスターに装備して、攻撃力を600上げる!」
これで《真紅眼の翼竜》の攻撃力は2400まで上がる。手札的にはもっと展開できるけど、攻撃力2400は下級モンスターじゃ突破できない。これをモンスターで突破してきたら──。
「これでターンエンド」
そう思惑通りに行くとは思わないけど、手札は大事に取っておきたい。
「それじゃ、アタイのターン、ドロー!」
さて、どんな手を打ってくる?
「相手にしかモンスターがいないから、《Emステルス・シューター》を特殊召喚!」
レベル6 ATK2200
「え、Em……!」
思わず拳を強く握り締めた。脳裏に過るのは、あの日の光景と私が知っている《Em》使いの姿。あの時の悔しい気持ちが再び込み上がって来た。あの時の悔しさをバネにして、私は強くなろうって決めたんだ。あの時遊矢と妖夢が私を守ってくれたように。今度は私が大切なものを守って見せる!
「この方法で特殊召喚すると、このターンは通常召喚できなくなっちゃうんだけど……特殊召喚は別だよね! フィールド上にモンスターが2体以上存在するから、手札から《Emハットトリッカー》は特殊召喚できる!」
レベル4 ATK1100
「さらにもう1体、《ハットトリッカー》を特殊召喚!」
これで相手の場にはレベル4のモンスターが二体並んだことになった。あのカテゴリーでエクシーズ召喚するとするなら……あのモンスターしかいない!
「アタイはレベル4の《ハットトリッカー》二体でオーバーレイ! アタイを楽しませる素敵な道化、《Emトラピーズ・マジシャン》をエクシーズ召喚!!」
ランク4 ATK2500
フィールドに現れる見覚えのあるピエロ。まさかこんなところで戦うことになるなんて。しかもその能力は複数回攻撃付与にダメージ遮断。あのときには完全にやられたけど、今回はそうはいかない!
「さっそく効果発動! 《トラピーズ・マジシャン》の効果を使って、《ステルス・シューター》の攻撃を二回に増やしちゃう!
そしてバトル! 《トラピーズ・マジシャン》で《真紅眼の翼竜》を攻撃!」
攻撃力の差は、はずかに100。けど、それだけ差があれば一方的に破壊されてしまう。
「この程度のダメージなら───ッ!」
トラピーズ・マジシャンの一撃で地面が削れて、破片が頬を掠めた。まさかこれは……。
「あ、言い忘れたけど、今の私は友人様の力で最大限までフィールを上げてるから、ダメージを受けるとちょっと痛いかもね」
ちょっとですまないでしょ……原理はわからないけど、あの時みたいに攻撃が実体化してるわけか。それでもデュエルをすることに変わりはない。この手のデュエルは道化師とのデュエル以来だけど、蓮子さんとの特訓でちゃんと対策はしてある!
「この瞬間、手札の《真紅眼の遡刻竜》とフィールドから墓地に送られた《黒鋼竜》のモンスター効果発動! 《黒鋼竜》の効果でデッキから《レッドアイズ》カード──《レッドアイズ・スピリッツ》を手札に加える! そして《真紅眼の遡刻竜》の効果で自身を手札から特殊召喚、そして発動のトリガーになった破壊で破壊されたモンスターを可能な限り同じ形式で特殊召喚する!蘇れ《真紅眼の翼竜》!」
レベル4 DEF1600
レベル4 ATK1800
即席の壁は用意できたけど、効果で特殊召喚した翼竜は攻撃表示。ダメージは避けられないか。
「バトルを続けるよ! 効果で二回攻撃できる《ステルス・シューター》で二体の《真紅眼》に攻撃!」
「ダメージは避けられないけど……!」
相手の攻撃宣下に合わせて、その場から動き始める。このデュエルではライフが0になる前にデュエルが出来なくなったら負けてしまう。できる限り体へのダメージを減らさないと!
ステルス・シューターの攻撃が二体に届き、ライフ減少と共に爆発が起こる。強烈な爆風と周りの瓦礫を巻き込んでこちらに向かってくるが、瓦礫は見切って躱して、爆風は受け身を取ってやり過ごした。
「あははは、これならちょっとは楽しみそう! バトルを終了して、効果を受けた《ステルス・シューター》は破壊。カード一枚伏せてターンを渡すよ」
「私のターン、ドロー!」
相手がモンスターで突破してきたのなら計算通り。そして相手は一度戦ったことのあるカード群。それに……
前のターン取っておいた二枚。これで一気流れを掴む!
「相手にのみモンスターがいることで、手札の《暗黒騎士ガイアロード》は特殊召喚できる!」
レベル7 ATK2300
「さらに《伝説の黒石》を召喚! リリースすることで、デッキからレベル7以下の《レッドアイズ》モンスターを特殊召喚できる! 真紅の瞳を持つ可能性の化身!《真紅眼の黒竜》!!」
レベル7 ATK2400
「攻撃力は《トラピーズ・マジシャン》に劣るけど、レベル7が二体か……」
「レベル7のモンスター二体でオーバーレイ! エクシーズ召喚! 全てを狂わす狂気の瞳《No.11ビッグアイ》!」
ランク7 ATK2600
「やっぱりエクシーズ召喚ね、でもそれは読めてたの。速攻魔法《エクシーズ・オーバーディレイ》を発動! 相手のエクシーズモンスターをエクストラデッキに戻して、素材になってるモンスターをレベルを一つ下げて、守備表示で特殊召喚する!」
場に出たビッグアイは一瞬にして光となって消え、ガイアロードと真紅眼が場に戻る。レベルが一つ下がってしまったことで、ランク7を出すことはできない。守備表示だから次のターンダメージは受けないかもだけど、残り手札は3枚。ライフだって500しか削られてないし、此処は一気に攻める!
「だったらレベル6のモンスター二体でオーバーレイ!」
「うそ!? ランク6も入ってるの!?」
「エクシーズ召喚! ランク6《聖刻龍王-アトゥムス》!」
ランク6 DEF2100
「確かそのモンスターは……」
「そう!《聖刻龍王-アトゥムス》は、一ターンに一度エクシーズ素材を使うことで、デッキから仲間を呼ぶ! 特殊召喚するのは──《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》!!」
レベル10 DEF2400
「この効果で呼び出されたドラゴンの攻撃力・守備力は0になる……けど、《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》もまた仲間を呼ぶ能力がある! 墓地より蘇れ、可能性の化身!《真紅眼の黒竜》!!」
レベル7 ATK2400
「まだよ! 魔法カード《ドラゴニック・タクティクス》発動! 自分フィールのドラゴン族モンスター二体をリリースし、デッキからレベル8のドラゴン族モンスターを特殊召喚する! 《ダークネスメタルドラゴン》と《アトゥムス》をリリース!」
そっと胸に手を当てる。──蓮子さん、一緒に戦ってください!
「逆巻く銀河よ! 黒天に輝く星となれ! 光の化身、ここに降臨! 《
レベル8 ATK3000
黒い宇宙に現れた銀河眼は、いつにも増して美しく、その体を水色に輝かせていた。もしかして故郷に帰ってきて喜んでるのかな……なんて思ったり。確かにここにあまりいい思い出はないけど、それでも大切な故郷。守らなきゃ、私の手で。
「バトル! 《
「え!? 除外!? それじゃ《トラピーズ・マジシャン》の効果使えないじゃん!」
銀河眼がトラピーズ・マジシャンをとらえて、共に光となって消える。これで相手にダイレクトアタックを決められる!
「放て! ダークネス・メガフレア!」
真紅眼が放った攻撃は、相手のライフを2400削り、残りを5600とした。
けど、クラウン・ピースは特に変わった様子もなくピンピンしている。やはり実体化しているのは相手の攻撃だけみたい。全然フェアじゃないけど、このデュエル乗り切って見せる。
「バトルが終了して、除外されていたモンスターがフィールドに戻る」
散っていった光が再び集まりだし、
「《
これで
「カードを一枚伏せてターンエンド。そしてエンドフェイズに速攻魔法《超再生能力》を発動! このターン”捨てた”または”リリース”したドラゴン族モンスターの数だけエンドフェイズにドローできる! リリースしたのは《ダークネスメタルドラゴン》と《アトゥムス》の二体よって二枚ドロー!」
新たに手札に加わった二枚のカード。一枚はモンスターカード、二枚目は……しめた!
「さらに二枚目の《超再生能力》を発動! まだ私のエンドフェイズだから、さっき同様に二枚ドロー!」
「好き放題やってくれちゃって! アタイのターン、ドロー!」
クラウン・ピースのフィールドには素材のないトラピーズ・マジシャンが一体だけ。手札は3枚……戦闘では無敵の
「魔法カード《おろかな埋葬》を発動! デッキからモンスターを墓地に送る! 私が送るのは──《Emトリック・クラウン》!」
「そ、そのカードは……!」
「このカードは墓地に送られた場合、一ターンに一度だけ墓地の《Em》を攻撃力・守備力を0にして特殊召喚できる! 《トリック・クラウン》復活!」
レベル4 ATK0
現れたボールの上で逆立ちをするピエロ。あのモンスターにも苦渋を飲まさせたのをよく覚えている。しかも”特殊召喚した後に1000ポイントのダメージを受ける”っていう効果はトラピーズ・マジシャンの”自身の攻撃力以下のダメージは受けない”効果によって0になってるし。嫌な組み合わせが揃ってしまった。
「手札からは《Emミラー・コンダクター》を通常召喚!」
レベル4 ATK600
「初めて見るモンスター……一体どんな効果が……」
「今見せてあげる! 《ミラー・コンダクター》の効果! 一ターンに一度、相手モンスター一体の攻撃力・守備力をターン終了まで入れ替える! 入れ替えるのは《真紅眼の黒竜》! この後500ポイントダメージを受けるんだけど……トラピいるから関係ないよね!」
「これで《真紅眼》は攻撃力2000になったけど、《
「そんなことないもんね! 光属性のトリクラとミラコンでオーバーレイ! ランク4《輝光子パラディオス》をエクシーズ召喚!」
ランク4 ATK2000
「《輝光子パラディオス》はエクシーズ素材を二つ使うことで、相手フィールドのモンスター一体の効果を無効、さらに攻撃力を0にすることができる!」
パラディオスの効果が発動、その剣を振るう。剣からは光の斬撃が発生し、
「バトル!《トラピーズ・マジシャン》で《真紅眼の黒竜》に! 《パラディオス》で《
二体の戦闘ダメージの合計は───2500。さっきの500ダメージでもあの衝撃だ。2500ものダメージを受けたら……正直考えたくない。早く躱さなきゃ──。
「逃がさない! これでノックアウトだ!」
クラウン・ピースの声が私に届くと同時に、モンスターの攻撃で真紅眼と
「───がはっ!」
意識が飛びそうになる。あの時以来の激痛。これまでの疲労と重なって、体は操り人形の糸が切れたかのように、その場に崩れ落ち──
「───まだだ!」
──そうになったところギリギリ踏み止まる。
堪えはしたが、体は限界に近い。膝もガタガタ言ってしまっていて立っているのがやっとの状態───でも……!
大好きで、大切で、守りたい人がいる。
何にもなかった私に、守るための強さを教えてくれた人、自分の信念を貫き通すために手を貸してくれた人がいる。たくさんの出会いの中で私は強くなったんだ。でも、まだ足りない。大切な人たちと肩を並べていたい。お互いに背中を任せられる関係になりたい。そのために強くなるって誓ったんだ。
「おっ、まだ動ける? OK! OK! そっちの方が楽しめるもん! ターンエンド!」
このデッキの仲間たちと……遊矢たちと一緒に、大好きなデュエルモンスターズ強くなるんだ。
「私のターン!!」
───どこまでだって!