ヒナの兄はG3になりたい   作:曽流斗

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万魔殿の水着イベントや本編でゲヘナの話が出るらしいので慌てて書いたやつ
便利屋との会話で筆が進みすぎていつもの2倍近い文字数になっちゃった


今やってるブルアカの万魔殿のイベスト、この二次創作の状態で始まった場合だと……
マコト「旅行の企画進行としてクルーズ船を買ったが小さい船だし遭難したぞ!」
ジョウ「……」『インパクト!』
という感じで遭難1日目でインパクトカプセムを使い、泳いで船を押して港に戻って終わりです。


サツキ「風紀委員会が大規模な部隊を編成してアビドスに向かったわよ」
ジョウ「そうか。今日はそいつらと実践演習してくるわ」
サツキ「え?今日のお仕事はどうするの?」
ジョウ「明日やる」
サツキ「」



A06話.アウトローとは何か

 

 

「提案?ふざけるな!!!それはもう……!!」

「まあまあ、落ち着いてください」

「……!?」

「……お気に入りの映画の台詞がありましてね。今回はそれを引用してみましょう」

 

奴は徐にデスクの下へ行き、ゆっくりと座り、腕を組む。

何を提案しようとしても絶対に拒んでやる。

 

「あなたに、決して拒めないであろう提案を()()()。興味深い話だと思いますので、どうかご清聴ください」

 

「ククッ、クックックックッ……」

 

 

────── ────── ──────

 

 

ミレニアムにG3を預けた翌日の朝。

 

自宅の前に自分とほぼ同じサイズの箱が届けられたので、まさかと思って自室に運び開封してみれば……

 

「1日どころか半日で終わらせてるじゃん……」

 

そこにはピッカピカに仕上げられたG3が展示されていた。

カッコ良すぎてこのまま展示したいんだが!

……写真撮ってエンジニア部に届いたって連絡しとこう。

 

というわけで写真映えしそうな位置で撮りましてモモトークに送信しましt……って早!もう返信が来たんだけど!?

 

「えーと、なになに……?[説明しましょう!]は省略して*1……発注した機能は全部搭載できてて、重量も以前とほとんど変わらず、追加で取り付けた機能もある……と。[興が乗ったから徹夜して終わらせたよ。詳しくは発注したものも含めて一緒に送った説明書に書かれている]……これか」

 

G3の足元に固定されていたファイルを取り出して確認すると、モモトークに書かれていたことに加えて、こう書かれていた。

 

[エンブレムを3回連続で叩くと自爆する機能を搭載しました]

 

「ふざけんなッ!」バシーンッ

 

思わず説明書を床に叩きつけてしまった。

アイツらならやりかねないけど、本当にやる馬鹿がどこにいる!?居たわミレニアムに!!

 

「しょうがない。取り除くか……」

 

ミレニアム式の工作は得意じゃないが、やるしかないか。誤って味方ごと爆発したら困るしな。

そう思い行動しようとすると、部屋のドアが開かれた。

 

「おはよう。騒がしいけど、どうしたの?」

 

そう言いながら自室に入ってきたのは我が愛しの妹、ヒナちゃん*2だった。

いつも見てるけど制服姿も可愛いな、おい。

 

「おはようヒナちゃん。さっきミレニアムから頼んでた物が届いてな、それが自爆機能付きだった……」

「えぇ……」

 

口角を痙攣させて軽く引いているご様子。

それも可愛い。

 

「とりあえず外しておくから安心してくれ」

「そう。じゃあ私、出張があるから行ってくるわね」

「ああ、行ってらっしゃい」

「行ってきます」

 

その言葉を最後にヒナちゃんは家から出ていった。

……やるか。

 

 

────── ────── ──────

 

 

ドンテンカーンドンテンカーンとG3の改造を終えて時間は午後になる少し前。

 

以前、先生の捜索に使っていたドローンでG3の装備一式を運んでやって来ました。アビドスの柴関ラーメン!……の奥のテーブル席!

ここに来たのは他でもない。近いうちに便利屋68によって爆破されるこの店を守るためなのだ。

おのれ陸八魔アル!罪も無い一般人を狙いおって……許さん!

 

実行犯は彼女じゃなくてハルカなんだけど、事の発端はアルなので間違ってはいないよな。うん。

 

「はいよ!柴関ラーメン大盛り、炙りチャーシュー乗せお待ち!」

「お、来た来た。いただきます」

 

うめ…うめ…うめ…

若い体ってホント最高。

おじさんになると肉の脂身とかがあまり食べられなくなるからな……。

 

「いつもながら良い食いっぷりだねえ。見てて嬉しくなるよ」

「そりゃあ大将のラーメンが最高だからだよ」

「嬉しいこと言ってくれるねえ!サービスの煮卵だ。食っときな!」

「サンキュー大将!」

 

あ゛〜……ここで飯を食うだけでもアビドスに来る価値があるわ〜!

 

ガララッ

「大将、4人でお願いするわ」

「あいよ!空いてる席ならどこでも座っていいからな!」

 

店のドアが開けられる音と共にアルたちの声が聞こえて来る。

彼女たちが来るのは今日だと思ってはいたが、当たったようだ。

……ごちそうさまでした。

 

「よっと!アルちゃん、今日はなに頼んじゃう?」

「といっても、依頼は終わってないから贅沢はできないけどね」

「わ、私は食べなくても平気ですので……」

「ハルカもちゃんと食べなさい。でも、そうね……。カヨコの言う通り依頼は終わっていないのだから、あまりお金は使えないわね。でも景気付けはしなくちゃだし……大将、柴関ラーメン4人前をお願いするわ」

「あいよ!柴関ラーメン4杯ね!」

 

どうやら隣のテーブル席に座ったようだ。

さて……。

 

「よっ。久しぶりだな」

「ありゃ、議長じゃーん。奇遇だね〜」

「ええっ!?なんでいるのよ!!?」

「そりゃあ、ここの常連だからな」

「い、意外ね。分厚い高級ステーキをナイフも使わずに食べる人だと思ってたわ」

「どんなイメージだよ……。あのな、10万するマグロの刺身だの、100g1万の高級肉だの何だの高えモンはあらかた食ったけど…こういった親しみのある店の580円のラーメンがいちばんうめぇ。金ってのは一体何なんだろうな」

「急に何を言ってるの、この人……」

 

すまないなカヨコ。ここのラーメンが凄く美味いから佐川構文*3みたいなのが出ちゃうんだよ。

あ、厨房で柴大将が照れてる。

 

「それで、何の用なのよ?」

「先日の依頼の報告をまだ受けてなかったからな。ここでよかったら聞くか書類を受け取ろうと思って話しかけた。お前たちのことだ。できてるんだろ、報告書?」

「……当たっているわ。よく分かったわね」

「え〜。議長ったらストーカーでもしてたー?ムツキちゃんこわ〜い」

 

戦慄するアルと、怖いと言って彼女にしな垂れ掛かるムツキ。それとこっち未だに警戒しているカヨコ。

ハルカ?ただじっとこっちを見てて怖い。

 

「違う違う。ただ、陸八魔アルという生徒を信頼しているだけだ。ゲヘナで企業なんて、お前じゃなきゃやらないよ」

「それは言えてるかも」

「カヨコ!?」

「それがアルちゃんだからね〜」

「ムツキ!?」

「私は……アル様に付いて行くだけですので……」

「ハルカぁ……!」

「慕われてるねぇ」

 

俺もこの立場じゃなければ便利屋に入りたかったよ。

ゲヘナの生徒らしくない考えだし言わないけれどな。

 

「うるさいわね!ほら、これが報告書!受け取りなさい!!」

「サンキュー」

 

アルから渡された封筒を開けて中を見ると、たしかにアビドス生徒たちの調査報告が記載されていた。

お、依頼で伝えてなかった先生の報告もあるじゃん。やるねー。

報告書の出来も良いし、これは高評価だぞ。

 

「うん。上出来だな。……よし、報酬の話といこうか。いくら欲しい?」

「そうね……。五十はどうかしら?」

 

そう言ってアルはドヤ顔で指を5本立てて見せてきた。

だが、()()()()()()()でいいのか。

 

「分かった。まずは、最初に提示していたお前の口座に入っていたものと同額の金。そして……」

 

懐から1つの封筒を出し、続いて札束が詰まった2つの封筒を出す。

 

「これが追加報酬の二百だ」

「へ?」

 

便利屋の前には口座の金に加えて二百の札束が置かれているが、アルは動かない。

 

「ひゅー⭐︎偉い人から金をふんだくるなんて、アルちゃんってば極悪人だねー!」

「ち、違うわよ!そう言う意味じゃなくって……!」

「なんだ?弾薬や爆弾の費用と危険手当で1人頭五十って話じゃなかったのか?報告書の出来も良かったし、それぐらい出しても良いと思ったんだが」

 

ムツキに茶化されてようやく動いたアルが、俺の出した金額が多すぎると言う。

そんなことは……あるんだよなぁ!

 

推しに大量の金を貢いで慌てふためく様は見てて楽しい!

 

「はあ……。その金は素直に受け取った方がいいと思うよ。それで社長が慌てるのを楽しんでるみたいだし」

「バレたか」

「なっ……!ちょ、ちょっと、あなたねぇ!?」

「まぁまぁ。報告書の出来が良かったのも事実だし、多いと思ったのなら。残りはお前たち便利屋への先行投資だとでも思っといてくれ。敢えて言うなら、秘密の支援者……みたいな?」

 

からかわれて顔を赤くするアルにそう言うと、何かの琴線に触れたのか少し考えるそぶりを見せた。

 

「……秘密の支援者……悪くない響きね。いいわ、このお金は受け取ってあげる。私たち便利屋68を今後ともご贔屓にね」

「おう!」

 

なんてやり取りをしている間に便利屋の分のラーメンができたのか、柴大将が丼を4つ持ってきた。

 

「柴関ラーメン4人前、お待ち!」

「来たあ!!いただきまーす!」

「……話を聞いちまって悪いが、金は天下の回り物だ。使って世の中を回すのも良いが、使いすぎて困らないように気をつけな」

 

派手に金を使ってるように見えたのか、人生の先輩は俺に……いや、この場にいる全員に向けて注意を促してくる。

金なんて貯めておくに越したことはないし、心に留めておこう。

 

「そうだな、気をつけるよ。じゃ、後はごゆっくりー。大将、アイスを1つ頼むよ」

「あいよ!ちょっと待ってな。……しかし嬢ちゃんたち、アビドスさんとこのお友だちだと思ったら、そこのお兄さんとも友だちだったんだな。替え玉が欲しけりゃ言いな。サービスするからよ」

「……!?」

 

大将に追加の注文をして元いた席に座り直すと、今度は便利屋たちに向かって話しかけてきた。

 

……おや!?

アルの様子が……!

 

……準備しておくか。

 

そろそろ柴関を爆破させられそうなので、懐から()()()()()()()()()()()()U()S()B()()()()()()()()()()を取り出す。

 

「友だちなんかじゃないわよぉーーーー!!」ダンッ!

「わわっ!?」

「わかった!!何が引っかかってたかわかったわ!問題はこの店、この店よっ!!」

「!?」

「どゆこと!?」

 

柴大将も困惑している様子。

そりゃそうだ。友だち発言をした途端に癇癪を起こされるなんて予想できないだろう。

 

「私たちは仕事しにこの辺りに来てるの!ハードボイルドに!!アウトローっぽく!!なのに何なのよ、この店は!お腹いっぱい食べられるし!あったかくて親切で!話しかけてくれて、和気あいあいで、ほんわかしたこの雰囲気!

 

ここにいると、みんな仲良しになっちゃう気がするのよ!!

 

「それに何か問題ある?」

 

ムツキが冷静にツッコむが、問題ないと思う。

正義のアウトロー*4を知っているからそう思うだけかもしれないけど。

 

「ダメでしょ!!メチャクチャでグダグダよ!私が一人前の悪党になるには、こんな店は要らないのよっ!!」

 

私に必要なのは冷酷さと無慈悲さと非情さなの!こんなほっこり感じゃない!!」

「いや、それは考えすぎなんじゃ……」

「……。それって……こんなお店はぶっ壊してしまおうってことですよね、アル様?」

「……へ?」

 

ハルカが何かを取り出したようだ。

こっちも動こうか。

 

黒いガラケーにUSBメモリっぽい物を装填する。

 

『スタッグ』

 

「良かった、ついにアル様のお力になれます」

「起爆装置?なんでそれを……」

「ハルカ、ちょ、ちょっと待っ……」

 

もうおそい!脱出不可能よッ!

……じゃなくて、カヨコが止める間もなく起爆装置のボタンが押されようとした時、何かが飛来して装置を奪われる。

 

「えっ!?」

「なになに!?どゆことっ!?」

「……もしかして」

 

カヨコがこちらを確かめるように見ると、そこには起爆装置と、それを鋏で挟んだクワガタらしき物体、スタッグフォン*5がそこにあった。こんなこともあろうかと、作ってましたメモリガジェット!

そう。これをハルカの手元に飛ばし、装置を奪い取ってもらったのだ。

 

「か、返してください!」

 

遅れてハルカが俺を見て返せと言い、襲ってきた。

スタッグフォンから装置を受け取り、彼女の銃の射線を俺から逸らしてもらう。

 

「じゃ、邪魔です!消えてください!」

「アル!!ハルカを止めてくれ!」

「……はっ!わ、わかったわ。ハルカ、やめなさい!」

「……えっ。あ、はい……。アル様がそう仰るのでしたら……」

 

困惑して硬直していたアルに頼み、彼女の指示で止まったハルカを見て安堵する一同。これで、この店が便利屋に爆破されずに済んだかな。

 

「よく分からないが、助かったよ」

「どういたしまして。大将、アイスを出すのは一仕事終えてからでいいかな?」

「それは構わないが……一仕事?」

 

止められたのはハルカの手によっての破壊のみだ。

まだ、ここが破壊される可能性が残っている。

 

さっきから「私なんかがでしゃばってごめんなさい」とハルカに謝罪されているアルに顔を向ける。

 

「陸八魔アル。依頼がある」

「依頼?急になによ?」

「少し気まずいことは承知の上だが、ここと柴大将を守ってもらいたい」

「……何があったの?」

「鋭いなカヨコ。さっき情報部から連絡があってな、ここに風紀委員会がくることが分かった」

 

半分嘘だが。

実際には「アビドスに向けて出陣した」とだけ連絡を受けて、アビドスのどこに向かったかまでは判明していない。

だが原作を知っている俺は、便利屋68を狙うという建前で先生を独占しようとしていることを知っている。

 

「風紀委員がここに来るの!?大変じゃない!!」

「だったら逃げちゃおうか」

「そうだね。見つかる前にここを出ないと……」

「そ、そうね。早くしないと見つかっちゃうわ」

 

俺の権力があったら風紀委員会を止められるし、別に逃げてもらってもいいんだけどな。

ほら、さっきのいざこざを見ちゃうとさ……。

 

「別にそれでも構わないが、それでいいのか?」

「なんですって?」

「またこの流れか……」

「察しているだろうが、お前たちは柴大将に散々世話になっている。なのに、だ。恩を仇で返すように、さっきはこの店を爆破しようとした。その上おめおめと尻尾を巻いて逃げようだなんて、お前の目指すアウトローって、そんなに恥ずかしいものなのか?」

「なっ……!?」

「俺の知るアウトローっていうのはな、目には目を、歯には歯を。無慈悲に、孤高に、我が道の如く魔境を行く。法に囚われない正義のアウトローってやつなんだよ」*6

「そ、それってもしかして……!」

 

覆面水着団が今のと同じこと言ってたんだっけかな。そこら辺はうろ覚えだけど、このまま言い切ってしまうか。

 

「お前もそういったものに憧れたはずだ。なのになんだ、その様は!そんな体たらくで奴らに顔向けできるのか?」

「……いえ」

「恩義から目を背き、逃げたままで満足か?」

「いいえ!」

「だったら、強大な敵からここを守り抜き、汚名を(そそ)ぎ、恩に報いてみせろ!」

 

「巨大な敵筆頭の万魔殿の議長がなにか言ってるー」

「しっ、聞こえたら面倒くさいことになるよ」

 

なんか聞こえるが気のせいにしておこう。

 

「分かったわよ。やってやろうじゃない!」

「それでこそ陸八魔アルだ。ここのことは頼んだぞ!」

「任せてちょうだい。ここには傷ひとつ付けさせないわ!」

「よし。じゃあ柴大将、少し外に出てくる。すぐに戻ってくるからな」

「あ、ああ……気ぃつけてな」

 

なんか変な空気になったが、これで柴関に対する便利屋の問題は済んだはずだし、風紀委員会に専念するぞ。

 

 

────── ────── ──────

 

 

「ところで社長、報酬の件はどうなったの?」

「あっ……!」

 

 

*1
そんなー!?

*2
ゲヘナ学園3年の空崎ヒナ。『風紀委員会』所属で風紀委員長の座についている。今作では主人公の妹

*3
『龍が如く0』の登場人物、『佐川司』の言った台詞が聞いた人の心に残ったのかミーム化したやつ

*4
快盗戦隊ルパンレンジャー。大切な人を取り戻す代わりにルパンコレクションという宝を全て回収する戦いに身を投じる。

*5
黒いガラケー型のアイテム。USBメモリ型のアイテム、ギジメモリを装填することでクワガタの形をしたライブモードに変形可能。

*6
アビドス高校の生徒が変装した覆面水着団……ではなくルパンレンジャーのこと





空崎ヒナの身長が睡眠不足と栄養不足によるものの可能性があるという情報が出てきたので、今作のヒナの身長に関して新しくアンケートを取ってみます。
ちなみに身長が伸びても165センチまでです。

次回の更新は2週間後の8月16日の予定となります。
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