ヒナの兄はG3になりたい   作:曽流斗

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この話はオリジナルフォーム有りとなります。
苦手な方は次の話から読むことをお勧めします。

大変申し訳ないのですが……この話の投稿時点ではオリジナル無しがまだ書き終わってません。
なので、日曜の8時30分頃に投稿できない可能性が極めて高いです……
その場合、10月3日か4日のどちらかに投稿すると思います。

本当に申し訳ありません。


でも高評価、お気に入り登録、しおり、感想お願いします!(強欲



※A11話.超変身

 

 

ホシノと向き合い、構えを取る。

 

「その変なポーズはなに?」

「変なポーズって……酷いなぁ」

 

左手の甲が下向きになるように拳を作り、それをGバックルの左側に乗せるような形で置き、右腕は左斜め前に伸ばし、右手を小指と薬指だけ半分折り曲げ、残りの指はピンと伸ばしている。

 

構えるといっても、銃や警棒を構えているのではない。

 

俺はこれから、『子供の頃の妄想』を実現する。

見る人が見たら解釈違いだと罵るかもしれない。でもさ、ヒーローに憧れた少年ならやってみたいじゃん。『自分だけのヒーロー』ってやつをさ。

本家の設定にも無かった。妄想だけに留められた、俺のG3の、俺だけの姿。

 

ドックン……ドックン……

 

緊張のせいか、心臓が高鳴る。

ホシノからの重圧なのか、動きが重く感じる。

 

「やるなら早くやってよ。私も暇じゃないんだからさ」

「まぁ、見てろって。俺の……」

 

 

 

これが俺の、使えなくなった神秘解放の代わりになる……

 

 

 

「超変身ッ!!」

 

 

 

Gバックル左側の上部にあったボタン。右手でそれを左手ごと押し込み、両腕を広げた。

 

 

────── ────── ──────

 

 

熱した鉄が擦れたような音。

水が穏やかに流れるような落ち着く音。

 

2つの音が同時に彼のベルトから鳴り響く。

 

その音と共に、装甲を纏った彼の胸部と腹部が、銀色から燃えるような赤へと変わっていく。

同時に、目もオレンジ色から赤色に変わった。

 

「なにそれ?」

「お前にとっての『神秘解放』のようなもの。俺のとっては……夢の実現だ」

 

そこにいたのは、黒いスーツを身に付け、その上に赤と青の装甲を纏った異色の戦士だった。

 

彼の元に、1メートルくらいの棒を持ったドローンがやって来た。ドローンから棒を取って前に掲げると、両端が伸びて2メートルくらいになって、物干し竿と言っても差し支えの無いような長棒になった。

 

「この姿といえば、やっぱりこれだよな」

「銃は持たなくていいの?」

「持たなくていい。今の俺にはこれが合ってる」

 

使い心地を確かめるように軽く回した後、脇に挟んで構える。

 

「さぁ、やろうか」

「いいね。今度は飛ばされないようにしてよ……ねっ!!」

 

色が変わっただけのハッタリなのか、それとも本当に強くなったのか……確かめるためにさっきと同じように走って蹴る。

 

ガキンッ

 

「言っただろ。神秘解放のようなものだって」

「どうやら、そうみたいだね」

 

悠々と持ってる長棒で止められ、反撃とばかりに頭に叩きつけようとしてくる。

それを避けて撃とうと───

 

ドゴンッ

 

───したけど、足元からの衝撃で照準がブレ、まともに撃つのは困難と判断して後ろに下がった。

 

さっきの蹴りを余裕で持ち堪えたことといい、力強くなってるらしい。

1発でもまともに当たったら、更に固くなった今の私でも大ダメージになるかもしれない。

 

「だったら……!」

 

速さで勝負に挑む。

そのために真っ直ぐに、左右に、後ろにジグザグと走ってフェイントをかけながら近づく。

 

「そこ!」ダンッ

 

声を上げて撃つことで、こっちに反応させて隙を作る。……長棒を扇風機みたいに回して銃弾を弾いてたけど、人間業じゃないよね、アレ。

 

……とにかく隙を作った。彼の後ろに回り込んで、死角から全力で右足を軸にした回し蹴りを……放つ!

 

「ごふッ!」

 

決まった。

いくら頑丈な装甲でも、少なくないダメージは入っただろう。

……ゾワッ

 

嫌な予感がして、すぐに軸足だった右足を使い、彼を足場にして勢いよく離れた。

 

その瞬間

 

私の足を掴もうとした手が空振りしたのが見えたと思ったら、今度は長棒が私の足を掠った。

 

「チッ……捕まえられなかったか」

「そう何度も罠に嵌るようなバカじゃないよ」

「途中まで引っ掛かってた癖に」

「……バレてたか」

 

やっぱり罠だったようだ。

 

どれだけダメージを与えられるか分からない以上、足を掴まれたら手持ちの武器で対処できないかもしれなかったから、助かった。

それに、ユメ先輩の盾*1も無事じゃ済まなかっただろうし……。

 

「流石にずっと受け身じゃ通じないだろうし、今度はこっちから」

 

 

 

いつの前にか目の前にいた彼は長棒を横薙ぎの姿勢でそのまま

「攻めるわ」

薙ぎ払われ、今度は私がペットボトルのように吹き飛ばされた。

 

速すぎる……っ!

 

咄嗟に盾で防いだけど、衝撃に耐えきれず2度3度跳ねて回り、ようやく着地できた。

 

なんだ今のは。

力だけじゃなく速さも増してて対処するのが難しいじゃないか。

 

そんなことを考えながら一息つこうとするけど、その余裕を作らないようにする為か、彼が追撃しようと向かってくるのが見えた。

慌ててショットガンで牽制する。

 

今度は横か後ろに動いて避けるか、また長棒を回して弾くかのどちらかだろう。

そう思ってたんだけど……

 

彼、高く跳んで片足で蹴る姿勢のまま、こっちに迫ってきた……。

 

「あはは……さすがに予想外だよ」

 

なんか蹴る方の足裏が赤くなってる気がするし……。

 

ショットガンで迎え撃ちたいけど、弾切れで撃てない。

胸元の拳銃だと威力が不足してるし時間が無い。

あの速さだから、避けても長棒で追撃をしてきて、その後の攻撃もしてくると容易に想像できる。

 

だったら、盾で防ぐか、弾くか、受け流すしかないか。

 

このタイミングであの妙な蹴りをするってことは、よほど威力に自信があるのかもしれない。

正直言って対処できるか不安だ。

でも……

 

「やるしかない……!」

 

覚悟を決め、盾を構える。

 

「オラァッ!」

 

盾と彼の蹴りがぶつかり合った。

 

ミシッミシッ……

「っ……!」

 

その音は盾なのか、それとも支えている私の腕なのか、嫌な音が聞こえた。

 

すぐにでも行動に移さないと持ち堪えられないのは分かった。

 

「……はぁっ!!!」

「なッ!?」

 

押し負けないように気をつけて後ろへと弾いた。

大きな音と衝撃が体を揺らす。

その発生源を見ると、これまた大きな足跡を残した彼がいて、更なる攻撃を仕掛けようとしていた。

 

「もう……しつこいなぁ!」

「悪いな。力と速さが自慢なんだ」

 

腿、顎、胴の順に狙った棒術を盾や銃で防ぐも、今度は低く構えて長棒での足払いをしてきた。

 

「だったら逃げればいいのに……ねっ!」

「……だったらそうする」

 

それを足を軽く上げて避け、お返しに盾を前に出して当てようとするも、バックステップで避けられてしまい、そのままどこかへと消えていった。

 

「なんてな」

 

その言葉を残して……。

 

どういうこと……?

 

……今のうちにショットガンのリロードをして、それから探そう。

 

「どこに行ったんだろう」

 

物陰に隠れ、更に盾で体がなるべく隠れるように置いて、リロードしながら思案する。

 

今までの土地の使用料と称してお金を払ってきた彼は、妙な所で律儀な奴だと思っている。

そんな彼が全力で抵抗すると言ったのだ。だったら、さっきの言葉通りに逃げた可能性は低いはず。

それに……本当に逃げるのなら、逃げると言ったすぐ後に「なんてな」なんて言葉を出さないはずだ。

ここは襲ってくることに備え、警戒するのが得策だ。

 

そうして、リロードを終え、捜索のために物陰から身を乗り出そうとした瞬間。

 

 

 

「超変身」

 

 

 

風は吹いていないのに、どこからか風が吹き荒ぶような音が聞こえて来た気がした。

 

「……え?」

 

その直後、足元を銃弾が貫通した。

当たったとか弾けたとかではない。文字通り『貫通』したのだ。

 

私は狙撃されたのだろう。

急いで体を引っ込め、貫通して弾が埋まっている穴を見る。

 

「穴の貫通してる角度が水平に近いから……あの遠いビルから撃ったのかな」

 

遠くから撃っても地面が弾けず、弾が埋まっている穴の状態から狙撃したポイントと威力を考える。

 

500メートルくらい離れた、あのビルから撃ったのだろう。

そして地面の状態から、とてつもない威力を秘めた銃か、それを可能にした銃弾を使用している。

 

物陰から手鏡を出し、当たりを付けたビルを見ると……輪郭は同じだけど、今度は赤と青の色を全部緑色に変えた彼がいた。いや、よく見ると右肩だけが黒い……のかな?

その彼が、先日に見たボウガンのような銃を構えていた。

 

パリンッ

 

なるほど、姿を変えたから武器も替えたといったところか。

手から消えた鏡だった物を見て、理解する。

となれば、銃撃戦のセオリー通りに物陰に隠れながら接近すれば、良くも悪くも状況は変わるだろう。

 

そう思ったのも束の間。頭の横から石が擦れるような音と、地面に何かが刺さった音がほぼ同時に聞こえた。

 

……そうだよね。あんな貫通力を持ってるんだから、やろうと思えば物陰もお構い無しに撃てるよね。

 

迷ってる時間は無い。

神秘解放による一時的な強化。その制限時間と、じってしている『私』という的に銃弾が撃ち込まれるまでの時間……その2つの意味でだ。

 

……よし、行こう。

意を決して、着弾の音と同時に彼の元へと向かう。

 

残り400メートル

私が物陰から時々姿を表してるからか、撃ってくる頻度が増えてきた。

 

残り300メートル

発煙弾で姿を見えなくして、その隙に近づく。

 

残り200メートル

撃ってくる頻度がかなり増えた。1度だけ盾で弾いたけど、大きな傷ができたから壊されないように物陰に置いておく。盾の役割を捨てちゃってるけど、大事な物だからね。

 

残り100メートル

神秘解放の制限時間もかなり迫っている。時間をかけないためにも、この先は避けながら進むしかない。幸い、向こうの弾速に慣れてきたからできるだろう。

 

残り50……

あと少し。でも、嫌な予感がする。

そう思った矢先、電子機器がショートしたようなバチバチとした音が彼のいる方向から聞こえてきた。

 

「はは……嘘だよね……?」

 

上を見れば、さっきまで1発ずつしか撃ってこなかった銃弾のの雨あられ。慣れていても目で追うのがやっとの銃弾を、そんなに撃つなんて反則じゃないかな……?

 

とにかく……アレに当たるのはマズいのは分かるから、必死に避けて物陰で煙幕を張った。

これで被弾しにくくなったはず。

なのに、嫌な予感がまだ消えない。

 

それでも少しでも落ち着こうと息を整えようとしたのは間違いだったのかもしれない。

 

左腕とお腹の2ヶ所に、貫かれるような鋭い衝撃が走った。

 

「ぎ……ぃ……っ!!」

 

こっちの姿が全く見えないはずなのに撃たれた。当てずっぽうで乱射したのかと周りを見ても、さっきの弾痕しか無かった。

 

「まだ本気を出してなかったか〜……」

 

2発だけ撃って正確に私に当てたこと。そして赤と青の姿と違って、緑色の姿はそれができるということが分かった。

今までのはボウガンの試し撃ちか、手加減されていたんだろう。

 

もしかたら、向(・)こ(・)う(・)に(・)も(・)時(・)間(・)が(・)無(・)い(・)のかもしれない……。

 

「いいよ。行ってあげる」

 

痛みで震える左腕とお腹を見ると、相当な威力だったと証明するように青い痣ができていた。

なるほど、さっきの長棒もまともに当たればこうなっていたのか。

 

自分の体を対価に得た情報を無駄にしないために、この先は1発も当たらずに近づくしかない。

 

意を決して煙幕から出る。

激しく降り注ぐ弾雨を辛うじて躱し続け、ビルの壁を走り、跳ねる。

 

残り50メートル……30、20、10……!

 

屋上に届いた。

着地の間際に周りを見ると、いつか見たボウガンのような銃を構えているジョウがいた。

 

そして、着地の瞬間に迫る銃弾。

私に向けてのものじゃないという慢心から見逃していた、自分の武器に向けての1撃。

 

ガキンッ

カラララ……カンッ

 

「あ」

 

弾かれ、屋上の端に当たって止まったショットガンは取りに行く余裕が無い。

このまま行くしか……ないっ!

 

赤と青の姿のような速さが無いことに賭けて走り出す。

 

それが功を成したのか、彼は後退しながら撃ちつづけるだけで、さっきのようなスピードで走ることは無かった。

 

「あと、少し……!」

 

残った拳銃、そして手榴弾で牽制して近づき、ようやく……

 

「この距離ならボウガンは撃てないね」

「……そうだな」

 

彼の目の前に立てた。

 

ガシャンッ

 

まだ使える右手で彼のボウガンを落とさせ、構え直した拳銃を突き付ける。

 

「私の勝ち。拘束するために1回気絶してもらうから、おとなしくしててね」

 

そして引き金を引き───

 

 

 

「超変身」

 

 

 

銃弾は確かに命中したのに、彼の紫色になった装甲には傷ひとつ付かなかった。

 

「……まだあったんだ、変色」

「超変身だ。厄介だろ?」

「たしかに、その通───

 

 

────── ────── ──────

 

 

───がっ!!?」

 

胸と背中に強烈な痛みを感じて意識がはっきりする。

周りを見渡すと、物陰に盾を置いてあったのが見えた。

どうやら、彼に鳩尾を殴られて気絶して、あのビルから200メートル離れた所まで飛ばされたようだ。

 

「うぷっ……!」

 

遅れて胃の中の物を吐きそうになるけど、それは大丈夫。今日はご飯をほとんど食べられてなかったから、吐き出す物がほとんど無かった。

食欲が無くて食べてなかった自分に感謝することになるとは、思いもしなかったけどね……。

 

……現実から目を逸らすのも止めておこうか。

今、彼が壁を蹴って私に向かって跳んできている。しかも、さっき見せた赤と青の姿になって、飛び蹴りの姿勢で来ている。

 

「マズいね……」

 

このままだと、あの蹴りを食らって本格的に気を失うだろうな。でも、今までのダメージのせいで体が右腕しか動かないんだよね。神秘解放の効果が残ってたら体を無理矢理動かして避けることもできるかもだけど、時間切れで使えなくなっちゃってるし、これは私の負けかな。

 

「はぁぁぁぁああああああ!!!」

 

彼の声も聞こえてきた。

私にトドメを刺すために全力を出しているのか、気合を入れるために大声を出しているようだ。

それに対して私は、あと少し休まなきゃ動けない状態。

 

まもなく彼の蹴りが私に届く。

この後の痛みに備えようかな。

 

 

 

そう覚悟を決めた時

 

 

 

「おりゃああああ───」

 

ピーッ

 

『バッテリー残量0となりました。G3システム、解除します』

 

「───ああああああああ!!???」ズザーッ

 

機械的な声と一緒に彼の装甲が全部脱げ、力も失ったのか急に体が落ちて滑ってきた。

 

「…………」

「……えーっと」

 

そして、何の因果か、私の右側で止まって……。

 

「……私の勝ち!」バンッ

「ぐふッ!!」

 

右手にまだ持ってた拳銃で彼の顎を撃ち抜いて気絶させた。

 

……こんな終わり方って、有りなの……?

 

 

*1:
ホシノの持ってる盾は先輩である梔子ユメの物と同じ説がある。今作はその説を採用しました。




補足:
【赤と青のG3】
『赤のクウガ』の身体能力と『青のクウガ』の身軽さを意識して作った形態。青のクウガの弱点だった攻撃力と防御力の低さが無くなっている。

【緑のG3】
『緑のクウガ』のような形態。透視が可能なレベルの感知能力を持ち、射撃力にも特化しているが、そのせいで衝撃に弱くなっており、近接戦闘は苦手。銃をバチバチ鳴らしながら撃ってたのは、本来は単発で撃つはずの物を無理矢理オートで連射してたせいで鳴ってただけ。

【紫のG3】
『紫のクウガ』のように攻撃力と防御力に特化した形態。速さは素のG3と変わらないので遅くはない。


がんばってもう1つのルートも書きますね。

あと、オリジナルフォームの話はあと1回くらいアビドス編で出るかも
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