灰色の長髪で鋭い目を持つツノ付きの生徒
ゲヘナ学園の生徒会である万魔殿の議長
……になるはずが、空崎兄妹の策略により副議長の座に収まった。
その件で空崎兄妹を盛大に妬んでおり、あの手この手で追い落とそうとしているが成功したためしは無い。
私の名は羽沼マコト。
万魔殿のトップである議長だ。
つまり、ゲヘナで最も偉いのある!
今日も今日とて我が威光を知らしめるため、万魔殿で議決を取るのだった。
「キキキッ……ではこの案に賛成であれば右手を上げてくれ」
万魔殿の主だったメンバー全員が挙手をする。
このマコト様の提案なのだから当然のことだ。
「さすがはマコトちゃんね」
「ええ。非の打ち所がありません」
「この結果を新聞に載せましょう!」
「マコト先輩かっこいい!」
「マコトには敵わないな」
「これ以上のものはなかなか無いでしょうー」
サツキ、イロハ、チアキ、イブキ、そしてジョウにディストピアナイトメアからも称賛を浴びる。
いいぞ、これが私が望む世界なのだ。
奴に議長の座を奪われたなどという戯言は存在しなかったのだ!
これが本来の世界、本来の私!
ゲヘナの全ては私の思いのまま……取るぞ、キヴォトスの全てを!
「キキキッ……キーッヒャッハハハハ!!!」
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「な に こ れ」
どうも、寝たら目論見通り夢の世界に入れた空崎ジョウです。
いやホントなにこれ?
表現がおかしくなるが、目が覚めたらセイアの夢の世界に入ると思っていたんだが……変な怪物もいるし、どうやら俺か別の誰かの夢らしい。
なんだよディストピアナイトメアって……仮面ライダーゼッツに出てきたデスゲームナイトメアの亜種か?なんかムチとライフル銃持ってるし
「ふむ、何なんだ、これは?どうすればいいんだ?」
呆けていると隣から声が聞こえてきた。
声がした方へ目を向けると、狐の耳と尻尾の生えた金髪で小柄な少女がいた。
「セイアか。久しぶりだな」
「おや?……空崎ジョウが2人も存在しているが、君は本物の空崎ジョウなのかい?」
「本物の俺がマコトのあんな提案を受け入れると思うか?」
「それは……無いだろうね」
視線をマコトに向けると、俺を椅子にしてヒナちゃんに葉っぱの団扇を扇がせていて、ナイトメアに煽てられていた。キレそう。
「とにかく、あの怪物を倒した方が良さそうかもな。ディストピアって名前だけで不穏な気配が漂ってるし」
「いいのかい?あの怪物がこの世界で大事な役割を持っていて、倒すことで君か羽沼マコトに影響が出るかもしれないが」
「きっと大丈夫さ。エージェントを夢見る俺の感がそう言っている。それに、動けなくなる前に動き出さないと始まらないだろう?」
「行動してみないことには理解を得られないというわけか……。いいだろう、やってみるといい。私は戦うことを得意としていないからね。見届けさせてもらうよ。」
「了解。んじゃ、行かせてもらうぞ」
カプセル型の夢を叶えるアイテム、カプセムを胸のゼッツドライバーにセットし、セットしたことで上がったレバーを押す。
『インパクト!』
『メツァメロ!メツァメロ!メツァメロ!』
「I’m on it.」
「変身」
光りだしたドライバーにセットされたカプセムを回し……
『グッドモーニング!ライダー!ゼッツ!ゼッツ!ゼッツ!』
『インパクト!』
俺の全身を黒い靄が包み、次第に晴れていく。
そこには───
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03話.討つ:The future’s changing
黒い靄が晴れると、そこには緑と黒の2色に赤いラインが入り、赤い目をした人型の怪物が佇んでいた。
カプセル入りのベルトを袈裟懸けしている姿と『変身』の掛け声からして、彼が変身した姿なのだろう。
変身というプロセスが完了したのか、こちらに向いたジョウが自らを親指で指差して、紹介を始めた。
「この姿の名は『仮面ライダーゼッツ』だ。夢で活動するエージェントが使用する、まさに夢にまでみた仮面ライダーってやつだな」
やかましい。
言いたいことを言えて満足したらしい彼は右手には丸い窪みのある剣を、左手には彼がよく持っている自動小銃を持ち、ナイトメアという怪物に向かっていった。
向こうもこちらに気づいたのか、ジョウ……ゼッツに顔を向ける。
「なんだ貴様は?このマコト様に楯突こうとでもいうのか?」
「お前に用は無い。用があるのはそっちのムチを持ったやつだ」
「貴様、無礼だぞ」
マコトのことなど眼中にないという言葉に不快さを隠さないマコトだったが、ナイトメアに嗜められる。
「マコト様、お下がりください。此奴めはワタクシが排除いたします」
「む……そうか。頼んだぞディストピアナイトメアよ」
「お任せを」
「お前を倒して、この悪夢を終わらせる」
「やってみなさい。やれるものならね!」
まるで知っているかのような発言に返す言葉と共にライフル銃をゼッツに向けて撃ってきた。
それに応戦して自動小銃を撃つゼッツ。
戦いの火蓋は切られた。
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最初は銃撃戦を繰り広げていたが、あまり状況は変わらなかった。
このままだと埒があかないと判断したゼッツは
ナイトメアに近づき、剣でライフルの銃身を切断した。
これで敵の銃は使えなくなったと思った矢先。反撃とばかりにムチをしならせゼッツを弾き飛ばした。
その衝撃でゼッツは自動小銃を遠くへ落としてしまい、お互いに武器は剣とムチだけになった。
銃が無いのならリーチの長いムチの方に利があると判断したのか、積極的に己の武器で攻撃し、剣しか無いゼッツを近寄らせまいとする。
だがここでゼッツも反撃に出る。
ムチの軌道の先に左腕を構え、あえて受け止めたのだ。
その衝撃をムチが殺しきれず、ゼッツの左腕に絡まってしまう。
「なに!?」
驚愕するナイトメアの隙を突くように腕を引き、敵を引き寄せる。
突然のことで無抵抗に引き寄せられてしまったナイトメアは剣によって切られ吹き飛ばされ、そのダメージでとうとうムチまでも手放してしまった。
「トドメだ!」
ここでゼッツはベルトのレバーを3度押し込み、胸のカプセルを回して何かを起動させる
『インパクト!』
ゼッツが構えると同時に右足が赤いラインに沿って光り、火花が散る。
するとそのままナイトメアに近づき、2度の蹴りを入れる。
それに怯んだナイトメアに向かい跳躍する。
『パニッシュ!ゼッツ!ゼッツ!!ゼッツ!!!』
そんな音声と共にとてつもない勢いで飛び蹴りを放ったゼッツ。
それに耐えきれなかったのか、ナイトメアはイビキのような音を出してすぐに断末魔を上げ爆発する。
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あの後、持ち直した剣から組み替えた銃で紫色の蝶を撃ち抜いたゼッツは姿を変え、元の空崎ジョウへと戻っていた。
あれが銃になるのなら、わざわざ近づく必要などなかったのではないか……?
それはともかくとして……だ。
彼には聞いておかなければばらないことがある。
「まずは助けてくれて感謝する……とでも言っておこうか。だが君の言動で気になったことがある。戦う前の会話からして、君は先ほどのナイトメアというものを倒せば事態が良くなると『知っていた』のではないかな?」
疑問に思っていたことを口にすると、図星だったのか目を見開き固まっていた。
「あ、あぁ〜……やっちまってたかぁ。気を付けてたつもりだったんだがなぁ……」
「もう少し腹芸というものを覚えたほうがいいさ。お互い、学園のトップに立つ者なのだからね」
「それもそうだ」
私の予想が当たっていたことに安堵しつつも、
先ほどの答えを聞くことにする。
いったい何を隠しているというのだろうか。
「それで、知っていた理由について聞いてもいいかい?」
「ああ、そうだな。その件についてだが……」
その瞬間
「時間切れのようだ」
視界の端から世界が静かに崩れている様が見てとれた。
おそらくナイトメアを倒したことで悪夢が終わったのだろう。
「せっかく会えたのだから紅茶のひとつでも飲んでゆっくり話したいたいものだったのだが、残念だ」
「このベルトとセイアの能力があれば、またすぐに会えるさ」
「そのベルトのおかげで君に会えたんだね。不思議な巻き方をしているが」
「これが仕様だからいいんだよ」
私の能力も知っていたようだ。
そうしている内に崩壊が迫ってきており意識が薄れてきた。
もう限界のようだ。
「それじゃあ、また会おう。眠り姫さま」
やかましい
そんなキザなことを言われると、むず痒くなるじゃないか。
「また夢で会おう。それでは、おはようだ、ジョウ」
願わくばすぐに会えることを祈って。
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ゲヘナのとある場所
そこで奴が目覚める
「……ハッ!?私の万魔殿の議長の座は?全キヴォトス人マコト様崇拝計画は??!」
そこに無ければ無いですね