ヒナの兄はG3になりたい   作:曽流斗

5 / 5
今更だけど2000年代の仮面ライダーの放送時間8時30分じゃなくて8時00分からじゃないか!
ずっと間違えてたよ恥ずかしい!

というわけで続きです。

察している人がいるかもですが、サブタイトルはだいたい特撮ネタです。


04.始まりはいつも突然:風にめくられたカードが占うように笑う

 

ディストピアナイトメアなんていう原作では出たことのない筈の怪物と戦った次の日の夢の中、霧の中のような世界でセイアとの会合を果たしていた。

 

「先日の疑問を解消するためにも早く会いたいとは思っていたが、まさか翌日になるとは思いもしなかったよ」

「正直、俺もここまで効果が出るとは思っていなかったよ。このベルトと俺の力が合わさったことで、お前の予知夢と擬似的に共通点が生まれて会いやすくなったんじゃないか?」

「その可能性はあるね。しかし、いいのかい?君は何かを隠したかったのではないのかな?」

 

確かに隠そうとは思ったが、相手はティーパーティーのホストだ。

しかもトリニティの校風で普通に話そうとすると腹芸をしてくる可能性がある。

いくらエデン条約の件で顔見知りとはいえ、夢の世界でまでセイアに対して一方的に隠し事をしていると話が拗れるかもしれない。

だったら話せることは話しちゃって信用を得ようとするのが得策だろう。

 

「いいんだよ。夢の世界で盗聴するような奴なんていないし、ここだったら秘密の話も存分にできる。というわけで……」

 

『インパクト!』

 

ゼッツドライバーに嵌めていたインパクトのカプセムを回し、夢の世界を俺好みに改造する。

その様相は霧のような空間から様変わりし、どこから登るかわからない2階のスペース、様々な国の言語が映し出されたモニター、大量の壁掛け時計、、様々な資料が置かれた本棚、巨大絵画、白いバイクが置かれたガレージ、言ってしまえば秘密基地のような有様となっていた。

これは『仮面ライダーゼッツ』における『ゼッツルーム』に近い内装となっている。

急な変化についていけなかったセイアは呆然としていた。

 

「せっかくだし秘密基地にしてみた」

「私の力も突拍子もないものだという自覚はあるが、君のソレも凄まじいね」

「お褒めに預かり光栄だよ」

 

ゼッツドライバーの仕様とは異なるけど、やってみるもんだなぁ。

漠然と自分がしたことの感想を心の中で述べていたジョウにセイアが「それで」と話しかけた。

 

「その力もそうだが、先日の怪物や私の能力を知っている理由をそろそろ話してもらいたいのだが……」

「それもそうだよな。じゃあ、そうだな……あれは───」

 

ティーブレイクもほどほどに、俺がキヴォトスに生まれる前のことと、今世の俺の能力の話をした。

 

「この世界での出来事が別世界だと記録媒体に残されていて、しかも先の先まで記されている。……荒唐無稽な話だね。だけど、信じざるを得ない。そんな感想になってしまうね」

「だろうな。俺も当人ながらどんなファンタジーだよってツッコミをしてしまうよ」

「しかし、現に私が見た予知夢の内容と合っているし、君の能力も目の当たりにしている。だからひとまず信用しようじゃないか」

「ありがとう、信じてくれて。正直、こんな話をして信じられないと言われたらショックを受けてた」

「証拠が出ているからね。それがあるから信じさせてもらっただけさ」

 

それでも秘密を共有できるのは助かる。

これを抱え続けるのは流石に大きすぎるんだよな。

 

「ところで、君がした話に出てきた『仮面ライダー』という物語。その話に出てきたナイトメアというものだが、あれは君が以前いた世界から来たという認識でいいのかい?」

「それは分からん」

「は?」

 

セイアが再び呆然とするが、しょうがないじゃないか。

 

「俺だってこんなケースは初めてなんだ。今までキヴォトスで不自然な地形変動や突然の建物の破壊なんて起こってないだろ?」

「私がこの世に生を受けてから、それは一度だけ……というよりは一ヶ所だけでしか発生していないね。確かアレはアビドス自治区といったか」

「それはナイトメアの件とは別だと思うぞ」

「ほう……それも例の前世の記憶とやらかい?」

「ああ、あそこは前世の記録でも砂嵐が頻繁に発生するようになっていた。だからナイトメアとは関係ない可能性が高いし、砂嵐の具体的な理由も明かされてないから俺も分からん」

「そうだったのか」

 

いやほんと、理由がさっぱり分からん。

 

……とは言うが、心当たりが無いわけではない。ただ確証が無いから憶測の域を出ないから言葉にしにくいのだ。

 

でもまあ、信用してもらう為に憶測でもぶっちゃけるというのも有りか。

 

定番の『今はまだ語るべき時ではない』なんて知ったこっちゃない。

 

「あー…これは憶測だし非常に言い辛いことだが……聞くか?」

「おや、話してもいいのかい?あえて聞くつもりはなかったのだが」

「お互いデカい秘密を抱えてるんだ。憶測でも共有は必要だと思ってな」

「ふふ、そう言うことにしておくよ」

 

どうやら何か抱えようとしていたことを察してはいたらしい。

 

「思い当たる理由は2つ。まず1つ目は、『ナイトメアの被害が出る前に誰かが先に倒している』という可能性だ。これは前世の記録でもあった出来事で、ナイトメアを含めた世界の危機に対して組織のエージェントが対処していた。」

「それはまた物騒だね。しかし、それだと先程の『君の前の世界から来た可能性』というものを肯定することになるが……」

「それは調べるしか無いさ。知り合いにそういうのを調べる専門家がいるし、そこを頼ってみようと思う」

 

知り合いというのはミレニアムの明星ヒマリのことだ。

あの学園の部活の1つ、『特異現象捜査部』というオカルトを調べたりという活動をしている所の部長で、結構癖が強いが……それもまぁ、魅力のひとつなんだろう。

 

「もう1つは……非常に、ひっじょーーー…に言い難いんだが……『俺がゼッツドライバーを作る時に発生した』という可能性だ」

「……続けたまえ」

 

まさか自分が原因なんですと言われて内心は穏やかじゃないだろうに、彼女は続きを促してきた。

俺も自分で言ってて信じられないんだがな。

 

「これまでナイトメアが起こした異常な現象が本当に存在していなかったと仮定すると、今までナイトメアがいなかったということになる。じゃあ、『昨日のアレはいったいいつ発生したのか』という話だが、『昨日の夢で初めて生まれた』という可能性が非常に高くなるんだ」

「それがなぜ君が原因ということになるんだい?」

「このベルトを完成させたのが昨日だからだ」

「なっ……!?」

 

だが、完成した後にベルトの縁で生まれた……なんてのは流石に変な話だ。

じゃあ、今まで作ったG3の装備や、あのアイテムに関連した敵はどうしたという疑問が出てしまう。

 

「これも否定できる材料があるんだよな。普段使っているG3や自動小銃はゼッツドライバーと同様に、仮面ライダーを参考にして作った物で俺も制作にガッツリ関わっている。なのに今まで変な現象が起きてないということは、そっちもナイトメアの件と同じく現実で発生していないということになるんだ」

 

正確に言うとG3はミレニアムとの共同で製作したものだが、これは必要の無い情報だろう。

 

「確かに、言われてみればその可能性が高いね」

「そうだろう?だから前者の『誰かがそういった事態を解決している』って考えたほうが現実的だと思うんだ」

「ここは夢だけどね」

「やかましい」

 

人が悩んでいるというのにニヒルな顔でなんてこと言うんだこのわんぱくフォックスめ。

現実で会ったら尻尾とか撫で回してやろうか?

 

「ま、1番目の可能性の方が高そうだし、その線で調べてみることにするさ」

「そうだね。前者はともかく、後者はあまりにも異質だ」

「その前者も異質だけどな」

「それでも、君が原因というよりはまだ可能性があるさ」

「確かにな」

 

 

────── ────── ──────

 

 

「怪物の件はこちらでも可能な範囲で調べてみることにするよ」

「それは助かるが、いいのか?」

「なに、来たる条約のためにも君に貸しを作ったほうがいいと判断したまでさ」

「人の感謝の気持ちを返しやがれフォックスこんにゃろー」

「君は時折り口調が砕けすぎてしまう傾向がある。直しておきたまえ」

「ぐぬぬ……!」

 

こちらの世界にやってきた同盟相手である空崎ジョウと必要な話とそうでない話をしていた。

私が目覚めることも難しくなった状態で、条件付きだが私と唯一自由に接することのできる人間はとても貴重だ。

とはいえ、彼には目覚める権利も現実での役目もある。

そろそろ夢から覚めてもらわないといけない。

 

「さて、君は目覚めるいい頃合いじゃないのかい?」

「もうそんな時間か。惰眠を貪りたいんだけどなぁ……」

「なに、やれることをやりきって気分良く眠る方が健全というものだ。動きたくないと諦めてしまうと()()()()()()()()

「……背も小さいし見るからにひ弱だもんな、お前」

「やかましい!」

 

なんてことを言うんだこの男は!

私の努力も知らないくせして!

 

「はっはっはっ!悪い、お前が寂しそうな顔をしていたから揶揄ってしまったよ。でもさ、今みたいにもう少し感情を出した方が生きやすいんじゃないか?」

「うるさい。さっさと帰りたまえ!」

「はいはい。わかりましたよセイアさま」

 

そう言って彼は部屋の扉に近づきドアノブに手をかける。

本当に失礼な男だ。人の気も知らないで。

 

「また会えるのを楽しみにしているよ、セイア」

「…ああ、また会おうじゃないか」

 

別れの挨拶を済ませ、彼は扉の奥に消えていった。

 

楽しみ……か。

裏表の無い顔でそんなことを言われたのはいつ以来だろうか。

 

「……さて」

 

彼がいなくなったことで物寂しくなったこの部屋を()()()()解体しようと試してみる。

しかし何も起こらない。

それほどまでに彼の力が強力であり、彼がいなくなってもその力が未だに強く残っているのだ。

私の能力も強力だという自負はあるが、これはそれ以上に強力なものだ。

 

「彼が原因という可能性か」

 

先のナイトメアの件、彼は自分自身が原因だという可能性を上げていたが……この様子だと、そっちの方が正しいのかもしれない。

それほどまでに強い彼の力がどれほど未来に影響を及ぼすのか……

既定路線に入ろうとも、あまねく奇跡に導かれようとも、必ず何かが変わるのだろう。

かつて私が諦めた未来を、これまでの予知夢に存在しなかった彼が、近い将来に訪れる『先生』と共に。

 

 

 

 

 

私はまだ目覚めない。

 

 

 

 

 

ひとまず様々な文字が浮かんでいるモニターの映像をどうにかできないか試してみよう。

おや、リモコンがあるじゃないか。これで操作をしてみるか。

操作をすると、モニターの映像が変動し、見たこともないものが映し出された。

 

 

 

「からっぽの星、時代をゼロから───」

 

 

 

 

 

────── ────── ──────

 

 

セイアとの夢の会合の後、伝手で調査依頼を出したのが昨日のこと───

 

「何?火宮チナツが連邦生徒会に直訴しに向かった?」

 

プロローグが今、始まる。

 




ジョウは色々作っていますが、この時点で怪物が出たのは2回だけです。
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