装飾過多で大きな建物や、数多くの飲食店と酒場があった歓楽区から歩いて15分。
景色は変わり落ち着いた戸建てや、個人フリー冒険者が宿泊している住民区を歩く。歓楽区のような甘ったるい酒の匂いや、のんだくれが多い治安の悪さとはかけ離れ、冒険者以外の都市に住んでいる住民が穏やかに和気藹々と過ごしている。
「つ、つかれた……」
「おや、体力がありませんね。若人が易く根を上げるのは感心しません」
頭を藁の編み傘で、身体を白い羽織で容姿を隠した女は下駄を鳴らし、隣で小言を零す。
数人の子供達が走って通り過ぎると、その後ろ姿を見送るように振り返り指を指す。
「誰のせいだ!知らない店を見かける度質問してきやがって!こっちは喉渇いてしょうがねぇんだよ……っ!」
「あははは!面目ありません!訊ねれば親切に教えて下さるのでついつい!」
「何歳児だよ!幼い子供か!?成長してんの図体だけかっ!?」
「いけませんよー?女性に歳の話題を振るのは」
怒鳴られようと悪びれもせず、反省の一かけらもない笑い声で諭される。
疲れている原因は他でもない。今だ名前も素顔も知らない隣にいるコイツのせい。
声を出さなければ正体不明の恰好は、人とすれ違う度変な物を見たと白い目を向けられ、変わり者の同行者としてオレも目を伏せられる。
それはいい。許容範囲内だ。腫れ物って意味では似ているし耐性はある。
だというのに――――
『――立派な料亭に見受けられますが!あちらどのような馳走を給するのでしょうか!』
張本人は自覚なし。周りの人間の奇異な視線に物ともせず、マイペースを貫き続けていた。
意図的か、鈍いのか。はたまた両方か。
歓楽区を通り抜けるまで、知らない建物を見るたび子供のように、興味津々で質問攻めを受ける羽目になった。
「これで三日も胃の中に食べ物入れてないとか嘘だろ……」
「語らう相手がいるので生気を維持できているんですよ? 独りきりでは、流石に意気軒昂でいられません」
「し、信じられねぇ……」
「むむむっ。面目を失うような振る舞いは行っていない筈ですが……」
容姿を隠し、口を開かないと性別すら不明にしてる奴が不思議そうに首傾げるなよ。コイツに分け与えるべきなの食事じゃなく、手鏡のような気がしてきた。
「つかぬことを伺いたいのですが、宜しいですか?」
喋りすぎて喉が乾燥してるってのに、また気になる物でも見つけたのか、遠慮の欠片も無く呼び掛けてくる。
「……なんだよ?また質問か?今度は住民区に建てられた建造物を一から十まで説明すりゃいいのか?」
「先ほどから目に映るのは旅籠ばかりで。料亭は影も形も見受けられません。――――何処へ伺うのかと」
「……はぁ?当然だろ。奢る約束はしたが、酒場で奢るとは一度も言ってねぇぞ」
「………なるほどなるほど」
声色は同じ筈だが、女の纏っていた親しみやすい雰囲気が忽然と切り替わったような気がした。
胸騒ぎがする。本能がこの場から逃走しろと、強く警報を鳴らす。自己防衛本能で耳を澄ますと、微かに何かを抜いた音が聴覚が拾った。
「……おいっ!?さっき得物抜いたよな!?絶対に抜いたよな!?」
「いえいえ、抜いてませんよ。勘違いかと!」
「息吸うように嘘吐くな!その羽織脱いで、武器に手を添えていないのを目撃しないと信じねぇぞ!」
三日間胃の中が空っぽで神経質になってるにしろ限度ってものがあるだろ。鎌かけたわけでもないってのに。
助けを求めようと周囲に視線で訴えるが、どいつもこいつも関わりたくないと目を伏せる。
周りは顔見知りが戯れているように映るだろうが、実際は命を落とす瀬戸際。
酒場ではなく、他の場所で食事を提供しようとした寸前に嘘だと勘違いされて殺されるのとか笑い話にもなるか。
身体中から溢れ出ている殺気に後退りすると、隣の女は距離を詰めるため一歩踏み出す。
女の威圧感と殺気に息が詰まり出せない。
命を刈り取られる恐怖―――目の前の存在はまるで流離う亡霊のようで腰が抜けそうになる。
数秒後の己の末路が鮮明に瞼に浮かぶ。瞬きの間に、首と胴体を一寸の狂いもなく斬り捨てられる未来。
武器を振るう姿を一度たりとも目撃したことがないというのに、一振りで首を斬り落とす離れ技を出来るわけがないと、疑問を持つことは無い。
目の前の女は必ず成し遂げる。
遺言は残すかと、言葉を発する許しを最後の慈悲を与えるように———今一度大きく下駄が鳴った。
「……あ、あのなぁ!食欲のせいで、食事することに最も適した場所忘れてるのか!?」
死の恐怖で硬直しようとしていた喉から、辛うじて出した言葉で女は歩みを止め、無言で首を傾げる。
「首傾けんなよ!?歓楽区で飯を奢れるようなユーノ手元にねぇの!だから拠・点・に向かってんだろ!オレのホーム!家!!」
必死に行き先を説明したら、腑に落ちたのか威圧感は霧のように消え女は「なるほど」っと手を打つ。
助かった。生き延びている。数秒前に見えた幻覚と違う未来を手繰り寄せられた。グラット兄弟が見抜けなかった抜刀が首に振るわれるのを阻止出来た。
「首を掌で摩りどうしました?首と胴体が繋がっているか確認しているみたいじゃないですか」
「……く、くそぉ。寿命が三年縮んだ………」
「大袈裟ですよー。アレぐらいの敵愾心、ちょっとした戯れ事です」
金属が擦れ得物が収める音が羽織の下から聞こえると、何事も無かったように声を掛けてくる。
殺気を当てられるのは生まれて初めてじゃない。オレだって冒険者の端くれだ。
地下迷宮ダンジョンでモンスターと対峙すれば敵意や殺意は嫌って思うほど向けられるが、さっきのは規則外にも程がある。比べるのも烏滸がましい。
殺意を浴びただけで死ぬ幻覚が脳裏に過ぎった。
あれが冗談?笑えねぇよ。地下迷宮ダンジョンでモンスターと対峙している方が100倍マシだ。
身体中から出ている嫌な汗が止まらない。苦情を十や、二十は言いたいってのに呼吸を繰り返すのがやっと。
背筋が凍りついて膝の震えも収まらない。
尻餅をついて無我夢中で口から空気を摂取したい。みっともなく悲鳴だって上げたかった。でも、1人の冒険者としてプライドを何より保ちたかった。
「やー。その様子だと力加減失敗していたようです。予想以上に気が立ってしまいました。あそこの長椅子で一度休息を取りましょう」
女は身体を寄せて、顔を覗いてくる。
深編笠に視野を確保するためにある網状の隙間から、僅かに見えた瞳と目が合い反射的に絶叫を上げそうになる。
「ひ、必要ない……っ!顔色悪いのは水分不足が原因なだけだ!ま、まだ距離がある。ほ、ほら、行くぞ……っ!」
目と目が合っただけで、悲鳴を上げそうになったと悟られたくない。面子を守るため唇を噛み締めながら痩せ我慢をし、目の前の女から逃げるように歩みを再開する。
厚意を振り払い、些細な意地を張っているオレの後ろ姿を見て呆れ返った、乾いた笑い声が背後から聞こえ——からんからんと下駄の鳴る音が続く。
日が昇ってる時間で良かったと心底思う。日が沈んで夜だったら人目も気にせず恐怖で咽び泣いていた。
暗闇の中で遭遇したと考えたら今でも———待てよ。
クラン設立の為、如何なる手段を取ろうと彼女を勧誘するつもりだが、勧誘が成功した暁には地下迷宮ダンジョンでこの恰好をした彼女と常に行動するだろう。
視界が確保できない程暗闇ではないが。さっきより薄気味悪さが倍増するわけで。止そう、考えることを。
知恵を振り絞っても解決できない問題は思考するだけ無駄だ。時間は有限だ、忘却しよう。
手違いで命を落としかけて後に更に歩いて15分。
人波から離れるように表通りを抜け、荒れ果てた旧道に着くと景色は大きく変わる。
舗石道から地肌の街路へ。躓かないよう地面は平らにされているがそれだけ。道端に雑草が生え、しばらく手入れをされていないのが窺える。
素朴な宿屋は消え、幽霊屋敷のような古びた宿や、壁に植物が這ってる廃墟の住宅が増えていく。
「先ほどから道行く人と行き違うことが無いですね。私たち以外の人の気配も感じ取れません。それに拙宅よりあばら屋を目睹もくとするのが多いのも不思議です」
背後から睨み付けるような視線と、警戒が孕んだ声を包み隠さず浴びる。
警戒心を向けられただけで、さっきの出来事を思い出し恐怖で足が震えそうになるが平然を装う。
怖いが、決して態度に出しては駄目だ。高圧的な態度を取れば、目の前の男は容易く怖気付くと侮られる。
落ち着いて呼吸を整えろ。オレと彼女の実力差は天と地の差だろうと精神面は負けてはならない。
英雄とは例え相手が自分よりも格上で、勝ち目がない絶望的な状況でも己を鼓舞して挑むのが定番なのだ。
「……疑うのは分かるがここも立派な住民区だ。この辺は変わり者と貧乏人が暮らすのにうってつけなんだよ」
「なるほど。鎖とざされていないのは鬼門でもなく貧民窟というわけですか」
グラット兄弟を追い払う時も思ったが、オブラートに物を伝えるのを知らないのか。
自分の実力に自信があるからこその態度だろうが。口先は切れる刃物かよ。正論だし、訂正しようにもできないが、角を立たないように言葉を選べっての。
「この辺に住んでいるのも冒険者が大半だし、地下迷宮ダンジョンに稼ぎに行ってる。それに人とすれ違わなくなった理由の半分は、この先が住民区の一番奥なんだよ」
「生きていく上での労働が区間の最奥が目的地なら自ずと人が減るのも納得致します。ですが……もう半分のワケは?」
「さっきの早とちりが嘘みたいに聞いてるな……変わり者が暮らすのも適してるってさっき言ったよな?」
「……そういう事ですか」
「察しが良くて大助かりだ。オレが棲んでる場所の家主、でもあるが……まっ、説明は後と回しだ」
「家主に対して粗忽ですね……厚意で身を寄せているのですから感謝と恩義を持つべきでは?」
「感謝と恩義を抱くのは相手が真っ当な人間限定だ。逢えれば共感するだろうよ。そら、着いたぞ——ここが目的地だ」
目的地である住民区の最奥——オレが宿泊している拠点に辿り着く。
「……ここですか?手違いではなく?」
とらえどころのなかった彼女も、目の前の光景に流石に驚いている。顔が深編笠で隠されているので相変わらず見えないが。間違いではないかと視線を向けてくるのを察するにその下は目を見開いてるだろうさ。
「平屋と予測していましたが……これはこれは。朽ちかけておりますが立派な館ですね」
彼女が呆然とするのも当然だ。
目の前にあるのは住民区の外れにあるのが不釣り合いな堂々たる佇まいをした洋館――クランハウスなのだから。
天然石で基調した外壁には老朽化が原因で蔓草が這い、庭には二階建ての洋館と大差ない高さの一本の木。クランハウスのシンボルがそびえ立つ。
木の枝に葉の面影は跡形もなく、空虚さを感じてしまうのに樹皮はその逆。木の葉がない事を気にも留めず、むしろ、枯れているのが不思議なぐらい生命が満ちていた。
「そら入るぞ。こっちも喉乾燥して辛いんだよ」
物珍しそうに声を出して見入っていた彼女を急かし、半年前人力で作り上げた踏み分け地を進む。
庭もそれなりに広く、碌に手入れをしていない影響で野花や野草がそこら中に生えている。
「前栽の手入れは閑をぬすんで為すべきでは?」
「オレは冒険者で庭師じゃない、管轄外だ。親切心は館の所有者によろしく頼むぜ。そもそも裏庭だけでも綺麗にしたのを頭を下げて感謝して欲しいっての」
そこそこ広い表庭を1人で草刈りや、土いじりするとなると何週間掛かることやら。
現在歩いてる小道や、素振りを快適に行う為に裏庭は孤軍奮闘で草引きを行ったが。表庭をたった一人で手入れするなんて絶対御免だね。その辺の雑務はオレではなく屋敷の主の仕事、というか自宅だし、やるだろ普通。
奇妙なぐらいに蔦が避けている木製の玄関扉のドアノブに手を伸ばし、力一杯引くが立て付けが悪く開かない。
「くそっ!いい加減修理しろっての!他人に弄られるの嫌なら自分で治す事ぐらい覚えろよっ!」
片手から、両手で引き始め、少しづつ開いていく。
館にオレが棲みついた時点で、この扉の歪みは生じていた。恐らく何年もそのままにしているはず。開閉がスムーズにいかないのに放置してるの神経疑うぞ。
「ぬぐぐぐぐぅぅぅっ!!このぉ!さっさっと開けこのポンコツが……っ!」
「助太刀致しましょうか?顔が林檎のように真っ赤ですよ」
「い、いつものことだ……っ!な、なんとぉぉぉ!!」
まだ客人の女に救援を求めるのは体制が悪い。
腹底から声を出し、身体の重心を傾けながら全力で両腕に力を込める。
古い木製の扉から「ぎぃ」と軋んだ音を鳴らしながら、やっとの思いで人一人が通る隙間を確保する。
「……はあぁぁ。疲れた……玄関を開け閉めするだけで体力消耗するのおかしいだろ……」
「無精者と片付けるには家主に難があるようですね。後学として訊ねますが、ここの家主はどのようなお方で?」
「シギルムで、関わらない方がいい人物として真っ先に名前が上がる人格破綻者だ」
「……そのような御方の所でどうしてお世話になっているんですか?」
「色々あるんだよ。好きで棲んでるわけじゃないっての」
扉の隙間から顔を出して覗く。室内を一瞥するが、所有者人格破綻者の姿はない。
朝方、冒険者ギルドに出掛ける時に姿を見掛けなかったが、まだ帰宅してないらしい。
何処に赴いているのか見当はついてる。あのロクでなしが不在というシュチュエーションはとても都合がいい。奴が居れば面倒事に発展し、飯を奢るという名の恩を被せクラン勧誘を心理的優位に進める作戦が決行できなくなる。
「傍目には、室中に人影がないか窺う盗人ぬすっとのように映ってますよ」
「……よく一言多いって云われるだろ?」
「あはははは!心当たりございません!ささっ!お腹と背中がくっつきそうで限界なので入りましょう!」
「おま、背中押すなって……っ!?」
図星だったようで、軽快に笑い誤魔化す女から背中を押される形で廃れたギルドハウスに帰り着く。
「おおー!歳月も経ち年季がありますが、屋内も外観に劣らず広く豪勢ですね!」
追いかけるように踏み込んできた正体不明の彼女は、目新しい物を見るように邸内を見渡す。
長い年月により壁や床の至る所は痛んでいる。老朽化は床や壁だけではない。広間にはかつて大人数のクランメンバーが在籍していたのか使い込まれた、木製の二つの縦長ダイニングテーブル。それ以外も至る所に、老化している家具や道具が、無造作だが保管する様に配置されている。
日頃使用している、比較的綺麗な席に彼女を案内して腰を下ろす。
「……はて?なにやら甘い匂いが鼻をくすぐりますが……この香りは———酒ですか」
興奮が収まった彼女もやっと気づいたようだ。館内に染み込むように蔓延している、この甘い匂いに。
「よく平然とした様子でいられるな。普通は匂いの強さで気分悪くなるだろ」
「少々耐性がありまして。これぐらいの酒気で健康を害するほど柔ではありません」
向かいの席で得意げに胸を張るが、不気味さが増すだけなので止めてくれ。というかよ、酒臭いのに耐性があるってどういう事だ。まさか、酒狂いじゃないだろうな。
「どうしました?怪訝の視線を向けて」
「……座って待ってろ。窓開けて換気してくる」
飯の準備をしようにも、この濁った空気のままでは準備する気力も沸かない。
酒気を帯びて汚れた空気を取り除くため、広間の窓を開けていると床に放り捨てられたニ本のボルトを発見する。
「……ちっ。また床に捨てやがって」
ニ本のボルトを拾う。中身は空っぽで、おそらく今朝にのみ飲み終えた分。
酒に対して忌避感を抱いている理由の一つがこれだ。
毎日アルコールの匂いが部屋を満たされ、後片付けもせず床に放棄されていれば嫌気が差す。
今は広間として提供可能だが、此処に来たばかりの頃、それはもう酷い有様だった。
当時のことを思い出すだけで目眩に襲われそうになる。
飲み干し中身の空っぽのボルトに樽バレルが足の踏み場が見当たらない程に散乱し、強力な酒の残り香にいるだけで酔いそうになるゴミ屋敷。
ユーノも発生せず、無償奉仕で掃き溜めを他人を招き入れる様になるまで清掃したのを誰か褒め称えてくれ。
最も根本的な部分を解決していないので、定期的に清掃しなければゴミ屋敷に戻るがな。
頭では、このまま処分すれば楽だと分かっているが、とてもそのような気分になれず。
先に座って待っている女の元まで戻り、空の二本のボルトを机の上に置き対面の席に腰を下ろす。
「……はあぁぁぁ」
テーブルの上に頭を乗せ、苛立ちを吐き出す様に大きくため息を零す。
「……悪いが、アンタの飯は数分待ってくれ。気力削がれて動きたくねぇ」
「御膳を頂けると口約していますので。せき立てるような真似は致しませんよ」
「さっきのせっかちは嘘みたいだな」
「先刻はお許しください。胸中では料亭で御馳走に与ると思いなしていまして……ですが、貴方も意地が悪かったと存じます。当初より住まいで振る舞うと申し上げていれば斯様な事は起きなかったのですよ?」
「口より先に手が出ることあるか!?一歩遅かったらオレはアンタに殺されてたわ!」
「むむっ。先ほどから「アンタ」と呼称されているのが気に掛かっております。私にも名は有ります」
一向に名前を呼ばれない不満を、テーブルの上を掌で叩いて訴えてくるが、こっちとしてもどうしようもない。
「なんですか、その戯けたことを申していると呆れ果てた顔はー!異議を唱えますー!」
数日間食べていない話はまだ疑っていたが、至極単純なことも察してないので本当らしい。
頭が回らず、食欲に飢えながらも、健気に抗議してくる未来の大事なクランメンバーへ教授するとしよう。
「そうかそうか。食欲のせいで、碌に頭も回ってない奴に丁寧に教えてやる——互いに自己紹介してねぇんだよ」
さっきまで不服そうにしていたが、その一言で動きを止め顎に手を添える。
「これは失敬!名乗るタイミングを逃したとしても、恩人に名を告げていませんでした。私の名はアラハバキ・紗夜さやと申します。紗夜と、呼んでください」
「オレはクラウン・ベゼルス。出逢ったのも何かの縁だ。今後ともよろしく頼むぜ」
「お互い名乗りましたので!そろそろ馳走をあずかりたいのですが如何でしょうか!」
「い、いきなり前のめりに顔を近づけるな!?頭に被ってるの不気味で心臓に悪いんだよ!?」
「あはははは!面目ない!」
笑ってる時点で申し訳ないと微塵も思ってないな。くそっ。隠している顔を絶対に暴いてやるからな。