【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~   作:パンダプリン

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第205話 忠犬暴走中

「期待しないでくださいよ……」

 

「しますけど?」

 

 なんだこのパワハラ上司!

 ついに成果を出すことを前提としはじめたぞ。

 だが……。

 

「レイなら大丈夫です」

 

 そんなに、信頼しきった目を向けられると……。

 

「なんせ、私のレイですからね!」

 

 近いし。抱きしめながら耳元で囁くのは、ずるいんだよなあ……。

 しかたない。別にこれはフィオナ様に屈したわけではない。

 俺もそろそろガシャを回そうと思っていたからであり、決してこんなフィオナ様ごときに篭絡されたわけではない!

 

 とりあえず……三回。いや、四回ほど回してみるとしよう。

 幸いなことに、今回のフィオナ様のガシャはゲリラ開催だった。

 なので、過度な期待を俺に込める者は、フィオナ様しかいない。

 フィオナ様一人程度ならどうとでもなるし、誰か来る前に決着をつけてしまおう。

 

「それじゃあ、四回いきますね」

 

「私より一つ多いですね。レイも私の敵を討つために、奮発してくれているというわけですか」

 

 なでられた。

 その上機嫌がいつまでもつか見ものだな。

 いつまでも、俺が当たりを引けるとは思わないことだ。

 

「一つ目……」

 

「ほほう!」

 

 ……俺の運がどんどん無駄に浪費されていく。

 

「二つ目……」

 

「いいですね!」

 

 まずい。このままでは、なんらかの事故で死ぬ可能性すらある。

 大丈夫だよな。なんか急にダンジョンが崩落して巻き込まれたりしないよな。

 ジェルミの野郎……実は生きてたとかじゃないだろうな。

 

「三つ目……」

 

「良い子です!」

 

 三連続で蘇生薬か~……。実は蘇生薬って、そんなにレアじゃないのかもしれない。

 そうでも思わないと、なんだか俺の今後の運を消耗している気がして怖い。

 

「四つ目……よかった」

 

「ええ!? なんで、外れると喜ぶんですか!?」

 

 事情があるんです……。

 なんだか鱗っぽい盾が出てきたことで、ようやく外れたかとほっとした。

 それにしても、よく見るとリピアネムやウルラガの鱗に似ているな。

 もしかして、ドラゴンたちの鱗を素材とした盾なのだろうか。

 

「フィオナ様、これなんですか?」

 

「蘇生薬よりもそっちを気にしますか。なるほど……これが物欲を回避する方法」

 

 というか、最近だと当たると怖いので、わりと本気で蘇生薬を引きたくない。

 引きたくないというか、あまり引きすぎると怖い。

 

「参考にしましょう。ええと、それは竜の鱗の盾ですね。ほら、このへんなんとなくリピアネムに似てませんか?」

 

「それは俺も思いました」

 

「呼びましたか!?」

 

 ドカンという音が聞こえたかと思ったら、リピアネムがドアを開いて入ってきた。

 ドアの方は……よし、無事だな。壊さずに入ってこられるなんて、リピアネムのやつ偉いじゃないか。

 

「偉いぞ」

 

「う、うむ? そ、そうか……」

 

 今後もこうやって破壊活動をしないようにがんばってほしい。

 そんな思いも込めて褒めてみると、困惑と喜びが入り混じったような複雑な感情へと変わった。

 リピアネムって、複雑なことできたんだな。

 

「私も偉いと思います!」

 

「そうですね。フィオナ様もすごく偉いです」

 

「ふふんっ!」

 

 なんか犬を相手にしているような気がしてきた。

 犬か……マギレマさんの犬たちと、後で戯れようかな。

 

「魔王様とレイ殿はなにを? お二人でカジノでしょうか?」

 

「いえ、カジノではありません。もっといいギャンブルです!」

 

「さすがは魔王様! 新たな催しをお考えですか!」

 

 いかん。この二人だけだと止める者がいない。

 掛け値なしに盛り上がってうるさくなりそうだ。

 

「リピアネム」

 

「なんだ?」

 

 なので、強制的に二人の会話に割り込んで、話題をそらしてしまおう。

 

「この盾なんだけど、どう?」

 

「む……ほう。ドラゴンの鱗を使っているとは、かなりの強度だな。いいと思うぞ。レイ殿が使うのか?」

 

「いや、わりと重いしかさばるから、俺じゃなくて誰かに渡すべきだと思っているけど」

 

 リピアネムは……本人がドラゴンで鱗もあるし、あまり意味がなさそう。

 ディキティス? あいつの武器は両手持ちの矛だし、邪魔になるか。

 イピレティス。身軽なのが売りだし、かさばって重い盾はいらないよな。

 

「盾といえば、勇者であろうな。カザマに渡すのはいかがだろう?」

 

「あ~……」

 

 そっか。もともと今回のガシャも、風間(かざま)の要望である勇者の教師を蘇生させるためだもんな。

 なんだか、強くなりたがっているみたいだし、あいつにあげるのがいいかもしれない。

 

「ありがとう。そうしてみるよ」

 

「うむ、喜ぶだろう」

 

 それにしても、急に強くなりたがるなんて、なにか切っ掛けでもあったんだろうか。

 ……案外、世良(せら)(はら)に良いところを見せたいとかかもしれないな。

 おのれ、イチャイチャしやがって。

 

「お~い、リピアネム~!」

 

 おや、今度はリグマがやってきた。

 もしかして、リピアネムのやつ、リグマの作業の手伝い中に抜け出してきたか?

 

「どうした。リグマ」

 

「どうしたって、お前さんまた厨房で作業中に走り去ったろ。マギレマが飯抜きって言ってたぞ」

 

「そ、そんな!」

 

「……リピアネムは、私の呼びかけに応じて参じたので、マギレマにはそう伝えておきましょう」

 

「ええ、なので魔王様も飯抜きというか、二人とも簡素な飯になるそうです」

 

「なんでですか!」

 

 マギレマさん強ええ……。

 やはり、食を司る者というのは強いんだな。

 俺も、彼女を怒らせないように気をつけよう。

 

『みんなでなに馬鹿なことしてんのさ』

 

「いや、俺はただマギレマの言伝をだな……」

 

「ボクが伝えておいたよ。新しい仲間が復活しそうだから、大目に見てあげてって」

 

 さすがはピルカヤだ。なんと頼りになる。

 そして、マギレマさんの怒りを治められているあたり、こいつも優秀な四天王だよな。

 

「あと、プリミラさんも呼んでおいたよ~」

 

「呼ばれました」

 

 こうして、カジノにはフィオナ様と四天王が勢ぞろいとなった。

 なんだか、結局のところいつもどおりだな。蘇生する際のいつもの重鎮たちが勢ぞろいだ。

 

「おや、蘇生薬が三つ……さすがはレイ様です」

 

「私という可能性がこれっぽっちも考慮されていませんね!」

 

「では、魔王様が引き当てたのですか?」

 

「……レイは私のもので、レイのものは私のものです」

 

 合ってるけど、さすがに無理があると思ったのか、フィオナ様も伏し目がちだ。

 プリミラの前では、フィオナ様なんてこんなものだ。しかたがない。

 

「まあいいでしょう。四天王もそろったことですし、蘇生の儀ですよ。前回後回しにした、プリミラの武器加工のための蘇生も行います」

 

「ありがとうございます」

 

 たしか、魔法細工師だっけ?

 あれ以来プリミラが戦うことはなかったが、万が一イドとかが攻めてきたら万全で迎え撃ちたいからな。

 プリミラ強化のためにも、ここはぜひ蘇生しておきたいところだ。

 

「あとは、レイが希望していたので……まあ、いいですけどね。いつかは必要なことですし、ダスカロスを……蘇生させましょう」

 

 なんか、気が進まなそうだな。

 もしかして、わりと癖の強い魔族なんだろうか。

 いや、魔族の王たるフィオナ様が、そんな選り好みはしないだろう。

 

 ということは、どちらかというとフィオナ様が苦手なタイプ……。

 ああ、だいたいわかった。プリミラみたいにフィオナ様にお説教できるタイプだ。

 教師ということだし、その可能性が高いだろうな。

 

「あと一つはどうします? 保険に残しますか?」

 

「う~ん……テクニティスを蘇生するのであれば、役割の相性がいいラプティキも蘇生しちゃいますか」

 

「いいと思います」

 

 フィオナ様の提案に、プリミラが賛同し、それこそ他の四天王たちも少々考えてから頷いた。

 すごい。四天王たち全員が納得するような提案をできている。まるで四天王を統べる魔王様だ。

 

「……なんか、このまま長引くとレイが私を見くびりそうなので、ちゃちゃっと蘇生しちゃいましょう」

 

「そんなことないですよ?」

 

 濡れ衣を着せられるのは嫌なので、俺もフィオナ様の意見には賛成だ。

 さて、今回は三人か。順番に蘇生していくとしよう。

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