【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~   作:パンダプリン

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第21話 うさぎじゃないけどさみしいらしいです

「私がのけ者なのは、やっぱりよくないと思うんです」

 

「そうですね」

 

 玉座の間に呼び出されると、突然そんなことをフィオナ様に(うった)えかけられた。

 本当は俺じゃなくてプリミラに言いたいのだろうけど、俺に訴えることで一緒に呼び出したプリミラに伝えているらしい。

 つまり、プリミラに怒られたくないということだ。

 

 隣にはピルカヤもいるが、彼は分身を作って簡易ダンジョンを今も監視してくれている。

 なので向こうのことは心配する必要はなさそうだが、ぶっちゃけてしまうとそれを理由に向こうに行きたい。

 フィオナ様とプリミラの喧嘩……というか、プリミラのお説教に巻き込まれたくない。

 

「ということで、俺は簡易ダンジョンの確認がありますから……」

 

「あなたまで私を見捨てて逃げる気ですか!?」

 

「向こうはボクが監視してるから大丈夫だよ~」

 

「ええ、さすがはピルカヤです。蘇生させて正解でした」

 

 おのれピルカヤ。

 さすがに魔王であるフィオナ様への味方をするのは当然か。

 しかたがない。真面目にフィオナ様と向き合うか。

 

「ということらしいよ。プリミラ」

 

「……ではお聞きしますが、魔王様も私たちと一緒に簡易ダンジョンの管理をしたいということでしょうか?」

 

「あ、それは別にしなくていいです。そこらへんはあなたたちに任せていますので、私は後ろでのんびりと眺めていようかと」

 

 じゃあ、今のまま玉座の間で魔力を補充していてもいいんじゃないだろうか……。

 いや待てよ。のけものにされるのが嫌だと言っていたな。

 ……フィオナ様、さみしがりやなんじゃないか?

 

「じゃあ、俺たちと一緒にいながら、玉座の間の魔力を注入すればいいんじゃないですか?」

 

 遠隔でそんなことできるかは知らないけど、それができるなら双方納得できるんじゃないか?

 無理だったら……せめて、視界だけでも共有してもらおう。ピルカヤも、フィオナ様のためなら喜んでやってくれるだろうし。

 

「それです! さすがはレイ。ということで、今日から私はあなたたちと同じ場所で魔力を注ぐことにします」

 

「予備魔力を元に戻していただけるなら、手段にまでは口出ししませんが……」

 

「それじゃあ、さっそく職場に向かうとしましょう!」

 

 なんかやけに張り切って先導するようになってしまった。

 まあいいか。フィオナ様が元気になったのなら、きっといいことなのだろう。

 

「あれでダンジョン運営はやる気ないっていうんだからすごいよね~」

 

「それ、フィオナ様に聞かれたら落ち込むから言わないようにな」

 

「わかってるよ。それに、レイならそう考えて告げ口なんかしないだろうしね。ボクだって、言っていい相手くらい考えるさ」

 

 たしかに、ピルカヤはそういうの上手だからな。余計な心配だった。

 

    ◇

 

「それじゃあ、魔王様にも視界共有しますね~」

 

「ええ、どんとこいです」

 

 特に変わったこともなく、ちらほらと冒険者と呼ばれる者たちがダンジョンに入ってくる。

 ピルカヤとプリミラが言うには、彼らはまだまだ大したことない冒険者らしい。

 ギルドで低ランクの依頼をこなしているようで、こちらへの脅威にはならない存在のため、安心して見ていられる。

 

「最初の部屋はわりと突破されますね」

 

「まあ、最初の部屋ですからね」

 

 ここで全滅させたら一気に危険なダンジョン扱いされる。

 ゴブリンたちには悪いけど、彼らは部屋を突破されるのが仕事とさえいえるかもしれない。

 

「死んだゴブリンたちは、レイがその都度補充を?」

 

「ええ、どうやらゴブリンを選択して作成すれば、同じ個体が復活できるらしいんです。なので、だんだんと上手になってきていますよ。あいつらのやられるふり」

 

 すでに最初の部屋のゴブリンたちは、死んだふりとかするようになっている。

 ……ゴブリンってけっこう知能高いんじゃないか?

 

「あ、宝箱」

 

「だめですよ?」

 

「わかっています! ちゃんと、玉座に魔力を送っています!」

 

 プリミラの反応がものすごく速い。そしてフィオナ様の反応もとても速い。

 これが、魔王軍の上位の実力者たちか……。敏捷ステータスの無駄遣いと言えなくもない。

 

「それにしても惜しいですね……まさか、あんな木の宝箱のまま開けてしまうなんて。私が魔力を注げば、すぐに最高位の宝箱になるのに……」

 

「魔王様?」

 

「例えばの話です」

 

 とても未練がありそうだ……。いや、作りますよ? 消費魔力5だし。

 でも作っても今は魔力をそっちに使えないし、生殺しのような状態のほうがよくないと思うんだ。

 

「……」

 

 俺のほうをじっと見ているが、ここで作成したらフィオナ様にとっても辛いことになる。

 

「玉座のほうが終わったら作りますね」

 

「そんな……レイだけは、私の味方だったはずなのに……」

 

「味方だから言っているんですけど……」

 

「そもそも、レイ様の魔力はダンジョンの増築に改築、すでに稼働している簡易ダンジョンの整備にも必要なので、無駄遣いをさせないでください」

 

 プリミラがしっかり釘をさしてくる。

 うん。頼りになるね……。でも、俺がどう魔力を使っても一切文句は言われないし、いつかはフィオナ様のために魔力を使ってあげよう。

 

「簡易ダンジョンができてから、なんだか魔力も増えてきているので大丈夫ですよ」

 

「さすがはレイです! あれ? 簡易ダンジョンが関係しているんですか?」

 

「ええ、別になにもダンジョンに変化をもたらしていないときも、急に魔力が上がったことがありました」

 

「……なるほど、つまりレイが作ったダンジョンで侵入者を倒すと、レイも成長するということですか」

 

 さすがはフィオナ様だ。

 まじめなときは話が速い。まじめなときは……。

 あとはもう少しやる気を出してくれて、宝箱ガシャを自重してくれて、生活リズムをまともにしてくれたら、完璧だ。

 

「変なこと考えていませんか?」

 

「いえ、フィオナ様は完璧だと考えていました」

 

「そ、そうですか? そうですか~。そう見えちゃいますか~」

 

 嘘は言っていない。本当のことをすべて言っていないだけだ。

 ご機嫌なフィオナ様は、さらに奥に進む冒険者たちをのんびり観察していた。

 ……なんか手にお菓子持ってない? もう完全にテレビを見ているかのようだな。

 

「ゴブリンの上位種たちが相手となると、けっこう手こずる冒険者もいるんですねえ」

 

 そう。そこが侵入者たちの判断基準の一つだ。

 今回は……まあ、このあたりは突破しそうだな。となると、ボス部屋まではたどり着けそうな実力だ。

 

「ついにボス部屋ですか……あ、宝箱」

 

「今のところ誰も回収できていませんからね。それなりにダンジョンの魔力を吸っているはずです」

 

「ですが、まだまだこちらの脅威となる品質ではありません。交換する必要はないでしょう」

 

 プリミラが補足してくれた。

 そういえば、どのくらいになったら交換すべきなんだろう。

 魔力量とかはよくわからないので、見た目で判断すべきか?

 

「そっか、見た目が次の段階に入ったあたりで変えるべきかな?」

 

「……それでも脅威とはいえませんが、難しいところですね。この簡易ダンジョンの攻略という観点で考えると、それなりに有用なものがでてきそうですから」

 

「う~ん……いっそ、そろそろ回収してもらえたほうが助かるかもな」

 

「であれば、今回は踏破してもらいますか?」

 

「そうするか。あ……」

 

 ゴブリンキングたちに簡易的な指示を出そうとすると、俺たちの視界にはゴブリンの群れに全滅させられた冒険者たちが映った。

 ボスだもんなあ……。これまで以上の強さだけど、もしかして急に強くなりすぎているか?

 調整するとしたら、ゴブリンメイジの数を減らすべきか……ゴブリン同士で強化し合うのが強さの秘訣だし、強化する者が一人減るだけでも変わるだろう。

 バランス調整が難しいな……。

 

「倒されちゃいましたね」

 

「ええ、次に同じくらいの強さの冒険者がきたら、事前にゴブリンたちに指示をしておきます」

 

 強い相手に宝箱を渡すと後々面倒なことになりそうだし、また似たような実力の者が現れるのを待つとするか。

 

 和泉(いずみ)(れい) 魔力:23 筋力:12 技術:18 頑強:18 敏捷:15

 

 ああ、やっぱりステータスが上がっている。ダンジョンで侵入者を倒すことは、俺の強さに直結するらしい。

 であれば、侵入者たちをうまい具合に倒し続けないとな。

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