【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~   作:パンダプリン

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第212話 箱庭の支配者

「よかった……本当によかった……レイが無意識に凶悪殺戮ダンジョン作るようになったら、俺じゃもう対処しきれねえよぉ……」

 

「失敬な。ちゃんと考えながらダンジョンを作っているぞ」

 

「レイくんならやりかねないんだよなあ……」

 

 アナンタだけでなくリグマまで。おのれリグマ組。俺への信用がいつのまにか底まで落ちていないか?

 

「なんだよ。レイなら、無意識でも面白えダンジョン作りそうなのに」

 

 一件ウルラガは好意的に受け止めてくれるように見えるが、よくよく考えるとアナンタと同じだ。

 俺が無意識に凶悪なダンジョンを作っていないかと、期待しているだけじゃないか。

 

「でも、レイじゃないならどういうことだろうね?」

 

 カーマル、お前だけだ。俺を疑わずに建設的な話し合いをしようとしてくれているのは。

 

「気になるのは……ボクも全然気づかないってことかな」

 

 ピルカヤが神妙な表情でそう言った。

 たしかに、ピルカヤが気づかないっていうのは、ずいぶんとおかしな話だ。

 そんなダンジョンの噂があるのなら、建築中にピルカヤが発見していただろう。

 そうでなくても、ダンジョンに挑戦している者たちを発見し、そこからやはりダンジョンを発見するはずだ。

 

「モリーのときみたいに、監視できないようにしていたとか?」

 

 思い出すのは獣人の転生者のモリーという女で、あいつもピルカヤの目をかいくぐってせこい悪事を働いていた。

 ピルカヤだって、そこまで万能ではない。向こうが火元をすべて消滅させていたら、そもそも見ることも聞くこともできない。

 それに、ピルカヤの対策として、結界魔法のようなもので、監視を妨害することもできる。

 

「一切火のないダンジョンなのか、あるいは結界で防御しているか」

 

「そういうことだろうねえ。あ~あ、ボクのミスか~……」

 

「まあまあ、ミスってわけじゃないし、うちで情報は収集できたから大丈夫っしょ。ルカちゃんと私、持ちつ持たれつで協力してがんばってこ~」

 

「は~い」

 

 マギレマさんのレストランが、とんでもなく重要な施設になっているな。

 ダンジョン魔力の大幅な補給だけでなく、こうして情報まで入ってくるのは本当にありがたい。

 いつもと違って、ピルカヤに頼んですぐにすべての情報を得ることは無理だから、今回は長期戦になるかもしれないな。

 

    ◇

 

 詰めが甘いんだよね~。なんだったっけ、あの獣人のムカつく女。ドリーみたいな名前のあいつ。

 さっきレイが名前を言っていたけど、興味ないから覚えてないや。

 まあ、とにかくあいつと同じ。自分の情報を隠すことまではできても、自分に関わったやつらの口止めができていない。

 今回の場合は、そいつらというか、そのダンジョンの情報になるけれど、それならボクにだって集められる。

 

 場所はアルマセグシア。レストランのほうはマギレマが情報収集してくれているし、その手柄を奪うつもりはない。

 だから、ボクは別の食事処や酒場を回って、情報を集めていけばいい。

 ……ただ、やっぱりマギレマのレストランほどの人間はいないからなあ。もしかしたら、ボクの行動無駄になるかもしれないね。

 

「なんだ。今日はあのレストランに行かないのかい?」

 

「たしかに美味いけどな。近所の飯屋のほうが楽なときもあるさ」

 

「もったいないねえ。俺だったら、毎回あっちのほうに行くが」

 

「おいおい、自分の店じゃないか。いいのかよ。そんな敵の店に行くよう勧めて」

 

「あそこはサービスもいいし、飯も美味いし、調理も早くて、値段も安い。同じ職だからこそ、尊敬もしていれば目指すべきところでもあると思っているのさ」

 

「なら、俺たち相手に練習しとけって」

 

 う~ん……だめそうかな。

 マギレマのレストランに関する話題ばかりだ。

 不思議だよねえ。マギレマのことはこうして高く評価されるのに、それが魔族によるものだとわかったら、きっと手のひらを返して誰も利用しなくなる。

 自分たちで認めていたはずなのだから、誰がそれをやっているかなんてどうでもいいじゃん。

 精霊以外の種族って、どうしてそういう、わけのわからない考えになっちゃうんだろう。

 

「そういや、最近また準備しているんだって? カジノもほどほどにしておけよ」

 

「ああ、あっちはもうだめだ。俺たちにカジノの才能はないってわかった」

 

「だろうな」

 

「もっと堅実にコツコツとやっていくさ。ちょうど新しいあても見つかったしな」

 

「なんだ。今度はモンスターでも狩るのか?」

 

「いや、またダンジョンだよ。しかも、ダークエルフの村なんかと違って、わざわざ遠出しなくてすむんだ」

 

「……おいおい、まさかこの近くにダンジョンができたってことか?」

 

 ……これだ。

 

「ああ、アルマセグシアにもダンジョンができたって、冒険者たちの中では話題になっているぜ」

 

「ああ……なんか最近そんな噂は聞くけどな。本当なのかよ……ここに住んでる連中で、そんなもの見たやつはいなかったがねえ」

 

「そこだけは妙だけどな。ガセネタかもしれないけれど、まあちょっと探してみるさ」

 

「ないほうがいいけどな」

 

「安心しろよ。俺たちが中にいるモンスターたちを適当に間引いておくからさ」

 

 ダンジョン。モンスターもいる。たしかに、これだとレイが作ったと思ってもおかしくないね。

 だけど、本人は否定していたし、自然発生したダンジョンかな?

 まあ、それも確認できたらわかることか。しばらくは、この人間たちの行動を観察することにしよう。

 

    ◇

 

「異世界人ちょろいね」

 

「異世界っていうか、しょせんはゲームのNPCだからな。人間の真似しているだけで、感情とかなにもないプログラムどおりに動いているだけの存在なんじゃね?」

 

「会話したかぎりではそういう感じじゃないんだけどな。ここまで行動があほというか、融通がきかないのは、なんか決められた行動で動いてそうだよな」

 

 なんだか馬鹿馬鹿しくなってくる。

 ゲーム世界とはいえ、ここのNPCたちは生きているので、傷つけたり殺すなんて絶対にできないと躊躇していた時間がもったいない。

 本当に、もっと早く作っておくべきだった。

 転生してすぐに仲間が集まって、全員で協力すればダンジョンみたいなものを作れるという話になった。

 だけど、良心がそれをさせなかったのだが……まあ、無駄な葛藤だったな。

 

「俺たちのダンジョンにも、いつかは店とかできるのかな?」

 

「そうしたら、今よりずっと餌がやってきそうね」

 

「いっそのこと、そのロペスとかいう転生者も仲間に引き入れるか。どうせNPCどもじゃなくて、そいつが色々考えて行動しているんだろ?」

 

「NPCにはできっこないものね」

 

 たしか、温泉宿に大商店にカジノだろ? まあ、間違いなくそいつのしわざだろうな。

 優秀なやつだ。ぜひとも仲間になってほしい。

 このまま俺たちのダンジョンがうまく回るようなら、数も増やしていけるし、そいつもこっちに気がついてアプローチしてくるかもしれない。

 

「それじゃあ、今日もNPCども殺してレベルアップするか」

 

「私たちはなにもしないから楽だけどね~」

 

「次の日のための準備は必要だろ。めんどくせえな。そこさえなければ最高なのに」

 

「贅沢言うなよ。今ごろ他の転生者は、精神をすり減らしながら命がけでレベル上げしているんだぜ? それよりはましだろ」

 

「絶対に嫌。でも、NPCに命令されて動いてるそいつらが馬鹿なんだし、自業自得でしょ」

 

「人間のくせにNPCの奴隷とか、考えられないよな」

 

 まったくだ。どうにも、そこをはき違えているやつらが多すぎる気がする。

 まあ、そのほうが都合がいいよな。そういうやつらは、競合相手にすらならないわけだし。

 だとすると、やっぱり一目置くべきはそんなNPCを利用しているロペスってやつだな。

 ぜひとも、そいつを仲間に引き入れたい……。そうすれば、この世界で俺たちが競うべき相手もいなくなるはずだ。

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