【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~   作:パンダプリン

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第238話 フロギストンの手記

 早朝から魔王様もレイも大変だね~。

 と思っていたけど、一通り回ったら眠っちゃったし、朝早くに仕事を全部終わらせてゆっくり休むだけだったのかな?

 それにしても、魔王様なんでメイド服だったんだろう? 最後までよくわかんなかったや。

 

「いいの? プリミラさん。魔王様部屋で寝ちゃってるよ?」

 

「レイ様も一緒なのですよね?」

 

「うん。抱かれてる」

 

「……では、お邪魔をしてはいけません。私たちで地底魔界をうまく運営していきましょう」

 

 プリミラさんが小さく拳を握ってやる気を出している。

 レイと一緒に寝ているときは、邪魔しちゃいけないみたいだね。

 それって……魔王様よりレイに気を遣っているってことかなあ?

 

「リグマさんはどう思う?」

 

「おじさんは、あの二人に関してはよくわかんない」

 

「そうなの? 仲良さそうだし、いいことじゃない」

 

「う~ん……なんか、いまいちお互いどうなりたいか、わからないんだよなあ」

 

「どうって、魔王と部下でしょ? ボクたちと同じ」

 

 別に難しく考える事ないと思うんだけどな~。

 リグマさんは、それでも困ったような顔をしていた。

 

「いや、一概にそうは言えない可能性が出てきているぞ。ピルカヤ」

 

「リピアネムさん、どういうこと?」

 

「私も目撃したが、今日の魔王様はレイ殿のメイドとして仕えていた。つまり、今日は主従が逆転しているということだ!」

 

 ……たしかに。そうだね。それならリグマさんの言葉もわかる。

 もしかして、レイが魔王軍で一番偉くなるかもってこと? まあ、魔王様がそう決めたのなら、それはそれでいいんじゃないかな?

 

「どうだ! そういうことだろう? リグマ」

 

「違うけど、まあお前さんたちはそれでいいや……」

 

    ◇

 

 変な様子のリグマさんとプリミラさんは放っておいて、今日もダンジョンを監視する。

 魔王様たち……ダンジョンの見学って言ってたけど、働いていないときに見学してもしょうがないんじゃないかなあ……。

 でも、働いているときに魔王様が来たら、それはそれでちょっとした騒ぎになるかもしれないし、妥協点だったのかな?

 ボクに言ってくれたら、魔王様にもレイにもいつだって視界を共有するのに。

 

『そ、そんなことが……! な、なんで私は……いなかったの!?』

 

『私が指揮するモンスターたちと、エピクレシのアンデッドたちの模擬戦を見学されたからな。だが、魔王様の服装こそ違えど、いつものお二人だったぞ?』

 

『それに、プネヴマも見たって聞きましたよ?』

 

 プネヴマがすごい表情になってる。

 この子、こんなに大きな声出せるんだね。前はもっと、常にぼそぼそと喋っていた気がするんだけど。

 

『い、一瞬だけ……だったし……そこからは、気絶して意識がなくて……』

 

『まずは慣れないといけませんね。それに、ディキティスが言うように、魔王様の服が違うだけでしたよ?』

 

『メ、メイド服……で、並ぶだけで……妄想が……はかどるじゃない!』

 

 ……ボク、この子の言うこと、よくわかんなくなってきてるや。

 どうすればいいかわからずに困っているし、案外ディキティスもそうなのかもね。

 

『やはり、ノーライフキングとロマーナの加入が大きいな。アンデッドなので、毒が通常よりも効きにくいのも辛いところだが』

 

『ドラゴンゾンビの上の実力者が、一気に二人も加入しましたからね。ディキティスが鍛えたモンスターたちもさすがに厳しいでしょう』

 

『む、無視……しないで~……』

 

 それでも、ディキティスとエピクレシも戦闘に加われば、まだまだディキティスがなんとかできそうだけどね。

 

    ◇

 

『魔王様に喜んでいただけたのなら、作ったかいもあるわ』

 

『魔王様すごくかわいかったです!』

 

『あの……魔王様なんだから、もうちょっと敬意を払いなさいよ、芹香(せりか)

 

 こっちは、ラプティキのところにトキトウとオクイが来ているみたいだね。

 そういえば、魔王様にあの服を作ったのはラプティキだし、もしかして二人もあの服欲しいのかな?

 イピレティスもよく着ているけど、メイド服って人気なのかもしれない。

 

『イピレティスさんのメイド服も、ラプティキさんが作ったんですか?』

 

『ぐいぐいいくわね。ほんとに……』

 

『僕のメイド服は、魔王軍に入る前のものだよ~? でも、予備として同じものは作ってもらってるけどね』

 

『色々と参考にはなったわ。おかげで、魔王様がついに自分から服装を変えることに……』

 

 ラプティキはしみじみとそう言っているけど、服装なんてそんなに変える意味あるかなあ?

 特にボクたちは服なんて着ないから、よくわかんない文化だね。

 

『あの、イピレティスさん!』

 

『な~に?』

 

『魔王様がメイドになって仕えていたってことは、レイさんが一番偉くなったってことですか!?』

 

『う~ん……たまにはそうしたかっただけじゃない?』

 

 どっちが偉いかっていえば、魔王様だろうね~。

 でも、レイはその次に偉いってことでいいんじゃないかな?

 ボクが出世しても、レイが自分の部下になるとか想像もできないし。

 

『いいよね~。魔王様とレイ様。あの二人のお邪魔をしちゃいけないけど、あのまま一緒に行動していたら僕も混ぜてほしくなるところだったよ~』

 

 イピレティスが顔を赤らめてくねくねしてる。

 この子も、たまにわけわかんないよね。プネヴマといい、精霊以外の種族って難しいね。

 

『あ、あの……同性なのでは……』

 

『平気~。僕どっちもいけるから~』

 

『つ、つまり……三人で……』

 

『そうなるね~。そうなったら最高だね~』

 

『二人の邪魔をしちゃだめよ?』

 

『わかってるってば~。だから、自重して離れたんじゃない』

 

 やっぱり、よくわかんないな~……。

 

    ◇

 

『なるほど。私の指導だけでなく色々とやることが多いと』

 

『そのようだ。そして君の指導のかいあって、日々体力が上がり無茶もできるようになっている』

 

『そのような落とし穴があったとはな……ところで、なにか言い訳はあるか? カザマ』

 

『い、いえ……無茶はしていないつもりなんですけどねえ』

 

 ……なんか、カザマの味方をしたい光景だね。

 そうなんだよ。無茶はしていないし、まだまだ働けるのなら別にいいじゃない。

 

『ピルカヤ。あとでお前にも説教だ』

 

「なんでボクまで!?」

 

『わかっていないようだからな。ついでだから、ここでカザマと一緒に説教をされるがいい』

 

『ピルカヤさん。なんかすみません……』

 

「いいよもう! テラペイアが悪いから!」

 

『ほう? つまり、まったく落ち度がないと』

 

 ……まあ、あれだよ? ボクって、まだまだ働けるから。

 テラペイアに言われた時間に休まなくても大丈夫だし。魔力疲れもたまにしか起きてないし、今は温泉があるし。

 

『四天王である貴様がそれでは、カザマのように無茶を真似する者が出てくる。まずはお前をなんとかすべきだな』

 

「……ボク、四天王で偉いんだけど!」

 

『だからこそだ。私は無茶をする者であれば、たとえ魔王様ですら無理やり休ませる』

 

『あの方は、今は改善されているようだな。だからこそ、四天王もそれに続くべきだ』

 

 ……あ~あ。なんか長くなりそうだな~。

 なんか話題を変えないと、なんか……。ああ、そうだ。

 

「結局、魔王様ってなんでメイドになったの?」

 

『……それは、私たちが口を出すべきことではない』

 

『ああ。あの二人の関係については、部外者が手を出すほうがややこしくなるだろうからな』

 

 結局よくわかんなかったな~……。

 まあ、二人が仲良しならそれでいいや。

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