【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~   作:パンダプリン

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第250話 第166話参照の似た者主従

「ロペス強いですねえ」

 

時任(ときとう)の不屈の精神は、なんかフィオナ様を思い出しますね」

 

「心が負けていなければ負けじゃないですからね」

 

 ……あの爆死の数々は、魔王を倒すに至らないってことだ。

 ステータスも高くて心も強い魔王とか、つくづくこの世界のラスボスって強いよなあ。

 

「というか、時任のやつ本当に気づいていないんだろうか……」

 

「イカサマですか?」

 

「ええ。俺にはロペスがなにをやってるかわかりませんけど、選択肢の結果がおかしいのなら気づいてもいいと思うんですけど」

 

 それを不思議に思ってフィオナ様と話していると、遠慮がちに奥居(おくい)が会話に参加してきた。

 

「ええと。芹香(せりか)は普段は選択肢に翻弄されがちといいますか、からかわれることが多いので……」

 

「なにそれ。選択肢ってそんな個性的なの?」

 

「らしいです。なので、こういう遊びのときは、選択肢が自分を裏切っていると思い込んでいるみたいです」

 

 うちのダンジョンマスターさんも、いつかとんでもないメニューとか出すんだろうか……。

 いや。うちの子は、そんなおちょくるようなことはしない優等生だと信じよう。

 

「もっと手を抜いてよ!」

 

「本当に手を抜いたら怒るじゃねえか」

 

「それはそう!」

 

「日本人のそういうところ、俺にはよくわかんねえなあ」

 

 接待の文化って日本特有なのか?

 いや、ロペスよ。お前カジノで俺に散々接待していたじゃないか。

 ……あれも、慣れない接待のせいで過剰になったとか?

 だとしたら、優秀なロペスにしてはわかりやすかったのも納得できる。

 

「あの、レイさん」

 

「どうした? 奥居」

 

「ここに入ってきたときに、ちょうどよかったと言っていましたけど、何かあったのでしょうか?」

 

 ああ、すっかり忘れてた。

 トランプの魔王が強すぎるせいで、配置転換のことを言いそびれていたな。

 

「人工海の管理をロペスに任せているけど、さすがに仕事が多すぎると思ってな。奥居、やってみない?」

 

「え」

 

「いいじゃない。江梨子(えりこ)ちゃん。やってみなよ」

 

 戸惑う奥居と、意外にも賛成してくれる時任。

 仲が良い二人なので、てっきり時任はしぶるかと思ったのだが、想像と真逆の反応だ。

 

「江梨子ちゃん。海好きだし、そっちのほうがいいんじゃない?」

 

「でも、商店のことが……」

 

「そっちなら、私も他の従業員さんも慣れてきたから平気だよ。サンセライオって国をうらやましがるくらい海が好きなんだから、お言葉に甘えちゃいなよ」

 

 危なかったな……。奥居という優秀な人材が、下手したらリズワンに取られていた可能性もあるのか。

 そういうことであれば、是非ともうちの海で満足してもらうように、海の管理者になってもらいたい。

 

「えっと……いいのでしょうか?」

 

「俺としては、海の管理者を誰かに任せたいし、奥居と時任がよければ頼みたいと思っている」

 

 時任は奥居に親指を立てて任せろとジェスチャーしている。

 それが、彼女の背を押す結果となったようだ。

 

「そ、それでは、よろしくお願いします」

 

「ああよろしく。ということで、ロペスはしばらく奥居に引継ぎを頼みたい。その分負担が増えそうだから、カジノは一旦クララに任せよう」

 

「オーケー。まあ、負担ってほどじゃないから、俺は今のままでも問題ないんだが」

 

「テラペイアに目をつけられそうだから、一応な」

 

「……ああ。それは怖い」

 

 この引継ぎが終われば、ロペスの負担は減ることになるし、テラペイアも一安心するだろう。

 現状でも、こうして早めに仕事を切り上げられるほどには優秀なロペスだが、だからといって無理をさせていい理由にはならないしな。

 

「あとは、時任のほうにはカーマルを補佐に付けようかと思っている」

 

「カーマルさんですか。わかりました!」

 

 マギレマさんには、ピルカヤを通して連絡済みだが、あちらも特に問題ないようだからな。

 よし、これで新たな施設も含めて上手いこと回せそうだ。

 

「そういえば、ついでにボスに聞いておきたかったんだが」

 

 そう前置きをして、ロペスがこちらに話を振ってくる。

 

「何を?」

 

「今までは海のほうに注力していたみたいだけど、転移温泉って結局どうなったんだ?」

 

「並行してガシャを引いているんだけど、人知れず爆死してる……」

 

「な、なんかすまねえ」

 

「いや、いいんだ。こればかりは俺の運が悪い」

 

 せめて、ダンジョンのどこかにつながるくらいの結果になってほしいんだよな。

 危険地帯ですらない、見知らぬ森や山や湖ばかりにつながってしまう。

 

 温泉の不正利用者ということもあり、その場に全裸で飛ばせるのならそれはそれでありなんだけど、向こうからもこちらに侵入が容易なのがなあ。

 一方通行だったら、それらの場所に飛ばすだけで満足できたのに、簡単に帰ってこれては意味がない。

 それどころか、下手したら転移させた者以外がおかしなルートで侵入することになる。

 なかなか、ままならないものだ。

 

「レイでもうまくいかないことがあるんですねえ」

 

 フィオナ様が意外そうに言うが、むしろうまくいかないことのほうが多いんじゃないか?

 たしかに、モンスターガシャや宝箱ガシャだけはうまくいっていたが、俺はダンジョン以外はからっきしだし。

 

「爆死して辛くなったら、私がなぐさめてあげますが?」

 

「間に合ってます」

 

 そんな、爆死した者同士の傷の舐め合いなんて、不健全な関係はよろしくない。

 そのままずぶずぶと沼に沈んでいってしまうぞ。

 

「……」

 

 あれ、なんか……機嫌悪くなってない?

 見るからに不満そうな顔。そして無言の訴えみたいなものを感じる。

 それに、ロペスも時任も奥居も、気づけば俺たちから距離を取っているような。

 

「間に合っているって……どういう意味ですか?」

 

「え、不要という意味で……」

 

「マギレマですか? それともラプティキ? エピクレシ? 誰ですか?」

 

 どうしよう。質問の意味がわからないけれど、なんか詰め寄られている。

 じりじりと壁際に追い詰められているというか、なるほど……これがいわゆる壁ドンってやつか。

 捕食寸前の状況のようにも見えるが、シチュエーションだけなら似ている気がする。

 

「レイは私のものです」

 

「そうですね。俺はフィオナ様のものです」

 

「では、あなたは私になぐさめられるべきではありませんか?」

 

 ん……? それは、そうなのか?

 

「そうなんですか?」

 

「当然です! 誰ですか。私より先にレイをなぐさめた者は」

 

「いえ、一人で立ち直ってますけど……」

 

「え、そうなんですか? ……なら、よかったです」

 

 なんかよくわからないけど、機嫌がコロッと直った。

 まるでピルカヤを相手にしているときのようだ。

 あいつはあいつで精霊だからか、たまにこちらの常識が通じずに機嫌が悪くなるからなあ。

 フィオナ様も魔王だし、もしかしたら俺の常識が通じない部分があるのかもしれない。

 

「それはそうと、落ち込んだら魔王がなぐさめてあげますが?」

 

「だから、間に合ってますってば……」

 

「素直じゃありませんね~」

 

 今度は機嫌が悪くならなかった。

 よくわからないが、本当に何かを勘違いしていたらしいな。

 

    ◇

 

「どうした? マギレマ」

 

「い、いやあ? ちょっと寒気がしたかなあなんて」

 

「ふむ、風邪か? では、テラペイアのもとに連れて行ってやろう」

 

「ストップストップ! 一瞬だったから平気」

 

    ◇

 

「……なにかしら。なんだか、畏れのような感情が」

 

「大丈夫ですか? ラプティキさんも少しは休んだほうが……」

 

「あら、ちゃんと休んでいるから大丈夫よ。一瞬だったし気のせいでしょうね」

 

    ◇

 

「……あ。これ、魔王様ですね」

 

「どうしました? エピクレシ様」

 

「魔王様が、私を敵と判断したようです」

 

「だ、大丈夫なんですか!?」

 

「ええ。一瞬だったので勘違いでしょう。おそらく、レイ様が誤解を解いてくれたんじゃないですかね?」

 

「そ、そうですか……」

 

「ロマーナ。レイ様は魔王様のものなので、絶対に手を出したらいけませんよ?」

 

「そ、そんな恐れ多いこと考えていませんが」

 

「誤解された場合、さっきの私みたいなことになります」

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