【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~   作:パンダプリン

374 / 374
第374話 あなたもそれくらい不気味です

「昆虫人がダンジョンに来たみたい」

 

「それはオーガの村からか?」

 

 ピルカヤの報告を聞き、出所を尋ねてみると、彼は首を横に振る。

 オーガの村以外には、昆虫人は姿を見せていないという話だったため、彼が見つけ出したのでなければ、向こうが行動に出たということだ。

 

「数が多いね。一か所からじゃない。いろんな場所の地底からやってきているみたい」

 

「ということは、やっぱり地底が住処である可能性は高そうだな」

 

 ある意味では、俺たちの同類ってわけだな。

 女神に迫害されており、地底に住処を追いやられている。

 ただ、昆虫人たちは、魔王軍と争うくらいなら地上に進出を、と考えているためナツラたちの村を占拠した。

 

「それにしても、ダンジョンね……。魔王軍との争いを回避したのに、結局衝突することを選んだのか?」

 

「というよりは、次の侵略先を探しているって感じかなあ。ダンジョンだけじゃなくて、地上にもワラワラと出現しているみたいだし」

 

「うちが狙いとも限らないか」

 

 であれば、うちがナツラたちを雇用したことで、狙うようになったわけでもなさそうだな。

 なんなら、ダンジョンも、うちの管轄と知らずにやってきている可能性すらある。

 

「案外、リズワンとかテイランの女性みたいに、欲望のダンジョンにハマったという可能性は……」

 

「ないんじゃないかなあ。ナツラが言ってたとおりだよ。全然、何考えてるかわからない。というか、そもそも何も考えずに、命令だけをこなそうとしているのかもね」

 

 やっぱりそういう印象なのか。

 うちのモンスターたちと違って、感情豊かだけど言語が使えないというわけでもないらしい。

 本当に淡々と動くだけか。それこそ、まるでNPCみたいだな……。

 

「それだけ目撃できたってことは、連中の住処の場所は」

 

「多すぎて逆にわかりにくいね。一応、どこから出てきたかは教えられるけど、全部つながってるとしたら、うちみたいに相当広そうだよ」

 

「おかしいな。それだけ広い土地があるのに、オーガたちの土地まで必要だったのか?」

 

「オーガ自身に用があったってほうが、合ってるのかもね~」

 

 まあ、とりあえず俺たちだけで考えても仕方ない。

 ダスカロスやフィオナ様を交えて、改めて状況を整理するとしよう。

 

    ◇

 

「う~ん。多すぎるな」

 

「獣人、人間、エルフ、ドワーフ、ハーフリング、海人族。竜人たちや他にも様々な種族の土地へ現れたか」

 

 しらみつぶしに、行ける場所全てに行ったかのようだ。

 そこに俺たちのダンジョンも含まれているのだから、狙いが本当にわからない。

 

「それも争うでもなく、ただ各地に訪れているだけですか」

 

「観光というか偵察というか、やっぱり何かを探しているみたいな動きですね」

 

 広範囲を一度に探索できるほどの人手で、数によるごり押しの調査をしているみたいだ。

 それだけに、目的が全然しぼれない。

 昆虫人たちの強みは、この圧倒的な数なのかもしれないな。

 

「であれば、ちゃんと地底魔界にも訪れているのは、なかなか見どころがありますね!」

 

「観光なら、の話ですけどね」

 

 自慢げに胸を張るフィオナ様。自分で言っておいてなんだが、観光という可能性は低いだろう。

 今は、単純に何かを探っているという段階なんだと思う。

 そして、そんな状態で事を荒げるつもりはないから、大人しくしているだけなんじゃないか?

 

 つまり、そういうことを判断できる種族ということになる。

 ナツラが言っていたように、女王だけは知能が高いのかもしれない。

 それとも、それ以外にも考えて動ける人材はいるが、今は表舞台に出していないだけか?

 戦闘員のことごとくが、ピルカヤが見たのと同じ昆虫人だったらしいし、あくまでも働きアリみたいな存在だけが見えているのかもな。

 

「うちの関係者の店に来た昆虫人っているのかな」

 

「虫と人間のハーフみたいなお客さん、うちに来ました!」

 

「海にも来ています」

 

 時任や奥居が教えてくれる。

 それだけでなく、ロペスやロマーナやリグマ。なんだか、うちの店には大体来ているようだ。

 客として来てくれるのなら、うちとしても歓迎できるのだが、やっぱり様子見って感じらしい。

 邪魔するでもなく、客になるでもなく、目的がわからない不気味な集団になりつつある。

 

「カジノを含めて、うちの店に来たってことは、オーガたちの存在もばれたか?」

 

「ピルカヤ様が教えてくれたので、その前にスタッフルームに下がってもらっています」

 

 ロマーナだけでなく、他の者たちもやっぱり同じ対応をしたようだ。

 ピルカヤ、やっぱり優秀だな。事前に昆虫人の来店を知らせてくれていたのか。

 

「ボク優秀でしょ?」

 

「ああ、目的はわからないが、オーガの存在はばれないに越したことは無いからな」

 

「だよね~」

 

 そう言いながらも、今も分体で昆虫人の動向を探ってくれているみたいだし、相変わらず頼れる四天王だ。

 そんなピルカヤだったが、じっと集中した様子を見せる。

 これは、どこかの分体が何らかの情報をつかんだか?

 その予感が正解であることを示すかのように、意識が戻ったピルカヤは唐突に口を開いた。

 

「今度は、ダンジョンに挑み始めているね。これまた色んなダンジョンに、大量の昆虫人がやってきている」

 

「調査ではなく、侵入者としてか」

 

「だね~。モンスターに勝ったり負けたり、罠にかかったり回避したり、物量でなんとかしようとしているのかな」

 

「これはこれで、目的が不明だなあ……」

 

 何かを探していたかと思えば、今度はダンジョンの探索?

 行動に一貫性がないので困る。

 ただ、店への来店よりは良い方向に動いているのか?

 ダンジョンに侵入者としてやってきたのであれば、あとは他の冒険者たちと同じように扱えば良いだけだし。

 

「ちょっと見せてくれ」

 

「おっけ~」

 

 視界には、たしかに昆虫人が映し出される。

 なるほど、こういう見た目だったか。

 獣人とは別の方向性で、人間と別の生き物が混ざったような見た目だ。

 

 そんな彼ら彼女らは、多数のグループで各ダンジョンの中を進んで行く。

 他の冒険者たちが何事かと訝しむも、まったく気にする様子も無く、ただただ奥を目指しているようだ。

 宝箱の回収とかが目的でも無いようだし、ダンジョンの踏破を狙っている?

 

「あ、毒の罠にかかった」

 

「ですが、仲間が倒れても気にせず、前に進んでいますねえ」

 

 感情が乏しいのか、本当に命令以外をこなす気が無いのか、これはこれで厄介な集団かもしれないな。

 そんな集団ではあるが、個体としての能力はバラバラらしい。

 毒にかかったものもいれば、同じ距離なのに無事な者もいるのは、耐性の違いということだろう。

 

「振り返らず前に進んでいるけれど、かろうじて動いているあいつも毒にかかっているだろうし、これってもしかしたら」

 

 群れについていく昆虫人。彼はしばらくしてから倒れた。

 だが、その間に彼自身が毒の媒介となったためか、群れはどんどん毒におかされていく。

 気にせず前に進むも、体が言うことをきかないのか、前進できるものはもはやほとんど残っていない。

 

「バタバタと倒れていっているね」

 

「死にかけた昆虫人から、毒がどんどん蔓延していったみたいだな。……こわっ」

 

「怖いのはお前なんだよなぁ……。なんだよ、その連鎖毒。知らねえぞ、あんなの」

 

「いや、俺も知らないんだけど。他の冒険者って、仲間が毒になっても、味方まで巻き込まれなかったよな」

 

「そういう特性なのかもね? 案外、意識も全員で共通していたりして」

 

 う~ん。だとしたら、雑に消耗している理由もわからんでもない。

 最初は死んでも良いから情報を得ようとしているのか?

 それができるというのであれば、うちのモンスターたちみたいに徐々に学習できるということになるが、敵に回ると厄介なことだな……。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ヤバマーズ ~毒喰らい男爵の人生逆転劇~(作者:裃 左右)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

▼ 飢え死に寸前、貧乏男爵。毒物を食ってるうちに、新エネルギー発見!?▼ 壊れた『病み堕ちループ令嬢』のため、世界を敵に回す。ヤバい仲間と、最底辺からの人生大逆転っ!▼ 超絶シビア、実力派内政サバイバル!▼~あらすじ~▼ エルフもドワーフも真似できない。人間の武器は――救いようのない『執着』だ。▼ 我がヤバマーズ男爵家は、一言で言って「マジでヤバい」▼ 初代…


総合評価:1809/評価:8.92/連載:196話/更新日時:2026年08月27日(木) 08:13 小説情報

ソル&ヴァルキリー:かませ騎士に転生した俺、破滅回避のため落ちこぼれヒロインを育成していたらいつの間にか天才と呼ばれてしまう(作者:マテリ-AL)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

全51話・約32万字/完結済み▼毎日20:18更新▼『ソル&ヴァルキリー 』。神の代弁者・魂導者(ソル)となり、戦乙女(ヴァルキリー)を空へ育て導くヒロイン育成系学園RPG。▼これは、そんなゲームの世界で、▼「戦乙女という空を飛べて広範囲殲滅魔法を使える存在がいるのに、騎士になる意味はあるのか……?」▼と考えてしまい、魂導者となったやられ役のかませ騎士、ルシ…


総合評価:6489/評価:8.45/完結:52話/更新日時:2026年05月09日(土) 10:18 小説情報

家事代行先は闇堕ち寸前魔法少女の家でした~貧乏一人暮らしの俺は生活力を買われて内緒の焦れ甘同棲生活を始めることになる~(作者:水瓶シロン)(オリジナル現代/恋愛)

「ぎゅって、して……?」▼「構ってくれないと闇落ちしちゃうよ……?」▼ 高校入学を機に一人暮らしを始めた『御守望』は、青春を勉強とバイトに費やすような限界貧乏生活を送っていた。▼ 幼くして両親を失っている望が頼れる人は、田舎に住む祖父母くらいだが、なるべく負担は掛けたくない。▼ そのため、睡眠時間を犠牲にして死に物狂いで勉強することによって好成績を維持し、入…


総合評価:4931/評価:8.73/連載:89話/更新日時:2026年07月03日(金) 12:07 小説情報

エロゲ転生〜やり込んだ知識でハーレム無双〜(なお特殊性癖)(作者:星野林(旧ゆっくり霊沙))(オリジナル現代/冒険・バトル)

やり込んだエロゲに転生してしまった主人公。▼抜きゲー世界であるが、バトルもあるので、死なない、詰まない様にしながらエロく生きたいと思います。▼なお初っ端から周回用アイテムを回収する模様。▼カクヨムとマルチ投稿▼諸事情により未完▼本当に申し訳ない。▼理由は活動報告にて


総合評価:5163/評価:8.24/未完:130話/更新日時:2026年06月01日(月) 18:00 小説情報

病弱貴族になった俺、治癒魔法をかけながら戦えばいいことが判明する(※血反吐付き)(作者:池崎)(オリジナルファンタジー/戦記)

突如として前世の記憶を思い出し、自身が病弱貴族になってしまったことを悟った主人公は、とある出来事をきっかけに──「治癒魔法をかけ続けたら戦えるのでは??」と気づき、おっさん治癒術師を巻き込んで修練に励む。▼その結果──確率で血反吐を吐きながら拳で戦うHENTAIスタイルになってしまう。▼「だ、大丈夫! すごく痛いけどすぐ治るから!!」▼


総合評価:2879/評価:8.33/連載:14話/更新日時:2026年08月12日(水) 12:39 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>