【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~   作:パンダプリン

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第392話 部隊間の序列もあるようです

「アンデッドも一撃なあたり、即死というよりは一撃必殺みたいな加護だったのかもな」

 

 そもそもアンデッドの状態って、死んでる扱いで良いんだっけ?

 死なないからアンデッドだった気もするけれど、それならそれでやはり即死は無効になりそうだし、やはり即死という加護ではなかったんだろう。

 まあうちには、すぐに魂が抜けては元に戻るバンシーもいるし、死という概念が元の世界と何か違うのかもしれないな。

 

「ドラゴンゾンビも一撃でしたからねえ。問答無用の戦闘不能技というのは、恐ろしいものですよ」

 

 だから、ここで仕留められて良かった。

 不可視で予備動作もなく、おそらく広範囲の一撃必殺とか、なんだその恐ろしい加護は。

 女神……本気でフィオナ様を倒せる加護も与えているのか?

 

「その恐ろしい力で死んだ部下に、もう一度挑ませる主のほうも恐ろしいのですが……」

 

「勝算はありましたし、現に上手くいったじゃないですか」

 

「勝算を考えたのレイ様ですけどね……」

 

「私は部下として、宰相様を信じただけです」

 

 エピクレシまで、ちゃっかりと俺の部下になろうとしている。

 魔王軍の宰相って、俺が思っているよりも重い立場なんじゃないかと思えてきた。

 

「アンデッドなら大丈夫かもしれない、という勝算は間違ってたわけだけどな」

 

「二つのうち一つが正しかったのですから問題ありません。ドラゴンゾンビも浮かばれることでしょう」

 

「俺、死んでませんが」

 

 雑な扱いに見えるが、ドラゴンゾンビも気を害した様子は無いので、エピクレシとアンデッドの関係は俺が口出しすべきじゃないんだろうなあ……。

 

「とにかく、増強の湯のおかげで助かった。なんでも作っておいてみるものだな」

 

「お役に立てたのであれば何よりです」

 

 増強の湯。四天王たちに温泉を作ってもらったときに、プリミラに担当してもらった湯だ。

 

 効果は、一時的に筋力と頑強を上昇させるものだが、それをルトラが改良したことで、受けるダメージを減少させる効果も追加された。

 なので、ドラゴンゾンビが再び出撃する前に、この効果を纏ってもらったのだ。

 その結果、うまい具合にダメージを抑えられたらしく、戦闘続行が可能となったドラゴンゾンビが、敵を倒してくれた。

 

 即死だったら、半減できないかと思ったけれど、うまくいったようだ。

 俺には見えないけれど最大HP分のダメージを与える、みたいな加護だったのかもしれないな。

 

「昆虫人が、三番とか四番とか言っていたから、誰を狙えば良いかわからなかったけど、ドラゴンゾンビの広範囲攻撃で倒せたっぽいな」

 

「攻撃されたときに、思わず転生者のほう見ていたからねぇ。どうせ攻撃前に死ぬから、あれだけの広範囲攻撃は来ないと思っていたんだろうね」

 

 ドラゴンのブレスってすごいな。

 準備に時間も魔力もかかっていたけれど、いくつもの部隊を一度に攻撃できるのは強力だ。

 

「これで、大人しく引き返してくれると良いんだけど……」

 

「潰した部隊は五つ。まだまだ向こうは健在だ。それに、撤退する気もないらしい」

 

「あれが全部、さっきみたいな能力だったら怖いなあ」

 

 三番と四番って言っていたから、少なくともあと二人は転生者がいるが、侵入してきた人間の数は二人より多い。

 ステータスを見る限りでは、あれらも転生者なんだろうな……。

 

「油断せずに対処しないと、今回の侵入者たちはちょっと危険かもしれない」

 

 というか、今までの転生者たちも能力は強かったが、油断していたり使いこなせていなかっただけなんだろうな。

 俺のダンジョンマスターもそうだが、女神の加護はどれも侮れないと改めて認識することができた。

 

    ◇

 

「どうするんだ……? 三番と四番を所持していた部隊が壊滅らしいぞ」

 

「油断しすぎたんだろ。たしかに、あの組み合わせは強力だ。だけど、無敵というわけじゃない」

 

 ダンジョンに仕掛けられた罠のように、攻撃するという意思がなかったり、三番の効果の範囲外から攻撃されたり、対処法自体はある。

 ハマれば強いが、ハマらなかったら脆弱。

 そんなピーキーな転生者の組み合わせだった。

 

 だからこそ、いざというときは俺たち昆虫人が対処しなくてはならない。

 それを怠ったのだから、あいつらに責任がある。

 現に、あいつらの囮のように扱われた部隊のいくつかは、無事に撤退をすませているからな。

 

「問題は、こうも短時間で対策を取られたことのほうだ。洞察力も対策を講じる知恵も、そしてそれを実行できる力も、全てが秀でている」

 

「やっぱり、単なるダンジョンではないだろうな」

 

「ああ。例の転生者たちの集団が、ここを根城にしている可能性が高くなってきた」

 

 入り口で店なんて経営しているのだから、ダンジョンの脅威はあの転生者たちが一番知っているだろう。

 それなのに、こんなにも危険なダンジョンの付近から離れようともしないのは、自分たちは安全だと知っているということか。

 このダンジョン、荒事が得意な仲間に攻略させて、すでに転生者たちが支配している可能性が高い……。

 

「そうなると、転生者たちを確保するのは、だいぶ骨が折れそうだぞ」

 

「それどころか、こちらの転生者をまた失う危険性すらある」

 

 転生者が強力なのは、もう十分に理解できている。

 こちらの手持ちの転生者が、モンスターを一方的に殺戮したように。

 そんな転生者たちが、向こうの転生者たちにあっさりと殺されたように。

 

「さしずめ、アンデッド使役の転生者といったところか……」

 

 それとも、モンスター使役だろうか?

 アンデッドもモンスターの範疇とすれば、こちらの軍に一人で太刀打ちできるほどの兵を保有していることになる。

 ……本当に、女神の力というのは恐ろしいものだな。

 

「女王様からの指示は?」

 

「まだ、女王様に連絡を届けられていません。どうしますか? このまま待機しますか?」

 

「いや、それは……」

 

 敵地で待機は、まずありえない。

 ならば引き返して、安全な場所で態勢を立て直すべきか?

 いや……すでに、奥地まで来ている。

 引き返す途中で背後を攻撃されることを考えると、このまま立ち去るのも攻略を続けるのも、どちらも大した違いは無い。

 

「進むぞ。そのドラゴンゾンビなら、私たちでどうにでもできる」

 

 そう。落ち着いて戦えば勝てたのだ。

 それなのに、無敵と勘違いしていた転生者の力に溺れた。

 過信して、破られて狼狽えて、そのまま本来の力も出せずに敗北するとは……。

 強力な力ではあるが、私たちが堕落するようなら考えものだ。

 

「敵は倒す。転生者だけに任せるな」

 

「かしこまりました」

 

 いま一度、俺の部隊には気を引き締めてもらおう。

 実力も発揮できずに死ぬのは御免だ。

 過信をしてはいけない。そして、それは敵の転生者にも同じことが言える。

 女神の力はたしかに強力だが、それは後付けされた力なんだろう?

 そんな力に頼っているのであれば、どこかで綻びも生じるものだ。

 とかく、転生者というのは油断や慢心ばかりだから、俺たちにも十分付け入る隙はあるだろう。

 

「俺たちは、二番に頼り切るつもりはない」

 

 女王様は、戦闘能力のない二番を俺たちにあてがった。

 三番と四番の部隊は、それを俺たちが評価されていないからだ、と言っていた。

 だが、逆だ。お前らのほうこそ、戦力として頼りにならないから、あんな転生者どもと共に行動させられたんだ。

 

 せいぜい女神の国から見るが良い。

 俺たちと二番であれば、お前らを壊滅させた相手をも倒せるということをな……。

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