【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~   作:パンダプリン

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第423話 オオアリクイ再び

 私は時任芹香。かわいいウサギさんです。

 ……すみません、嘘つきました。ただのウサギさんです。

 というか、元々は人間なのでウサギさんですらありません。

 そしてもう一つ。私は店長さんなのです。

 

 つまり、偉い。偉いウサギなのです。

 ……まあこれも嘘と言いますか、周りの仲間たちもみんな偉いので、私が特別というわけではありません。

 でも、だからといって私の立場が陰るというわけでもないのです!

 

 そんな偉い私に、とんでもないピンチが訪れることとなりました……。

 

「いつまで威嚇してるのさ。怖いならレイに言って返してくれば? というかそれ威嚇なの? 両手を横に広げてるだけじゃない」

 

「カーマルくんは黙ってて! 今、勝負しているところだから!」

 

「相手に戦意はなさそうだけどね」

 

「つまり私の勝ち!? ついに私は乗り越えたってこと!?」

 

「君、ほんと子供っぽいよねえ」

 

 聞き捨てならないことを!

 私より明らかに年下の子に、子供扱いされてる!

 ま、まあ、私は年上のお姉さんだし? この程度の言葉に怒ったりしないけどね。

 

「カーマルくんのほうが子供じゃない」

 

「いや、僕こう見えて子供ってわけでもないというか、本体はあのおじさんスライムだからね?」

 

 なんか。遠くでリグマさんが、お前らもいずれおじさんになるんだからな。と怒った気がする。

 まあ、私にそんな遠くの声が聞こえるはずもないし、気のせいだけどね。

 

「魔王軍の年齢よくわかんないよぉ……」

 

「基本的に、全員君より年上と思えばいいよ。プリミラだって、君たちよりはるかに年上なんだから」

 

 なるほど……。わかりやすい。

 まあ年齢なんて些細なことだよね。

 問題は、その人自身がどうなのかってことだし。

 ロペスくんとか、絶対同い年か年下だと思ってたのに、なんか年上だったし。

 

「つまり今までどおりでいいってことだね!」

 

「君のそういうところ、魔王軍のみんなも、あの魔王様ですら評価してるよ」

 

 なんか評価されてた!

 そうなると、これにも乗りこえて、より時任を評価してもらわないとね。

 

「さあ、勝負だよ! オーガ!」

 

「戦意ないって言ってるでしょ……。オーガも困っているじゃない」

 

 そこにいるのは、私の前世の死因。いわゆるトラウマでもあるオーガ。

 そんな彼女は、たしかにおろおろと困っている気がする。

 ……なんか、悪いことをしている気がしてきた。

 

 彼女はナツラさんたちとは違って、困ったとしてもそれを言葉にすることはない。

 同じオーガでも、最近仲間になったみんなとは違う。

 レイさんが生成したモンスターであり、私のトラウマにより近い存在らしいのだ。

 

 特徴としては、レイさんが生成した他のモンスターの子たちと一緒。

 優しい子であり、言葉は通じるけれど会話はできない。

 ……なんか、そんな良い子を困らせてる私って、駄目じゃないかなぁ!?

 

「ごめんね、オーガちゃん! 私が悪かったよ~!」

 

 はい! トラウマ克服!

 オーガちゃんは、私を許して受け入れてくれた。

 カーマルくんだけが、何してんのと呆れていたけれど、これは大事なことなんだよ。

 

「江梨子ちゃんにとってのワタリみたいに、オーガちゃんは私の用心棒だからね!」

 

「僕がいるから用心棒なんて必要ないけど、君がレイにねだってここで雇うことになったんだけどね」

 

「レイさん、こころよく許可してくれたよ?」

 

「レイはレイで、考えなしにモンスターを生成しているから、ちょうど良かったんじゃない?」

 

 考えなしで、オーガちゃんを作れるなんて……。

 あの人、考えありでモンスターを生成したら、すごいことになるのかな?

 

「それで店長。そろそろ店を開けないと営業時間なんだけど」

 

「……もうそんな時間!? ど、どうしてこんなことに」

 

「店長のせいだね」

 

 おのれ店長! ……私だ!

 私の馬鹿! もっと早くトラウマを乗り越えておけば!

 

「行くよ、オーガちゃん! 私たちで、このお店を繁盛させよう!」

 

 オーガちゃんは頷いて私についてきてくれた。

 良い子! 綺麗なお姉さん系なのに、なんかかわいいかもしれない。

 江梨子ちゃんのワタリみたいに、私もこの子に名前とかつけていいのかなあ?

 ナツラさんが、夏でラだから。春とカでハルカちゃんとか?

 まあいいや。そのへんはそのうち相談しよう。

 

    ◇

 

「というわけで、トキトウはオーガと仲良くやってたよ」

 

「それは良かった。オーガを生成したとき、またあの変なポーズで威嚇していたからな」

 

 体を大きく見せることで威嚇ということだろうか。

 生成されたばかりのオーガが、明らかに困っていたので、ある意味では威嚇は成功しているのかもしれない。

 

「それにしても、本当にオーガまで作れるんですねえ」

 

「俺もびっくりしました」

 

 超位モンスターガシャからオーガが出てきたときは、間違えて地底魔界のオーガを転移させたと勘違いしたくらいだ。

 それほどまでに、モンスターのオーガはうちで働いているオーガと見かけだけはそっくりだった。

 

 もっとも、うちのオーガたちよりも穏やかというか、性格はわりと違うみたいだけどな。

 ……モンスターより喧嘩っ早いというか、戦闘脳なオーガたちってどうなんだろう。

 

 あと、他のモンスターと同様に会話はできない。

 こちらの言葉は通じているようだが、向こうの言葉は残念ながら理解できなかった。

 それはオーガであるナツラたちにも同様だったらしく、モンスターたちはモンスターたちの共通言語でも使っているのかもしれない。

 

「レイなら、そのうち魔族でも生成できそうですねえ」

 

「いえ、さすがにそれは無理だと思いますよ……。そういうのなら、魔王様であるフィオナ様のほうが、できそうな気がします」

 

「私も先代も、そういう能力はありませんでしたねえ」

 

 となると、あとは普通に繁殖で増えていくだけか。

 ……フィオナ様なら、魔王以前に女性だし。

 いや何考えているんだろう。危うく、セクハラみたいなこと考えそうになっていた。

 そんな俺の思考なんて当然知る由もないため、フィオナ様はキョトンとした顔で首を傾げている。

 

「なんでもありません」

 

「自分からそう言うということは、絶対何かあるじゃないですか!」

 

 しまった。

 つい、問いただされる前に言い訳を……。

 なんか、余計に怪しまれて、いつものうざ絡み魔王様になってしまっている。

 

「言いなさい」

 

「セクハラだから嫌です」

 

「わ、私で何を想像していたんですか!」

 

 ……もう、喋らないようにしよう。

 なんかどんどん墓穴を掘っているな。これ。

 

「むう……。まったく! 私以外にそういうことを考えないように!」

 

「フィオナ様相手なら良い、みたいな言い方ですね」

 

「そういう考えは、私だけにするように!」

 

「はい……?」

 

 なんだろう。

 部下が被害に遭うくらいなら、自分に集約しようという考えかな?

 まあ安心してください。俺だって、今後は気をつけるつもりですから……。

 

 そんな言い訳は、魔王には通じなかったらしく、俺はこの後しつこくフィオナ様に問いただされることとなった。

 逃さないように抱きしめるのは、暑苦しいのでやめてほしいんですけど……。

 

    ◇

 

「見た目と能力は似ているが、戦意が不足しているな」

 

「というか、君たちそっくりの種族を平然と生成しているのに、その程度の感想でいいのかい?」

 

「仲間が増えただけだろう。ゼラシアだって、大量の昆虫人を産み出せるしな」

 

「いえ、私のとはまた別にとんでもない結果なんだけど……。というか、魔王様と宰相様のことは放っておいていいの?」

 

「すぐに慣れる」

 

「どうせ近いうちに慣れるさ」

 

「そ、そう……」

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