【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~   作:パンダプリン

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第425話 正義でも悪でもなく興味本位

「というわけで、転生者アンデッド化計画は無理でした」

 

「へえ、一回死んだら能力が消えちゃうのかな」

 

 あの女神ケチそうだもんな。

 回収して、次の転生者に渡すとかやりそう……。

 いや、死んだだけでは回収されないはずだ。

 

「俺が自爆して一回死んでも、ダンジョンマスタースキルはそのままだし、アンデッド化だから問題なのかもしれないな」

 

「なるほど……あの、レイ様。自爆のことを軽々と言うのは」

 

 駄目だったか?

 たしかに、自爆に巻き込んだ鳴神が近くにいるし、ゼラシアもいるけれど、一応隠すことでもないだろう。

 被害者である鳴神なんて、まったく気にしている様子もないぞ。

 

「……なんでしょうか?」

 

 顔にやわらかい感触を感じる。

 どうやら、フィオナ様が俺を抱きしめているようだ。

 

「そうやって冷静に分析されると、また自爆されそうで怖いのですが」

 

「大丈夫です。必要がなければ、俺もわざわざ自爆なんてしたくありませんし」

 

「必要があったとしても、自爆されたくないんですけど~」

 

「となると、いよいよ俺にも戦闘手段が必要ということに……」

 

「ふむ、ヒーローとして、助けを求める声あらばはせ参じる所存だぞ」

 

 なんか、こいつの場合本当に物理法則を無視して駆けつけてくれそう。

 そんな鳴神の言葉に、リピアネムが割って入ってきた。

 

「私のほうが、早く駆けつけられるが」

 

 なんの対抗心だ。これは。

 まあ、こっちはこっちで、呼んだら走ってきそうなイメージはあるけれど。

 つまり、ピンチになったらどちらかが来てくれるわけだ。それは頼もしい。

 

「そういえば、鳴神ってどんな能力なんだ?」

 

 こいつ、ヒーローっぽい動きで、敵をねじ伏せられるということはわかるけど、どんな加護なのかはよくわかっていないんだよな。

 純粋な身体能力強化かと言われたら、さすがになんか様子が違う気がするし。

 

「うむ。俺の与えられた加護は、ヒーローだ!」

 

「ぜんぜんわからん……」

 

「要するに、俺はヒーローとして力を発揮できるということだ。今は魔王軍のためのダークヒーローだがな!」

 

 ダンジョンマスターの俺が言うのもなんだが、本当にそんな変な加護を与えられたのか?

 他のみんなはわかりやすい能力だというのに、なんだか俺たちだけ変な能力だよなあ。

 

「転生者ってことは、女神から能力を聞いたってことだよな? 女神が、鳴神の能力はヒーローだと言ったってことか?」

 

「たしか……。自己暗示とか言っていたような」

 

 それだよ。たぶん、そっちがお前の能力だ。

 というか、どうしてそこからヒーローだなんて勘違いしたんだ。

 

「つまり、自分をヒーローと信じているから、自己暗示で本当にヒーローのようになったってことか」

 

「難しいことはよくわからんが、要は女神の力でヒーローになったということだな!」

 

 そんなに難しいことを言っていただろうか……。

 まあ、これくらい単純に自分を信じているからこそ、自己暗示で大幅に強化できているのかもしれない。

 

 ……前に襲撃してきた病の能力者。

 あいつも、自分の正しさを最後まで疑っていなかったし、あいつがこの力をもらっていたら、わりと厄介な存在になっていただろうな。

 

「お前はそれでいいんだろうな。ただ、敵対だけはやめてくれよ。めんどくさいから」

 

 こいつが敵対した場合、超位モンスターすら倒すやつを相手にすることになる。

 そうなると、十魔将や四天王で……。

 いや、逆に考えよう。そのくらいの強さのやつを相手にした場合、どうやればダンジョンで撃退できるかわかるんじゃないか?

 そういえば、ゼラシアはゼラシアで、昆虫人の兵隊を自由に生み出せるわけだし、やはりダンジョンのテストに最適だ。

 

「やっぱり敵対してもいいぞ。ちょっと、ダンジョンを攻略してみるか?」

 

「む、なんか……嫌な予感が。馬鹿な俺でも、この誘いに乗ったらまずいとわかるほどには、嫌な予感がしているぞ。宰相様」

 

「駄目か……」

 

「敵対しないことを残念がられるのは、なんとも不思議な気分だ……」

 

 そんな本気で敵対じゃなくてもいいんだよ。

 なんというか、ちょっと敵対してダンジョンに侵入するくらいの感じで。

 

「ナルカミ。お前の勘は正しいぜ」

 

「やはりそうか! 宰相様もなかなかに人が悪い。つまり、ヒーローである俺が、誘いに乗るか試していたということだな」

 

「え、いや」

 

「安心するがいい。鳴神奏一、約束を違えるつもりはない!」

 

「そうか……」

 

 なんか、敵対してくれる雰囲気じゃなくなってしまったな……。

 じゃあ、もう一人の候補を。

 

「ゼラシアの兵隊とかどう? 前みたいに、集団でダンジョンに入ってみるっていうのは」

 

「わ、私にも敵対の意思はありません!」

 

「みんな欲がないなあ……」

 

「ボスのそういうところ、たまにすげえ怖いと思うんだ」

 

 むしろ敵対することを許しているから、怖いどころか優しいと思わないか?

 ロペスのやつ、顔色を悪くしているふりまでして、まるで俺が悪いことをしているみたいじゃないか。

 

「まあ、レイくんの奇行は今に始まったことじゃないから」

 

「心外な言い方だぞ」

 

「ちゃんと断ることができているなら、君たちも魔王軍に慣れるのはすぐかもね」

 

「魔王軍に慣れるための一番の障害が、俺みたいな言い方だな」

 

「まあまあ。私がなぐさめてあげましょう」

 

 リグマとピルカヤの言葉に抗議するも、二人には聞き入れてもらえなかった。

 その代わりというべきか、フィオナ様が俺の頭をなでている。

 すっかりと、いつものフィオナ様だな。

 ちょっと前までは、鳴神やゼラシアがいたときは、なんか魔王様モードになっていたというのに。

 

「まあ、二人が魔王軍に馴染めたのなら、あとはどんなことをしてもらうかだな」

 

「魔王軍のヒーローとしての活動か。いいだろう、俺はそういうのは得意だぞ」

 

「いや、それよりはもっと地に足を付けた活動というか、鳴神の場合店員になってもらうことになりそう」

 

「ヒーローとは違うが、頼まれたとあらばこなしてみせよう!」

 

 よし、店員確保。

 オーガたちが、店員としての働きが不得手だったし、魔族以外の店員はいくらいてもいい。

 ……待てよ。オーガたちが苦手だったとはいえ、俺が生成したモンスターのオーガならいけるんじゃないか?

 オーガの男女を何人か生成したけれど、みんなうちの配下になったオーガよりも穏やかだ。

 つまり、モンスターでないオーガよりも、戦闘好きでないということになる。

 店員。いけるんじゃないか?

 それにゼラシアのところの昆虫人たちも……。いや、無理か。

 

「ゼラシアの兵隊は、さすがに店員とかは難しそうだな」

 

 あいつらの融通の利かなさは、俺もよく理解している。

 なんせ、敵である俺を前に、何もしないなんてこともあったからな。

 さすがに、そんなバグみたいな動きをする者たちに、店を任せるのは無理だろう。

 

「ええと、あの子たちは単純な仕事はできますので、将や私が指示してなんとかがんばります」

 

 やる気はあるみたいだ。

 となると、いずれはクララみたいに施設や店の管理者に……。

 まあ、先の話だが期待はしておこう。

 昆虫人たちの巣に連れ去られてから、わりと時間は経過したが、改めて良い拾い物ができたということだな。

 

「フィオナ様も鳴神や昆虫人に慣れてきたことだし、そろそろ本格的にうちで働いてもらうとするか」

 

「そうだな。すでに候補は見繕っている」

 

「教育はクララたちに任せればいいか」

 

「ああ、彼女たちなら間違いないだろう」

 

 ダスカロスとしても、すでに彼らを従業員として認めているらしく、ようやく役割ができそうだ。

 新しく店の管理ができそうな従業員かあ……。つまり、新しい店を作っても良いということに。

 

「フィオナ様は、どんなお店や施設ができたら嬉しいですか?」

 

「図書館と本屋さんですね」

 

 なんとも、欲望のままの発言だが、ガシャとか宝箱関係でなくてよかった。

 できることならば、そのまま健全な魔王様であってほしいものだが、どうせ明日くらいにはガシャの話をしているんだろうなあ……。

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