【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~   作:パンダプリン

428 / 428
第428話 落とし前は神妙に

「まあ、ロペスの紹介なら」

 

「そうですね。ロペスの紹介なら」

 

「ありがたいんだが、その信頼が怖いときもある……」

 

 ビッグボスとボスは、あっさりと許可をくれた。

 どんな相手なのか軽く話しただけでこれだ。

 会うこともなく判断していいんだろうか。

 それだけ、俺を信頼してくれているというものなのだろうが……。

 そのぶん、もしも裏切ったときが怖えな。

 

「まあ、何か売る程度なら問題ないだろ。あとは、変なものを売らないようにだけ注意してもらいたいが」

 

「ああ、そこは抜かりないぜ。しっかりと管理しておく」

 

 珍品が多いから、わりと大変そうだが、俺と女王様で協力すればなんとかなるだろう。

 食料一つにしても、元の世界では知らないものがたまにあるからな。

 あいつが扱うのは、そういうものばかりのようだし、しっかりと見ておく必要がある。

 

「とりあえず、本は預かってきたから、これはビッグボスに渡しておけばいいか? それともビブリオンの姉御に渡すべきか?」

 

「ふむ、私が預かっておきましょう」

 

「見たことない本ばかりだ。お手柄だな、ロペス」

 

「おう、二人とも楽しんでくれ」

 

 たしかに、俺も見たことないというか、知らない文字の本さえあったからな。

 あいつ、本当に珍品コレクターを狙った商売をしているみたいだ。

 なかなか面白い目の付け所じゃないか。

 

    ◇

 

「てなわけで、仲間たちから許可は得た。くれぐれも変なもの売るんじゃねえぞ」

 

「あ、ありがとな。まあ、変なものといえば、俺が扱うもの全部変なもののような気はするが」

 

「たしかに……。俺もよくわからねえものが多いからなあ」

 

 売れるかどうかはわからねえが、興味を惹かれると思う。

 これで客が増えてくれたら、ボスが使える魔力も増えるみたいだし、こちらにとっても悪い話ではない。

 

「だからこそ、残念だねえ」

 

「女王様?」

 

 そんな俺の考えを否定するかのように、女王様はため息をつきながら商人を冷たい目で見ていた。

 そんなに売れないか? これ。

 ……ってわけじゃなさそうだな。どちらかと言うと、敵を見る目だ。

 つまり、そういうことなんだろう。

 

「売っている物の中に、おかしなものがあったかい?」

 

「ああ、主に魔法関連の危険物が多いね」

 

 そうきたか。

 俺にはわからないが、そちらの目利きは女王様に任せていた。

 ならば、こいつは俺たちを利用して、危険物あるいは違法とされる品でも売ろうとしていたってことだろ。

 

「な、何言っているんだ! ダークエルフなんかに何がわかる!」

 

「これでもエルフではあるからね。少なくとも君たちよりは、魔力について詳しいつもりだよ」

 

「女王様、ちなみにどれがアウトだったんだい?」

 

「たとえばこの果物。これを食べた者の魔力を吸い尽くして、多幸感を与えて現実感を減らすものだね。最後は現実と夢の境目がなくなり、魔力が枯渇し続ける」

 

「やべえな」

 

 そんなもの、うちのカジノで売り出してたまるか。

 リズワンの旦那だけでなく、レンシャの姉御もいるんだぞ。

 あの姉御、テイランでも魔法知識に長けている存在らしいし、一発で違法なアイテムと看破されるだろ。

 そして、そんなものを売っているうちの信用はガタ落ちだ。

 

「こっちのほうは、魔力反応の受信アイテムだね。購入者の位置を知って、何かしようとしていたのかい?」

 

「ろくなもんねえなあ……」

 

 これ、うちを利用してよからぬことを企む気満々じゃねえか。

 商人の男は否定するが、俺にとってはお前の言葉なんかより、女王様の言葉のほうが断然信用できる。

 

「ま、商売の話は無しだな」

 

「お、おいおい。そんなダークエルフなんかの言葉を信じるつもりかよ。そいつ、迫害種だぞ」

 

「うち、そういうのやってねえんだ」

 

 なんなら、とりまとめている二人が迫害種だしな。

 そもそも、魔王軍が迫害される理由も……。

 まあ、危険だというのはわからんでもないか。

 ビッグボスとか、ボスがいなかったら俺たちを招いてくれていたかわからねえしなあ……。

 

「さて、こうなってくると単独犯なのか、誰かの命令なのかも気になるね」

 

「そうだな。自分が稼ぐためにうちの評判を落としたのか。それとも、評判を落とすほうが目的か。教えてくれるか?」

 

 商人は引きつった顔をしているが、もう自白したようなもんだな。

 言い訳も支離滅裂で、最後は女王様の罵倒に変わっているし、どうやら初めから俺たちを利用するつもりで近づいたらしい。

 

「ウルラガの旦那。頼むわ」

 

「おうよ。……殺しちゃいけないんだろ?」

 

「悪いな、捕獲だけにしてくれ。聞きたいことはあるからな」

 

 逃げる商人をウルラガの旦那が捕まえる。

 やっぱ、用心棒として優秀だよなあ。この旦那。

 さて、話す気がないなら話す気になるまで、色々と聞いてみるかねえ。

 同じハーフリングのよしみとか、舐めてんじゃねえぞてめえ。

 

    ◇

 

「というわけで、すまなかったボス。俺の目が曇ってたみたいだ」

 

 そう言いながら、ロペスは深々と頭を下げる。

 とは言ってもなあ……。罰する気なんて毛頭ない。

 

「未然に防げたのなら問題ないだろ」

 

「ああ、女王様がいなかったら、まんまと一杯食わされていたかもな」

 

 いや、それはないと思う。

 慣れない魔力関連のアイテムだったとはいえ、なんやかんやでロペスなら見抜くだろう。

 相変わらず、謙遜するやつだなあ。

 

「それで、その男は誰の差し金なんだ?」

 

 ロペスの話では、金に目がくらんだだけではなさそうだったが。

 

「なんでも、転生者の成功を疎ましく思っている連中に頼まれたらしい」

 

「なんだその限定的な妬みは……」

 

「俺たち、わりと利用価値があるからかなあ。手元に置いておきたいってことだろうな」

 

 ああ、なんとなくわかった。

 ロペスたちは、いわばフリーの転生者だ。

 どの国にも組織にも所属しておらず、それでいてこちらでの暮らしも成功している。

 だから、なんとかして評判を落として、落ちぶれたところを保護してやることで、利用しようと考えている組織でもいるんだろう。

 あるいは国単位となるかもしれないか。

 

 まあ、ロペスたちが独立しているというのは嘘であり、れっきとした魔王軍の一員なんだけどな。

 それを知られていないということは、むしろいいことだろう。

 

「その連中とやらには、たどりついたか?」

 

「いや、残念ながらあの男は、そこまでの情報を得ていないらしい。まったくもって度し難いな。依頼主のことすら知らねえなんて、腑抜けている」

 

 金稼ぎをする者としての常識なのか。

 ロペスは、むしろ依頼主をよく知らないことに対して怒っているようだった。

 

「そうか。ちなみに、その男はどうなったんだ? 逃がしてそいつらとの接触でも待つか?」

 

「いや、それもためした上で何の役にも立たなかった」

 

 さすがはロペスだ。

 すでに、その程度のことは実施済みらしい。

 それでも情報がないということは、その商人の男、本当に何も知らずに目先の欲だけで動いていたんだろうなあ……。

 

「じゃあ、今ごろハーフリングの国に帰っているか」

 

 まあ、被害もなかったし、情報も何もないというのなら、わざわざ捕獲する意味もないからな。

 そんなやつ、従業員にしてもしょうがない。

 

「いや? たぶん、もうどこにもいないんじゃねえかな?」

 

「……そうか」

 

 始末したっぽいな。

 ウルラガに頼んだか、あるいはナツラあたりに頼んだか。

 ……いや、なんか自分で対処している気がする。

 

 たしか、元々は表に生きていない人間だったという話だし。

 そういうルールの元に動いたんだろうな。

 普段は優秀かつ情けをかけるタイプだが、やるときはやるということだ。

 

「とりあえず、ウルラガは今後もカジノの用心棒のままでいてもらうか」

 

「そうしてもらえると助かるぜ。なんせ、俺はか弱いハーフリングだからな」

 

 どうだか。

 いつもと変わらない態度のロペスを見ながら、その謙遜も彼の武器の一つなんだろうなと改めることにした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

【書籍化決定】クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った(作者:星野林(旧ゆっくり霊沙))(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

学校で進路を悩んでいた斎藤隆史(サイトウ タカシ)はクラスに馴染めずに居た。▼そんな最中、突如異世界にクラスごと召喚もとい拉致され、魔王と戦えと言われる。▼そして各自に役職と能力が付与されているからとステータスを開くように言われてステータス画面を見ると……皆が普通のRPG表記なのに、俺だけポケ◯ンみたいにレベル形式だし、技ってのが見える。▼そして始まる異世界…


総合評価:3073/評価:7.92/完結:95話/更新日時:2026年08月06日(木) 10:50 小説情報

ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~(作者:SIS)(オリジナルSF/冒険・バトル)

 友人の勧めで『ビルドロボオンライン』なるゲームを始めたサラリーマン小鳥遊将也(たかなししょうや)。▼ 最初はそこまで乗り気ではなかったものの、作りこまれたゲーム内容に魅了された彼は、文句を言いながらもなんだかんだとゲームを楽しみ、独自の道に突き進んでいく。▼ 彼は知らない。▼ 後に、自分が廃人ゲーマー達から正体不明、野生のレイドボス、なんて呼ばれるようにな…


総合評価:2404/評価:8.19/連載:151話/更新日時:2026年09月14日(月) 06:00 小説情報

ソル&ヴァルキリー:かませ騎士に転生した俺、破滅回避のため落ちこぼれヒロインを育成していたらいつの間にか天才と呼ばれてしまう(作者:マテリ-AL)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

全51話・約32万字/完結済み▼毎日20:18更新▼『ソル&ヴァルキリー 』。神の代弁者・魂導者(ソル)となり、戦乙女(ヴァルキリー)を空へ育て導くヒロイン育成系学園RPG。▼これは、そんなゲームの世界で、▼「戦乙女という空を飛べて広範囲殲滅魔法を使える存在がいるのに、騎士になる意味はあるのか……?」▼と考えてしまい、魂導者となったやられ役のかませ騎士、ルシ…


総合評価:6574/評価:8.48/完結:52話/更新日時:2026年05月09日(土) 10:18 小説情報

エロゲ転生〜やり込んだ知識でハーレム無双〜(なお特殊性癖)(作者:星野林(旧ゆっくり霊沙))(オリジナル現代/冒険・バトル)

やり込んだエロゲに転生してしまった主人公。▼抜きゲー世界であるが、バトルもあるので、死なない、詰まない様にしながらエロく生きたいと思います。▼なお初っ端から周回用アイテムを回収する模様。▼カクヨムとマルチ投稿▼諸事情により未完▼本当に申し訳ない。▼理由は活動報告にて


総合評価:5252/評価:8.24/未完:130話/更新日時:2026年06月01日(月) 18:00 小説情報

(ガワだけ)胡乱なカードゲームおじさん(作者:十田心也)(オリジナル現代/冒険・バトル)

【バトルワールド】▼それはただのカードゲームに非ず▼それは世界中の人々を熱狂に導き、いまだ醒まさせない▼ある国では1枚のカードを手に入れるため、世界有数の富豪が一文無しになり都市が壊滅した▼またある国では、そのカードゲームが最も強い者が皆を率いるリーダーとなった▼長年争っていた両国が、1回のカードゲームの勝負で終戦に合意したこともある▼カードゲームの枠を超え…


総合評価:4754/評価:8.41/連載:30話/更新日時:2026年09月02日(水) 18:30 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>