【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~   作:パンダプリン

53 / 85
第53話 坑道はダンジョンです

 ありがとうダンジョンマスター。

 俺はもう深いことは考えないことにするよ。

 

 採掘場作成:消費魔力 20

 

 ドワーフたちを招いてくれと言わんばかりの施設が解禁された。

 適度にこれらを設置することで、放棄された採掘場のように見せることができそうだな。

 

「魔石に宝石。あとは詳しいことはわかりませんが、鍛冶に使用している鉱石みたいなものもありますね」

 

「それだけ種類が豊富なら、ドワーフたちもきっと興味を持ってくれそうですね」

 

「ま~た、とんでもないことしてらあ。なんなら、うちで採掘始めたほうがいいんじゃねえか?」

 

 体が水銀だからか、リグマまでお墨付きをくれた。

 でもいいのか? そんなこと言ったら……。

 

「じゃあ、リグマさんの仕事が増えるね」

 

「はあ!? なに言ってんだピルカヤ! おじさんこれ以上はほんと無理よ!?」

 

「だって、一番鉱石に詳しいのリグマのおっさんじゃん」

 

「……レイ。さっきの発言なかったことにできねえかなあ?」

 

「俺はいいけど、フィオナ様次第かな」

 

 その言葉を聞いて、リグマは恐る恐るフィオナ様のほうを見た。

 

「魔石……魔力を回復できる……宝箱」

 

 あ、これだめだと思う。リグマ、諦めろ。

 こうなったらフィオナ様はプリミラにしか止められないぞ。

 

「レイ。ドワーフたちの捕獲罠も設置しましょうね!」

 

「はい。他のドワーフにばれないように働かせましょう」

 

「おじさん働くことになってるよねえ!」

 

 大丈夫。最初の指導だけだから。

 さすがにドワーフのほうが採掘の能力も知識も上だろうし、本当にただ管理するだけのはずだ。

 

「安心しろリグマ。こう見えて力仕事には自信がある。私も手伝おう」

 

「い~や、これ以上俺の仕事増やさないでくれ。いやまじで。お前なら採掘場ごと破壊し尽くしかねない」

 

「…………だが、そのほうが石は採れるのではないか?」

 

「ついにごまかすことさえしなくなったな。そんな使い捨てにできるか! ……いや、まあレイならできるのか?」

 

「そんな贅沢な使いかたしないで、普通に使おうよ」

 

 たしかに魔力さえあればできなくもないけれど、どうせこれも時間や魔力によって採れる石が変わるタイプだぞ。

 毎回毎回作り直していたら、きっと低品質の石しかとれないだろうし、リピアネムには諦めてもらおう。

 

「それじゃあ適当に採掘場をちりばめて……」

 

「ああ、俺の職場が増えていく……」

 

 捕獲檻:消費魔力 5

 

「フィオナ様の要望どおり、捕獲のための罠をいくつか」

 

「魔石さえあれば、より効率よく宝箱を育てられます」

 

 満面の笑みで俺の頭をなでるフィオナ様だが、たぶんその目論見は失敗するんだろうなあ。

 だって、プリミラが作った魔力回復薬でさえ、フィオナ様の魔力は回復できていない。

 ならば、魔石とやらでもフィオナ様の魔力を回復しきるのは無理だろう。

 

 六つの岩:消費魔力 15

 

 転がる岩が六個になった罠を設置する。

 ドワーフってたぶん頑丈だし、岩一個では足止めにもならないだろうからな。

 燃費もこちらのほうがいいし、ただの転がる岩よりもこちらを設置しておこう。

 

「よし。頑丈なドワーフでも、身動き取れないほどの岩相手なら足止めできるだろう」

 

「誰? レイにドワーフの頑丈さを過剰に伝えたの」

 

「誰も伝えてないから、勝手にそう思ったんだろうなあ」

 

「足止めというより、息の根が止まるのではないか?」

 

「手を抜かず、全力で相手を仕留める。さすがはレイ様です」

 

「プリミラ。レイに甘くありませんか?」

 

 四天王にフィオナ様たちも、これならドワーフに通用すると判断したようだ。

 他の魔族たちはちょっと大げさだけど、プリミラはこちらに好意的な意見のようだし、たぶんこれで問題ないはず。

 なんか全員少し離れた場所で話し始めたが、俺の邪魔をしないように気遣ってくれているのだろうか。

 

 回転ノコギリ:消費魔力 10

 

 天井から降ってくるのが岩だけだと味気ないな。

 押しつぶすだけでなく、切断系も混ぜておいた方が安心かもしれない。

 ゲームというのなら、物理とか斬撃で得意属性が異なる可能性もあるしな。

 

「天井ばかりだとバランスが悪いし、床にもしかけておこう」

 

 トラバサミ:消費魔力 5

 

 古典的だけど、踏んだら足が鋭利な金属罠に挟まれて機動力を削げる罠だ。

 これはどちらかというと倒すための罠というよりは、相手を消耗させるような罠だな。

 

「フィオナ様が望んでいるし、こういうのでドワーフを捕獲するのもいいかもしれない」

 

「どうすんですか魔王様? 足を怪我したドワーフを大量に献上されそうですよ」

 

「うう……そこまでは望んでいないのですが、私のためにがんばっているレイを止めるのは忍びないですし」

 

「トキトウに、回復薬を売りきらないように伝えておかないとですねえ」

 

 上昇床:消費魔力 20

 

 ん……? これは見おぼえないな。最近解禁された罠か。

 魔力消費は吊り天井と同じ……。ただ名前からはいまいち効果が想像しにくい。

 エレベーターみたいな移動施設か? でも、罠の項目に記載されているしな。

 

「試しに作ってみるか」

 

 プリミラの畑から作られる回復薬のおかげで、ある程度の贅沢ができるのはありがたい。

 こうして気軽に効果を確かめることができれば、いざというときの選択肢にもなるしな。

 

「ピルカヤ。視界の共有してくれ~」

 

「おっけ~」

 

 フィオナ様や他の四天王たちと、少し離れた場所で話していたピルカヤを呼び寄せる。

 視界を共有し、罠がたしかに作成されたことを確認してから、今回は手動で起動してみる。

 

「お~……そういう感じか」

 

 床全体が上にせり上がっていく。

 その上昇は止まることはなく、天井にくっつくまでの高さになった。

 つまり、床と天井で押しつぶす系統の罠というわけだ。

 吊り天井の床版みたいなものだな。どおりで消費魔力も同じはずだ。

 

 その後もとりあえず思いついた罠を次々と設置していく。

 回復のために睡眠を挟まずにすむのは、本当にありがたい。

 おかげで獣人たちのダンジョンよりも速く、完成させることができた。

 

「こんなところかな」

 

 しかし心残りがあるのもたしかだ。

 モンスターも設置したかったなあ……。

 だけど、当初のコンセプトに沿って作るのは大事だし、ここは我慢するとしよう。

 

「ドワーフたちくるかな? いや、きてもすぐに諦めないかな?」

 

「殺意が高くておじさんびっくりだよ」

 

「これがレイ殿の戦い方というわけか。手を抜かずに敵を全力で打ち倒す。さすがは魔王様の側近だ」

 

「……もう少し罠減らしたほうがいいかな?」

 

 なんか、思っていたよりも倒す方に特化しすぎた気がしてきた。

 四天王たちの反応を見るに、それは気のせいというわけではないだろう。

 

「まずはこのまま進めてみてはいかがでしょうか? 放棄されたダンジョンと思わせるのであれば、途中で罠を増やすよりは減らしていく方が自然です」

 

「それもそうか。減る分には生きていた罠が停止したと思うだろうけど、急に増えたら絶対に怪しまれるもんな」

 

 さすがはプリミラ。

 フィオナ様にいつも意見しているだけのことはある。

 ……最近では意見というか、もっぱらお説教だけど。

 

「にしてもだよ? ドワーフたちは獣人ほど馬鹿じゃないし。やっぱり命が惜しくなるんじゃないかなあ」

 

「だなあ。餌をもっと豪勢にしようぜ」

 

「餌っていうと……宝箱?」

 

「ほほう、宝箱ですか」

 

 反応しすぎである。フィオナ様の前世ってミミックだったんじゃないだろうか。

 

「いや、石と酒だろ」

 

「あ~」

 

 たしかに、ドワーフといえばそんなイメージだな。

 石は採掘場に湧いてくる鉱石の質に期待するしかないが、酒か……。

 

「さすがに、ダンジョン作りのスキルじゃどうしようもないぞ」

 

「そこで、プリミラの畑……というか、もはや果樹園になってるあの場所だよ」

 

「なるほど、つまり私が酒精の実を育てて、魔族印のお酒を作れということですね」

 

「そうそう、得意だろ? そんでおじさんにもちょっとわけてくれたら、なおいいと思うよ」

 

 プリミラすごいな……。

 魔力の実から魔力回復薬を作ったときのように、酒の実とやらから酒まで作れるのか。

 リグマの魂胆はともかく、その酒の品質次第ではドワーフたちを釣る餌の一つになるかもしれない。

 魔族は他種族と交流なんてできないからな……。そんな魔族が作る酒なんて、彼らにとって未知の味となるだろう。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。