神に手が届くその時まで   作:なかりょた

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評価、感想オナシャス


新たな仲間

「君が選ぶんだよ、夜卜」

 

五条は俺の目をまっすぐ見つめてきた。

 

「そんなの、決まってる。緋色を助ける。そのために協力してくれ。」

 

緋色の方からわずかに力が抜けた。五条が少し笑ってこう言う

 

「いいね、じゃあ―面倒見るよ。じゃあちょっと見るね」

 

五条が目隠しをずらして、俺と緋色を見る。

 

「・・・・へぇ」

 

五条が目を見開いて、息を吐く

 

「やっぱり、混ざってるね。でも、思ってたのと違う」

 

五条の視線は俺ではなく、緋色に向いていた

 

「そっか、術式で無理やり成立させてるんだ」

 

「境界で固定して、ルールを無理やり押し付けて、本来あり得ない状態を保ってる。界律巫術、か。なんの因果か、君も境界に触れられる。」

 

五条が俺と緋色、両方に指をさす

 

「でも、それだけじゃない」

 

「・・・何?」

 

「君たちは、二人で術式じゃ足りない分を無理やり埋めてる。それは信頼かもしれないし、愛かもしれない。」

 

俺は緋色の方を振り返る

 

「・・・私は」

 

緋色の声が震える

 

「私はただ――」

 

言葉が止まる

 

「・・・できるから、やってるだけ」

 

五条はあきれたように息を吐いて

 

「だろうね。でも、」

 

視線が今度は俺に向く

 

「それだけじゃない。こっちもやってる」

 

五条が一歩近づいてくる

 

「・・・は?」

 

「気づいてないの?君はちゃんと選び続けてるんだよ。緋色ちゃんを毎回“人”として扱ってる」

 

禁忌に触れて、境界を越えて、それでも手放さなかった理由

 

「・・最初からそうしてる」

 

「うん。それをやめた瞬間終わりだよ。支え合ってる、か。いや――縛り合ってる、の方が正しいかな。どっちが崩れたら終わり、普通は成立すらしない。でも成立してる。」

 

「面白い。呪術高専は君を歓迎するよ。壱岐夜卜、雨宮緋色。・・じゃあ、ついてきて」

 

五条は部屋の扉を開けて、歩き出す。俺も緋色と一緒についていく

 

「なんだか、すごいことになっちゃったね」

 

緋色はのんきなことを言ってる

 

「お前はそれでいいのかよ?嫌ならやめてもいいんだぞ?」

 

「ううん。これは私の問題でもあるし、私は夜卜と一緒にいれればそれでいいから。」

 

緋色は照れたようにはにかむ。そんなやり取りをしているうちに目的地に到着していた。

 

「・・・教室?」

 

「うん、教室。君たちにはこれから呪術高専の生徒として過ごしてもらいます」

 

「・・・は?聞いてないぞ、五条」

 

「うん、言ってないもん。でもよく考えてみなよ君たちは禁忌に触れたんだ、普通の生活に戻れると思う?」

 

「・・・」

 

重い言葉だった。自分のしたことの重大さを改めて、思い知らされる。

 

「まあ安心しなよ。呪術高専にいた方が呪術に理解のある仲間がいて楽しいと思うよ」

 

「じゃあ、教室に入ろうか」

 

俺が扉を開けて、教室に入ろうとした瞬間、

 

「っ!」

 

薙刀が俺に向かって振るわれた。俺は血の刀で迎撃する。緋色は後ろで境界を引く

 

「ー線」

 

緋色の術式が俺と相手の間に境界をつくる

 

「・・・っ!」

 

相手が武器を収めたのでこちらも武器を収める

 

「なにもんだ、お前たち」

 

相手は女だった。黒い髪にめがねをした女。答えようとした瞬間、五条が遮る

 

「真希、いきなり攻撃はだめだよ。」

 

「そんな気色悪い呪力流してたら、だれでも攻撃するだろ」

 

「まあね。とりあえず教室に入ろうか」

 

教室に入ると、三人の生徒がいた。男子二人、パンダ一匹。全員こちらを見て、警戒してる。

 

「・・・なに、これ」

 

「しゃけ・・・」

 

パンダだけが足しそうに目を細めた

 

「お、転校生か?」

 

前に立つのは―五条悟。

 

「はいはい、静かにね。真希も席に戻って」

 

真希と呼ばれた女が席に戻っていく

 

「じゃあ、事故紹介いこうか」

 

順番に名前が呼ばれていく

 

「パンダだ、よろしく」

 

パンダはパンダらしい。解せぬ

 

「しゃけ」

 

「こいつは狗巻棘。呪言師だから語彙をおにぎりの具だけにしてるんだ」

 

パンダが補足してくれる

 

「禪院真希だ。苗字で呼ばれんのはすきじゃねえ。名前で呼んでくれ」

 

真希はこちらをにらみながらも自己紹介する

 

「乙骨優太です。僕もこの前きたばっかりでこれから一緒に頑張ろうね」

 

乙骨は俺たちの呪力に戸惑いながらも笑顔を向けてくれる

 

「じゃあ次」

 

「壱岐夜卜です、これからよろしく」

 

余計な事は言わない

 

「雨宮緋色です、よろしくお願いします」

 

「で、こいつらなんなんだよ」

 

「呪力が歪んでる?」

 

真希と乙骨が尋ねる。乙骨の言葉は正解だった。

 

「・・・あー、これね」

 

五条が軽く笑う、思い空気を崩すみたいに

 

「・・ちょっと、特殊なだけ。優太と同じようなもんだよ。心配しなくてもいいよ」

 

乙骨は引き下がらない

 

「でも・・・普通じゃない」

 

「うん、普通じゃない」

 

五条は乙骨の言葉をあっさり認める

 

「でも、制御できてる。少なくとも、優太よりはね」

 

少しだけ空気が緩む

 

「・・・なるほどな」

 

パンダが近づいてくる

 

「なぁ、お前ら。どういう関係?」

 

俺が答える前に、緋色がこちらを見る。

 

「相棒です。ね、夜卜?」

 

緋色はなにか含みのある言い方をした。でも、緋色の言葉には相手を踏み込ませない何かがあった。

 

「・・こんぶ」

 

狗巻が小さくつぶやく。五条が手を叩いて注意をひく

 

「これからは同級生なんだから仲良くしてやってね」

 

教室の空気はまだ固い。でも、完全に拒まれてはいない。環境が変わっても、夜卜の隣に緋色がいて、緋色の隣に夜卜がいる。それだけが変わらない事実だった。

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