俺と緋色が出会って、10年がたっていた。いやなんでそんな進んだかって?いやそりゃもう書くことがなかったからだよヨぉ!でも緋色との仲はすごい深まった。今は任務以外の時も一緒にいることが多い。学校とかでいじられて最近すこしクールキャラを演じてるけどそれも大人になったら思い出になるだろう。まぁ正直に言えば緋色に友情以外の気持ちを向けているのは否定できない。むこうはどうかしらんけど。っとそろそろ任務の時間か。緋色をまたせたくはないし、早めにいくか。
春先の朝だった。冷たい空気がまだ少し残っていて、吐く息がわずかに白い。
「夜卜、遅い」
集合場所に行くと緋色がいた。
電柱の影に寄りかかって、腕を組んでいる。
風に揺れた髪が、少しだけ目にかかっていた。
「……まだ集合時間じゃなくね?」
「五分前」
「誤差だろそれ」
「遅刻予備軍」
ぴしゃりと言われる。
俺は肩をすくめて、歩き出した。
「で、今日は?」
「低級。数は三」
「楽勝じゃん」
「油断しない」
「してねーよ」
「してる」
「・・・・してるかも」
緋色はそんな俺をみて小さくため息をついていた。
でもその口元はほんの少しだけ緩んでいた。
任務は予定通り、軽かった。
建物の奥。淀んだ空気。
「左」
「分かってる」
夜卜が踏み込む。
緋色が一歩遅れて位置を取る。
連携は、ほとんど反射だった。
「終わり」
呪霊が崩れて。重かった空気が霧散する。
「……やっぱ早いな」
夜卜が言う。
「普通」
「いや普通じゃねえって」
「あなたが遅いだけ」
「それさっきも言ったよな」
「事実だから」
少しだけ、緋色の視線が柔らかくなる。
「……まあ、夜卜が遅い分は私がカバーするから」
小さく、そう言って。そのまま外に向かっていく。
「なあ」
「帰り、寄り道しない?」
緋色は少しだけ考えるそぶりを見せて。
「……どこ」
「甘いの」
「子供」
「いいだろ別に」
「太る」
「気にしてんの?」
こういえば緋色はのってくる。
「してない」
即答。
「じゃあいいじゃん」
「……少しだけなら」
ほんの少し間を置いてから、そう言った。
店の前。
ショーケースを覗く夜卜。
「これ」
指差す。
「……甘そう」
「だからいいんだって」
「絶対後悔する」
「しない」
「する」
「しない」
「……する」
「じゃあ賭ける?」
緋色は少しだけ考えてから、
「……いい」
とだけ言った。
外のベンチ。
並んで座る。
一口。
「……甘い」
「だろ?」
「……甘すぎる」
「ほらな」
「でも」
少しだけ間。
「嫌いじゃない」
夜卜が笑う。
「だよな」
その横顔を、緋色は少しだけ見ていた。
・・・・いや。っふうううう。なんかいい感じな雰囲気にしたくて、誘ったけど。今いけそう!いけ告れ俺!でも緋色は俺のことどう思ってんだろう。友達としか見れないとか言われたら死ねる。
何かを言おうとして口を開けて、閉めるを繰り返していると緋色が口を開く。
「ねえ」
「ん?」
「もしさ。明日世界が終わるとしたら、どうする?」
どういう質問なんだ?いやでもよく考えたらこれはチャンスなのか。チャンスじゃん!
「……分かんね」
「そう」
いやもういっちゃおう。いけ
「でも。まあ」
「一人ってのもダルいし」
「……」
「お前とは、たぶん一緒にいる」
沈黙。
風の音だけが通り過ぎる。
いやちきったああ。なんやねんこのこじらせた中学生みたいな返事。いたすぎるだろ。今中3だからあながちまちがってないけど!
「……そう」
それだけだった。けど緋色は安心したように微笑んでいた。
次回から物語が動き出します。