今日も今日とて緋色一緒に任務を消化していく。
「今日は三級単体か。」
任務の詳細が書かれた紙を見ながら、緋色に言う。
「余裕だな、すぐ終わる」
「油断しない」
緋色が返す。いつも通りの日常だった。
現場は人気のない建物だった。窓が割れていて、風が吹きぬけていた。俺はいつも通りだったけど、緋色は建物に入った時から、冷汗を流していた。
「どうした?」
「おかしい。呪力の密度が三級じゃない。」
それだけで、十分だった。俺は呪力も感知も得意じゃないので、いつも緋色に頼りきっていていやになる。両親は才能があるとほめてくれるけど、術式でうまく武器を作れる才能なんていらなかった。
「引くか?」
「・・・遅い」
緋色はそういうのと同時に空気が歪む。暗がりから一体の呪霊が姿をあらわす。
「・・・・は?」
言葉が漏れる。この呪霊は三級じゃない。あきらかにもっと上。おそらく特級。
呪霊が動き出した。速い。反応が遅れる。
「夜卜、下がって。」
「いや―」
言い終わる前に、緋色が術式を発動させる
「縛布」
緋色の術式が発動する。代々受け継いでいる巫女の術式。
空間に布ような呪力が広がって、呪霊を拘束する。
「今!」
緋色が言うのとほぼ同時に踏みこみ、血で作った刀を振るう。
だが―
「っ!」
固い。俺の攻撃では傷一つつかなかった。自分の無力さを呪う。
「撤退!」
緋色が言う
「了解」
即答する。迷いはない。全力で出口に向かう。その途中でいやな感覚がはしる。
「来る」
振り返ると、呪霊の攻撃が目の前まで迫っていた。
「くっそ!」
避けようと思っても今からじゃ避けられない。ここで終わりなのか。自分の死を理解する。
「―夜卜」
聞きなれた声が近くから聞こえた。
次の瞬間。
視界が遮られる。
「・・・・・は?」
なにが起きたかはわからない。だが、目の前に緋色がいた。
血が落ちる。緋色の肌を伝って、ぽたりと。
「・・・・なんで」
言葉をうまくつむげない。頭が理解を拒んでいる
「なんで、お前が前に―」
緋色はいつもと同じ顔で、少しだけ息を乱して。
「・・・無事でよかった。」
そういった。
「ふざけんなよ」
なんでそんなことを言うんだ。お前がいなきゃ意味ないのに。
無力な自分が恨めしい。今回何をした?
俺は足を引っ張っていただけじゃないのか?
声が震える。
「そんなの……お前とじゃなきゃ……!」
「・・・そうかもね」
緋色はいつものように微笑む。血は流れ続けている。
「でも」
一歩、よろける。血が吹き出して。緋色の白い肌を染めていく。
「あなたは、生きて」
その呪いを吐いて、少女は眠りにつく。
愛する少女は目の前で赤い水たまりを作り続けている。
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